とある育児雑誌を読んでいて、長年のベストセラーとして紹介されていたのが本書。レイチェル・カーソン著。実は本書を初めて読んだのは刊行間もなくの頃で、学生の時に読んだので20年近く前。が、まったく記憶に残っていませんでした。
当時、自然に対しての想いが無かったわけでもなかったけど、何より「親目線」というものが全く無かったのが記憶に残らなかった理由として一番大きかったのではないかと今では思います。
レイチェル・カーソン氏といえば、環境問題を提起した『沈黙の春』があまりにも
有名です。本書も"自然"を題材にはしていますが、何よりもセンス・オブ・ワンダー、神秘さや不思議さに目を見はる感性ーーを育むことの大切さや素晴らしさを至極シンプルかつわかりやすく、"詠う"ように表現されています。
本書はわずか50頁ほどの内容ですが、どの文節もとても重みがあり、著者の想いの強さを感じるので沢山のフレーズが名言となるので、あまり紹介すると丸々ネタバレになってしまいかねないのですが、中でも一番印象的だったのがこちら。
"「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではない"
思わず「あ!」と声を出しそうになる一節。おチビを山に連れて行く理由、今までうまく言葉に表現できなかった感覚が、こんな簡単な言葉でこれほど明瞭に表現できるものだったのかと、目から鱗が落ちた瞬間でした。
森羅万象は言葉に変換した時点で多くのものが失われます。そんなものを詰め込むよりも「感じる」だけでいい。独自のやり方で自問自答を繰り返しながらやってきた子育てですが、背中を押された気分になりました。
育児雑誌で紹介され、今でも読み継がれる理由がよくわかります。子育てをされている親御さんにも是非一読いただきたいと思いますが、自然を愛される方々が多く集うヤマレコユーザの方々にも、きっと共感いただける一冊だと思います。
さぁ、おチビを連れて、出かけよう。
評価:★★★★☆(星4つ)
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する