【松木渓谷から皇海山→庚申山→中倉尾根】不動沢のコルでテン泊
- GPS
- 21:02
- 距離
- 31.0km
- 登り
- 2,591m
- 下り
- 2,580m
コースタイム
- 山行
- 9:17
- 休憩
- 0:53
- 合計
- 10:10
天候 | 1日目 快晴のち曇り 2日目 ガスのち晴れ、午後から曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2017年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【1日目】 ★銅親水公園からニゴリ沢出合まで ・ みちくさの先の林道ゲートまでは,普通の林道歩きですが,その先からは,林道がところどころ崩壊していて,落石で埋まったところを何度か越えていきます。 ・ 松木川4号ダムの先で林道は完全崩壊となっており,ここからは河原歩きとなります。 ・ 広い河原を歩いていくと,すぐにウメコバ沢出合。その少し先で,最初の松木川渡渉となりますが,ここは登山靴のまま,飛び石伝いに渡渉することができました。 ・ その先,右岸沿いを進むと,対岸に放置されたショベルカーが現れ,さらに先には松木川6号ダムが見えてきます。 ・ 6号ダムは左右どちらからでも乗り越えることができますが,向かって右側(左岸側)から乗り越える場合は,膝くらいまで水につかってダムのたもとに行かねばならず,靴を履き替える必要があるので,このときは,登山靴のまま乗り越えることができる左手の斜面から堤体に上がり,そこから河原へと降りました。 ・ 6号ダムから先は,しばらく右岸沿いに進みますが,20分ほど進むと,左岸に渡渉しないと進めないポイントに到着。ここでサワーシューズに履き替え,渡渉しました。 ・ ここからは,何度も渡渉を繰り返し,時には沢の中をジャブジャブと進みました。進行方向の右手斜面から,沢が流れ込んでくるポイントを過ぎると,間もなく小滝が流れ込んで淵となっている場所に到着。さきほどサワーシューズに履き替えた渡渉ポイントからは,私の足で45分ほどでした。 ・ ここで,左岸側に渡渉をし,斜面に上がると,すぐに巻道ルートが出てきますので,これをたどり,小滝の上に出ます。 ・ さらに30分ほど進むと,向かって左側(右岸側)に「ニゴリ沢出合 至国境平」と黄色の文字で書かれている岩のところに出ます。ここがニゴリ沢出合です。ここを渡渉すると,対岸の上の岩にも,よりはっきりと書かれた同じような黄色い表示がありました。 ★ニゴリ沢出合から皇海山を経て不動沢のコルまで ・ ニゴリ沢出合で食事休憩をした後,モミジ尾根取付点を目指し,ニゴリ沢左岸沿いを登りました。河原歩きは岩が多くて歩きづらいので,なるべく樹林帯の中を歩くようにしましたが,皆さんそうしているのか,樹林帯には薄い踏み跡があります。 ・ 出合から30分ほど進んだところで,岩に黄色い○マークを発見。その先を進むと,2〜3分で木の幹にモミジ尾根取り付きを示す赤と黄のマークが付けられているところに到着。その先の斜面の木にも同じマークが付けられており,ここが取り付き点であることが分かります。 ・ モミジ尾根の登りは急登なので,息が上がらないようゆっくりと登りました。踏み跡は比較的はっきりしており,マークも多くあって迷うことは無かったです。 ・ 急な登りを40分ほど登ったところで,トレランと思しき登山者とすれ違いました。本日ただ一人出会った登山者です。それにしても,このルートを日帰りでしょうか?私にはとても無理です。 ・ その先,傾斜が少し緩んだ,標高1,460m付近からヤブが出てきてルートが分からなくなりますが,ヤブの先には赤と黄のマークが見えたので,そのままヤブの中を進みました。 ・ なんとかヤブを通過後,国境稜線までの標高差約百メートルの最後の登りは,またもや急な登りとなり,息が上がります。途中からルートが分からなくなりましたが,とにかく稜線目指して登ると,国境平に出るつもりが,少し南側の稜線に到着したようです。ここからは,マークが豊富でルートもはっきりします。 ・ その先,胸ほどの高さのササヤブをこぐところも出てきますが,標識はたくさんあり,迷うことも無く進むことができました。 ・ ササ原を過ぎ,コメツガ林の登りになると,徐々に傾斜がきつくなります。すでに標高差600mのモミジ尾根の登りで体力をかなり使ってしまっていたので,この登りは堪えました。 ・ シャクナゲヤブが出てくると,傾斜はさらにきつくなり,とうとう,右足太ももの裏が痙攣して,しばし悶絶。休憩を余儀なくされます。皇海山北尾根の登りは,かなり手強いです。登山地図にはコースタイム1時間半と記載されていますが,私の場合,テン泊装備で2時間15分ほどかかりました。最後のほうは,2分登って3分休憩といったペースでした。 ・ 皇海山の山頂には,15:17に到着しました。こんな時間なので,登山者は誰もいません。静かな山頂でした。とりあえず三脚を立てて記念撮影を済ませ,家人に山頂到着のメールを送信しようとしましたが,スマホの電源を何度入れ直してもドコモの電波が通じませんでした。