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夏がやって来た。
長期縦走の季節だ。
昨年は焼岳から親不知まで「北アルプス南北全踏破」を余裕を持って楽しんだ。天候に恵まれたとはいえ、気力・体力とも十分で、極めて順調にやり遂げ、途中不安も全く感じなかった。
しかし、今年はちょっと事情が違った。
去年の9月に山岳会に入り、本格的にクライミングを始めた。しかし、今年の1月3日に湯河原幕岩シャワーコロンでフォールし、肋骨5本と左手首を骨折してしまった。これはすぺて僕の認識の甘さのせいだった。
そもそも山岳会に入ろうと思ったのは、「これ以上難しいルートに行くなら、ロープを使えるようになる必要がある」と思ったからだった。
完全に間違っていた。
実際は、山岳会に入るとますます危険なルートに行くので、例えロープを使ったとしても、ロープを使わない登山をしていた時よりもリスクは確実に増す。「最悪の事態を避けるためにロープを使わざるを得ない」というのが、本当のところだ。つまり、ロープを使ってより安全に登山するのではなく、より危険なルートにロープを使って最低限の安全を確保しながら登山するということだ。単純に「より危険な登山」に足を踏み入れただけということだった。この認識の過ちが事故の遠因だったと今ならはっきり分かる。ロープを付けたとしても、「決して落ちてはいけない」という意識を強く持つことが非常に重要なんだ。この意識改革をせずしてクライミングの世界に足を踏み入れた僕は、本当にバカだった。
肋骨が完全にくっついてはいなかったが、2月11日から登山を再開した。しかし、去年はチャレンジングな雪山登山を多数こなしたのに対し、今年はゆるゆる雪山ハイクに終始せざるを得なかった。無雪期に入っても、クライミングの割合が増えたせいで、重荷を背負って歩く距離は激減した。フォール以降、「もっと上手く登れるように早くならないと、命がいくらあっても足りない」という意識が強くなり、クライミングを優先させたからだった。
会社のルールで2週間連続休暇を取得しないといけないため、今年もそれを7月29日から8月9日に入れた。前後の土日祝と合わせ、17日連続休暇だ。体力に猛烈に不安を感じながらも、「今年も超長期縦走したいな...」と計画を練り始めた。最初はできるだけ軽量化して、「ひとりTJAR」をやろうかと思ったが、TJARのコースは極端にロードの割合が多く、はっきりいって全く楽しくない。去年「北アルプス全踏破」をやったので、「今年は南アルプス？」というはあまりにも安直だ。
「去年とは違う面白いルートはないか？」
体力への不安を感じながらも、去年よりもレベルアップしたルートを模索した。最初に候補に上がったのは、「乗鞍青少年交流の家から丸黒尾根で乗鞍岳、そして焼岳から親不知までを全部繋げる」だった。しかし、調べていくと、この丸黒尾根はほとんど未整備で、かなり厄介だということが分かった。去年、北アルプス南北全踏破の前に、別立てで「青谷登山道で乗鞍岳に行き、乗鞍権現から平湯に下山」するルートをやったが、それよりも遥かに険しそうだ。乗鞍青少年交流の家 事業推進係の方からも、以下のアドバイスを受けた。
今回、当施設から奥千町避難小屋を通って乗鞍岳に登山を予定されていらっしゃるとの事ですが、当施設から途中の「丸黒山」までは登山道整備をおこなっておりますがその先の登山道は整備状況が不明です。実際に向かわれた方がいらっしゃるかも含め、こちらでは情報を持ち合わせておりません。
「やばいな...。確実に苦行だし、熊リスクも高そうだな...」
しかも、やはり乗鞍岳と焼岳の間にはどうしてもアスファルト道歩きが入ってしまう。これはダメだ。
