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だが、とんでもない。
奴らには さんざんからかわれてきたのだ。
最初は、百間洞から兎岳に向かう途中だった。
登山道の数メートル先に、ひょっこりはんのように 姿を現した。
カメラの電源をいれながら、みょうに痩せたリス・・・違うオコジョだ!と思った時には、すでに藪の中。
覗き込んでも、居るはずもない。
初めて見た喜びと、撮れなかった無念を覚えながら歩き始めたら、再び登場した。
またも カメラを向ける間もなかった。
翌年、祖父岳に着いた時・・・小広い山頂にはケルンが並んでいる・・・ケルンの岩の隙間から顔を出した!
と同時に、ケルンから飛び出し 隣のケルンに潜り込んだ。
私は、ケルンの正面に座って、瞑想をはじめ 無の境地に入った。
その作戦が良かったのか?
オコジョが顔をのぞかせた。
出たっ!声に出さなくとも、殺気を はなってしまった。
彼は 第二のケルンを飛び出して、第三のケルンに隠れた。
三番目のケルンに向かって、今度は姿を見せても 無になりきって 只静かにシャッターを切るのみと念じながら瞑想に入った。
そろそろ オコジョが登場するころ、雲ノ平から近付く話し声が、山頂に乗り上げた。
同時にオコジョは ケルンから出て、しげみに消えた。
後日、100均でネコジャラシを見かけた。
これが あの時有ったなら・・・
狩猟本能と好奇心の強いオコジョのことだ、ケルンの前でネコジャラシを フリフリしてやれば、我慢できずに姿を現したに違いない。
110円で10gだから負担にならない。
オコジョの居そうな山には、ザックのサイドベルトに ネコジャラシを挟んで行くようになった。
結果は?
あなたが想像したとおり。
世の中は 思い通りにならないのが常である。
その代わり、意外なものが釣れることがある。
「それ なんスか?」
「ネコジャラシですよ」
「なんに 使うんスか?」
「時々、あんたみたいな人が釣れるんです」と言ったことは無い。
山で、ネコジャラシを持ってる人が居たら、それは 私かもしれない。
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