やっぱり奥深い!白峰南嶺の笊ヶ岳


- GPS
- --:--
- 距離
- 21.0km
- 登り
- 3,032m
- 下り
- 3,032m
コースタイム
天候 | 晴れの予報だったが、山の中はガスってる時が多かった。 残念ながら360°の大パノラマはお預け。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
雨畑まで迂回路で砂利道を通る。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
これと言った危険個所はないが、薄暗い樹林の中、湿った岩や木の根、苔などで滑るので長く急な下りは慎重に。 踏跡は少ないが尾根道なので方向をしっかりと確認しながら歩けばルートは分かる。数はそれ程多くないが、赤テープも要所要所にしっかりついている(下山時見失いがちなので慎重に)。 渡渉は何箇所か行けそうだと思って靴を脱がずにチャレンジしてみたが失敗。 沢の状態にもよるが、渡る距離自体は大した事なく行けそうか?と思うけど、滑るし靴が濡れたら大変なので面倒臭がらずに靴を脱いで渡る事をお勧め。 |
写真
感想
足をの怪我が治ってから歩き始めてちょうど一年。
自分の体力、脚力がどのぐらい戻ってきているのかを試す為にはやはり南アルプス以外には無いだろうと、白峰南嶺の隠れた名峰へ足を運ぶ事にした。
気力、体力、10数時間の急登に折れない精神力が必要。
深夜1時半に自宅を出発。
新清水ICから52号線を北上して早川町へ。
雨畑方面へは未舗装の迂回路を通って老平の登山口へ。
3:40まだ暗い駐車場には2台車が停まっていて、準備をしている。
まさか平日に2名もいるとは・・・。
仕事の後寝ないで来たので本当は一時間ぐらい仮眠してから出発する予定だったが、意外と眠くなかった事、お二人と挨拶を交わして少しテンションが上がって来た事もあり、支度をして出発する事にする。
4:20駐車場発。
歩き始めてすぐにゲート。
登山ポストはここに。
まだ暗い林道をしばらく歩く。
平坦な道なので早足で歩き、先行者に追いつく。
岩を手掘りでくり貫いたトンネルもこの時間だと少し不気味。
途中二股に分かれているところは右側に(左に行くと沢のほうに行ってしまう。)
少し広くヘアピンカーブになっている所に看板があり、そこを左に折れると茶畑があり、そのすぐ後が最後の廃屋。
廃屋の左側を進むと少し登山道っぽくなってくる。
このあたりまではナイトハイクでも問題なく歩ける。
アルミの橋や、つり橋(結構揺れる)を何度も渡り、岩壁沿いの道を歩く。
まだまだ、平坦なところが多く、なかなかのペースで進んだ。
途中上から滝のように水が流れてくるところを通過するが、この日はそれ程水量がなかったのか、軽い水しぶき程度だった。
広河原に到着。
ここは渡渉ポイントだが、沢にそれ程水が無かったので靴を履いたままで渡ってしまおうと岩の上を渡ってみたものの、いざやってみると岩が滑ったり、思った以上深さがあったりして渡れなかった。一度転んで手をついたが、荷物や靴は少ししか濡らさないで済んだ。
諦めて靴を脱ぎ、膝上までパンツを捲くり渡渉。
ほんの少しの間だけだったが、足がしびれるような水の冷たさだった。
ここで朝食。
ちなみ水場はここだけ。この長丁場、後にも先にも水を補給できるところはないのでしっかり水を汲んでおいた方が良い。
追い抜いた2名が追いついてきて、少し会話を交わす。
渡渉ポイントを少し間違えてしまったようだけど、ちゃんとルートに合流。
休憩を終え、ここからがいよいよ本格的な山登り開始。
いきなりの急登。
容赦ない急登。
ジグザグに登り続ける。ようやく明るくなり始めた時間で、曇っているので気温はそれ程高くないが、ムシムシする樹林の中で早くも汗だく。
しばらく登ると山の神。
一息つく間もなく登りは続く。
しばらく登り続けると林業で使っていたと思われるワイヤーなどがゴロゴロと現れる。インクラインの残骸。
戦前?戦後辺りのものだろうか?
