カムイエクウチカウシ山 降り続く雨に耐えて難関の山へ
- GPS
- 70:25
- 距離
- 40.6km
- 登り
- 3,404m
- 下り
- 3,404m
コースタイム
11:20駐車場所
12:30札内川ヒュッテ
第2日目
06:30札内川ヒュッテ
07:50七ノ沢出合
09:50八ノ沢出合
第3日目
04:25八ノ沢出合
06:20三俣
08:00八ノ沢カール
09:30カムイエクウチカウシ山山頂10:00
14:25八ノ沢出合
第4日目
05:10八ノ沢出合
09:45駐車場所
天候 | 第1日目 晴れ後曇り 第2日目 時々小雨 第3日目 曇り 第4日目 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
道道静内中札内線で札内川ダムを目指す ダム手前のトンネル入り口に通行止めのゲートあり 道路脇に駐車 トイレ、登山ポストはありません |
コース状況/ 危険箇所等 |
札内川ダムから先の道で、橋が車で通行出来なくなっている為 ダム手前のトンネル入り口ゲートから舗装道路を歩きます。 長く暗いトンネルが幾つか続きますので、 ヘッドランプを用意した方が良いでしょう 札内川ヒュッテまでは、平坦な舗装道です 札内川ヒュッテからしばらく歩くと、舗装が途切れ未舗装 道が七ノ沢に向かって左に大きくカーブする地点で 広い河原に降り、沢靴に履き替えて渡渉が始まります 川幅はまだ広く水量も少なめで危険はありませんでした 八ノ沢出合にはテントを張れる余地が幾つかあります ここから川幅が狭まり、流れも速まり 渡渉や沢沿いの樹林帯歩きの繰り返しが始まります 目印は少なめです 次第に傾斜が増してくると雪渓の残骸も見られるようになり 上を歩くのは危険が伴いますので、十分注意してください 滝の縁に沿う急勾配の道を登るとカールに着きます カールにはテントを張れる余地がありますが 熊が出没しますので要注意です カールから稜線までややきつい登りがありますが 一息で稜線、そこから右側の切れ落ちた尾根歩きです 右に巻いてお花畑を過ぎ、急坂を登ると山頂です 増水時の渡渉、沢沿いの道での滑落、熊に注意です 道路の通行止めにより、歩行時間も長くなっていますので 時間の余裕を持って入山されることをお薦めします |
写真
感想
昨年、神威岳、ペテガリ岳へ登り、最難関の山を残しておりました。
カムイエクウチカウシ山は、長い名前と共に私にとっては長く長く
登る事を待ち望んでいた山でしたから、昨年末から決意を固め
この日の為に準備をしてきましたが、はたして頂上に立つ事が出来るのでしょうか?
札幌駅に7時に集合し、知らない方々とこれから行動を共にします。
ついていけるでしょうか、迷惑にならないでしょうか?
そんな不安を抱えながら、札内川ダムに着きました。
昨年まではまだ先まで車で入れたそうですが
豪雨により橋が車の通行不可になり
ここから、長い歩きが始まりました。
計画では今日の内に八ノ沢出合迄行き、テント泊でしたが
天気予報が下り坂で、様子を見る為、札内川ヒュッテに宿泊することに。
山荘は二階建て、一階にトイレもあり、
ペテカリ山荘を一回り小さくした感じで、快適でした。
夜中にヒュッテの屋根を叩く雨音に何度か目が覚め、また心配になります。
増水の危険を幾度となく人から聞かされていたからです。
翌日は時々小雨の降る中を出発しました。
広い河原で沢靴に履き替え、渡渉が始まります。
水量はまだ気になるほどではないのですが、
この雨の一滴が増水を引き起こすと思うと
一刻も早く止んでほしいと祈るばかりです。
しかし、雨は次第に強まって来る気配、八ノ沢出合でテントを張りました。
テントを叩く雨音が強まると、川の音が消され
雨が弱まると川の音が轟々と響き、不気味な感じがします。
明日は、果たして登山できるのだろうか、雨が止まなければそのまま下山かと
シュラフの中で、ややもすると絶望的に…
第3日目、雨は明け方に止んでいました。
付近の山々は雲に覆われてはいるものの、雨の降り出しそうな気配もなく
まあまあの登山日和になりました。
増水した川の流れに足を取られるのではと心配ですが、
日帰りの装備で、心は軽やかに山頂目指して出発しました。
次第に斜度を増してくる川を幾度となく渡り、森林の中を時に迂回して歩きますが
目印はとても少なく、初めて来る人には分かりにくいでしょう。
又、豪雨によって川筋がよく変わるとのこと、
やはり一人で来られるような山ではないと実感しました。
川をそのまま遡っていけば、迷う心配はないでしょうが
体力がかなり消耗しますし、沢沿いを迂回して歩く方がやはり安全と思います。
三俣では三本の滝が実に見事でした。
飛散する水になんとも清々しい気力を戴きます。
この山の魅力はこのような素晴らしい荘厳な滝にもあるのかもしれません。
登山道は、一番右側の滝に沿って付けられており
急勾配、しかも水の流れ落ちる岩間を、沢靴でそのまま登って行きます。
登山靴は必要ないと聞き、驚いていましたが
ここで、ようやくその意味が理解できました。
登り切って、開けた草原が、八ノ沢カールでした。
どんな場所なのか想像もつかないまま、地図を眺めていた場所、
日高山脈の奥深くに広がる太古の地形に感動します。
今、本当にここに立つ自分が、誇らしく嬉しく感じます。
長い険しい道を、頑張ってきました。
カールから稜線への道はお花畑でした。
夏の花に交じって、トリカブトなど秋の花も咲き始めています。
ああ、もう秋はそこまで来ているのですね!
