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2014年12月31日 12:18想うこと全体に公開

人間万事塞翁が馬

今日は2014年の大晦日。今年はほぼ月イチで登山することができ(私にしてはかなり多い方)、しかも長年の夢だった穂高を縦走するなど大満足の山行もあり、良い思い出ばかりが残っている。

そんな締めくくり、最後の最後で大きな落とし穴に嵌まってしまった。3日前の12月28日の塔ノ岳登山。下山もほぼゴール目前となり、林道をノンビリと歩を進めていたところ、凍った路面で滑って転倒し、右足首をかなり派手に捻転。通りかかった登山者のお車に乗せて頂いたのは本当に不幸中の幸いだったが、翌日の診断結果はものの見事に骨折。しかも2箇所。もうすぐ年を跨ごうかというこの時期での余計なアクシデントに、もう自分自身呆れて笑うしかない状況である。

私はこうしたケガを治す側の生業をしている。そんな自分が治される立場になってどうするんだという情けない気もするが、やはりこうして自分が大怪我をすると、それまでの日常では見えてこなかったものが改めて見えてきたりもする。

昨夜は松葉杖で何処まで歩けるか、試してみることにした。

職場から自宅までは普通に歩けば20分。誰の助けも借りず、1人でゆっくりトボトボと。しかし通常歩行の2〜3割程度の速さでしか歩けない。しかも杖を持っている手に体重が掛かりすぎ、掌の皮がむけてしまった。普段だったら何でもない歩道の段差、傾斜もとても危ない。横断歩道を渡るときの信号の切り替えもこういう立場では異常に早く感じる。下水溝の蓋部分に開いている小さな穴に杖をズボっと嵌らせてしまい、あわやまた2回目の転倒を起こしかけたり。結局途中でギブアップし、残りはタクシーを拾って帰らざるをえなかった。おそらく全部歩き通したら通常20分の距離が1時間以上は掛かっていただろう。

膝や足が悪くて杖をつきながら毎日生活しなければならない高齢者の方々がどれだけツライ思いをされているか、或いは街のバリアフリー化が最良の形となるには何が必要なのか等々。この数日間だけでもそこから実感出来る事が幾つもあった。きっとこれから治るまでの過程の中でも様々に発見があるのだと思う。また家族や周囲の方々の有形無形の気遣い、サポートにはどれだけの御礼を言っても言い尽くせず、感謝の言葉もない。変な言い方だが人間、時にはこうして自分が弱い立場になって反対側から物事を考えるのは、とても大切なことなのかもしれない。

どんな悪運でも起こってしまったことには必ず、意味があるのだと思う。これから完全に治癒するまでの期間、ただノンビリ治すだけではなく、この経験が今後の自分の人生に必ずやプラスとなるような生活を送ってゆきたい。そして出来ればその中で得たものをまた逆の立場でフィードバックしてゆきたい。それが様々にサポートしてくれる家族や気遣ってくれる周囲の方々、ケガした現場で助けて頂いた方々への最大のご恩返しだと思っている。

登山者の皆様。今年1年ありがとうございました。どうぞ来年も良いお年をお迎えください。皆様にとりまして2015年が素敵な1年になりますように。
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