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午前4時に起きた。未だにテントの撤収に時間のかかる僕は、スタートの2時間前に起きることにしている。朝食に棒ラーメンを食べ、4時50分頃、テントの外に出てライジングサンを撮影する。左手には何とも言えず美しい白馬鑓ヶ岳の姿があった。今山行で初めて文句なしの天気になりそうだった。
昨日一人でテントを張れなかった女性登山者も、同じくらいのタイミングで撤収作業を始めた。彼女は僕より30分くらい早く撤収を終え、先にスタートして行った。少し遅れたが、僕も6時10分頃スタートの準備が整った。
ブラックでないスタートはのっけから楽しいのがいい。天狗ノ頭までの道は最高に気持ちよかった。右手に剱岳から毛勝三山、左手に大雲海に浮かぶ頸城三山から浅間山、振り返ると白馬鑓ヶ岳。去年ここを反対向きに歩いた時の印象はあまり覚えていなかったのだが、頻繁に立ち止まり写真を撮りまくる。それほどきつい登りなく天狗ノ頭に到着した。ここでも360度の大絶景を楽しむ。これから行く不帰ノ瞼、唐松岳・五竜岳・鹿島槍ヶ岳が一塊に見える。遥か前方には（本家）槍ヶ岳、奥穂・前穂まで見渡せた。
今日の最初のハイライト、天狗の大下りの起点に到着した。ここから300mほど、不帰のキレット(2411)まで一気に高度を下げる。ザックを下ろし、ポールを短くしてエクソス58の「stow on the go（ストウオンザゴー/トレッキングポールアタッチメント)」に固定し、ヘルメットを装着した。去年登りでここを通過した時は、ほとんど怖さを感じなかった。しかし、今回はここでヒヤリとすることになってしまった。
最近の悪い癖なのだが、クライミングを始めてから無駄にクライミング的ムーブを好んでしまう。下り始めで、一旦一段下がりそこから岩壁伝いにトラバースしていく箇所が出てきた。ただ、その一段下がった地面はかなりザレていて、その下は切れ落ちているので、下りるのが億劫になった。一方で、下がらずにそのまま岩壁伝いに行くと、高度感は増すもののスマートにトラバース可能に見えた。そして、その方が手と足の置き場をしっかり意識するクライミング的ムーブが要求される。「こっちのほうがええな...」。僕はそれを選択し、岩壁に直接取り付いた。足をしっかりホールドに乗せ、手を探る。すると、ちっちゃいフレーク(壁に貼りついているような状態の板状の岩)があった。何も考えずにそこに手を掛けた。するとそこが簡単に「ぺきっ」と折れてしまった。「おっ！」と、落ちそうになり、慌てて別の場所を掴んだ。その時に、右手中指の指先の腹が深くえぐれるように切れてしまった。えぐれた表面積がかなり小さかったので、それほど出血はなかった。しかし、その部分が岩に触れると、少しストレスに感じる痛みがあった。「危ない、危ない...」。やはり慎重にザレ場に下り、高度を下げてからトラバースするのが正解だった。このヒヤリハット以降、気持ちを引き締めものすごく慎重に下って行った。
ここから不帰の嶮に突入した。
不帰の嶮は、北にある「天狗の大下り」取付き点2,703mから、南にある日本三百名山「唐松岳」2,695mの間にある浸食によって形成された峰々で、北から�喫�、�曲�北峰、�曲�南峰、�景�（A/B/C）が連なる、稜線の山々の総称です
(一般社団法人 日本アルプスガイドセンターのウェブサイト The Japan Alpsから抜粋)
