記録ID: 146647
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
中央アルプス
大平宿から摺古木山、安平路山【花崗岩地形観察】
2011年11月03日(木) [日帰り]



体力度
4
1泊以上が適当
- GPS
- 07:28
- 距離
- 16.4km
- 登り
- 1,139m
- 下り
- 1,005m
コースタイム
●ルート以外でも全ての写真を地図に配置しました。
地元ではシラビソ山を摺鉢山とも呼びます。
松川IC 5:00======大平宿6:05==東沢林道ロープゲート6:17==古木自然園休憩舎6:53/7:05---分岐7:40--(直登コース経由)---摺古木山頂上8:05/8:10----シラビソ山(摺鉢山)8:53----安平路小屋9:20/9:30----水場9:42----安平路山頂上10:06/10:14----安平路小屋10;40/10:56----シラビソ山(摺鉢山)11:22----摺古木山頂上12:11/12:27---(展望台コース経由)---展望地12:42/12:48----分岐13:22----摺古木自然園休憩舎14:01====大平宿
地元ではシラビソ山を摺鉢山とも呼びます。
松川IC 5:00======大平宿6:05==東沢林道ロープゲート6:17==古木自然園休憩舎6:53/7:05---分岐7:40--(直登コース経由)---摺古木山頂上8:05/8:10----シラビソ山(摺鉢山)8:53----安平路小屋9:20/9:30----水場9:42----安平路山頂上10:06/10:14----安平路小屋10;40/10:56----シラビソ山(摺鉢山)11:22----摺古木山頂上12:11/12:27---(展望台コース経由)---展望地12:42/12:48----分岐13:22----摺古木自然園休憩舎14:01====大平宿
天候 | 曇、小雨(安平路山頂) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
中央自動車道 松川ICから大平宿まで約32km 車で約55分 ・大平宿から(東沢林道)ロープのゲートまで約2.8km 車で約8分 駐車台数3台 ・ロープのゲートから(東沢林道)摺古木自然園休憩舎まで約5.2km 車で約15分、徒歩約1.3時間 摺古木自然園休憩舎までの間に数カ所駐車スペース有り。 摺古木自然園休憩舎 駐車台数 6台 男女別トイレ有り ●東沢林道ロープのゲートから先は「一般車の乗り入れははご遠慮下さい。」の区域であり自己責任において使用すること。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
●東沢林道ロープのゲートから先は「一般車の乗り入れはご遠慮下さい。」の区域であり自己責任において使用すること。春先、降雨時、降雨後は落石、崖崩れに十分注意する必要有り。無舗装で林道、林道法面は花崗岩の風化したマサドでありもろい。 ● |
写真
林道を少し登ると飯田市水道取水堰堤へ到着。
黒川流域をはじめ松川流域は重要な水源で有るためリニア新幹線のルートは水源地を避けて設定されました。
13.7km先の砂払浄水場まで大平街道の道路に埋設された水道管により運ばれています。
最大取水量 15,400m3/日、飯田の中心市街地人口26,261人に供給されています。
黒川流域をはじめ松川流域は重要な水源で有るためリニア新幹線のルートは水源地を避けて設定されました。
13.7km先の砂払浄水場まで大平街道の道路に埋設された水道管により運ばれています。
最大取水量 15,400m3/日、飯田の中心市街地人口26,261人に供給されています。
砂防堰堤より摺古木山方面を望む。
白い砂は花崗岩が風化したマサド(真砂土)。
細かくもろいためコンクリートの材料には適していません。そのため埋設した水道管のクッション材、ゴルフ場のバンカー砂、壁などの建築材に使われています。
白い砂は花崗岩が風化したマサド(真砂土)。
細かくもろいためコンクリートの材料には適していません。そのため埋設した水道管のクッション材、ゴルフ場のバンカー砂、壁などの建築材に使われています。
林道の橋より見た黒川の花崗岩風化の状態。
ここの地点で今後ポットホールの拡大を観察していきたい。
ここより先の林道は左岸側になります。
(川の流れて行く方向に向かって左が左岸、右が右岸と呼びます。)
ここの地点で今後ポットホールの拡大を観察していきたい。
ここより先の林道は左岸側になります。
