光岳:チェーホフ『桜の園』を思わす光岳小屋
- GPS
- 56:00
- 距離
- 32.0km
- 登り
- 3,142m
- 下り
- 3,121m
コースタイム
天候 | (1日目、10/10)曇り (2日目、10/11)曇り、ときどき雨 (3日目、10/12)雨のち曇り |
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アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
道・道標ともはっきりしており、道に迷う危険性はほとんどありません。 |
写真
装備
個人装備 |
2泊分食糧
コンロ
水(2リッタ)
雨具
カメラ
シュラーフ
手帳
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感想
1982年のサークル夏合宿では、畑薙大吊橋からひたすら南アルプス3000m峰征服(茶臼〜北岳)を計画・完遂したものの、光岳が日本百名山に数えられるとはつゆ知らず、ましてやその後名山巡りの修行に入るなどとは夢にも思わず、南に離れた光岳には見向きもしませんでした。
それから4年、九州・北海道の百名山を踏破した名山ハンターsatonaoは、落穂拾いのように光岳山行を思い立ち、父と後輩を連れあの畑薙大吊橋を渡りました。長い樹林帯を抜けると紅葉も終わりに近づいた山肌に、懐かしい茶臼小屋がヤマウルシの紅の中に見えました。ここまで標高差1400m、歩行8時間、satonao父はよく頑張られました。
二日目は4時起床、6時出発で、そぼ降る雨の中、satonao父は細かいアップダウウンを巧みにこなし、光岳小屋に到着。無人の小屋の戸を開け、荷物を降ろし、光岳を往復いたしました。我が子を山登りに連れて行ってからはや10年余、我が子に百名山を案内されるとは思いもしなかったことでしょう。光岳の頂上は展望無し、少し離れた場所に岩場(山名の謂れとなった「光岩」)がありましたが、ガスのためやはり展望無し。これは仕方ありません。
三日目、翌日は互いに勤めがあるため早朝に光岳を発ち、また畑薙大吊橋へと向かいます。光岳小屋を発つとき、小屋の雨戸をバターン、バターンと閉め、小屋の中が真っ暗になると、satonao父が「チェーホフの『桜の園』の最後みたいだ」と感傷にふけっていました(下注)。
茶臼小屋からの帰路では、途中からsatonaoが駆け足で先に下山、残る二名がくたびれ果てて畑薙大吊橋に着いたとき、satonaoは橋のたもとに車を止め、二人を待っていました。東名高速のお決まりの渋滞はあったものの、その日の内に帰宅し、翌日は下界の者に戻り、それぞれに遣わされたなりわいを果たしました。
(注)satonao父は、この時のことが脳裏の深くに刻まれたらしく、fujitakenが2018年1月にsatonao父にお会いした時にも、「貴殿とは光一緒に行ったね、チェーホフの『桜の園』のようだった」と感慨深げでした。
(注2)チェーホフ『桜の園』:いわば「落ちぶれ貴族と実業家のすれ違いによる哀愁劇」。老人だけを残した桜の園に斧の音だけが響くというラストの情景が印象に残る名作。[※ネットの書評より抜粋・編集]
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