高畑山〜陣尾山〜高室山☆春から冬への周回


- GPS
- 06:39
- 距離
- 13.5km
- 登り
- 976m
- 下り
- 986m
コースタイム
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ミツマタを鑑賞されるみなさまへ チェーン前に車を停めることが出来るのはせいぜい1〜2台、それ以上に人が押し寄せて路駐をするようになると地元の方にも迷惑をかけることになるでしょう。路上駐車等により交通の支障になったり、地元住民の方々に迷惑のかかる事の無いよう、十分に配慮する必要があるものと思われます。 |
その他周辺情報 | 十兵衛屋敷跡 http://akechi.taga-kankou.com/ 多賀観光協会HPより 明智十兵衛屋光秀 謎多きルーツに迫る 多賀町佐目出身説 |
写真
感想
「高畑山〜陣尾山〜高室山 周回山行」へお誘いいただきました。
よく走り、歩いておられるみなさんとの山行でご迷惑をかけてはならぬと、足慣らしに励むも、ごらんのとおりのお散歩ばかり。
靴底を張り替えておいた登山靴を引っ張り出して、歩いてまいりました。陣尾山への登りと高室山からの下山がポイントでしたが、yamanekoさんにぐいぐい引っ張られ、味の素さんのお力添えもあり、なんとか山行を無事終えることができました。山に強くなるには、こうして、歩いて鍛えるしかないですからね。今後も、ぜひお誘いください。
今日の学び
今までの山行は、登山道歩きでした。
yamanekoさんから「山歩き」を教わったように思います。
地形図を見て、積極的に歩ける尾根などを見極めていく。
これも楽しみ方の一つでありセンスだと。
スマートな山勘が働き、身体や技術がついていくようにしていきたいです。
ヤマネコさんより春の黄色い花を愛でる山歩きのお誘いをいただきました。あまり知られていない群生地があるとのこと。喜んでご一緒させていただくことにしました。
ご参加のメンバーはいずれもお目にかかるのが初めての方ばかり。山や花との出逢い以上に嬉しい出逢いです。人見知りなので緊張するのですが、山好きが共通の皆さんとは直ぐに打ち解けることが出来たのでした。
山行をご一緒すると、山上での苦労や自然の素晴らしさを共有する事で、まるで家族のような一体感や信頼感が形成されるような気がいたします。山を共にする魅力がここにあると実感します。
さて、今日の山行内容については、私が説明するまでもなくHBさんやヤマネコさんが詳しくご紹介くださると思いますのでお任せいたしますが、
山行中に見られた、鮮やかなグリーンの苔に覆われたカレンフェルトの岩群。高室山山頂直下の清々しい自然林。そして高室山山頂から眺める鈴鹿・湖北・比良・比叡山・湖南の山々、琵琶湖、近江平野・・・360°の大展望と謳っているに相応わしい絶景。これらは非常に美しく深く私の心に刻み込まれるものでありました。
そしてお目当ての黄色い花。巡り逢えて感動しました。
それはまるで提灯か手提げ行燈に火を灯したかのような優しくほんのりとした輝きを放つ黄色い丸い花でした。その大群生は圧巻でした。
たくさん咲き乱れる風景の中に身を置くと、夢の中を彷徨っているかの如くロマンチックでメルヘンチックな感覚に陥入るのでした。
このような印象深い山行にお誘いくださりご同行いただいた、ヤマネコさん、奥様yamaizuさん、churabanaさん、HBさん、たくさんの優しいお心遣いを頂戴し深く深く感謝申し上げます。
またご一緒できることを願って止みません。
yamanekoさんから、お誘いを受け高室山へ。
