この週末に久々に少し(登山というほどでもない)日帰りの山歩きをしようかと思いましたが、大寒波のせいでまたすっかり戦意喪失です(笑)。どうも調子出ないなぁ。そろそろ始動したいのですが。…というところで、また山と全く関係ない読書感想などを。
今回は、池井戸潤さんの新刊「陸王」です。
これ、衝撃的に面白く、感動した一冊でした。池井戸潤作品には「下町ロケット」「半沢直樹シリーズ」「花咲舞が黙ってない」等、あまりに有名なものが数多くありますが、今まで全く読んでおらず、ドラマも見たことがありませんでした。なんでだろう。まぁいいか。
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物語の主人公は、埼玉県行田市で100年続く老舗の足袋製造会社「こはぜ屋」を束ねる社長の宮沢紘一。小さくとも活気があり、足袋一筋で暖簾を守ってきた会社…といえば聞こえはいいけれど、業績は下がる一方で常に資金繰りに頭を悩ませています。
そんな折、ふとしたきっかけで宮沢社長は足袋製造業の利点を生かした新しい発想でランニングシューズを開発出来ないものかと思い立ち、それを実行に移してゆきます。再起と社運を賭けたプロジェクトは小さな出会いや巡り合わせを経て、一進一退を繰り返しながら進んでゆきますが、さてどうなるのか……というお話。(↓小説のPVです)
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零細企業が抱える苦悩から、ランニングシューズ理論、あるいはマラソンランナーのレース中の心理に至るまで、半端ない細かさでリアリティに溢れる描写の数々。そして様々な登場人物が織りなす人間模様。これらが見事に絡み合い、最初から最後までジェットコースターのように息の抜けない、波乱に富んだ物語が展開されるのです。
新しい事業を始めるにあたっての社内の意思統一、安価で実戦的な新素材の開発、更には取り引き銀行からの貸し渋り、大手競合メーカーからの露骨な嫌がらせまで、物語では次から次へと難題が降りかかりますが、宮沢社長及び「こはぜ屋」社員らが向き合う現実は決して浮世離れした話でも何でもなく、現実を生きる私たち一般社会人の苦悩ともそのまま重なり、感情移入しやすいものでした。
そして会社や組織が高みを目指す際に必要なのは、同じ熱量を持った人間同士の力の結束であり、苦しい時に人と人とを繋げてゆくのは地位やお金ではなく、その情熱に突き動かされた上で成り立つ信頼関係そのものだ…ということを、この物語は改めて教えてくれるようでもありました。
またテーマが新しいランニングシューズの開発なので、
「人間本来の走り方って何?」
「どんなシューズがその本来の走りに適しているのか?」
という部分に関し、これまで長らくスポーツ界で常識とされていた理論に対してこの物語からのアンチテーゼな問い掛けが読者に示されています。
シューズは靴底のソールにクッション性があればいいのか、逆に軽ければいいのか。
走り方はヒール着地とミッドフット着地、フォアフット着地のどれがいいのか…等々。
本格的なランナーから私のような鈍足のジョギング愛好者まで、走っている人間ならばおそらく一度は悩むであろう課題ですが、こうした観点からも興味深く読むことが出来ます。私自身はこれに関しては、自分の経験値と学んできたことがこの小説での主張と重ならない部分もあったのですが、1つの見方として大いに参考になるものでした。
ということで長々と書きましたが、「陸王」のご紹介と感想でした。今年の秋に役所広司主演でドラマ化も決定しているとのことで今からとても楽しみです。
前回「凍」を、とても詳しく&分かり易く紹介されて、これは是非読んでみたいと大変興味そそられましたが、今回ご紹介の「陸王」もまた、面白そうですね。
今度ドラマになる前に是非読んでおかないといけませんね。
普段バラエティー番組やドラマとかは見ませんが、「下町ロケット」と「半沢直樹シリーズ」は面白くて見てしまいました。
このドラマも池井戸潤作品だったのですね。(小説を読んでいないので知りませんでした。)
今年の登山にはまだ行かれていない様ですが、この寒波ではムリして行かない方がいいですよね。
私も最近は、日課にしていたジョギングをサボっています。
そんな時は、読書も良いですね。
kazさん、こちらも長編小説ですが面白くてイッキに読めてしまいました。おかげで年末年始のヒマな時間をとても豊かに過ごせました(笑)。私は逆に下町〜や半沢を全く観てないんですよねー。なんで観なかったんだろう。この「陸王」はジョギングやランニングしてる方なら誰でも共感したり思う所があったりすると思います。なのできっとkazさんも楽しく読めると思いますが、もし機会があれば…ですね
本当は今日、山に行きたかったのですがあまりの寒さにビビッてたじろぎ、またしても読書の1日となってしまいました(といっても今日はコミックでしたが)。来週は行けるかなー。天候と私の気合次第ですが、後者の方はもうちょい何とかしなければと思っています
ryo555さん、こんにちは!
おもしろそうですね!
Kindle版もあるし(部屋狭いので紙の本増やせないです )
読んでみます!
maamさん、こんばんは(コメント気付かず遅くなって申し訳ございません 汗)。はい、是非にお勧めします!良い読書のきっかけになれば大変幸いに存じます。お読みになれば、今秋のドラマ化が役所広司主演というのがドンピシャな理由が分かるかと思います(^^) 私もkindle欲しいのですが、そのお金でいつもモンベルや好日山荘へ向かってしまい、なかなか手が出ません(笑)。
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