奥多摩 日本山岳耐久レース


- GPS
- 21:39
- 距離
- 60.8km
- 登り
- 4,535m
- 下り
- 4,533m
コースタイム
15:00入山峠(7.00km)
19:30浅間峠(22.66km・第一関門)
23:50三頭山(36.32km)
02:00月夜見第2駐車場(42.09km・第二関門)
04:00御前山(46.57km)
05:10大ダワ(49.77km)
06:50大岳山(53.71km)
07:50御岳山・長尾平(58.00km・第三関門)
08:30日の出山(60.55km)
10:40ゴール・五日市会館(71.50km)
天候 | 小雨→曇り→晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
当日スタート時点まで雨が降っていたため、泥沼を覚悟した。 部分的に滑りやすい場所もあったが、山中のコンディションは思ったより悪くなかった。 大会ということで、危険箇所(細いトレイルが崩落しているような箇所)には、ロープ等が張られている。 制御できないスピードで走る人以外は特に問題なし。 |
感想
第19回日本山岳耐久レース(長谷川恒男Cup・通称「ハセツネ」)に参加してきました。2005年第一関門でリタイヤ、2010年初完走、ときて、今回で3回目の参加。
(ちなみに2006年、2008年、2009年は本部で24時間ライブ中継のお仕事…)
エリートランナーではない私の目標は去年より1時間早い21時間(午前10時ゴール)。
今年もまた集合時点で雨。しかも去年よりひどい状況だった。
三頭山でボランティアするスタッフに電話すると、今晩は雨で強風と予想されてる、という。五日市に向かう電車の中ですでにテンションダウン。
受付を済ませ、トレラン仲間の待つ選手控え室(体育館)へ。熱気と緊張で頭が回らない。準備の順番を頭に入れてきたものの、手につかないことが多い。
仲間も含めて最後まで迷ったのが、ペラペラのウインドブレーカーか、ゴアのジャケットか。そして、足元。これだけ降って、風が吹いて、気温が下がることが予想されるとなると、足が濡れて冷えたらアウト。最後まで迷った。
スタート30分前になって、雨があがる。24時間のレースに向かうのに、今、雨が止んだところで、何も影響はないのだが、気分が吹っ切れて、初心貫徹、ペラペラウインドブレーカーと防水のないトレランシューズをチョイス。慌ててて見つからなかったランニングチップをトレランシューズに結びつけて、15分前にスタート準備が完了した。
13時レーススタート。トップランナーが駆け出すのを遠くに見ながら、「20時間以上」の列はほとんど動かず、5分くらいでスタートゲートをくぐる。
あー、始まっちゃった。もう後戻りできない。と思いながら、坂を下っていく。「君たちは遅いんだから今はがんばるなー。まだ先は長い」「もう出発しちゃったんだから、諦めなさい」など、沿道にはホントにたくさんの応援の方がいて、こちらの心理を見透かしたかのような応援をいただき、少し気持ちが落ちつく。
去年同様ほぼ最後尾スタートで入ったので渋滞にはまり、7km地点の入山峠まで2時間もかかる。序盤の渋滞中はひたすら休み、おにぎりを食べてエネルギー補給。雨は止んだが蒸し暑かった。頭から汗が吹き出るので、止まってる間はMSRのパックタオルでひたすら拭う。
8km付近で初出場の会社の先輩Nさんが呆然と立ってるのを発見する。なにかと思ったら、足を捻ってリタイヤすると。まだ序盤なのに。
前半、今熊神社付近、市道山から醍醐丸あたりの、平らなところ、小気味いい下りはなるべく小走りするが、あとはひたすら疲労を残さないように、ゆっくり歩く。登りはふくらはぎを攣らないように。怪我しないように、気持ちを切らさないように。先は長い。
20kmに来て、去年より順調なのを感じたが、そのあと2.66kmがやたら長く感じた。ここで切れてはいけない。真っ暗で前後も少なくなって、気持ちが切れやすいところだ。
苦しいところをなんとか乗り切って第一関門の浅間峠に到着。ウインドブレーカーを来て、体を温めながら、おにぎりをかじり、行動食の入れ替えをして、VESPA+MUSASHIの補給。VESPA+MUSASHIの補給は関門ごとに計画していた。
ここで、なんと14時間台を狙っているTさんを見つける。
体調不良でリタイヤしようと思ったけど、彼女さん(Jさん)や、私を待って、見届けてからリタイヤしようと思った、とのこと。