仕方なく,本日の幕営地である不動沢のコルへと下ります。 ・ 皇海山から先の登山道は,さすがに良く整備されており,歩きやすいです。途中で何度かスマホをいじりながらも,不動沢のコルまでは45分で下ることができました。 ・ 不動沢のコルには,16:16に到着。あと一時間ほどで暗くなってしまうので,まずは不動沢へと水を汲みに下ります。ところが,コルから5分ほど下った水場はわずかの水しか流れていませんでした。ここで採取すると日が暮れてしまいそうでしたので,さらに下って水量の多い水場を探しましたが,見当たりません。仕方なく,登山道を流れる水を採取しました。しかし,さすがにそのまま直接飲む気にはなれず、みそ汁やコーヒーなどの煮沸用に使用しました。飲料用には、自宅の浄水器の水を2Lほど持参していたので、なんとか間に合いました。 ・ 水の採取には30分ほどを要し,不動沢のコルには16:53に戻りました。すぐ暗くなるので,急いでテントを設営します。不動沢のコルは,フラットな岩の無い土の地面でテン泊にはうってつけです。また,この場所では、ドコモの電波が通じました。 ・ その晩は,コンビニサラダや持参したつまみを肴に,缶ビール2本とバーボンの水割りでまったりのんびり。疲れていたので、午後7時過ぎには熟睡していました。 【2日目】 ★不動沢のコルから,鋸山を経て庚申山展望台まで ・ 翌朝は午前3時に起床。テント内の気温は10度と暖かかったです。食べ残してあったオニギリと味噌汁で朝食をとり,テントを撤収して,まだ真っ暗な中,午前5時15分に出発しました。 ・ 本日最初のピークは,標高1,998mの鋸山です。不動沢のコルからの登りは急です。ロープの助けがないと登れません。テン泊装備なのでバランスを崩さぬよう,慎重に登りました。鋸山山頂には,45分ほどで到着。残念ながらガスで展望はありませんでした。10年ほど前に登ったときには,素晴らしい展望が得られたので,今回も楽しみにしていましたが,残念です。 ・ さてここから庚申山までは,険しいアップダウンの連続となります。途中には垂直に近いロープ場やクサリ場が立ちはだかります。重荷でバランスを崩すと事故に直結しますので,時間をかけて慎重に進みました。 ・ 途中の状況については,写真をご覧頂くとして,剣ノ山への登りや熊野岳からのロープ場の下り,蔵王岳への登りなど,なかなかスリリングですが,それも白山まで。その先は,いたって普通の尾根歩きとなります。 ・ 薬師岳に到着すると,二人連れの登山者が休憩していました。クラシックルートで皇海山を往復するとのこと。私の縦走ルートについて話をすると,「そんな周回コースができるのですか?」と驚かれました。これまでに多くの先人が歩いているメジャールートと思っていたので,意外でした。 ・ 標高1,808mの駒掛山を過ぎると,尾根の登りとなり,展望も良くなってきます。ガスも消えて晴れてきて,途中の展望地からは,目の前に歩いてきた皇海山や鋸山,さらには日光白根山へと続く県境尾根が見渡せました。パノラマ写真など撮りながら庚申山手前の展望台を目指します。 ・ 庚申山展望台には,08:58に到着しました。この場所には何度も足を運んでおり,今年だけで3度目となりますが,何度来ても良いところですね。奥日光の山々の展望が素晴らしいです。眼下には美しい紅葉の斜面も広がっています。ここで写真撮影や食事のため20分ほど休憩を取りました。 ★庚申山から中倉尾根を経て,銅親水公園まで ・ 展望台で食事を済ませたあとは,すぐそばにある庚申山の山頂に移動しました。まだ午前9時過ぎだったせいか,誰もいません。ここからは,登山地図にはルートの記載がない,中倉尾根へと向かいます。 ・ まずは北東方向にオロ山を目指し,ルートを探っていくと,すぐにピンクテープの目印と踏み跡を発見。この踏み跡を進みます。ササヤブが深いところもありましたが,踏み跡ははっきりしています。 ・ 庚申山頂から20分ほど歩いたところで,展望の良い小ピークに到着。ここからの眺めは素晴らしいです。歩いてきた皇海山や鋸山,日光白根山から男体山へと続く山並みが広がっていました。 ・ さらに進むと,一面のササヤブが行く手を阻みます。ササは肩の高さまで伸びていて,前方がよく見えないほど。でも,ストックでかき分ければ,踏み跡ははっきりしています。そして,ヤブが途切れると,また,好展望地が現れ,目を楽しませてくれます。 ・ 踏み跡を辿っていくものの,オロ山への登りの途中で北方向に行きすぎてコースロスト。スマホで現在地を確認しながら修正し,岩場のやや急な登りを頑張ると,10:50,オロ山の山頂に到着しました。ここからの眺めもなかなかです。ここで13分ほど休憩しました。 ・ オロ山からの下りもルートが分かりづらいですが,基本,稜線伝いに歩けば問題ありません。何度かササヤブをやり過ごすと,進行方向の先に沢入山が見えてきます。このあたりから先は,ルートもしっかりして迷うことはありませんでした。 ・ 歩いてきたルートを振り返れば,尾根の先にはオロ山,そしてその奥には皇海山の山頂も見えました。ずいぶん歩いてきたもんだと,感慨もひとしお。 ・ 沢入山の山頂には12:17に到着。