去年、南から初めて通った時は、名前からしてびびりまくっていた。実際には、距離が短く、大して難しい岩場もなかったので拍子抜けした。しかし、今回は滑落現場に遭遇することになった。不帰1峰を難なく越え、核心の不帰2峰北峰の手前のコルに来た時だった。7、8人の登山者のパーティーがコルで休憩しているようだった。しかし、少し様子がおかしい。その中の女性の1人が、岩に腰掛けて足にテーピングを巻かれていた。「軽い打撲でよかった」と話しているのが聞こえてくる。「どうしたのかなぁ？」と思いながらも、あまり気にせず不帰2峰北峰に取り付こうとすると、その手前に座っているシニア男性が、「落石させないように気を付けて下さい。この下に登山者がいますので」と声を掛けてきた。「え？でも、下に登山道ないですよね？」「さっき落石があって、下まで滑落してしまったんです。今、救助を待っています」。右手の崖の下を見下ろすと、確かに登山者が下にえらい小さく見えた。「マジか…、あんなに落ちて大丈夫なんか？」。後から聞いた話では、不帰2峰北峰を下りている時に、登りの登山者とすれ違いがあり、その登りの登山者が落石を起こした。そして、それが下りの登山者を直撃したらしい。それが原因で滑落し、崖の下まで落ちてしまったらしい。奇跡的に腕か足の骨折だけで済み、命に別状はなかった。問題は、この団体はまたしてもクラブツーリズムだったということだ。もちろん落石を起こした登りの登山者がいけないのだが、団体を率いていることをちゃんと考慮した行動を取れていたのだろうか？
以前、厳冬期の網笠山の山頂直下で、20人近くを率いているクラブツーリズムの団体に追い付いた。参加している登山者はかなり経験が浅く、凍りつきそうな強風の中でちゃんと歩けなくなっていた。引率は先頭と殿の2人だけで、登山道を完全に塞いでしまっていた。僕ら3人は止まってひたすら彼らが先に進むのを待っていたが、長い時間動かないでいると本当に凍えそうだった。僕は「こりゃ、こっちかがやられる」と仲間に指示を出し、うまく彼らを交わして先に出で事なきを得た。
いずれにせよ、今回の滑落事故も、人手不足で参加者の監督が不十分だったために起こってしまったと疑わざるを得なかった。
落石に気を付けながら登っていく。しかし、そんなに落石が起こりそうな脆い岩場には見えなかった。途中、不帰2峰南峰への登り辺りで、がっしりした体格の女性に追い付いた。普段はもっとあっさり追い付くのに、彼女は登りがスムーズで、姿が視界に入ってからも少しずつ追い付いた感じだった。彼女は「どうぞ」と言って、僕に先を譲ってくれた。そこから先にいくと、3峰を越える辺りで、例の天狗山荘で1人でテントを張れなかった女性にも追い付いた。彼女はスラッとした体格で、スピードもあり、さっきの女性同様、かなり登山経験がありそうだった。キツイ関西弁で、少し後ろについて話しながら登ったが、また先を譲ってくれた。
最後の登り返しをやり、唐松岳山頂に到着した。時刻は9時半前で、天狗山荘から3時間ちょっとで着いてしまった。今日は初めて朝からずっといい天気で、山頂でゆっくりと時間を使った。唐松岳山頂からの眺めは最高だった。山頂標識の奥にはこれでもかというほどの剱岳、南側にはやたらとでかい五竜岳、そしてその右奥には槍ヶ岳もバッチリ見える。五竜岳をバックに何度も自撮りをして遊んでしまった。ここまで抜いて来た登山者達全員に山頂で抜き返された。
ボツボツ行くかと、山荘へと向かった。唐松岳頂上山荘は唐松岳から本当にすぐだ。ずっと下り、最後に八方尾根との分岐辺りから少しだけ登り返す。今日は荷揚げの日のようで、ヘリコプターがひっきりなしに飛んできては、山荘裏の小ピークに荷物を下ろしていた。荷物を下ろした後のヘリが、谷間に向かって直滑降するように飛んで行く様子を見ながら、みんな歓声を上げていた。
小屋の土間に入り、「テントの受付をしたいんですが」と言うと、意外な言葉が返って来た。「テント場の受付は11時からです」。なぬ⁉?まだ1時間以上もあるやないか...。「10時前だし、もうテント場に誰もおらんやろう...」と思ったが、融通がききそうな気配はなかった。なんで後立山ってこうなん？と思わざるを得なかった。僕の前に既に2人の登山者がテントの受付に来ていて、時間を潰すため今は山頂に行っているらしい。ちなみに、テントの受付開始の11時になると、手の空いた小屋番が小屋の外に受付カウンターを設け、そこで受付を行う。「もし小屋番がみんな忙しく、受付カウンターができていない時は、ここ（土間内の受付）に来てください」と言われた。
