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「K2未踏ルートに挑んでいる途中パートナーを事故でなくして失意の日々を送る主人公。運命に導かれるように公募登山隊のガイドとして、再びヒマラヤに向き合うことになる。それぞれ思惑を持った人間関係、トラブル、アクシデントを越えてピークを目指す」
結構、分厚い文庫なのだが、最初からぐいぐい引き込まれる。前述の「春を背負って」とは打って変わってスリリングな展開。山用語もたくさん出てくるが、山屋でなくても楽しめる作品だと思う。高所登山の「息苦しさ」が伝わるような描写にしびれる。ラストはちょっと走った感じがあるのが残念な気もするが・・・失ったパートナーのくだりは印象的である。
途中何度か出てくる言葉「夢とみる力を失った人生は地獄だ。夢はこの世の不条理を忘れさせてくれる。夢はこの世が生きるに値するものだと信じさせてくれる。そうやって自分を騙しおおせて死んでいけたら本望だ」という言葉が心に残った。
2008年の作品ながら今年1番の小説だと思う。
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