出会いと達成感と羨ましさと・・・ 比良山系縦走
- GPS
- 107:15
- 距離
- 35.4km
- 登り
- 2,479m
- 下り
- 2,339m
コースタイム
12:12釣瓶岳 - 12:36細川越 - 13:20武奈ヶ岳 - 13:37コヤマノ分岐 -
14:08イブルキノコバ - 14:30八雲ヶ原(テン場)
4月30日:八雲ヶ原6:25 - 6:45北比良峠 - 7:14金糞峠 - 7:52南比良峠 -
8:31荒川峠 -(烏谷山経由)- 9:09葛川越 -(比良岳経由)- 9:53木戸峠 -
10:22打見山 - 10:52蓬莱山 - (ホッケ山経由) - 12:02権現山 - 12:24アラキ峠 - 13:36平 - 15:15葛川坊村15:50 - 16:14朽木学校前 - 16:45朽木温泉てんくう
天候 | 29日:朝から言うことナシの好天でした。 30日:ガスが出て稜線からの視界は残念でしたが雨は夕方まで降りませんでした。 |
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過去天気図(気象庁) | 2012年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
2日目13時半に平に下山しましたが、バスの本数や接続が悪く、駐車場所に戻るのに10キロの徒歩と4時間を費やしてしまいました・・・ |
コース状況/ 危険箇所等 |
蛇谷ヶ峰から滝谷ノ頭への稜線歩きは途中尾根が分かれていてわかりづらいです。 あとはさすがに比良山系の行き届いた管理下で道標、テープもしっかりしていて迷うところは少ないように思います。 これだけ行き届いた管理をされていても危険が消えないのは歩く側の問題だと思います。 自分の体に責任を持つこととリスク回避の知識や行動は最低限のこととしたいところです。 |
写真
感想
泊まり山行ができるようになって必ずやりたかったのが比良縦走。
近いだけにいつでも行けるのが後回しになる話はよくあることで、そうはさせるまいとこのGWを機会に計画しました。
それぞれ細かく分けるとほとんど去年歩いている道ですが、当然歩ききることに意味があるともう一度ルートのおさらいから始めます。
計画段階でまず躓くのが車のデポの問題ですね。
自家用車の宿命みたいなものですが、比良の場合は特に融通は利かなくて・・・
公共交通の便も悪くて登山口と下山口を結ぶバスは日に2本です!
(あとからこの交通事情で予想通りの痛い目に逢いました)
今回はいつもの忘れ物をするまいと念入りにチェックを済ませ、当日もひとつひとつ指差し確認をします。
靴のインナーソールは入れた!
車のキーはポケットに入ってる!
(こんなレベルの忘れ物なんです・・・)
てんくうで車を降りたのが6時。
10分後にスタートしていきなりの難関が木の階段が延々続く登山道。
一段ごとの段差の大きさに辟易しながらえっちらおっちら登っていました。
この段差を小さく作れないのかと思っていたところで思い出したのが荒島岳にあった看板の説明書き。
露出した木の根を人が踏むことで木が弱るのを防ぐため、木で段差を作って土の流出を防ぎ、根の露出を防止する・・・というものでした。
そのために必要な高さなら私たちが文句を言う筋合いのものではないだろうし、根を痛めずに歩けることはありがたいことですよね。
・・・そう考えるだけで心が落ち着いて平穏に歩けるのだから私の気分なんて簡単に操られてしまうものです。
少しずつ尾根に咲き出したイワウチワ、イワカガミ、ショウジョバカマのかわいい姿を懐かしく眺めながら歩きます。
ここに咲いている花たちは去年見た花ではないし、私が過ごした時間と花たちの越えてきた季節はまったく別物です。
今日この時間に花に目が止まったことで、おなじ空間と時間を共有することができました。
別々の時間を過ごしてきた両者が挨拶を交わせます。
「去年もあなたとは別の花ですが一緒に時間を過ごしましたよ。
だから今目の前に咲いているあなたがとてもなつかしく思えます」
歩いていて汗が止まらずに体が悲鳴を上げます。
釣瓶岳への登りに差し掛かり、少し危ない兆候を感じました。
右足のヒザの上部が軽い痙攣を起こしかけ、両膝の皿辺りが痛みの出る予兆を感じたのです。
しばらく止まって足に様子を聞いてみながら休憩を取ります。
幸い痙攣はすぐに治まったので、水分補給をしてゆっくり登りにかかります。
未だに高校生の頃のような無理が利く感覚を持ってしまっているので、手遅れにならないうちに前もって対処しないと危ないですね(汗)
暑さで体力の残がレッドゾーンに入るのも心配で、細川越から広谷経由で八雲ヶ原までショートカットを考えましたが、このルートで武奈ヶ岳を飛ばす非常識には耐えられず、予定通り歩きました。
さすがGWです!