この山荘は土間に入る手前に自動販売機が置いてあり、ペットボトルの水（ビールも）を買うことができる。去年「雨不足で後立山の小屋で水が買えなくなっている」という噂が、僕が後立山連峰に入る前に流れた。冷池山荘でもそのことを告げられ、冷池山荘はその時点では水不足の心配はなかったので、「もし心配だったらここで多めに調達することをお勧めします」と言われた。ちなみに、冷池山荘は沢から水を汲み上げ、その水源としている。しかし、冷池山荘のテント場で会った人に、「五竜山荘の天水は全く問題なく利用できた」と聞き、不思議に思った。唐松岳頂上山荘の水不足が特に深刻とも聞いていたが、実はこれは「ペットボトルの水が全部売り切れていただけ」だったということが後で判明した。単純に、荷揚げがうまくいかなかっただけだったのかもしれない。唐松岳頂上山荘のウェブサイトを見ると、「飲料水は売店でペットボトル（500ml）を販売しています 」としか書いていないが、実は普通に天水も売っている。ただ、単純にタンクに溜めただけの水（濾過くらいはしているのだろうが...）なので、浄水器をかけた方が無難だ（僕はそのまま飲んで、少しおなかを壊した）。
天水を買おうと、その辺にいた小屋番の女性に声を掛けた。すると、「あ、天水ですね、ちょっとお待ちいただけますか？」と何やらあたふたしている。実は天水は売店（土間の受付の向かい側にある）の手前の棚にタンクが置かれ、セルフで自分のボトルに詰めるスタイルだった。今日は荷揚げが猛烈に忙しく、小屋番がほとんど出払っていたので、売店のオープンのめどが立っていなかった。なので当然天水も売店に用意できていなかった。そのあたふたしていた小屋番は何とか僕の希望に沿おうてしていたが、先程の受付にいたボスのような女性に、「天水の販売も売店がオープンしてから」と僕にも聞こえるような声で言われ、そのままそれを僕に伝えた。
外に出て日陰になっている長ベンチに座った。物凄くいい日差しだったので、ソーラーパネルをザックから外し、太陽光にパネルが直角になるように地べたに置いた。長めのTypeCケーブルをソーラーパネルにつなぎ、アンカーのモバイルバッテリーを充電する。先程のがっしりした女性とすらっとした女性が、前の日向の長ベンチで話していた。あまりに猛烈に話しているので「なんや、知り合いやったんか」と思いながら声を掛けると、「いえ、別です。天狗山荘のテント場で初めて会ったんです」とがっしりした女性が答えた。僕が「停滞のせいで今日はここまでで、その代わり、明日はここから冷池山荘テント場までなんです...」と言うと、すらっとした女性は今日はこのまま下山、がっしりした女性は今日はここから五竜山荘まで、さらに明日は冷池山荘テント場らしい。「また明日会いますね！」。彼女も五竜山荘のテント場が取れず、やはり「かいこ相部屋」を予約したらしい。がっしりした女性はとにかく話好きのようで、冷池山荘テント場でも、夫婦で来ていたシニア女性と友達のようにず〜っと話していた。
ぼ〜っとしていると、いつの間にかテントの受付カウンターができているのに気が付いた。急いでそこまで行くと、ちょうど男女のカップルが受付をしていた。恐らく彼らが僕より前に受付待ちに入った人たちだろう。ちゃんと順番を小屋は管理していなかったが、たまたま順番通りの受付となった。僕の順番になり、「4000円」を払い受付を済ませた。冗談のような値段だが、書き間違えではない。テント代はテントの張り数と人数の両方に2000円ずつ課金される。1張り1人の場合は4000円になる。