次に思い付いたのは、親不知から入山し、白馬岳から「白馬線」で、清水岳(しょうず、しみずではない)、祖母谷（ばばだに、そぼやではない）温泉、阿曽原温泉、池ノ平小屋、劔岳北方稜線と繋げていくプランだ。しかし、これも躓いた。年初の能登半島地震の影響だった。黒部峡谷鉄道が全区間開通していないのだ。宇奈月温泉から猫又駅までの折り返し運転になっており、欅平駅が全く機能していない。欅平ビジターセンターも休館になっていた。普通の登山者がこのエリアに来るには、黒部峡谷鉄道は欠かせないことを知った。白馬線を使って欅平駅に来るような猛者は数少なく、彼ら（僕ら？）の為だけに登山道の整備を行うのは商業的にワークしない。関電の管轄の水平歩道は、例年通りの整備の進み具合（ネットで質問すると電話で回答を得た）だったが、黒部市が白馬線の使用、祖母谷温泉での勝手テント泊は控えるよう強い姿勢を取っていた。阿曽原温泉のブログでも、「秋に黒部湖からのアクセスのみ、もしかしたら可能になり、その場合のみ素泊まりでの小屋の営業を検討する」と情報発信を繰り返していた。黒部市商工観光課の担当者と何度か電話で話し合ったが、結局このルートも断念することにした。もし、途中で何かあって救助を要請するような事態になった場合、窮地に陥ることになるからだ。
北アルプス南北全踏破のルート工作に行き詰まりながらも、平行してアルパインの劔岳八ツ峰に7月13〜15日にチャレンジした。梅雨のさなかで雨予報だったので、みんな東北や沢に逃げるように計画を変更していた。僕らも当初、朝日連峰の沢（最上川水系朝日川流域朝日俣沢岩魚止沢）に計画を変更したが、沢の上部で微妙な雪渓が残っていることが判明した。やはり適期は雪渓が消える9月頃のようだ。かつ、八ツ峰をかなり調べ上げていたので、頭から八ツ峰を消し去るのが困難だった。「天気予報が外れて、奇跡の晴天の可能性もあるよな...」と、パートナー（Tbさん）に無理やり八ツ峰に突っ込む提案をし、渋々受け入れてもらった。
室堂・立山周辺も、予報通り初日はいい天気だった。ゆっくりと劔御前小屋まで登り、剣沢に下りてテントを張った。翌日の天気が良くなることを期待しながら、翌朝午前2時半スタートと決めた。準備に時間のかかる僕は、スタートの1時間前に起きた。スマホの電源を入れると、Tbさんから午前1時頃LINEが入っていた。
「更に (天気が)悪くなってますね。朝の5時位から雨マークですかね」
なるほど...。僕も自分でWindyを確認した。Windyの予報は変化はなかったが、引き続き9時には降り始める予報だった。雨雲レーダーの予報も確認したが、同じ結果だった。
Ttm:「夜は降らなかった感じですか？」
Tb:「降ってないですね」
Ttm:「確かに、9時にはまあ降られますね、雨雲レーダーの予報では」
Tb:「代替案(八ツ峰は諦めて)はどうしますかね？」
僕は、こうLINEを返した。
「取り敢えず、1、2のルンゼまで行きますか？」
Tbさんの反応は、
「まじですか！？」
彼はもう早出スタートする気はなく、ゆっくり寝てからどこかで違うルートを考えていたらしい。
そこ(1、2峰間ルンゼの取付き)まで行って帰ってくるのはそんなに危険ではないという想定ですが、無意味ですかね？
と返信すると、彼も観念したようで、
「3時出発で良いですかね？」
僕はかなりしつこい性格だった。
「行ってみたら意外に天気が良くなってくるかもしれない...」
真っ暗な中、3時に剣沢をスタートした。最初は右岸の夏道を歩き、途中から雪渓をに下りた。平蔵谷の取付きから長次郎の取付き辺りは雪渓が崩壊していたので、その手前から一旦また右岸に戻り、危ない夏道を歩いた。最後はまた雪渓に下り、長次郎谷の取付きへ雪渓を横断した。
長次郎谷の雪渓は、GWに登った源次郎尾根横のルンゼと比べ、スーパーイージーだった。傾斜がユルくかなり楽に登ることができた。1、2峰間ルンゼの取付きに来ると、調べた通り雪渓は途切れていた。ここから先に進むには、やはり雪渓から右岸の岩場に乗り移る必要があった。雪渓と岩場の間は深〜い溝になっているので、安全にまたいで移れそうな場所を物色した。2、3箇所目星を付けたものの、どこも確実に安全というわけではなかった。
