「下るのに一番苦労した山は?」
もしそう聞かれたら、今まで自分が登った山の中でそれは北アルプスの六百山でした。
六百山は上高地のすぐ近くにある山。
しかし超マイナーの山なので、恐らくほとんどの人はご存知ないと思います。
自分が六百山に登ったのは5年前の9月でした。
新ハイキング誌に紹介され、面白そうな山だと思ったのがきっかけです。
まぁ今思えば、どこがハイキングなんだとツッコミを入れたくなるような山ですけどね。
六百山の登山口は何と河童橋の袂にある公衆トイレです。
当然道標などあろう筈もなく、公衆トイレの横のコンクリート壁の上を登って行きます。
何だか痴漢か変態に間違われそうです。
大きな堰堤の先から浮石だらけの中畠沢を登り、2100m付近で目印を見て沢を離れ、踏み跡を登って行きます。
草付きの急斜面、トラバース、リッジの登り、そして1ヶ所だけ岩を抱きかかえるようにして通過する高度感たっぷりのヤバい場所もあったけど何とかクリア。
登ったはいいけど無事に降りられるのかと、本気で心配になるようなもの凄い急峻な山です。
河童橋〜六百山の水平距離は約1500mですが、その標高差は950mもあります。
なので初めから終わりまで、息つく暇もないような急な登りが続きます。
最後に頂上直下のハイマツ帯を突破し、上高地から約4時間で待望の六百山頂上に着きました。
三角点から見る穂高連峰は素晴らしいの一言でした。
そしてこんな急峻な山に三角点を設置した当時の人々に、畏敬の念を抱きました。
帰路、ルートを間違わないように、そしてスリップしないように慎重に少しずつ下って中畠沢に降り立ちました。
ここからが大変でした。
中畠沢にはこの岩なら大丈夫だろうと思うような大きな岩でも、体重を乗せると簡単に崩れてしまうような浮石ばかり。
疲れた足は悲鳴を上げてボロボロ。すでにお前は死んでいる状態。
一歩下るごとに大腿四頭筋は悲鳴を上げます。
登山の翌日に筋肉痛なら分かるけど、当日に筋肉痛を起こすなんて通常はあり得ませんよね。
この時はマジで拷問されているような気分でした。
辟易しながらも少しずつ下り、登りと同じ4時間かけて、ようやく河童橋に下り着いた時は心底ホッとしました。
本当に今まで下山でこんな苦労をしたのは、六百山が初めてです。
それにしても頂上から見た穂高連峰は本当に素晴らしかった。
それは苦労して登った者だけに与えられる至福の時間でした。
決して人様に勧められるような山ではありませんが、もし自分も登ってみたいと思われる方がいらっしゃったら・・・
スクワットで大腿四頭筋を鍛えてから登る事をおすすめします(^_^;)
画像は六百山三角点から撮影した穂高連峰。
プリント写真をスマホで撮影したのでちょっと不鮮明。
五千尺ホテルに宿泊した時、背後の山は道がないんだ、とばかり思ってました
のんびりと2泊三日の旅でした。
久々のアイゼンの出っ歯だけの登りで脹脛が悲鳴を上げていました。
六百山山頂でかみさんはのんびりと焼岳を写生していました。
それにしても真下に帝国ホテルが見えて不思議でした。
あそこを下るなんて恐ろしくてできません。
六百山ご存知でしたか。登山道というよりは踏み跡ですが、目印は意外と多かったように思います。
あの浮石だらけで中畠沢の登り下りには本当に参りました。先日の地震の時、槍や穂高よりも中畠沢で岩雪崩が起きたのではないかと心配になりました。
六百山から霞沢岳縦走というのも凄いなぁと思います。
中畠沢は残雪期にアイゼンで登れば楽かと思ってましたが、それはそれでそれなりに大変だったようですね。
おっしゃる通り、はるか真下に上高地のホテルの屋根が見えて何とも凄い高度感でした。
私は岩登りはしませんが、そんなレベルの私が登れるぎりぎりの山だったと思います。
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