山荘前の登山道の下は崖のように切れ落ちているが、実はテント場はその下にある。下りられるようにつづらに道が付けられていて、途中途中に幕営スペースが点在している。かなり下の方まで道は続いていて、テントの収容数は多そうだった。しかし、一番下の方まで下りると小屋まで登り返すのに20分以上かかりそうだ。さっきのカップルは、当然上の方にある広いスペースにテントを設営していた。そこは2、3張りいけるスペースなので、そこに張るのもありといえばありだが、野暮と言うものだろう。僕はもう一段下がった1張りしか行けないスペースを確保した。ものすごいスペースに余裕があるのに、既に張っているテントのすぐ近くに張る人がよくいる。不安感からそういう行動に出るのだろうが、ハッキリ言って最低の行動だ。今回も、確かに最終的には全部いっぱいになるというビューだったのかも知れないが、まだまだスペースが残っているのに、わざわざ既に張っているテントにヒタヒタにくっつくようにテントを張り始めたソロ女性登山者を見掛けた。上から彼女の行動を見下ろしていると、不安感でいっぱいだった。暗黙のマナーをわきまえて欲しいものだ。
テントを高速で張り、自販機で買ったビールを飲む。前方左手には五竜岳がバッチリで、右手には剱岳だ。最高のテント場だった。今日が超短縮行程になってもここで張りたかったのは、去年このテント場を見て気持ちよさそうに見えたからだ。確かに小屋までは10分ほど登らないといけないが、その不自由さを補って余りある解放感だった。これだからテント泊はやめられない。存分に1人の時間を楽しんだ。
12時前になり、さすがに売店がオープンしているだろうと、テント場から山荘に向かった。なかなかに登るが、結局3回くらいは往復しただろうか...。山荘に着くと、予想に反してんやわんやは続いていて、まだ売店は開いていなかった。しかし、ここまで10分もかけてやって来て、さすがに何も持たずに帰るわけにはいかない。「天水を買いたいんですが、何とかなりませんか？」とごり押ししてみた。すると、小屋の主人のような年輩の男性が「天水、何とかします」と言ってくれた。そして、若い女性の小屋番に指示し、彼女は小屋の奥に行って、僕のエバニューの2Lのソフトボトルを天水でいっぱいにして戻ってきた。「ありがとうございます！」
水を持ってテント場に戻り、リゾッタで昼食にした。食べ終えてから、ダラダラと絶景を見ていたが、暑すぎてテントの中にいるのはかなり困難だった。真夏のテント泊あるあるだが、日が出ていると、午後3時を過ぎるまではテントの中には基本いられない。テントの外にいるだけで、風が通りかなり涼しいものだ。しかし、テントの外にいるとあまりに日差しがキツい。日陰を求めてまた小屋まで上がることにした。
時間を持て余していたので、小屋の前をブラブラ散歩する。何とはなしに小屋の前を通り過ぎ、明日のルートの方へ歩いて行くと、年配の夫婦がその先のピークに向かおうとしていた。彼らはちょっとそこまで散策に行くようだった。何かの本で「そのピークもご来光ポイントだ」と書いてあったのを思い出し、そのことをその2人に話した。すると、その辺りにいた小屋の関係者のような若い男性が、「あのピークは実はあんまり見えないんですよ。ご来光ポイントは、今荷揚げをしている小屋裏のピークです」と教えてくれた。ちなみに、このポイントにはその「小屋裏」から次々に登山者がやってきて、その若い男性は彼らに頻繁に声かけをしていた。話してみると、どうやら彼は長野県警の山岳警備隊のようだった。僕が朝日小屋で猛烈な雨で停滞した話をすると、その時彼は五竜山荘にいたらしく、その辺りも同じく猛烈な雨だったらしい。ここにひっきりなしに登山者がやってくるのが不思議だったので、「どうして、ここにこんなに登山者がやってくるんですか？」と、今から考えればあまりに無知な質問をすると、「あれは、八方尾根から上がって来た登山者ですね」。