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https://news.yahoo.co.jp/articles/449a1173d96f011e5d51d239ebb1b197854d5599
なんと僕が登った(下山した)日に農鳥岳で遭難死亡事故があったとのこと。
まずは亡くなられた方のご冥福をお祈りします。
このニュースを見たときは、驚き半分、「やっぱりか…」という気持ち半分でした。
17日の農鳥岳含む白峰三山は、まあそれはそれはとんでもない悪天候だったんですよ。
雨こそ降ってはいなかった(降っても霧雨程度)ものの、全面濃霧で数メートル先が辛うじて見えるレベル、そして何より一番ヤバかったのは恐らく台風並みの凄まじい暴風。
大の男が踏ん張っていないと吹き飛ばされそうな(比喩とかではなく本気で)爆風が間断なく吹き荒れ、前進⇒突風でバランス崩す⇒左右の崖から滑落、の恐怖と闘うことを余儀なくされました。
更に最悪なことに北岳〜農鳥岳の稜線上は身を隠せるような場所がほぼ存在しないので、疲れたり怖くてその場に留まっていると風で体力が削られるからもう生き延びたいならひたすら前進し続けるしかない、という文字通りの地獄でした。
そして標高3,000m超で暴風が吹いているんですから当然ですが、普通にかなり寒かったです。シェルジャケットの上から合羽を着て、ようやく何とか震えずに動けました。夏用の手袋をしていたんですが、指先が凍傷になる手前で痛くなってくるあの感じは久しぶりでした。
なお文字通り命がけで山を歩いていたこの日、某ウ〇ザーニュースでは白峰三山は終日「好天」の予報でした。
僕はここの予報を二度と信じません。
それでこの記事を読んでへっぽこ山屋(自称)の僕が次に思ったのは、「大唐松山ってどこ…?そんなとこ途中にあったっけ…?」ということ。
ということで調べたら、縦走ルートとは全然別の尾根を伝って行くような山なんですね。
一応ヤマレコを見る限りでは、第一発電所から直ぐのところから入山して天池山〜大唐松山〜農鳥岳というルートで登っている人はそれなりにいるみたいですが、わざわざこういうマイナーな山(僕が知らないだけで人気・有名だったらすいません)に行くということは、今回の3人パーティはそれなりの知識と経験がある人達だったのでしょうか。
それと、これもし理由とか実情がわかるベテランの先輩方いたらご教授いただきたいんですが、
「(大唐松山)山頂に登頂した後、下山する予定だったが下山道が急傾斜だったため農鳥岳を目指す行程に変更」
というのがちょっと意味わからないです。
農鳥岳は下山する方角とは真逆ですし、距離的にも「巻く」っていうレベルじゃないんですよね。
最初から農鳥岳まで行く予定だったのか、何かとんでもない勘違いなどをしていたのか?
「同行者とはぐれた」
これについてもいつも完全ソロなので全くわからないんですが、一緒に登っててはぐれるとかあるんですか?ディズニーランドの人混みとかならまだしも、山で歩調合わせながら一列になって歩いてたらまずはぐれることはないと思うんですが…。
体力差等々によって実質的に別行動になっていたのかな、と思ったんですが、ヤフーコメントにはここに書いたら問題になりそうなちょっと怖い?悲しい?憶測が書かれていてゾッとしました。
まあいずれにせよ、あの悪天候の中でビバークしたり何時間も山の中を彷徨ったりしていたらそりゃ命にかかわるよなと、実際に同じ日に同じ場所を歩いた自分としては恐ろしいほどリアルな感覚に襲われました。
あと今回の件に限らず、「年寄りが身の程を弁えずに山なんか登ってるのが悪いんだ」という声がありますよね。
正直、これは高齢登山者には申し訳ないですがある程度は真実・正論であり重く受け止めるべき問題だとは思います。
僕なんかよりよっぽど屈強なシニアが沢山いるのは事実です。というか何ならヤマレコでコメントや拍手を下さる先輩方の山行記録を拝見する限りでは、僕より体力も気力も圧倒的に上の方ばかりです笑
ですがどれだけ活動的で意気軒昂でも、間違いなく肉体は衰えていきます。大先輩方からしたらまだまだ若造の僕ですら既にそれを感じているんですから。
うちの父親は元山屋で普通にめちゃくちゃ元気ですけど、「年取るととにかく平衡感覚が衰えて、とてもじゃないけど怖くて山なんか登れない」ってもう全く登山はしていません。
ただ果たして自分がもし幸運なことに健康体のまま70代とかになった時に、スッパリと山から足を洗えるのかと考えると…正直自信がない(俺はまだまだ行ける!!と登山を続けてしまいそう)ので、僕自身はその人達を責める資格はないと思っています。
とりとめのない話になりましたけど、「山で死なない」をモットー(当たり前ですが)に登山をしている僕ですが、死はすぐ間近にあるんだと改めて感じさせられたニュースでした。
天気図を見ると、停滞前線が17日に日本海にあり、18日日中に本州を通過しました。16日夜の時点で見た天気予報は以下のようでした。
山の天気予報(ヤマテン)
9/17 キリ時々晴れ、西風10m/s
9/18 朝まで晴時々キリ、のちキリ時々雨、西風12m/s
お天気ナビゲータ(日本気象協会有料版)
9/17、9/18とも晴れ(だったと思う)
私は17日の朝、農鳥小屋から農鳥岳を越え、大門沢ルートで奈良田に下山しました。大門沢下降点(2828m)までは西風が強くガスで視界がありませんでしたが、少し降ると風は止み(風下斜面なので)、ガスの下に出ました。大唐松山(2561m)の稜線もガスの下で、良く見えました。奈良田に下山すると、晴れて暑かったです。おそらく、17日は稜線の2800m付近から上だけ雲がかかり、それ以外は基本的に晴れていたのだと思います。18日も、甲府盆地では晴れ時々曇りで降雨はなかったようです。が、稜線は17日以上に厳しい状況だったのでしょう。
私はいつもヤマテンとお天気ナビゲータを見比べていますが、ヤマテンの方が悲観的というか慎重な予報の場合が多いような気がします。今回はヤマテンの方が正解だったのですが、逆になることもあります。遭難されたパーティーは、楽観的な予報の方しか見ていなかったのかもしれません。
気象遭難という状況で亡くなるのは高齢者、という場合が多いのは確かなようです。私も前期高齢者の一人として天気の良い時だけ山に行くよう心がけていますが、今回のように悪条件になってしまうこともあります。一層の自戒が必要だと思いました。
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