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198X年夏。この頃、仲間内で「大阪城」と読んでいた岩壁があった・・・・・・というわけではありません。本当の大阪城での話です。
当時、大阪府山岳連盟が協力して、毎年(?)クライマーが大阪城の屋根の掃除をボランティアで行っていました。岳連傘下の山岳会の知り合いから、「やってみないか」との声がかかり、まぁ大阪城の屋根に登るなんて普通じゃできないことだし、面白そうだということで参加しました。
さて当日。。。掃除用のブラシと、プラスチックの細い曲がったパイプがついた水のボトルが各自に配給されました。ボトルを片手で握ると、内部の水が噴出するしくみになっています。
クライミングギアを担いで、天守閣の内部の階段を登っていくと、最上階展望フロアからすぐ目の前に見える鯱には、すでにどこかの山岳会のオジサンが掃除に取りかかっているのが見えました。ここは一番目立つ場所で、観光客の注目の的です。
天守閣の上部階の窓際でハーネスや8環などの準備をし、窓からザイルを垂らして、懸垂下降で自分が担当の屋根まで下りていきます。万が一の事故を防止するため、掃除は二人一組のペアを組み、一人が屋根で作業している間は、窓の内側にいるもう一人がザイルでビレイをするようになっています。
大阪城の屋根瓦は、実は銅板でできており、表面には緑青が出ています。太陽に照らされて、まるで鉄板焼きのようにジリジリと焼けるような暑さです。天守閣をとりまく観光客に、「屋根の上はおそらく40℃にもなり、過酷な環境でクライマーがボランティアで掃除をしています」などと女性アナウンサー?の説明がスピーカーから流れています。
屋根の汚れは鳩の糞が主ですが、自分が担当した場所はそう汚れてはいませんでした。下で見る観光客に手を振って応えたりしましたが、それよりも暑くて汗だくで喉が渇いて仕方がありません。冷たい飲み物を飲むためにザイルを登り返すのも面倒なので、手元の洗浄用の水を頭にかけたり、付属のパイプをストロー代わりに飲んでいると、すぐ隣にいる先輩が、
「おい、この水は飲めるんか?」
と聞いてきました。
「いや、知りませんが、きっと飲めるでしょう」
「これだけ暑くて、充分に体が脱水してるので、どんな水でも飲めますよ!」
などと言い返しましたが、結局その先輩は水を飲むのを我慢したようでした。
さて、担当箇所の掃除も一応終わり、クライミングギアを回収して、最上階の展望台まであがりました。
「あれ、あのオジサン、まだあそこにいる!?」
最初に鯱を磨いていたオジサンが、まだ同じ場所で磨いているのでした。。。
翌日の朝刊には、「クライマー、大阪城の屋根掃除」という見出しとともに、そのオジサンと鯱の写真が見事に大きく掲載されていました。。。
出張お疲れ様です。
大阪城の屋根清掃とは貴重な体験やし、水寸志戴いて?てっぺんまで上れて良かったですね。
そういえば、大昔、室外人工壁とか室内壁ジムが無かった頃は、皆、守衛さんのいない夜密かに大阪城の石垣登ってトレーニングしていたと聞いた事ありますが、クロスさんの時代ですか?
まさに、その通り!大阪城京橋口に何度か登りに行ったことがありました!
当時はそんなにうるさくは言われなかったですが。。。
石垣のクラックって、結構難しいんですよ。切り出した石なので、つるつるでフリクションが効きにくい・・・
その後、何年かしてぼちぼちと人工壁ができ始めました。その頃、一緒にフリークライミングしていた人が、人工壁のプロデュースをしていたので、確か大阪初の人工壁を登らせてもらった記憶があります。でも人工壁は結局好きになれなかったですね。やはり自然の岩が一番!
え!?城石垣でクラックあったんですか?
人工壁のプロデュース、大阪初の人工壁ってあの「関西の岩場」著者のH氏の事ですか?
石と石の隙間がクラックになるんですよ。
「関西の岩場」って、古い本を知っていますねぇ・・・やはりdejavuさん、キャリア相当長いのでは??
そのH氏も知っていましたが、そうではありません。
なんだか興味深いお話と
貴重な体験談。楽しく聞かせてもらいました。
熊本城の石垣磨きレコも楽しかったです。
作業をしつつの下降もコツがいるんでしょうね。
観光の目玉にもなっているところがニクイですね。
ナミさん、おはようございます。
クライマーによる大阪城の屋根掃除は、もうしていないみたいですね。機会があれば、またしてみたいと思うのですが。。。あのとき、写真を撮っていなかったのが残念です
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