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と言う行動記録=遺書を遺し、厳冬の槍ヶ岳北鎌尾根で消息を絶った松濤明氏の山行記録や手記をまとめた書籍。「新編・〜」となっているのは、これまでに4冊(風雪のビバークを含む)出版されているからである。
松濤明氏は10歳ぐらいから山に登り、15歳ではすでにアルプス縦走、冬山へも入っていたという。16歳で社会人山岳会にも参加するが、ソロでの登攀に明け暮れていたようである。何という早熟!不幸な戦争の時期もあったが、復員後再び山に向かう。そして短い生涯を駆け抜けてしまった・・・享年28。
本書の大半を占める山行報告は山屋の専門用語も多くて、山をやらない人間には分かりづらいかもしれない。文書のうまさに加えて、概念図なども入り、好きな人間には興味深く読めると思う。そして後半に収録された遺品である手帳の画像・・・死を覚悟した人間が書いたと思うと胸が詰まる。
天候に阻まれ壮絶な苦闘の末、動けなくなったパートナーと共に死を決した、その胸中はどうだったのだろう?独りなら下山できただろうか?
冬の北アルプスで吹雪に遭い停滞したことはあっても、これほどシビアな状況は想像が付かないし、もちろん経験も無い。それを疑似体験したような読後だった。
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