山頂の人の多さには目を見張りました。
いい天気でよかったですね!
大きなザックで歩いている自分を少しだけ誇らしく思ってしまいます。
八雲ヶ原に着いて驚いたのもこの日のテントの数でした。
もうすでに張られているだけで20張り近く、まだ時間も早いのでこのあと到着する人たちも入れるとかなり賑やかになりそうです。
前回のテントデビューに続いて今回はツェルトをデビューさせます。
縦走型のトレッキングに際して荷物の軽量化はバカにできないと体が感じたもので、今回テントは家で留守番です。
多少の段取りのまずさはあったものの、案外スムーズに立ち上がり、荷物を運び込んでしまうとこの日初めて体を伸ばせる思いでした。
シュラフも広げて復元させついでに大の字に寝転がるとついそのまま眠ってしまったようです。
30分程度のお昼寝TIMEでしたが完全に熟睡モードでした。
目を覚ますとすこし強張った体をほぐしがてらその辺を散歩してみます。
気分が少し落ち着かないのはもうそろそろ着くはずのnobuchiさんたちを待っていたから。
この山行計画にコメントをくれたnobuchiさんがchurabanaさん、senrakuyaさんと同日程で縦走するとのことで、八雲ヶ原で出逢うのを楽しみにしていたんです。
地図を広げて明日の行程を眺めているところに遠くから「いたいた!」というような声が聞こえ、顔を上げると近づいてきたのはsenrakuyaさんの同僚の方を合わせて4人の青年ご一行でした。
一人だけおじさんだ!と少々気後れをしながらも嬉しい気持ちで短く挨拶を交わし、その場は一旦別れます。
夕食の仕度をしながらあれこれ迷っているのですが、こんなときに如才なく振舞うのが本当に下手で、コミュニケーションのきっかけを作れない自分をいつも歯がゆく感じてしまいます。
夕食の後に酒を持ってお邪魔してもいいですか?
なんかずいぶんよそよそしい言い方のようですが、思い切って切り出すとそこは案ずるより生むが易しでみなさん歓迎してくれてほっとしたことでした。
今までにレコのコメントのやり取りなどを重ねているぶん口がほぐれるのも早くてあっという間に時間が過ぎていきました。
いつもビール一杯で真っ赤になる私がウイスキーの小瓶を半分空けてしまったのはありえないことなんです。
きっと完全に出来上がった顔をしていたんだと今思い出すとあらためて赤面です。
いい気分でツェルトに入るとまたまたすぐに眠ってしまったようです。
それもやっぱり熟睡したようで、たっぷり一晩眠った満足感で目を開けるとだれもまだ起きていない・・・。
時計の針がまだ11時なのを理解するのに多少時間がかかりました。
あれだけ大勢が止まっているテン場にしては本当に静かで驚きます。
カエルの鳴き声を子守唄代わりにゆっくり過ぎていく夜に体を預けます。
朝、外が明るくなるのを待って散歩に出ました。
ロッジ跡の方へゆっくり登っていって琵琶湖を見下ろします。
武奈ヶ岳を振り返ると山頂部はガスに覆われているようです。
昨日までの晴天はさすがにもう続かなくて天気は下り坂のようです。
かなり湿度を感じています。
隣のテントの男性はnobuchiさんたちと同じく北に向かって縦走する方で、早々に出発していきました。
比良縦走はほとんどの人が南から歩きます。
私が北から歩いた理由は2つ。
1つは私の踏破ルートでは蛇谷ヶ峰と他の山がまだ繫がっていなかったことで、先にその線を繋ぎたかったことです。
もう1つはnobuchiさんたちと同方向で歩くよりすれ違うパターンのほうが楽しみが増しそうだったこと。
撤収の仕方は前回に比べると少しスムーズでした。
もう少し前夜の整頓で楽にこなせる余地がありそう・・・
初日の足の疲れが残っているかと慎重に歩き出しますが、悪い影響はないようで、内心胸をなでおろしています。
いったんどこかに故障を抱えると長引く覚悟も必要な歳です。
昨日senrakuyaさんに教えてもらったことを胸に刻んでいくことにします。
歩いていて目に入るのはやはりこの季節、木々の枝から顔を出す新芽に地面から出てきたばかりの草たち。