初出場のJさんとは、スタートから7km付近まで一緒だったけど、私が先輩のリタイヤに動揺しているうちに先に行ってしまった。
そこから、Tさんを説得し、Tさん、Jさん、私の3人で、とりあえず第二関門まで行くことにした。体調不良といっても、力のあるTさんは、登りも下りもスピードハイキングでガンガンすすみ、おかげでいいペースで進んでいった。Tさんの彼女だけあって、Jさんもペースが速い。しんがりの私は、足を攣らないようについていくのが精一杯だった。
風が強く寒いと予想されていたが、思ったほどではなく、また、風が温かかったのはラッキーだった。笹尾根の間中、雨は時々パラパラとするくらいで、出発前の大雨にくらべたら、ぜんぜん問題なかった。三頭山の手前、大沢山の登りがキツイ。このキツイ登り、去年の記憶からすっかり消えていた。
大沢山の下りで、右膝が突然痛くなる。下りが長い時にヒザ下が痛くなることはあるが、今回の右膝はもう少し外側で違う痛み。このあと、鞘口峠までの激下り、御前山からの下りも長かった、という去年の記憶が、不安が広がる。
23時半頃、眠気も出てくる三頭山避難小屋では、寒さでめげないように薄いフリースのジップアップシャツを着重ねる。
三頭山へは、日付が変わる直前に到着。ボランティアとして誘導する会社の先輩Mさんが待っていた。「ヒザが痛い? リタイヤするの? 先に進んだら気持ちが変わるかもよ。予定よりいいペースだよ、がんばって」。
三頭山ではほとんど休まず、Tさん、Jさん、私の3人で先を急ぐ。まずは鞘口峠に下る。鞘口峠もリタイヤポイントのひとつ。Tさんは不調を訴えていたが、第二関門までは行くという。私は登りでは両ふくらはぎが痙攣寸前、下りでは右膝が強烈に痛む、という状況だった。鞘口峠からの登り返しを見るだけで嫌になるが、とりあえず第二関門、と自分に言い聞かせて進む。
一部、周遊道路に出る部分がある第二関門までの道では、月夜見山がきつかった。記憶ではアスファルトに出てまた山に入って、くらいの記憶しかなかったので、ここはきつかった。月夜見山を超えて、周遊道路に出るとまもなく月夜見第二駐車場だ。
午前2時、第二関門まで来た。周遊道路から仰ぎ見る星空は本当にキレイだった。
第二関門は、ハセツネ唯一のエイド。水またはポカリ1.5リットルまでを補給できる。
2リットルのハイドレーションがほぼ空だったので、去年同様、ポカリを少しと、残りを水で1.5リットル入れてもらう。去年より30分早い時間だが、風がよく抜ける駐車場は体温を奪われやすい。バフを首から頭までかぶって防寒して、エネルギー補給。
ここまでリードしてくれたTさんは、やはりリタイヤするという。体調は戻らないし、14時間で走りきる前提の防寒着ではこの先に行けないし、14時間分のエネルギーしかないから、という。おまけにJさんの初完走を託されてしまった。
この先を考えると…御前山から、大ダワ、大岳山まで頑張れれば、その先は楽しい。
去年より30分早く着ているので、時間に追われる心配もない。
去年の記憶ではこの第二関門から御前山が長く一番辛かった。そこを乗り越えれば…。
Tさんと別れて、先を目指すことにした。
案の定、御前山まではキツく長い道だった。
去年の経験が生きていて、ここがキツイとわかっていたため、心理的に落ち着けたのはよかった。キツイながらも、惣岳山まで登った。ここから御前山までは4月にハイキングで歩いている。さらに心に余裕ができる20分もあれば、着くだろう。
しかし。
深夜に惣岳山から見た御前山の真っ黒のシルエットは、とにかく異様に大きい。その右奥には特徴的な大岳山の影も見える。あんなに行くのか・・・。
午前4時、御前山山頂に到着。去年よりはラクだが、足が痙攣寸前だ。
ここまで岩塩を舐めたり、塩飴を舐めたりしていたが、飴の甘さがいい加減嫌になってきた。お守り代わりに持っていた、塩熱サプリを口にする。MUSASHIとカーボショッツのカフェイン入りも入れる。
去年、御前山の下りで眠くて幻覚を見たので、カフェイン入りを用意していた。
休憩は5分ほどで、次のポイント大ダワを目指して出発。長い下りをJさんと進む。
下りながら、時折見える、都心方面の夜景は素晴らしかった。2週間遅い開催の今年、まだ夜明けが近づかない。
5時過ぎ、大ダワに到着。大ダワまでの下りは慎重にきたので、右膝は痛いが、リタイヤするほどではなかった。塩熱サプリの残り2錠を口にして出発すると、しだいにふくらはぎの痛みが消えていった。
大岳山までは長くダラダラとした道。去年はこのダラダラが読めずに精神的につかれた。今年は二の鉄を踏まずに、気を引き締めて歩いた。