(川の流れて行く方向に向かって左が左岸、右が右岸と呼びます。)
6:37〔EL.1,639m〕
ここよりGPS記録計を作動させる。
林道と花崗岩風化の状況。
花崗岩風化が進行してマサド(真砂土)化した中にコアストーンが点在している露頭を見ることができます。
ここよりGPS記録計を作動させる。
林道と花崗岩風化の状況。
花崗岩風化が進行してマサド(真砂土)化した中にコアストーンが点在している露頭を見ることができます。
バックの山は「アザミ岳EL.2,027m」
摺古木山からアザミ岳、床浪高原にかけては山の起伏が小さくゆるやかで平坦な地形。そのため川になる流路が放射状であったりバラバラである。このような地形を「前輪廻地形」と呼びます。
摺古木山からアザミ岳、床浪高原にかけては山の起伏が小さくゆるやかで平坦な地形。そのため川になる流路が放射状であったりバラバラである。このような地形を「前輪廻地形」と呼びます。
7:15〔EL.1,838m〕
登山道を歩き始めると急登が続きます。
振り返ると南東の方向に右より恵那山(EL.2,190m)
〜大川入山(EL.1,908m)。手前は兀岳(EL.1,630m)。
登山道を歩き始めると急登が続きます。
振り返ると南東の方向に右より恵那山(EL.2,190m)
〜大川入山(EL.1,908m)。手前は兀岳(EL.1,630m)。
一方小生はストレッチ素材のアンダーウェアに軍手、農業用スパッツの様相。
度付きサングラス、登山靴、時計を除けば革のベルトが一番高価。
体温調整は歩く速度で調整します。そのため何組も追い抜き一番乗りで登頂。
度付きサングラス、登山靴、時計を除けば革のベルトが一番高価。
体温調整は歩く速度で調整します。そのため何組も追い抜き一番乗りで登頂。
山頂の様子。
シラビソの樹林、笹に覆われ展望は良くない。
雨が降ってきたため急いで引き返す。
Mr.K氏の用意した雨具は阪神タイガースのポンチョ。ここではトラに間違われて射殺されることは無いだろう。
シラビソの樹林、笹に覆われ展望は良くない。
雨が降ってきたため急いで引き返す。
Mr.K氏の用意した雨具は阪神タイガースのポンチョ。ここではトラに間違われて射殺されることは無いだろう。
12:11〔EL.2,169m〕
安平路山避難小屋より約1時間30分で摺古木山山頂へ到着。
写真は木曽側から見た中央アルプス。遠くには雲に隠れているが宝剣岳の位置も確認できる。
茶色の崩壊地は伊奈川花崗岩。
安平路山避難小屋より約1時間30分で摺古木山山頂へ到着。
写真は木曽側から見た中央アルプス。遠くには雲に隠れているが宝剣岳の位置も確認できる。
茶色の崩壊地は伊奈川花崗岩。
水野都沚生著「消えた峠の村」ポプラ社
集団移住で廃村になった大平集落の生活、文化について書かれた本。
水野先生は小生が高校時、国語の先生でした。
先生の授業は教科から話がいつもそれて楽しい授業でした。
集団移住で廃村になった大平集落の生活、文化について書かれた本。
水野先生は小生が高校時、国語の先生でした。
先生の授業は教科から話がいつもそれて楽しい授業でした。
感想
今回もマニアックな内容となりましたが、
とりあえず写真へコメントを記入しました。
中央構造線の内帯である領家帯花崗岩は岩石の性質や生成時期の違いによって,(地質論文等ではなぜか通常「、」ではなく「,」が使われています。)沢山の岩体に区分され命名されています。今回登った安平路山〜摺古木山は新期の花崗岩で2つの花崗岩に分類されます。
・伊奈川花崗岩…‥中央アルプス中部から南・東濃〜三河かけて中部地方領家帯の西縁近くに分布している。名前は木曽川水系の伊奈川より命名された。
・摺古木花崗岩…‥中央アルプス摺古木山から清内路峠にかけて小範囲に分布する。伊奈川花崗岩より古いという点で区別されている。
花崗岩の年代は放射線年代測定値は60〜80Ma(6千万年〜8千万年前)の狭い範囲に集中し,絶対年代学的には明確では有りません。
8千万年前だとすると中央構造線の外帯である赤石岳(四万十帯)が付加された白亜紀の時期と同じ位です。
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コメント
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JJ0JVLさん、こんにちは。
地質・集落・山と人の関わり等への思考を交えたJJ0JVLさんの山行記録はいつもながら本当に面白く、興味深く拝見しました。
よろしければ以下ご教示いただけますでしょうか。
・「前輪廻地形」とは、輪廻の種類のひとつですか、それとも輪廻の時系列の一部ですか?