花盛りとはまだまだ言えないですが、小さな芽や双葉たちが季節に誘われて一斉に背伸びをしている姿は花畑にも劣らないパワーを感じます。
無数のちいさな芽が空を目指しているのは見ていて気持ちが良くて、知らず知らずにこちらの足も軽くなります。
この小さい連中は土の中から顔を出していまはただ張り切っているんだろうと想像したとき、その「ただ張り切っている」ことがとてもうらやましく思えたのです。
なんのしがらみも怖さもなく、伸びることや大きくなることを純粋に喜ぶって人間にはとても難しいことのように思えます。
きれいな花が咲いていなくても、珍しい種ではなくても、芽を出しているみんなにエールを送ります。
今回の大賞はその何百万もの草木の芽たちです。
昨日つりかけた足から学んだこと。
ダブルストックの恩恵を100%生かすこと。
ひざが笑うよりも二の腕に笑ってもらおう。
急登では一歩の登りは踝の高さ。
ストックと足が呼吸を合わせてペースを保てば呼吸は乱れない。
これが私の体力にぴったり合ったようで、打見山や蓬莱山のゲレンデ直登などではノンストップで歩き切ることができました。
おじさんなりのペースを掴めば体の負担を抑えられそうですよ(喜)
権現岳から平への下り道で途中腰を下ろして最後の食事(チャーシューの具入り棒ラーメン、いけますよ!)
なんだか名残惜しさも感じながら南の端まで歩いてきた実感もしっかり味わって山を下りました。
平のバス停で時刻を見ると次のバスが来るのは2時間後です・・・
ネットで見ていて予想はしていたのですが、なにか朽木まで行く手段はありそうなものだと根拠のない期待をして下りてきましたがそこは情報通りでした。
バス停で2時間無為に過ごすのも芸がない話で、国道を坊村まで歩くことにしました。
看板の表示を見ると8.2キロとあります。
舗装道路を歩くのは嫌いではなく、川沿いの国道をてくてく歩き出しました。
途中川の水で顔を洗いながらほぼ一直線の道をなんとか歩ききり、坊村に着いたのが3時過ぎでした。
30〜40分ならじっと立って待っていられそうなものですが、バス停の向かいの看板に誘われて入った店でうどんを一杯食べて生き返ります。
バスで20分ほどの道のりで朽木の終点のバス停に到着。
ここからシャトルバスがてんくうまで送ってくれるはず・・・が
次の便は1時間後・・・なんと間の悪い日だろう(笑)
てんくうまでの2.5キロを歩いて車までたどり着きました。
下山してから4時間が過ぎていました。
車に乗ったとたんに降り出した雨を見ながら山の草の芽の元気さを思い出していました。
自分たちが大きくなれない理由なんてどこにもないぞとばかりにみんながみんな喜び一杯に背伸びしていましたよ。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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八雲での宴会ありがとうございました。
僕たちのレコは編集中ですので、もう少しお持ちください。
お風呂で、もう一度お出会いできるかなと思っていましたが、それはかなわず。朽木のバス停からお風呂へ歩いておられたころに、道の駅方面へ出ずに平へ向けて車で移動していたと思われます。
たくさん歩かれましたね。
膝は、ぼくもいつ笑い出すかどきどきしています。
踝の高さですね。次回試してみます
比良縦走、先を越されてしまいました
当初は、nobuchiさんたちの宴会を共にするつもりだったのですが、
天気の関係で家族を優先してしまいました
GW後半、一人寂しく八雲で泊まってくるかもです
その節は、ご無礼いたしました。
聞くところによると、その夕方、お泊りだった方の中で直火をおこしていて、勇気ある素晴らしいご一行の方々が声をかけ防いでくださったとのこと、とても嬉しく思いました。
ところで、その直火、どこらへんでどういった方がおこしていたかわかりますでしょうか?
