イラクへ夢を届ける！(キャプテン翼)-16

「なんて殺風景な街だろう、、、」
全てが乾いた砂の色
見回しても、、、色がない、、、

町の中心にある巨大な貯水タンク
目を引く位置に陣取ってはいるが、、、故障中

ワクワクするものが何もない街
それがこの街に抱いた私の第一印象だった

私は外務省の派遣職員としてこの街に来た
第一次の自衛隊派遣から一年後の12月
拠点になる基地の設営は上手く行き
ODA による本腰の人道支援が始まる

私は思った
「折角やるなら 楽しく面白く
地元の人がワクワクするような
血の通った支援がしたい！」

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平成16年12月
サマーワの外務省事務所に派遣された
「江端康行」さんのお話です

毎日 宿営地からサマーワ市内や地方に出掛けると
日本の車が通る度に子供たちが必ず
一斉に手を振ってくれる
そして手を振りながら車の後を追いかけてくる
サッカーをしている子供たちでさえ
足を止めて手を振ってくれる！

そうだ！
子供、車、サッカー！
子供たちが大好きなサッカー選手
「キャプテン・マージド」(キャプテン翼のことです)
それを車に描いて走らせたら！
車は給水車、、、イラク中を走り回る！

頭の中には子供たちの喜ぶ姿が浮かび
自分の思い付きにいてもたってもいられなくなった

早速企画書を作り東京に打電
ところが肖像権の問題が絡んで
スイスイ行くことではなかった

子供たちが喜ぶことなら
簡単にOKが出ると思ったのは甘かった、、、

国内では自衛隊派遣に反対の声も大きく
「キャプテン翼」が自衛隊に協力しているように
思われるのではないか？と
出版社の内部で大激論になった

しかし 一週間後
作家の高橋先生の許しも得て
子供たちの為にODA に協力することは
良いことではないかと判断がなされた！

私はその瞬間
自衛隊反対のイデオロギーに
日本人の良心が勝った！と思った

いよいよ給水車に「キャプテン翼」のペイント
誰が、、、どうやって、、、
高橋先生にイラクに行ってもらうわけにはいかないし
現状では一般人は入国すら出来ない、、、
困った、、、

大きな壁にぶち当たり悩んでいると
ふと見上げたそこに、、、
山の手線の車体、、、ステッカー！

そうだ！
ペイントしなくても出来る！

そこで塗装ステッカーの会社に当たってみる

しかし気温50度に耐えられる強度となると
中々難しい
給水車の大きさも縦横2×6という巨大な物だ
価格も折り合わなく次々に断られる

しかし諦めない！
とうとう引き受けてくれる会社が現れた！

ステッカーの大きさは1.5×2メートルに決定
それを貼るのは職人だがイラクには連れていけない、、、

自分で覚えるしか方法が見つからなかった

印刷会社の人が方法を真剣に考えてくれた
素人でも貼りやすいように
10人くらいのスタッフで研究してくれました(感謝です)

空気が入らないように研究された
サマーワ式の貼り付け方法をマスターして
いよいよサマーワへ！

自衛隊ではステッカー貼り付けの為の
「特別チーム」を作ってくれました
名前は「チーム翼」です！

現地の水道局へ車を渡す日取りも決まっているのに
肝心の給水車が中々現地入りしない、、、

全部で26台
ようやく3台が到着したのは引き渡しの5日前
しかも車両は長旅で土埃で汚れきっている

まず巨大なタンカーの洗車から
始めなければなりませんでした
(私腰痛持ちだったのでかなり堪えました)

自衛隊の人達皆さん器用で
貼り付け方法は始めにちょっと指導しただけで
後は彼らがドンドンやってくれました

貼り付け作業が終わり
そこには
真っ白な給水車に「キャプテン翼」が
浮き上がっていた！

ちょうど夕日が沈みかけていて
夕日に染まって行く「翼君」の勇姿に
熱く胸に込み上げてくるものを感じた

10月22日「キャプテン翼」の給水車を引き渡しするための
式典が執り行われました

サマーワの少年サッカーチームの子供たちが
招待されました

除幕式です
「3・2・1・アルファ！(開け！)」少年の掛け声と共に
スルスルと幕が落とされる

「キャプテン翼」が現れた！
子供たちの瞳が一斉に輝く
次の瞬間！
割れるような歓声に包まれ
会場全てが喜びに満たされていた

その後26台全ての給水車にステッカーが貼られ
「キャプテン翼」と共に
夢と希望を運びながら走り回っています

一日も早くイラクが復興して
子供たちが笑顔になることを願います

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頼まれもしないのに
相手を喜ばせたい気持ち
その気持ちだけで行動できるのが日本人だなぁと

きっと＊＊＊優しいんですね(^-^)

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