物色にかなり時間を使ったので、後続パーティーが追い付いてきた。山岳会のようで、男女混合の5、6人のパーティーだった。彼らも、今日は天気が悪化する予報なので、最後まで八ツ峰をやるつもりではなく、5、6のコルの取付きを見に行くにとどめると言っていた。彼らのリーダーとおぼしき最長老の男性は、僕がここかな？と思った右岸に移るポイントをやはり一番いいと判断した。このポイントは、岩場と雪渓の間の下にルンゼ状の地面があり、下に下りることができた。僕と同世代くらいの別の男性は、そこより上の方から飛び移る方が簡単だと主張していたが、この長老の男性に言われ、しぶしぶ下に下りてきた。
そして、このリーダーの男性はみんなが「先行パーティーに先に行ってもらったら？」と制止するのも聞かず、単独＆フリーで下りて道を切り拓いていった。彼は最初は簡単に歩いていたが、途中から苦労し始めた。そして、最後にちょっとした岩場を登り、完全に右岸に乗り上げる所で行き詰まってしまった。登ることもできず、クライムダウンもできず、セミ状態になってしまったのだ。みんなに緊張が走った。すると、先程の同世代の男性が、最初に彼がいいと主張したポイントから、「ポンっ」と右岸にジャンプして飛び移った。そして、すぐにロープを出し、肩絡みで長老を確保し始めた。そのヘルプのおかげで、長老は何とか岩場に登り上げ事なきを得た。臨機応変なナイス判断だった。その山岳会のパーティーは、さすがにこのパニックで先に行くことを断念した。彼らは残念がるでもなく、むしろ危険から解放されて嬉しそうに見えた。お互いに写真を撮り合い、ウキウキした感じ（？）で斜面を下りて行った。
僕は彼らが下り始めてからも諦め切れなかった。天気もあまり崩れそうには見えず、自然と先に行きたい衝動に駆られた。僕は、長老がセミになったポイントとは別の場所から簡単に右岸に取り付いた。そこからのスラブは、登りなら何でもない難度に見えた。僕は乗り移った先でアイゼンを外した。そして、いざ登ろうとした時、「アイゼン外してどうするんですか？」と、Tbさんに声を掛けられた。僕は何も具体的にどうするか決めないまま、このスラブを登る気満々になっていた。しかし、ここから先に本格的に進むのか、ちょっと登ってみるだけなのかを明確にするべきだとTbさんは冷静に言った。ちょっと登るだけなのなら、このスラブを下りなければならないが、クライムダウンが容易にできるかどうかをよくよく判断しなければならない。この時は、ハーケンやカムを全く持っていなかったのだ。
僕は、今日は先には進まないという約束でここまで来たことを思い出した。頭を冷やされた僕は、ここでアイゼンを履き直した。撤退を決断した瞬間だった。これから天気が崩れるというヤマテンの予報に敬意を払おう。「そもそも、今日はここまでの約束でスタートしたじゃないか...」
ここから剣沢キャンプ場に戻る間も、天気は全く崩れなかった。それどころか、晴れ間も時折見え始めた。「う〜ん、これ上半（かみはん）だけなら行けたんじゃないかな？」と、「上半だけやる」なんてプランを前もって決めていなかったにも関わらず、やたらとその言葉が口をついた。しかし、上半に計画変更するなら、予めそういうプランBを想定しておかなければならない。行きあたりばったりの登山ほど危険なものはない。プランBを明確に決めておかなった自分の無計画さを悔やんだ。
剣沢キャンプ場に着こうとする頃、やっと雨がぱらつき始めた。テントを撤収し、ここから室堂まで下山する。雨足はテント撤収をしている間に一気に強くなった。撤収を終え劔御前小舎へ向けてスタートする頃には、本降りの雨に変わっていた。
「やっぱりヤマテン予報は当たっていた」
その後も雨はどんどん強くなり、劔御前小舎に着く頃には土砂降りの雨に変わっていた。
「これ、八ツ峰行ってたら相当やばかったな...」
Tbさんの冷静な判断に感謝した。劔御前小舎から室堂まで、雨の中を黙々と歩いた。歩いている途中、あるいは室堂に着いた時、「雨に少し打たれるだけで人は大きなストレスを感じ、疲れ果ててしまうものだ」ということを思い知った。僕は今まで雨の中を歩いた経験が殆どなかったのだ。こうして、僕らの八ツ峰チャレンジは失敗に終わったが、大きなダメージを受けることなく、無事に下山することができた。
