ヤマレコなら、もっと自由に冒険できる

Yamareco

記録ID: 144283
全員に公開
トレイルラン
奥多摩・高尾

奥多摩 日本山岳耐久レース

2011年10月22日(土) 〜 2011年10月23日(日)
情報量の目安: B
都道府県 東京都 神奈川県 山梨県
 - 拍手
GPS
21:39
距離
60.8km
登り
4,535m
下り
4,533m

コースタイム

13:00スタート(五日市会館・五日市中学校)
15:00入山峠(7.00km)
19:30浅間峠(22.66km・第一関門)
23:50三頭山(36.32km)
02:00月夜見第2駐車場(42.09km・第二関門)
04:00御前山(46.57km)
05:10大ダワ(49.77km)
06:50大岳山(53.71km)
07:50御岳山・長尾平(58.00km・第三関門)
08:30日の出山(60.55km)
10:40ゴール・五日市会館(71.50km)
天候 小雨→曇り→晴れ
過去天気図(気象庁) 2011年10月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車
武蔵五日市駅→五日市会館・五日市中学校
コース状況/
危険箇所等
当日スタート時点まで雨が降っていたため、泥沼を覚悟した。
部分的に滑りやすい場所もあったが、山中のコンディションは思ったより悪くなかった。
大会ということで、危険箇所(細いトレイルが崩落しているような箇所)には、ロープ等が張られている。
制御できないスピードで走る人以外は特に問題なし。

感想

第19回日本山岳耐久レース(長谷川恒男Cup・通称「ハセツネ」)に参加してきました。2005年第一関門でリタイヤ、2010年初完走、ときて、今回で3回目の参加。
(ちなみに2006年、2008年、2009年は本部で24時間ライブ中継のお仕事…)

エリートランナーではない私の目標は去年より1時間早い21時間(午前10時ゴール)。

今年もまた集合時点で雨。しかも去年よりひどい状況だった。
三頭山でボランティアするスタッフに電話すると、今晩は雨で強風と予想されてる、という。五日市に向かう電車の中ですでにテンションダウン。

受付を済ませ、トレラン仲間の待つ選手控え室(体育館)へ。熱気と緊張で頭が回らない。準備の順番を頭に入れてきたものの、手につかないことが多い。
仲間も含めて最後まで迷ったのが、ペラペラのウインドブレーカーか、ゴアのジャケットか。そして、足元。これだけ降って、風が吹いて、気温が下がることが予想されるとなると、足が濡れて冷えたらアウト。最後まで迷った。

スタート30分前になって、雨があがる。24時間のレースに向かうのに、今、雨が止んだところで、何も影響はないのだが、気分が吹っ切れて、初心貫徹、ペラペラウインドブレーカーと防水のないトレランシューズをチョイス。慌ててて見つからなかったランニングチップをトレランシューズに結びつけて、15分前にスタート準備が完了した。

13時レーススタート。トップランナーが駆け出すのを遠くに見ながら、「20時間以上」の列はほとんど動かず、5分くらいでスタートゲートをくぐる。

あー、始まっちゃった。もう後戻りできない。と思いながら、坂を下っていく。「君たちは遅いんだから今はがんばるなー。まだ先は長い」「もう出発しちゃったんだから、諦めなさい」など、沿道にはホントにたくさんの応援の方がいて、こちらの心理を見透かしたかのような応援をいただき、少し気持ちが落ちつく。

去年同様ほぼ最後尾スタートで入ったので渋滞にはまり、7km地点の入山峠まで2時間もかかる。序盤の渋滞中はひたすら休み、おにぎりを食べてエネルギー補給。雨は止んだが蒸し暑かった。頭から汗が吹き出るので、止まってる間はMSRのパックタオルでひたすら拭う。

8km付近で初出場の会社の先輩Nさんが呆然と立ってるのを発見する。なにかと思ったら、足を捻ってリタイヤすると。まだ序盤なのに。

前半、今熊神社付近、市道山から醍醐丸あたりの、平らなところ、小気味いい下りはなるべく小走りするが、あとはひたすら疲労を残さないように、ゆっくり歩く。登りはふくらはぎを攣らないように。怪我しないように、気持ちを切らさないように。先は長い。

20kmに来て、去年より順調なのを感じたが、そのあと2.66kmがやたら長く感じた。ここで切れてはいけない。真っ暗で前後も少なくなって、気持ちが切れやすいところだ。

苦しいところをなんとか乗り切って第一関門の浅間峠に到着。ウインドブレーカーを来て、体を温めながら、おにぎりをかじり、行動食の入れ替えをして、VESPA+MUSASHIの補給。VESPA+MUSASHIの補給は関門ごとに計画していた。

ここで、なんと14時間台を狙っているTさんを見つける。
体調不良でリタイヤしようと思ったけど、彼女さん(Jさん)や、私を待って、見届けてからリタイヤしようと思った、とのこと。
初出場のJさんとは、スタートから7km付近まで一緒だったけど、私が先輩のリタイヤに動揺しているうちに先に行ってしまった。

