蛍（鬼無里のこと3）

「そろそろかな」御主人の声で揃って腰をあげ、いよいよ蛍観賞の時間です。
懐中電灯の明かりをたよりに水の音のする方へ進みます。
5分ほど歩いたでしょうか。左手にぽかりと光るものが…。すると、あっちにも、こっちにも…。スーっと光ります。初めてのことに歓声が上がります。そんな声など知ったことかと蛍は自由に飛び回ります。というか、浮かんでいると言ったほうが合っているかしら。
大学の先生をしていらっしゃった御主人は天文にも詳しく、空を見上げあれこれ星座のはなしをしてくださいます。
周りはまっくらで、星も蛍も見分けがつかない中、自分たちもふわふわ浮いているような不思議な気持ちで歩いていきました。

一回りしての帰り道、覚えた星座の復習をしながら空を見上げると、さっと星が走りました。さすがに蛍より速い!!流れ星です。なんて 素敵な締めくくりなんでしょう。
いえいえ、まだこれから。帰ると、囲炉裏に火をおこし二次会の始まりです。
続く(^.^)