・花崗岩の風化が、水平・垂直摂理によるものと、円状に進行するもの、何か理由があって風化の形態が異なるのでしょうか?
説明不足ですみません。
●「前輪廻地形」について
地学事典によれば、「現在の浸食基準面による浸食の影響がまだ波及していないために残されている,一つ前の輪廻で形成された地形をいう。一般には,河食輪廻における準平原のような浸食小起状の面の遺物に対して用いられることが多い。」
中央アルプスは250万年前までは山はなく太平洋までひと続きの平野(平原)で、100万年頃から上昇し始め8万年前頃より激しく上昇しぐんぐん高くなり山が浸食され谷間や扇状地が造られました。
中央アルプスの摺古木山より南部の風穴山の尾根、アザミ岳から床浪高原(木曽側)は起状が小さく河川の浸食も進んでいません。これは激しく隆起し急峻な山となった中央アルプス主要部とは異なり、激しい隆起から取り残されたためです。そのため(準)平原のなごりを留めているため「前輪廻地形」と表現しました。
地形図で摺古木山より南部の風穴山の尾根、アザミ岳から床浪高原(木曽側)を見て頂くと他の地域と比べ等高線間隔が広いのがわかります。
●花崗岩の風化について
マグマが上昇し大陸の地殻にマグマ溜まりができ、それがゆっくり冷えて固まったものが花崗岩です。
冷えて固まるときに収縮するため節理(割れ目)ができます。花崗岩は比較的に均質なため垂直、水平方向の互いに直交する三方向にの節理ができブロック状(方状節理)にもなります。この節理に水が入り、また凍ることにより風化が進みます。
円状風化は節理添いの風化が進み周りがマサド化しコアストーン状になったブロックが地上に露出し、周りからタマネギ状に風化したものです。
JJ0JVLさん、こんばんは。
シロウトの頓珍漢な質問に対し、大変丁寧な回答頂戴し誠に恐縮です
●「前輪廻地形」
定義としては浸食の進行の度合いが周囲と比べて相対的に遅い(=取り残されている)、という感じでしょうか?
たしかに摺古木山から風穴山方向は大雑把に北東〜南西方向の稜線を境に急激に等高線間隔が異なりますね。隆起から取り残され、なだらかな起伏しか持たないので河川の浸食も起こりにくい、てことでしょうか。水が豊富なのはこの地形と関係があるのでしょうか?
●花崗岩
風化形態の違いでなく、風化の時系列の違いなんですね。ブロック形状のものがやがてタマネギ状に風化していくとは、とても不思議です。
シャクナゲの季節にぜひ訪れてみたいです
文章だけで説明するのはなかなか難しいものです。
●「前輪廻地形」
…相対的に遅い(=取り残されている)…‥、
「一つ前の輪廻で形成された地形で浸食が進んでいな状態」とでもいいましょうか。
…水が豊富なのはこの地形と関係があるのでしょうか?…‥
地形がなだらかなのと樹木等植生のため保水能力が高いと思われます。
●花崗岩
…風化形態の違いでなく、風化の時系列の違いなんですね。…‥
一般には風化形状の違いです。円状風化は花崗岩の他に泥岩でも見られます。
円状風化は周りからからの均等な温度変化、雨風等物理的要因で起こります。
JJ0JVLさん、こんにちは。
何度も解説いただいてありがとうございます。
・・・・何となく、導入部は理解できたかも。
しかし、1を知って10解った気になってはいけませんね
それにしても地質に着目した山歩きは面白いですね〜!
新しい世界に開眼させられました
ebi0813さん。おはようございます。
花崗岩の勉強をはじめると奥が深く大変おもしろいので、現地を確認しながら最近の研究結果も調べていこうと思っています。
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