とにかくここの登りはキツイ。
途中に眺望などのご褒美や、平坦なところなどは無く、苔むして日が指さない樹林の急登が前をみても後ろを見ても続いている。
自分はこういった樹林の景色や独特の香りが好きで、この辺りの山域を好んで歩いているけれども、それでもこの登りはキツイ。
樹林の中に桧横手山山頂があるが、標識が無ければ誰も気付かないだろう。
テント1〜2張り分ぐらいの平坦なスペースがある。
で、まだまだきつい登りは続く。
所々に赤テープや、ペンキマークはあるし、基本尾根筋を登っていくので迷うことは無いと思うが、基本踏み後は薄いので、多少注意しながら歩く方が良い。
それでも一昔前に比べれば歩きやすい登山道になっていることは間違いない。
根性を試されているような薄暗く急な樹林を歩き続ける事数時間。
ようやく明るく開けたところに出る。ここが布引崩れ。西側の眺望が開け、南アルプスの大きな山々が姿を現す。残念ながら、頭上は晴れているものの、大きな山々の山頂部は曇ってしまっていた。
日が当たらないところには少し残雪も。
ガレた稜線から樹林に戻ると
布引山山頂(2583,7m)
ここまで休憩を入れても五時間程。
結構いいペースで歩けている。少し休憩をとり、笊を目指す。
布引山山頂付近には幕営ができるようなスペースが少しあり焚き火の跡なんかも見られる。この辺りで一泊するんだろうな。
ここから横移動だが一旦160m程下って200m程登るという最後の試練。
最後の最後まで優しくないww
残雪の残る樹林を歩き、ハイマツが姿を現し始めると遂に・・
10:45頃
笊ヶ岳山頂(2629m)!!
山梨と静岡の山頂標識と三角点(二等?)があります。
360度の大パノラマ!
と思ったものの、残念ながら雲の切れ間からほんの僅かだけ赤石岳が見えたぐらいで、それ以外のデッカい山々や小笊越しの富士山は見られませんでした。
予定より少し早く着いたので、少し昼寝でもしようかと横になります。
気持ちイイ!
結局眠りに就くことはなかったけど体を休める事は出来ました。
昼飯を食べ、ここから黒河内岳(笹山)方面の登山道の様子を見に少し歩いてみました。ハイマツや藪、などに覆われてはいるものの足元はしっかりと道が出来ていました。
食後のコーヒーを煎れて一服していると、追い抜いた2名が登頂。
途中から一緒に歩かれたそうですが、一名は単独の女性の方。
もう一名は69歳の男性の方。
自称体力バカの自分が結構ハイペースで歩いてきたのにも関わらず、お二人とも負けず劣らずコースタイムよりもかなり速いペースで登ってこられました。
69歳のおじさん、山梨100名山をやっていて、この山に登るのが夢で、その為に一年で90座もの山に登って鍛えてきたとか。あいにくの眺望だったけどそんな事はお構いなしに喜んでいました。凄いです。
お二人とお話などもしながら、だいぶ長く休憩を取ったのでそろそろと思い、下山を開始します。
布引山までは登ってくるときよりも少しだけ楽です。
その後は・・・。
湿った岩や木の根、苔などで滑りやすく、更にはあれだけ苦労した急な登りを今度は下る訳です。
膝や腰へのダメージは計り知れないですねw
下っても下っても先が見えません。
こんなに登った??って思うぐらい長く急な下りです。
登りで、あそこからあそこまで長かったなぁ・・・ってのを知ってるだけに、何かポイントになるようなものを見つけてもまだ先が長いって事を確認するだけ。
登りはかなり好調だったけど、心配していた下りはやはり相当キツイです。
道具に頼ると力が付かないからと普段は殆ど使うことが無いのですが、さすがに今回は杖を使いました。
そこら辺に落ちていた木の枝w
そのお陰で地獄の下りも何とか降りる事が出来ました。
で、桧横手山あたりで水が切れました。
非常用の小さなペットボトルはあるけど、それは使わないようにと思っているので、ここから広河原までは水ナシです。
下山時、山ノ神の前後がどちらに進むか少しだけ分かりにくいところがあったので、そのあたりは慎重に目印を探した方が良いかも。
沢の音は聞こえるけど、一向に見えなくまだか、まだかと思っているとようやく広河原に辿り付きました。
悔しいことに空は青々としてます。
が、それよりとにかく水。
沢の水をゴクゴク飲んで生き返りました。
靴を脱いで渡渉をし、後は平坦に近い道を戻るだけです。
もうここからは楽チン♪なんて思ってましたが、疲れた足にはここからの道のりも思った以上に長く感じました。
17時少し前に駐車場に到着。
さっさと荷物をまとめて温泉にでも行こうと思いましたが、同じ時間帯に登ってた同志がそろそろ下りてくるかなぁなんて思って少し待ってみました。
しばらくするとお二人とも無事下山。
お疲れ様でした。
またどこかでお会いできたらいいですねなんて挨拶を交わし今回の山行は終了。
思えば昨日から一睡もしてませんでした。
帰りに温泉で汗と汚れを落とし、帰宅しました。
今回登ってみて体力的には問題ないなと思いましたが、やはりロングコースになると後半膝が少し心配です。
笊ヶ岳・・・。
深田久弥が憧れ、ポーターを連れて登ったにも関わらず登頂できなかった為に百名山から漏れたとも言われている。今はその当時程ではないかもしれないけど、やはり奥深く手強い事は間違いない。そして素晴らしい山である事は間違いない。
コメント