ここでも食事&水分補給の休憩をとりました。ここまで来れば,残りのピークは中倉山のみなので,明るいうちに下山できると,一安心です。 ・ 沢入山からは展望の良い尾根歩きを楽しみます。すぐに波平ピークに到着。休まずここを通過し,その先の岩場は南側を巻いて通過。さらにピークを越えると,孤高のブナに到着。紅葉はまだ先のようです。写真を撮ってそのまま進み,13:21に中倉山の山頂に到着しました。 ・ 中倉山まで来ると,上空は雲で覆われ,周囲の展望も無くなってきたので,山頂では休憩せず,その先へと進みます。6〜7分歩くと,ミズナラの木のところの分岐となりますが,ここは右に降りて中倉山取り付き点へと下ります。 ・ しばらくはミズナラやツツジの混生林が続きますが,途中から左の斜面に方向を変え,リョウブが主体の九十九折りの急斜面となります。 ・ そのまま下っていくと,突然,大きな落石の音が響いてきました。それも,二度も三度も。目を懲らすと,20〜30頭ほどの猿の群れが移動しながら,斜面の石を動かして,落石を起こしているようです。下にいる猿を驚かす目的なのでしょうか?それにしても,登山道にまで,大きな石が落ちてきて,とても危険です。しばらくの間,上から石が落ちてきても当たらないよう,木の幹に隠れながら下りました。 ・ 14:27,中倉山取り付き点に無事到着。ここでフルーツゼリーのおやつタイムとしました。このあとは長い林道歩きとなり,50分ほど歩いて,銅親水公園に戻りました。 |
写真
感想
・ 今年の目標であった、松木渓谷から皇海山・庚申山・中倉尾根のテン泊縦走にチャレンジしてきました。松木渓谷の紅葉はこれからですが、皇海山の北面は美しい紅葉が見頃です。
・ このルートを計画する際,自分にとって最も不安だったのは,松木渓谷の沢歩きでした。そのため,事前にニゴリ沢出合までのルート確認を9月に行いました。おかげで,今回の縦走はニゴリ沢出合まで不安無く歩くことができました。
・ しかしながら,モミジ尾根や皇海山北尾根の急傾斜は,予想以上でした。考えてみれば,ニゴリ沢出合まで到達しても,そこから600m+500m=1,100mの登りが続くわけです。これはきつかったです。
・ また,不動沢での水の採取も,登山道を流れる水を採取せざるをえず,水の確保の面では課題を感じました。
・ さらに,鋸山〜庚申山の険しい縦走路では,バランスを崩さぬよう慎重に歩いたので,コースタイムを大幅に上回りました。
・ このように,いろいろ課題はありましたが,1泊2日と日程には余裕を持たせたお陰で,無事,この周回ルートをコンプリートすることができました。
・ 今回の縦走にあたっては,多くの皆様の記録を参考とさせて頂きました。特に,
Evergreenさんの記録 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-517292.html
lastingさんの記録 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-915757.html
taka0129さんの記録 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-655919.html
kubo_daitaさんの記録 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-751713.html
などを参考にさせて頂きました。大変ありがとうございました。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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初めまして。
去年の青薙〜笊拝見させていただき、どんなルート歩いてる方なのだろうと気になってこのレコのぞいてみました。
結構楽しそうなルートですね。
数年内に歩いてみたいなと思ってます。
この山域、鹿結構多いんですね
テントに近づいてきましたか?
間違ってもゴミ袋テントの外に出しちゃいけませんね。
tomhig さん,初めまして。コメントありがとうございます。
山行記録を拝見しましたが,南ア周辺を精力的に歩かれているんですね。
笊ヶ岳の縦走など,私とまったく同じルートに驚きました。
ところで,今回私が歩いたルートは,沢の渡渉有り,ヤブ漕ぎあり,険しいアップダウン有りの変化に富んだ面白いルートだと思いますよ。
足の速い方なら日帰りもできますが,山深いこのエリアで夜を過ごし朝を迎えることをオススメします。
奥日光は鹿が増えすぎて問題になっていますが,さすがにテントの脇まではやって来ませんでしたので,ご心配なく。
松木渓谷の紅葉はこれからですので,機会を見て,是非トライしてみて下さい。
P.S. 南ア 荒川小屋の水場は,とても冷たくておいしい水です。テン場からすぐなので,今度訪れた時には,是非,飲んでみて下さい。私は,ここの水を飲むために,何度かテン泊しています。
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