仲尾根〜行者ヶ岳〜書策新道☆初春の丹沢に
- GPS
- 05:36
- 距離
- 10.7km
- 登り
- 784m
- 下り
- 1,081m
コースタイム
- 山行
- 5:06
- 休憩
- 0:45
- 合計
- 5:51
天候 | 曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
下山は大倉よりバスで渋沢駅へ |
写真
感想
翌日から東京で出張の予定があるので、出張の前日に休みをとり丹沢を歩くことを計画する。以前よりTさんに山行にご一緒させて頂くことをお願いしていた。今回の山行は山に登ることではなく、Tさんに案内を頂いて丹沢のバリエーション・ルートを歩くこと自体が目的となる。
午前中は雨が残る予報であったが、午後からは晴天が見込まれる。朝の新幹線で東に向かうと静岡の駅まではかなりの集中豪雨であったが、静岡を過ぎると雨も止み、雲の合間には青空も見え始める。しかし、車窓のすぐ左手に見える筈の富士山には山麓に至るまで厚く雲がかかっている。小田原からは小田急線で渋沢に向かうとこちらでも雨が上がったところのようだが、やはり丹沢の山々は雲の中だ。
渋沢の駅ではタクシーが一台しか停まっていない。先刻までの降雨でタクシーを利用する客が多かったようだ。運転手に作治小屋までと告げると、「戸川林道は他の車なら入れると思うんですけど、この車では入ってはいけないと会社に言われているので」と運転手は申し訳なさそうに云う。見ると確かに車高が低い。
しばらく待つうちにトヨタのクラウンが駅前のロータリーに入ってくる。「作治小屋まで行けますか?」とお願いすると嫌な顔一つせずに二つ返事で引き受けてくれる。大倉の夢の吊橋を過ぎて林道に入ると車は大きく揺れ始める。随所に水たまりがあり、車は相当に汚れることになるだろう。しかし、こちらに気を遣ってのことなのだろうが、運転手は「この道を運転するのは嫌いではないのです」と云う。
40分ほどかかって作治小屋に到着する。準備を整えて出発したのは丁度11時であった。作治小屋からわずかに林道を戻ったところで仲尾根に取り付く。最初は霧の植林の中をジグザグと急登を登る。道が尾根芯を辿るようになると、斜面の左手の自然林の中らはおぼろげに現われる樹々のシルエットが幻想的だ。登るにつれて霧は急速に晴れ上がってゆく。
植林地はすぐにも終わり、樹々がまばらな草原の尾根が始まる。尾根上には枝ぶりの大きなアカマツの樹が存在感を誇る。背後を振り返ると谷には雲海が広がっている。
尾根が大きく東に方向を転じるとさらに樹木の少ない草稜となった。エデンの園と呼ばれるところのようだ。尾根の先には青空も広がり始め、左手には行者岳から鞍部を挟んで政次郎の頭へと続く表尾根の稜線が姿を現す。雲も上がり、雲海の向こうには相模湾が見え始めた。
やがて尾根の上部では枯れたカヤトの中を進むようになり、まもなく烏尾山に飛び出した。烏尾山は初めてTさんに出合った厳冬期の丹沢で訪れた時以来だ。先ほどは青空を背景にすっきりとその姿を見せていた表尾根の稜線は完全に霧の中である。風はあるが妙に生暖かい。Tさんが温度計を確認すると14度であった。
表尾根は登山路の雪が溶けたせいで泥濘みが激しい。なるべく水溜まりや泥濘みを避けて歩くものの、瞬くうちに足回りは泥だらけになる。尾根には存在感のある山毛欅の樹々が随所に現れる。霧の中では山毛欅の樹々のシルエットが一層、印象的に感じられる。
行者岳の山頂は三超らしからぬ通過点のような殺風景なところだ。鎖場を過ぎて再び登り返すと本来は展望のよい筈の政次郎の頭に到着する。
書策新道への分岐点を目指して表尾根を登っていくと右手の斜面で何かの気配がする。檜の植林の中を覗き込んでみると立派な角を生やした一頭の鹿が霧の中からジッとこちらを見ているのだった。動く気配がしたので視線を向けると、すぐ下にはもう一頭、小ぶりの角を戴いた別の鹿もいるのだった。
書策新道の分岐はかつて書策小屋があったところしい。小屋跡のベンチで休憩すると、いよいよ書策新道へと入る。薄い踏み跡を辿って最初は表尾根から南に延びる支尾根を下る。政次郎の頭の上では青空が広がり始める。やがて尾根を離れ、荒れた右手の斜面をトラバースしてセドノ沢へと下ってゆく。
沢沿いに下ると右手の沢から流れ落ちる一筋の滝がある。白竜の滝と呼ばれる滝らしい。滝を過ぎると沢を離れ、右手の斜面へ入ってゆく。木ノ又尾根を横切ると尾根の下部は平坦な草原が広がっている。Tさんがここは鹿の遊び場だと教えてくださる。確かにあたりには鹿の糞が多い。谷の下部には作治小屋が目に入る。
ここかは右手の本谷へと下る。沢の周囲は前回、木ノ又尾根を下ってここを通過した時よりも崩落が目立つ。昨年の台風による崩落のようだ。しかしながらほとんどの危険箇所にはロープが渡してある。谷の右岸の崩落地を過ぎると後は植林地の中の明瞭な作業道を下ることになる。
林道に降り立つと、パトカーが3台停められており、植林地の急斜面では神奈川県警が山岳救助の訓練をしているところであった。前回、ここを通った時にもやはりここで県警が救助訓練をしていたことを思い出す。
作治小屋から表尾根を振り返ると山の上からは雲がとれてすっかり青空が広がっている。ここから大倉まで1時間10分ほどの長い林道歩きとなる。大倉に到着するとT氏の温度計は20度を超えている。おおすみ山所の南側の梅園では梅の花が花盛りであり、あたりは梅の花の芳香に満ちている。
丁国体の時に作られたという風の吊橋を渡って大倉の公園にたどり着くとこちらでは河津桜が咲いている。まだ咲き始めだが、今週の陽気で週末には一気に開花することだろう。丁度、西の空から陽が沈むところであり、日没と同時に桜の花を照らしていた夕陽が消えるのだった。渋沢の駅に到着すると西の空には残照を背景に富士山の大きなシルエットが浮かび上がっていた。
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