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生憎の天気で残念でしたね。笊ヶ岳は行程が長いだけに展望がないとがっかりしますよね。
僕も今夏また登ると思いますが、この山は当日も様子を見て決めようと思います。
しかし、そのおじさん、69歳で笊ヶ岳日帰りとは恐ろしいですね。
その90座の中にも凄い日帰り記録が含まれていることでしょう。
眺望は残念でしたが、ガスってたお陰で暑さが少し和らいだので登りやすかったです。
今度は厳冬期は厳しいけど、やっぱり少し雪のある時期がいいかなぁと思います。
笹山(黒河内岳)方面と青薙方面の入り口だけ歩いて偵察しましたが、笊から笹山方面は割りと道がしっかりしている感じでした。青薙、所ノ沢方面は分岐の直後から結構荒れた感じがプンプンしてました。
おじさん元気で驚き。
数日前に鋸を日帰りし、2〜3日したら笹山行くって言ってましたよw
そうですね。もう少し雪のある時期か秋も過ぎた辺りの方が涼しいですし、展望もいいでしょうし、日帰りには適切かと思います。僕の3月はちょっと無理ゲーでしたがね^;
青薙方面は3月に布引山に登ったときは分岐が何処にあるのかすら分かりませんでした。笊から伝付峠は一応実線ルートですからねー。
鋸岳とか笹山の日帰りは普通69歳じゃなくてもできませんよw
笹山もエスケープ時のために奈良田から再整備された道をチェックしておきたいですね。
mamepyonさん、初めまして、おはようございます。
皆さん、凄いですね。
南ア、南部のアプローチ登山道の状況は、昭文社の地図でこの地域を担当なさっている岸田さんのブログが大変参考になります。
また、メールで質問すると、とても詳しく教えていただけます。
南アルプス南部調査人のブログ
http://minamialps-south.cocolog-nifty.com/blog/
ランカンは歩いたことがあるので次は大武刀尾根にチャレンジしてみたいなぁ〜。やっぱり天気の良い日が理想ですね♪
この日お会いした二人とも山梨百名山をやってる方で、結構情報通でした、笹山は今は結構整備されているので登りやすくなったらしいと言ってました。
鋸は日帰りしようと考えたことも無かったですが、こちらもお二人とも日帰りされているとの事なのでその時のルートを参考に行ってみたくなりました。笊よりは簡単だそうです。
初めまして。
コメントありがとうございます。
深南部や南嶺は地元に近いところなのでウロウロしてるおじさん達に聞けば結構な情報が得られるのですが、あまりにも登りなれててかなりざっくりなので(暇さえあれば登ってるような人達なのでキツイと思わないらしい)、岸田さんのブログなどは参考にさせてもらう事もあります。
質問した事はありませんでしたが、分からないことあったら聞いてみようかと思います。
一日で20km以上の距離と
累積標高は3200m!!
お見事ですね〜
これだけ登り甲斐がある山が
近くにあるのって、うらやましいです
ありがとうございます。
南アルプスの中でも特に奥深いのがこの白峰南嶺や深南部と呼ばれている地域で原生林の広がる素晴らしいところです。
ただ・・・。
どの山も相当な距離や標高差があるので簡単ではないです
登り応えはあるし山好きな方達が憧れる場所の一つでもあります。好きな人にはたまらないけど、二度と登りたくないっていう人も多いかもしれません
近くにこういうところがあるのは嬉しい限りです。
一度どうですかww
先日は、お世話になりました。
平日で誰もいないかも?と孤独な山登りになる予定が楽しかったです。
また、山頂での話も面白かったですね〜。
69歳のおじ様、すごいです。
邪魔だからと下りでもストックは使いません。
下りで前を歩いてもらったのでルートファインディングは全ておじ様に任せて楽ちんしちゃいました。
(いつもはソロなのでじっくり考えながら歩いていますが)
下りの急坂で転びませんでしたか?
濡れた岩と木の根はやばいですね〜。
これから、たびたび寄らせていただきますね。(^-^)
こんにちは。
先日はロングコースお疲れ様でした。
あの辺りだと滅多に人に遭わないので当然のように誰もいないつもりで登山口に向かいましたが朝から2名もいて驚きました。
入山者がいるってだけで安心感が違いますね。
下りは結構慎重に歩いたので転ぶ事はなかったですが、やはり滑って歩きにくかったです。
おじさん元気だったなぁ〜。
次に晴れたら笹山って言ってたのでもしかしたら今日、明日あたりで登ってたりしてw
ブログも拝見させて頂きました。
こちらも寄らせていただきますね(^_^)/
予想戴いた通り今日天気良いので”笹山”に行ってきました、4時出発は早すぎました13時10分に下山してしまいました、つり橋渡り渡渉(往復)でした、途中がフラットでしたので笊よりかなり楽だと感じました、老人の足で登り北峰まで5時間30分・下り3時間10分でした。
又何処かでご一緒出来ます事を楽しみにしています。
「おじさん」
おおっ!
早速行ってきたんですね。お帰りなさい。
奈良田からつり橋渡って直登のコースですかね?
そこはまだ歩いたこと無いので行ってみたいです。
これで残り8座でしたっけ?
達成まであと少し頑張って下さい(・∀<)ノ
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