我が家である北部湿原池前広場(旧ヒュッテ跡)には数か所注意喚起掲示をしていたのですが、それでも効果がなかったとなると、次の手を考えないといけないものですから…。
よろしければお願いいたします。
それは油分ではなく、鉄バクテリアの被膜です。
詳細は省きますが、自然界にごく普通に存在する現象で、むしろ南部湿原にそれがあるということは、自然の浄化メカニズムが正常に働いているということで、喜ばしいことです。。。
monsieurさん、まずは縦走お疲れ様でした
私ももう一度涼しい時期に縦走しようって思ってますので参考にさせてもらいます
ツェルト・・・
結構な頻度で使用してるのにまともに設営した事無いのです
我が家は4人用テントなので、2人とかの場合持て余し気味になるので、これまた参考にさせてもらいます
去年、真夏に縦走してエライ事になっちゃったので、そうなる前にチャレンジしてみます
churabanaさん、tomokikiさん、akihiraさん、utaotoさん・・・
さっそくのコメントをいただいて 喜んでいるのですが、今晩から大峰に出かける準備でドタバタしてしまっています
3日後に戻ったらあらためてお返事させていただきます。
ホントにすみません
テント場での楽しい時間、ありがとうございました
monsieurさんの感想を読ませて頂き、
初対面の感動が倍増、今もニヤニヤしちゃってます(笑)
もっとお話したい、お聞きしたいことがあったのに、
時間が経つのはアッと言う間で、消化不良だったりします・・・。
また機会があれば、ご同行して頂ければと思います
でもそれまでに体力付けなくちゃいけませんね。
僕なら2時間、お昼寝して待つと思うので
大峰、気をつけて楽しんできて下さい
その節はお世話になりました!!八雲の夜、楽しかったです!!ヤマレコ上手く使えるかどうかわかりませんが今後ともよろしくお願いします!!
私も「てんくう」で入浴を楽しみにしていたのですが・・・
下山してからの段取りの悪さは誰のせいでもないですよね
「なんとかなる」と思っても誰もなんともしてはくれないもので、自分がなんとかしなきゃいけないことを今さら勉強しました
また時間を一緒に過ごせることを楽しみにしていますよ
tomokikiさん、こんばんは
ご一緒できればよかったですね
ヤマレコの仲間は山が共通の趣味でありながら、それぞれの皆さんの立ち位置や生活などによってかかわり方や優先順位が違ってくるのは当然のことです。
tomokikiさんとはそう遠くない未来に顔を合わせそうな気もしています
そのときはひとつよろしくです
八雲ヶ原は先日も個人、団体、入り混じってずいぶん賑やかでしたよ
多分寂しくはないと思います
先日はお会いできなくて残念でした。
nobuchiさんご一行と八雲で出会って話を聞くことで、akihiraさんの普段の活動の様子もより理解できた思いです。
前回お会いしてからは、微力ながら自分が歩いたことを山にとってプラスにしたいとゴミを拾って持って下りるようにし始めました。
次にakihiraさんにお会いしたときに少しでも共感を持ってお話を伺えればと思っています。
utaotoさん、こんばんは
この八雲では夜も特に問題なく泊まれたもので、ツェルトの扱いは簡単だと錯覚していました。
先に書いちゃいますが、今日帰ってきた大峰のツェルト泊が大変で、自分はツェルトを扱う技術を実は持っていないことに気付かされたのです
特徴や利点、限界などは使う中で早く理解しておきたいです
ホントにあの夜の時間はあっという間でしたね
あれがどこかの飲み屋での話なら閉店まで盛り上がった挙句に次に行ってたかも ですね!
もしよければ湖南や湖東あたりでもまた比良でもご一緒しますよ
いつでもお誘いくださいな
こちらこそよろしくです
私のレコは多分突っ込み所が満載なので、どんどん突っ込んできてください
いろんな方のレコにコメントを入れられたらいいですよ
なかなか行けないようなところの方とやり取りができるのは病みつきになりますよ
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