北の山々の夏の短さ、はかなさに淋しくなります。
カールの途中までは視界があるのですが
稜線は常に雲に覆われ、絶えず雲が降りてきています。
雲の中の稜線を、這い松を掻き分けながら進みます。
岩場あり、急斜面あり、ここでも気を抜けませんが
山頂まであと一息と自分を励ましながら歩きました。
一瞬、雲が切れ、幌尻岳が山頂から彼方に望めました。
この山が見えただけで良かったと、メンバーの誰かが呟きました。
誰もが完璧に晴れた日に山頂に立ちたいと願っても
それは許されるものではありません。
今日、この場所で得られた幸福に感謝できること、
それが大切なのではないかと思います。
幸い、風も思ったより寒く感じず
山頂での貴重な休憩時間をゆっくり、噛みしめるように過ごしました。
私にとっての北海道の最難関の山にこうして登れたことは
幸せな記憶としていつまでも心に留まるでしょう。
同行の皆様には大変お世話になりました。
有難うございました。
コメント
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初めて山行記録を拝見しました。
300名山屈指の難関カムエクを征服しましたね。おめでとう。
天気があまり良くなかったようで残念でしたね。
私が二年前に登った時は天気が良く、コイボクカールの雪渓近くに親子連れのヒグマが二組遊んでいるのが見えました。
以前は七ノ沢出合まで車が入れたのに私の時は中札内ゲートまで。今はさらに手前までとだんだん遠くなる山ですね。
これからも元気であちこちの山に挑戦してください。記録を見るのを楽しみにしています。
sanyujinさま コメント有難うございます。
難関の山頂がようやく踏めてほっとしております。
テントに当たる雨音を聞きながら、また来年も来なくてはいけないのかと不安になっておりましたが、どうやら山頂往復した日は雨に降られずに済みました
おかげさまで北海道の残す山はあと二つ(オプタテシケ、樽前山)になりました。驚異的です
本当に有難うございました。
前泊で半日時間があったので、レンタカーで樽前山もと、飛行機の中で思いつきましたが、知識、情報不足で実現ならず、ちょっぴり残念でした
また来年の楽しみにしたいと思います
ついこの間は、七倉岳に登っていませんでしたっけか。
その前には、北海道に行っていたような。
そして、また北海道へ? なんという羨ましいフットワーク。
私も、いつの日にかは、この山に登る日が来るのかもしれないので、恐る恐る拝見させていただきました。
もはや、ヒグマが現れても動じない境地でしょうか。凄い。
立派な舗装路なのに、車は通行止めなんですね。自転車もだめそうですか?
moglessさま コメント有難うございます。
長年の夢だったカムエク、焦っておりましたが、遂に頂上に立つことができ、感無量でした。
その為にちょっときついトレーニングを…と、妙高、七倉など努力を重ねて 参りました
ヒグマは正直今だって、とても怖いです
ただ、橋の上から対岸の沢を高見の見物といった格好でしたので恐怖感がなかっただけです
車で入れる距離は昨年よりさらに後退しています。
橋の橋脚工事がされれば、再び車で奥まで入れるようになるとは思いますが、今のところ具体的にいつかはわかりません。
行かれる時は直前に確認していただくのが良いと思います。
自転車、バイクで、釣り人が札内川ヒュッテ付近まで入っていましたから、そのような手段があれば、時間短縮できるでしょうね
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