夜が明けて、7時前に大岳山に到着。風もなく、天気は回復傾向だ。昨晩歩いた笹尾根が見える。
ここから御岳まで下れば、絶対ゴールできる。
が、大岳山からは、不規則で歩きにくい岩を越える場所が多く、ヒザの負担が大きかった。Jさんに先行してもらうが、下りではヒザの痛みと格闘しながら進む。
芥場峠を過ぎたら、御岳山までは下りか、平ら。
ふくらはぎの痙攣が心配なくなったので、ヒザの痛みをこらえながら、時々小走りで進む。日が上がって明るくなり、見上げると樹々が色づいている。
夜間は足元しかみないで進んできたが、ようやく顔を上げる余裕が出てきた。
7時30分、第三関門を通過。今年できたばかりの長谷川恒男氏の碑に触れる。
御岳神社でトイレを済ませ、暖かくなったので、フリースを脱いで、Tシャツ+アームカバーで、日の出に向かう。日の出の手前の登りを登りきれば、これ以上の登りはない。
8時30分、日の出山着。あと11kmだ。ヒザは痛いが、日の出山を下ってしまえば、急な下りはないので、もう少しの辛抱だ。
金比羅尾根に入る。去年はこの長いダラダラに飽きて、疲れきって、歩いてしまったが、今年は走れるところは小走りに進んでみる。塩熱サプリが効いた。大ダワまでの心配がウソのようだ。Jさんはまったくピンピンしていて、順調に進む。
残り5km、残り2kmの看板を越え、ほんの僅か。ここで、Jさんの初完走は確実と、Tさんにメールする。
三頭山にいたMさんからも電話が入り、金比羅尾根を下っていることを伝えると、「ゴールでカメラ構えて待ってるから」と言ってくれた。リタイヤして昨晩のうちに自宅に帰った先輩Nさんからも電話がある、みなすごいタイミングだった。
残り1km。前後して一緒だった人たちとも笑顔。
ゴールできますね、完走ですね、声を掛け合い、ついにアスファルトに出る。
アスファルトはずっとジョグ。テンションが上がってて、よく走れた。
角々に立って誘導してくれるボランティアスタッフの方に、お礼を言いながら走る。
最後の200mは、完走した人だけが体験できる「ビクトリーロード」。
午前10時を過ぎると、ゴール前の応援の人たちが誰彼関係なく、拍手で迎えてくれる。こんな体験、まずできない。
去年同様、暖かい日差しのなかで、ゴールに近づいていく。
「ここ曲がったら、みんなが待ってますからね」とJさんには言っておいた。
Tさんの応援で何度も見に来ているJさんは、応援する側はよく知っているが、自分が走るのは初めてだ。最後200mの交差点を曲がった瞬間、Jさんは、ゴール前で手を上げているTさんを発見したらしい(私は近くに行くまでわからなかった)。
21時間39分、ゴール。
目標タイムには及ばなかったし、去年を13分しか更新できなかったけど、
雨で憂鬱だったスタートから考えてもよくがんばったかな。
寒さにめげないように防寒し、膝が痛い中で、諦めずにゴールできた。
自分自身と向き合うとてもよい機会だったと思う。
ハセツネ、最高です。
最後に仲間の話。
私とJさんがゴールしたあと、ゴール(またはリタイヤ)していない仲間が2人いた。
一人は、昨年、制限時間15分前のペケ2でゴールし、周りをヒヤヒヤさせた大先輩のOさん。
もう一人は、第一関門までTさんと前後していた、初出場のSさん。
豚汁食べても、着替え終わっても、まだ行方しれず。
第三関門を通過したのかさえ不明。
心配したJさんが交差点の先まで逆走していった。
しかし、最後にドラマが。
200m手前の交差点で、Jさんが手を振っている。
Oさんだな。
今年もギリギリ、さすがだ。
と思ったら、
Oさんのとなりに、Sさんの姿。
これにはみな大喜び。
Sさん、どこに行ってたの?
リタイヤしてないし、遭難したかと思ったよ、と仲間から一斉攻撃にあう。
何度も睡魔に襲われて、ゆっくりペースになったSさんに
Oさんが追いついて、一緒にゴールを目指したそう。
制限時間12分前。
今年も最後まで楽しめたハセツネだった。
本当にすごいですね。このレースに出て、完走!
おめでとうございます。
この日、わたしは金峰山にいましたけど、そこから応援はしてましたよ(笑)
本当におつかれさまでした。
来年は、さらに自己記録を更新できるよう、がんばってください!!
kinokoさん
ありがとうございます。
金峰山からの応援、ちゃんと届いてましたよ。
応援ありがとうございました。
おかげであきらめず完走できました。
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