あー！なるほど。僕は八方尾根を使ったことがないので、位置関係が全く分かっていなかった。やはり今でも八方尾根を使う登山者が最も多く、小屋の裏手のピークが尾根の終了点のようだ。昔はトラバースしてその裏山を巻いてここに来れたそうだが、今はそのトラバース道は閉鎖されいているらしい。僕らがいるポイントから八方尾根の終了点を通り、唐松岳側の分岐を通って小屋の周りをぐるっと一周することができ、「いい散歩コースですよ」と教えてくれた。しばらく彼と話をして、その散歩コースに行ってみた。そこでも年配の男性3人組に話し掛けた。栂海新道からここまで来たことを告げると、「私も大昔に行きましたよ」と、そのうちの1人はよく話す人だった。「栂海新道がまだできて間もない頃だったかなぁ...」。しばらく楽しい会話を楽しみ、時間を潰すことができた。
小屋に戻ると、知らないうちにこっそり売店が開いていた。売店の外側の棚に天水のタンクが2つ置かれている。自分でお金を入れて勝手に購入するシステムだった。「なるほどなぁ...、あまりこれに手をかけたくないのねぇ...」。今回は小屋に寄るたびに行動食を調達しようと思っていたので、売店で売られているものを物色する。さっき受付でも聞いていたが、ご丁寧に「行動食セット」というのが売られていた。確か1,500円だった。ただその行動食セットには充実野菜（ジュース）が中に入っていて、やたらと重そうで、ごみも大量に出そうだった。買おうかどうかかなり悩んだが、やはりゴミの量が気になってやめておいた。今回は徹底的にごみの量を減らすために、リゾッタやアルファ米ですらパッケージは1つにして、残りはジップロックに入れて持って来ていた。他に行動食になるものがないか売店の棚を物色したが、それらしいものは売っていなかった。仕方がないので袋入りのブラックサンダーを買うことにした。念のため、「これ、食べ終わった後で、ごみを捨てさせてもらえますか？」と売店の女性に聞いてみた。「はい、大丈夫ですよ」と言ってくれた。テントに戻ってから、個別包装されているブラックサンダーを全部中身だけジップロックに移し、ゴミは全部小屋に引き取ってもらった。
受付で最初に天水を買おうとした時、ボスの女性の対応がいまいち気にくわなかった。それでこの山荘のイメージが悪くなってしまっていたが、小屋番達はみんなとても親切でいい雰囲気だった。そして、さらに小屋に対するイメージが一変し、「この山荘ええわ〜」というエピソードがあった。去年この山荘のウェブサイトで、「スマホの充電もできる」という記述を見たような気がしていた。しかし、そういう場合、たいてい小屋泊者のみに対するサービスだった。でも、ダメもとで「スマホの充電おねがいできないでしょうか？」というと、「はい、いいですよ」と快く引き受けてくれた。スマホを売店の小屋番に渡すと、「じゃあ、適当にいい時に取りに来てください」と言いながら、カウンターの内側にあるコンセントで充電を始めてくれた。1時間くらいたったところで、「どれくらい充電できましたか？」と、また売店に行って聞いてみると、まだ20％ちょっとだった。多分、急速充電するほどの電力はないのだろう。結局、そのまま一旦テント場に戻った。そして夕方5時頃、今日最後の小屋通いで、トイレをしつつスマホを取りに行った（この山荘は外トイレはなく、小屋の中のトイレを使わせてくれる）。充電は92％まで進んでいて、「ありがとうございました！」とスマホを受け取った。3時間以上充電させてもらったので、「料金はおいくらですか？」と聞くと、「料金は頂いておりません」。正に神対応だった。恐らく、スマホの充電問題は登山のリスクに関わるという判断なのだろう。最後にとてもいい気分になり、一日を終えた。
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