結果として予備日となった15日の月曜日、TbさんとまたLINEのやり取りをした。今年はやはり猛烈に雪が少なく、1、2峰間のコルに取付くのは難しいということを再確認した。「もう八ツ峰の適期は6月かもですね！」
それ以降も、北アルプス南北全踏破のルートを模索し続けた。しかし、白馬線から北方稜線をつなげる以上に魅力的なプランは思いつかない。再度TJARも考えたが、やはり、できるだけ稜線を外さないルートにしたかった。そんな中、針ノ木峠から針ノ木谷に下り、針ノ木古道、平ノ渡で五色ヶ原に抜けて薬師岳を回るプランを思いついた。全て一度も通ったことのないルートだ。早速、大町市ウェブサイトで針ノ木谷、針ノ木古道についての整備状況を質問すると、
大町市観光協会です。
大変申し訳ございません。
こちらでは例年のこの時期の針ノ木谷、針ノ木古道の整備状況など、わかりかねます。大町登山案内人組合事務局（090-2168-1265）へお問い合わせください。
よろしくお願いいたします。
との回答を得た。大町登山案内人組合事務局に電話すると、意外にも針ノ木谷・針ノ木古道は（熟練登山者なら）問題なく通れるとのことだった。以前に室堂山荘（奥黒部ヒュッテの受付）に問い合わせした時は、この時期はまだ整備が完全には終わっていないと言われたのだが...。針ノ木古道を調べると、さすがに何度も渡渉がありそうなので、モンベルでキャニオンサンダル（クロックスをより歩き易くしたような作り）を購入した。テントサンダルとしても使い勝手が良さそうだった。
Tbさんと僕は実は今年の八ツ峰再チャレンジを完全には諦めていなかった。雪渓の状況を他の人のレコで調べたりを続けていた。僕にとっては北アルプス南北全踏破2024を実行に移すこともとても大事だったので、中々に日程が苦しくなってきた。ほんの「空想」として、北アルプス南北全踏破2024に八ツ峰を組み込もうと考えたりもした。その場合、白馬線で、祖母谷・阿曽原温泉、仙人峠から真砂沢ロッジで集合というプランができれば最高だと思っていたが、前述の通り、このルートは断念せざるを得なかった。北アルプス南北全踏破2024は、針ノ木谷・針ノ木古道を通ることに決め、今年の八ツ峰再チャレンジを諦めることをTbさんに伝えた。彼は、「来年の早い時期にリベンジしましょう」と快く納得してくれた。
しかし、その日の夕方、TbさんからLINEが入った。「針ノ木古道が知らなくて調べたら、真砂沢でも雷鳥沢でも合流できるのかなぁと思いましたが...」。彼はまだやる気だった。すぐに返信した。
Ttm:「やりますか？」
Tb:「全然やる気ありますよ。ただ作戦は慎重に考えるべきなのかなと」
北アルプス南北全踏破2024〜八ツ峰Included〜が決まった瞬間だった。
Ttm:「それか親不知から一緒に行きますか？そうすると（行程的に僕が辿り着かないという）不安がないかと...」
Tb:「それは無理です！体力的に全然自信がないです！」
自分で「やりますか？」と言っておきながら、ものすごいチャレンジに正直僕はビビりまくってしまっていた。できるだけその他のルートを軽くせねば...。まずはゴールは焼岳ではなく上高地にすることにした。奥穂高岳から西穂高岳を縦走して、西穂山荘から上高地に下りる登山道が使える。確か新穂高ロープウェイが長期休業だった時に「徹底的」に整備をしたとあったので、僕が2021年に登りで使った時よりかなり楽な道になっているはずだ。また、針ノ木谷・針ノ木古道や平ノ渡は時間が読めないので却下だ。種池山荘から扇沢まで下りて、アルペンルートで室堂に入るのが最適だと判断した。そうすると中日に休養日（アルペンルートに乗っている間は休憩）を設けることができる。それでもTbさんは、扇沢でどこかの旅館で1泊して休んだ方がいいのでは？と提案してきた。多分彼としては僕の体調が万全の状態で八ツ峰にチャレンジしたかったのだろう。しかし、僕は途中で山行を中断したくはなかった。なので、扇沢に下りる前日に僕の体調を伝え、疲れがひどければ1日休養日を入れることでTbさんに納得してもらった。