そこから、Tさんを説得し、Tさん、Jさん、私の3人で、とりあえず第二関門まで行くことにした。体調不良といっても、力のあるTさんは、登りも下りもスピードハイキングでガンガンすすみ、おかげでいいペースで進んでいった。Tさんの彼女だけあって、Jさんもペースが速い。しんがりの私は、足を攣らないようについていくのが精一杯だった。

風が強く寒いと予想されていたが、思ったほどではなく、また、風が温かかったのはラッキーだった。笹尾根の間中、雨は時々パラパラとするくらいで、出発前の大雨にくらべたら、ぜんぜん問題なかった。三頭山の手前、大沢山の登りがキツイ。このキツイ登り、去年の記憶からすっかり消えていた。

大沢山の下りで、右膝が突然痛くなる。下りが長い時にヒザ下が痛くなることはあるが、今回の右膝はもう少し外側で違う痛み。このあと、鞘口峠までの激下り、御前山からの下りも長かった、という去年の記憶が、不安が広がる。
23時半頃、眠気も出てくる三頭山避難小屋では、寒さでめげないように薄いフリースのジップアップシャツを着重ねる。

三頭山へは、日付が変わる直前に到着。ボランティアとして誘導する会社の先輩Mさんが待っていた。「ヒザが痛い? リタイヤするの? 先に進んだら気持ちが変わるかもよ。予定よりいいペースだよ、がんばって」。

三頭山ではほとんど休まず、Tさん、Jさん、私の3人で先を急ぐ。まずは鞘口峠に下る。鞘口峠もリタイヤポイントのひとつ。Tさんは不調を訴えていたが、第二関門までは行くという。私は登りでは両ふくらはぎが痙攣寸前、下りでは右膝が強烈に痛む、という状況だった。鞘口峠からの登り返しを見るだけで嫌になるが、とりあえず第二関門、と自分に言い聞かせて進む。

一部、周遊道路に出る部分がある第二関門までの道では、月夜見山がきつかった。記憶ではアスファルトに出てまた山に入って、くらいの記憶しかなかったので、ここはきつかった。月夜見山を超えて、周遊道路に出るとまもなく月夜見第二駐車場だ。

午前2時、第二関門まで来た。周遊道路から仰ぎ見る星空は本当にキレイだった。
第二関門は、ハセツネ唯一のエイド。水またはポカリ1.5リットルまでを補給できる。
2リットルのハイドレーションがほぼ空だったので、去年同様、ポカリを少しと、残りを水で1.5リットル入れてもらう。去年より30分早い時間だが、風がよく抜ける駐車場は体温を奪われやすい。バフを首から頭までかぶって防寒して、エネルギー補給。

ここまでリードしてくれたTさんは、やはりリタイヤするという。体調は戻らないし、14時間で走りきる前提の防寒着ではこの先に行けないし、14時間分のエネルギーしかないから、という。おまけにJさんの初完走を託されてしまった。

この先を考えると…御前山から、大ダワ、大岳山まで頑張れれば、その先は楽しい。
去年より30分早く着ているので、時間に追われる心配もない。
去年の記憶ではこの第二関門から御前山が長く一番辛かった。そこを乗り越えれば…。
Tさんと別れて、先を目指すことにした。

案の定、御前山まではキツく長い道だった。
去年の経験が生きていて、ここがキツイとわかっていたため、心理的に落ち着けたのはよかった。キツイながらも、惣岳山まで登った。ここから御前山までは4月にハイキングで歩いている。さらに心に余裕ができる20分もあれば、着くだろう。

しかし。
深夜に惣岳山から見た御前山の真っ黒のシルエットは、とにかく異様に大きい。その右奥には特徴的な大岳山の影も見える。あんなに行くのか・・・。

午前4時、御前山山頂に到着。去年よりはラクだが、足が痙攣寸前だ。
ここまで岩塩を舐めたり、塩飴を舐めたりしていたが、飴の甘さがいい加減嫌になってきた。お守り代わりに持っていた、塩熱サプリを口にする。MUSASHIとカーボショッツのカフェイン入りも入れる。
去年、御前山の下りで眠くて幻覚を見たので、カフェイン入りを用意していた。

休憩は5分ほどで、次のポイント大ダワを目指して出発。長い下りをJさんと進む。
下りながら、時折見える、都心方面の夜景は素晴らしかった。2週間遅い開催の今年、まだ夜明けが近づかない。

5時過ぎ、大ダワに到着。大ダワまでの下りは慎重にきたので、右膝は痛いが、リタイヤするほどではなかった。塩熱サプリの残り2錠を口にして出発すると、しだいにふくらはぎの痛みが消えていった。

大岳山までは長くダラダラとした道。去年はこのダラダラが読めずに精神的につかれた。今年は二の鉄を踏まずに、気を引き締めて歩いた。
夜が明けて、7時前に大岳山に到着。風もなく、天気は回復傾向だ。昨晩歩いた笹尾根が見える。

