自宅近くの下町浅草寺あたりに、外人客が増えたのは00年を過ぎた頃から。どうしてと言われても、きっとそれ以前は、東京とシンガポールの違いを外人は知らなかったし、日本にも興味がなかったからだろう。その後、山でも外人をよく見かける。2年前奥穂から白出しに降りて、涸沢に出るときに外人5人組がガイドと一緒に下っていた。外人は他人かまわずだから、好き勝手なペースで降りる。さて一人の外人おばさんが、涸沢に着けば、そこにクルマが待っていると思っていた。「これでもう、歩かなくて済むわ」という。白出し稜線から見れば、涸沢なんて車道が敷いてあって、クルマが来ていても地形的におかしくない。ただ自然保護の観点からそうしないだけ。「クルマはありません」「ええ〜〜〜」。まあ宿泊して、明日6時間くらい歩かないとクルマのあるところには出ませんね。まあオバサン諦めて「仕方がない」。もっともアメリカのオバサンがこんな北アルプス縦走しているくらいだから、パタゴニアもヨーロッパの経験もあるというわけで、落胆したものの歩けないというわけでもない。
山はなだらかだ。南アルプスの南の方なんて、ひそかに林道が2200mくらいまで伸びていて、ちょっと歩くくらいで山頂に着く。飯豊も朝日も、どん牛のような地形の深い山で、そのまま放置されているから深いだけで、あんなもの道を通そうと思えば、飯豊も朝日も頂上まで車道の建設くらいはできる。
残り2カ月の紅葉の秋は、そのどん牛のような奥深いところへも行ってみようかと思うが。作れるけど作らない。秘密で作ったけどゲート占めて普通車は通さないという、状況がそうなのだから従おう。立山黒部アルペンルートだって、冬になれば芦峅寺から歩いて、延々と昭和初期の加藤文太郎をするわけだから、今どき誰もこんなところ歩かないが、どん牛の山々、そこにあるから、そうして登るわけだ。でもおばちゃんの理屈のように、涸沢にクルマが来られるようになれば楽なのにとは、賛成である。涸沢にクルマが来ても、それが自然破壊なんていう単純なものでもアルマーニ。
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