次は、荷物の軽量化だ。昨年は、モンベルのExpedition pack80に荷物をたっぷり詰め、25kg弱のパックウェイトでスタートした。今年は何とかそこから5�圓浪拱�を削りたい。それを実現するため、まずはザックを新調した。オスプレイのExos58だ。重量が1.3�圓�Expedition pack80より1�圓盞擇い里法�背負い心地がとてもよく、疲れにくい作りだった。容量は61Lとぎりぎり問題ないだろう。
登山靴も見直した。去年はスポルティバのエクイリビウムST GTXで快適に歩けたが、今年はリスクを取ってアプローチシューズのTXガイドレザーを購入した。足への負担は大きくなるが、荷物の軽量化を前提に、八ツ峰の登りを考慮しより足裏感覚を優先することにした。結果、確かに歩き易かったものの、去年全くできなかった豆ができてしまった。歩きにはそれほど支障はなかったのが幸いだった。
また、去年ジェットボイルの燃焼効率の良さに驚いたので、予備のガス缶を一番小さいJB-100にした。結果、今年はぎりぎり1缶で足り、予備のガス缶は未使用だった。長期縦走ではジェットボイル一択だと改めて感じた。
去年はたっぷり持っていった行動食（プロテインバーやカロリーメイト）も最小限にした。基本小屋で購入することができるので、途中でどんどん補給して行こう。
食料は去年とあまり変えなかったが、去年同様、基本小屋で夕食を食べられる場合は食べるというスタンスで必要最低限とした。棒ラーメン（2食入り）5袋、リゾッタ5食（パッケージは1食分のみで、残りはジップロックに入れた）、アルファ米5食（同じくパッケージは1食分のみ）、アマノフーズのカレー、シチュー、親子丼等5食分。逆に食材で追加したのは、あたりめだった。タンパク質摂取とビールのおつまみとの兼用だ。お菓子のまちおかでなとりの製品を複数大量に買い込んだ。
そして、去年は持ったGoProとそのバッテリーセットはを置いて行くことにした。最近はスマホでショート動画ばかりを撮っていて、それで十分だと判断した。
蚊取り線香も置いて行くことにした。代わりに虫刺され用の小型のウナコーワαを持った。
去年持つ必要がなく今年純増となったものは、クライミングギアとアイゼンだった。クライミングギアも必要最低限で、シットハーネス（BDのクーロワール）、確保器（+カラビナ1枚）、モンベルのチェーンリアクター（PASのような物、+カラビナ2枚）、ペツルのマイクロトラクション（+カラビナ1枚）、エーデルリッドの懸垂下降バックアップ用アラミドコード。Tbさんに50mダブルロープ、スリング、小型カム、捨て縄＆捨てカラビナなどはお願いした。アイゼンはペツルのレオパードという超軽量10本爪アイゼンだ。
こうして、水込みで20�埃紊縫僖奪�ウェイトを抑えることに成功した。今年は北から南に下る。親不知スタートだ。なぜか親不知観光ホテルは1か月前でも予約できなかったので、北陸新幹線糸魚川駅から徒歩15分程の、ルートイン糸魚川を押さえた。夕食は付いていないが、ホテル内にレストランがあり、そこで食べることができる。歩いて1分でスーパーもあり、そこで買ってきてもいいだろう。朝食は付いていたが、ホテルを早朝に出るので食べることはできなかった。このルートイン糸魚川から親不知（地元の人は天険「てんけん」と呼ぶ）の栂海新道登山口までは朝ならタクシーで20分程だ（料金は高いが7,000円弱）。前もって糸魚川タクシーを予約した。盲点だったのは、糸魚川タクシーの営業が朝の6時からで、早くても栂海新道登山口に6時半にしか着かないことだった。入山4時を計画し初日は栂海山荘泊を予定していたが、白鳥小屋泊に変更した。翌日が白鳥小屋から朝日小屋までのロング行程になるが仕方がない。
準備は整った。今年の落ちた体力で本当にやれるのだろうか？しかも八ツ峰Includedである。4年間の登山経験を信じるしかなかった。
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