ここから御岳まで下れば、絶対ゴールできる。

が、大岳山からは、不規則で歩きにくい岩を越える場所が多く、ヒザの負担が大きかった。Jさんに先行してもらうが、下りではヒザの痛みと格闘しながら進む。

芥場峠を過ぎたら、御岳山までは下りか、平ら。
ふくらはぎの痙攣が心配なくなったので、ヒザの痛みをこらえながら、時々小走りで進む。日が上がって明るくなり、見上げると樹々が色づいている。
夜間は足元しかみないで進んできたが、ようやく顔を上げる余裕が出てきた。

7時30分、第三関門を通過。今年できたばかりの長谷川恒男氏の碑に触れる。

御岳神社でトイレを済ませ、暖かくなったので、フリースを脱いで、Tシャツ+アームカバーで、日の出に向かう。日の出の手前の登りを登りきれば、これ以上の登りはない。

8時30分、日の出山着。あと11kmだ。ヒザは痛いが、日の出山を下ってしまえば、急な下りはないので、もう少しの辛抱だ。

金比羅尾根に入る。去年はこの長いダラダラに飽きて、疲れきって、歩いてしまったが、今年は走れるところは小走りに進んでみる。塩熱サプリが効いた。大ダワまでの心配がウソのようだ。Jさんはまったくピンピンしていて、順調に進む。

残り5km、残り2kmの看板を越え、ほんの僅か。ここで、Jさんの初完走は確実と、Tさんにメールする。
三頭山にいたMさんからも電話が入り、金比羅尾根を下っていることを伝えると、「ゴールでカメラ構えて待ってるから」と言ってくれた。リタイヤして昨晩のうちに自宅に帰った先輩Nさんからも電話がある、みなすごいタイミングだった。

残り1km。前後して一緒だった人たちとも笑顔。
ゴールできますね、完走ですね、声を掛け合い、ついにアスファルトに出る。

アスファルトはずっとジョグ。テンションが上がってて、よく走れた。
角々に立って誘導してくれるボランティアスタッフの方に、お礼を言いながら走る。

最後の200mは、完走した人だけが体験できる「ビクトリーロード」。
午前10時を過ぎると、ゴール前の応援の人たちが誰彼関係なく、拍手で迎えてくれる。こんな体験、まずできない。
去年同様、暖かい日差しのなかで、ゴールに近づいていく。

「ここ曲がったら、みんなが待ってますからね」とJさんには言っておいた。
Tさんの応援で何度も見に来ているJさんは、応援する側はよく知っているが、自分が走るのは初めてだ。最後200mの交差点を曲がった瞬間、Jさんは、ゴール前で手を上げているTさんを発見したらしい(私は近くに行くまでわからなかった)。

21時間39分、ゴール。

目標タイムには及ばなかったし、去年を13分しか更新できなかったけど、
雨で憂鬱だったスタートから考えてもよくがんばったかな。
寒さにめげないように防寒し、膝が痛い中で、諦めずにゴールできた。
自分自身と向き合うとてもよい機会だったと思う。

ハセツネ、最高です。


最後に仲間の話。

私とJさんがゴールしたあと、ゴール(またはリタイヤ)していない仲間が2人いた。
一人は、昨年、制限時間15分前のペケ2でゴールし、周りをヒヤヒヤさせた大先輩のOさん。
もう一人は、第一関門までTさんと前後していた、初出場のSさん。

豚汁食べても、着替え終わっても、まだ行方しれず。
第三関門を通過したのかさえ不明。
心配したJさんが交差点の先まで逆走していった。

しかし、最後にドラマが。
200m手前の交差点で、Jさんが手を振っている。

Oさんだな。
今年もギリギリ、さすがだ。

と思ったら、
Oさんのとなりに、Sさんの姿。

これにはみな大喜び。
Sさん、どこに行ってたの? 
リタイヤしてないし、遭難したかと思ったよ、と仲間から一斉攻撃にあう。

何度も睡魔に襲われて、ゆっくりペースになったSさんに
Oさんが追いついて、一緒にゴールを目指したそう。

制限時間12分前。
今年も最後まで楽しめたハセツネだった。

お気に入りした人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:920人

コメント

おつかれさまでした
本当にすごいですね。このレースに出て、完走!
おめでとうございます。
この日、わたしは金峰山にいましたけど、そこから応援はしてましたよ(笑)
本当におつかれさまでした。
来年は、さらに自己記録を更新できるよう、がんばってください!!
2011/10/31 7:02
応援ありがとうございました
kinokoさん
ありがとうございます。
金峰山からの応援、ちゃんと届いてましたよ。
応援ありがとうございました。
おかげであきらめず完走できました。
2011/11/2 20:51
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

コメントを書く

ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。
ヤマレコにユーザ登録する

この記録に関連する登山ルート

トレイルラン 奥多摩・高尾 [2日]
ハセツネ
利用交通機関:
技術レベル
2/5
体力レベル
4/5

この記録で登った山/行った場所

関連する山の用語

この記録は登山者向けのシステム ヤマレコ の記録です。
どなたでも、記録を簡単に残して整理できます。ぜひご利用ください!
詳しくはこちら