「あなたの趣味は何ですか?」と聞かれたら何と答えますか?
登山?バックパッキング?トレッキング?ハイキング?
私は今まで漠然と
登山>バックパッキング>トレッキング≧ハイキング
という山登りのヒエラルキーを思い描いていました。登山が主に森林限界超のピークハント、バックパッキングが主に一泊以上の縦走、トレッキングとハイキングは同じようなもんだろうけど、後者の方がピクニックっぽい語感があるかな?というイメージを持っていた為、私自身は今まで「趣味はハイキングです。」と答える事にしていました。
どうも違うみたいです。特にトレッキングが。。。
【登山 mountain climbing】
日本で山登りに使われる幾つかの言葉の中では、こいつが際立って異質です。
クライミングには「よじ登る」という意味があります。「登る」なら他にもgo up等の表現は存在しますが「よじ登る」です。
何をよじ登るのかと言えば、山、岩、沢等々の対象がありますが、当然ながらいづれも「相対的高所」にある「目的地」を目指してよじ登る訳で、極めて目的地指向です。
その達成手段は基本的には歩行によりますが、それが適わない目的地であれば、手も使えば、特化した道具も使って自力だけでよじ登ります。
山頂に「手や特化した道具をも使って」登るという部分だけが際立って、所謂アルパインクライミング=登山というイメージが強いのかもしれません。
登山=自力だけでピークハントを楽しむもの。
(別に無雪期の低山でも良い。)
【トレッキング trekking】
登山以外の言葉は全て、その言葉の意味に”旅”を含みます。
一般的な”旅”には以下のような言葉があります。
(旅=他所の土地に出掛ける事なんで、期間によっては必ずしも宿泊を前提としない。)
tour :小旅行、観光旅行、周遊
trip :短期の旅行
travel :長期の(一般的な)旅行
journey:長期で目的地よりも旅路に焦点を当てた旅
トレッキングという言葉は、ほぼジャーニーと同義なんだそうですが、より一層「骨の折れる」ジャーニーなんだそうです。(好んでするので、当人的には「骨を折る」ですかねw)
訳文がジャーニーの所だけ”旅行”から”旅”に変わっている所もミソですね。なんだか目的地も、帰着日すら定められていない感が増しますw
言葉としては相対的高所を含むか否かにも、移動手段が自力か否かにも、バックパックを背負うか否かについても言及されていませんが、「骨を折る」という意味では、そういったものを含む割合は多いのでしょう。
欧米人にとっての短期/長期(一般的)の感覚が分かりませんが、一般的日本人の旅の多くはトラベル未満(?)でしょうから、あくまでも語意的に言えば「トレッキングが趣味です。」という人は余りいない事になります。
「紅葉トレッキング」とか割と気軽に使われてるんで、”トレイル”由来の言葉と思い込んでいましたが、そんな事とは思いもよりませんでしたw
(日本ではそのような語感で馴染んでるんであって「使うな!」という意味では無いですよ!為念。)
トレッキング=苦労しながらの長旅を楽しむもの。
ヤマレコなんでmountain trekkingに限定すれば、
トレッキング=何泊もしながらの長期の山旅を楽しむもの。
【バックパッキング backpackking】
バックパック(一つ)を背負っての旅で、多くの場合所謂「貧乏旅行」です。
東京駅の新幹線ホームでしばしば海外からのバックパッカーを見掛ける事があるように、語意としては今回挙げた言葉の中でも最も”自然”とか”郊外”とか”自力”といった言葉に縛られるものでは無いように思われます。当然「貧乏旅行」なんで、徒歩、自炊、野営といった要素が含まれるケースが多くはなるのでしょうね。
バックパッキング=バックパック一つで(貧乏)旅行を楽しむもの。
ヤマレコ的には「デイパック」を背負っている人を「バックパッカー」という事は無いでしょうし、デイパック以外を背負う目的は明白です。英語版wikipediaにも「1日以上のハイキング」という解説がありますので、
バックパッキング=一泊以上の山旅を楽しむもの。
という事で、上位下位という事では無く、トレッキングを包含する概念となっているような気がします。(もうちょっとお気楽かも?だけどw)
【ハイキング hiking】
運動や楽しみの為の(特に郊外の)長時間の歩行、”徒歩”旅行という意味で、屋外での「歩行そのもの」をその楽しみとするものです。
hiの文字はあっても、相対的高所を含むか否かへの言及はありません。ヒッチハイク(hichhike)なんて言葉もありますしね。(ちなみにhich=引っ掛ける。)
他の言葉と較べても明確なのは「歩行そのものを楽しむ」という事です。(まあ、ピークハントやバックパッキングをする人が「実は歩くの嫌い!」って事も無いでしょうがw)
ではwalkingとの違いは?という事なのですが、やはり”旅”、あとカッコ書きだけど「特に郊外」という部分になるんでしょうね。
ハイキング=日帰りという印象がありますが、わざわざday hikingと呼んだりしますし、バックパッキングの解説にも「1日以上のハイキング」とありました。section hiking/through hikingなんて言葉もある位ですから、泊数に限定されるものではありません。
その意味ではヤマレコ的には
ハイキング=山を歩く事を楽しむもの。
で、トレッキング、バックパッキングを包含するもののような感じになります。
【ピクニック picnic】
ハイキングの中でも、歩行より食事を楽しむ事に重きを置いたものをピクニックと呼ぶそうです。
但しこの場合の食事とは、おにぎりやサンドイッチ、お弁当といった「作り置きの持ち込み」に限定されるようなので、自ずと日帰りとなるのでは無いでしょうか?所謂「遠足」ですね。
先生!カップラーメンは「作り置きの持ち込み」になりますかッ?!って話なのですが、現地で作る場合には寧ろday campingとなるようです。
ヤマレコ的には
ピクニック=山でのお弁当を楽しむもの。
と言えそうです。
【キャンプ camping】
ピクニック繋がり、アウトドア繋がりで。
食事を作っちゃうと、何故ピクニックがデイキャンプになっちゃうのか?
それは楽しみが食事から「野外生活体験」に寄って来るからだそうです。
確かに遠足で炊事ってした覚えありませんしね。(遊園地で用意されたBBQをした事はあったw)
当然ピークハント中や山旅中にcampingが含まれる事はありますが、この言葉単体では”相対的高所”は勿論、”旅”からも”歩行”からも切り離されています。
キャンプ=野外生活体験を楽しむもの。
と言う事で、「あなたの趣味は?」と聞かれたら、
百名山を狙うようなピークハントが主たる楽しみで、デイハイキングがそのトレーニング目的であるような方は「登山です。」
同じく宿泊を伴う縦走等が主たる楽しみの方は「バックパッキングです。」
それ以外の方は「ハイキングです。」と答えておけば大体全部包含しちゃうんで、無難です。
山行記録書いてる方の中にも「もしかして自分の趣味はピクニックじゃ無いか?」「実はキャンプじゃ無いか?」って方も居られるでしょうね。
個人的にはそれぞれの言葉がヒエラルキカルなものでは無い事が主たる発見でした。
私自身の趣味はやっぱ「ハイキング」ですね。
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山での主たる楽しみ = 対応する言葉
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ピークハント = 登山
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何泊もする山旅、縦走 = トレッキング
一泊以上の山旅 = バックパッキング
山を歩く事 = ハイキング
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お弁当を食べる = ピクニック
野外生活(炊事・宿泊)= キャンプ
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まあ、元も子もない話、日本じゃあ全部それなりに通じるでしょうし「山登りです。」「山歩きです。」って言っときゃ〜何も問題無いんすけどねw
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