当初、本日は鈴鹿の別の場所へ赤線繋ぎに行こうと思っていてお誘いをお断りしていたのだが、まだ足を踏み入れたこのとのない高室山周辺がだんだん魅力的に思えてきて、「やっぱり行きたいです!寄せてください!いいですか?」とのメッセージに「ぜひ!」とおっしゃってもらえたので、参加することに。
uriuriさん、churabanaさんとは初めてということもあり、前日からテンション高め。子どもの遠足のときのように、早くから準備して、そうだ山の上でイチゴでも食べようとスーパーに買いに走り、天候がよくなることを祈って床についたのである。
uriuriさんの車に大津駅から便乗させてもらい多賀へ。天気予報に反して快晴に近いが鈴鹿の山の上だけは雲がかかっている。集合地である佐目のトンネル公園駐車場に着く頃には雲が多くなってきたのがちと心配だ。churabanaさんともご挨拶し、いざ出発。
国道を後戻りし、右手にりんり園を見て、県道多賀永源寺線との分岐を越えたところから林道に入る。本日のメインのひとつミツマタの花を愛でながら林道を登ると、防鹿ネットが現れる。ネット内は杉の幼木の育成地で立ち入らない方がよいので、ネット沿いに回り込み尾根に出る。yamanekoさん曰く「防護柵やネット沿いは、避けて通る人がいるため踏み跡があって安心して歩ける」と。
少し登ると高畑山山頂。展望もなく地味な山頂だ。鈴鹿の高畑山といえば最南部の高畑山を想像される方が多いと思うが、わたしもそのうちの一人、多賀にも高畑山があると知ったのはつい前日のこと。
鈴鹿山脈はメインとなる山の他にも多くのピークが存在し、その多くに名称がつけられている。特に滋賀県側は幾重にも山が重なり入り組んだ複雑な地形で、小さな集落も多く、古来から行き来のない集落の人たちによって、それぞれ呼んできた地元の山の名前が偶然同じであっても全く不思議ではない。
山頂を稜線沿いに北に進むと伐採地に出てようやく展望が開ける。激下りで昔からよく歩かれたであろう峠に下り立つ。峠らしい峠だが名称はないようだ。北への登り返しはなだらかな一定の傾斜の坂。昔は生活路で牛車でも通ったことあるのではないかとyamanekoさん。
その先で足元に小さな小さな白い花が咲いていることに気がつく。カタバミかと思いきや、ミスミソウだと教えてもらう。ミスミソウはあまり馴染みのない花だなぁと思って、帰ってから調べてみると石灰岩質を好んで生えるとのこと。そうか、なので比良や京都周辺の山では見かけないのかと納得。
再び尾根が開けると南方面を中心に展望がよい。近江盆地に浮かぶ島のような山々や対岸の比良山、比叡山、湖南地区の山も見える。もちろん御池岳をメインとした鈴鹿の峰々も見渡せ、みなさん指さしてあれが○○山だと言い合い(口げんかじゃないよ!)をしている。
展望のよい尾根歩きも終わり突然急坂登りに変わる。道は消え歩きやすいところを登る。途中珍しく急斜面に鉄塔が建てられている。大抵は平坦な地に建てられているのだが、これにはちょっと驚き。
鉄塔からも急傾斜は続く。いつしかみなさん無口になっている。登り切ると植林地に変わりすぐに陣尾山頂に着く。churabanaさんはこんなに早く山頂だったかなとちょっと意外だったご様子。山頂からの展望はない。二等三角点のこの山の地元称は「ヒヨノ」。これも帰ってからナカニシヤ出版の「鈴鹿の山と谷」で調べてみたが、意味はわからない。
それにしても鈴鹿の山の名称には意味不明の不思議な名が多い。「ネコ」「クラシ」「ダイジョウ」「ソノド」「スモトリコバ」「コンデヘラ」……
陣尾山からは90度方向が変わって東南東から南東方面の尾根を歩くが、辺りの様子はいままでとは一変。植林地に変わったのはその一番の雰囲気の違いではあるが、地形が全く違う。広い平坦な尾根で、小さな岩がところどころ地面から生える様に突き出ている。
これはカルスト台地に入ったのだと教えてくれるもの。その石灰岩はカレンフェルトであるが、草原に突き出た白い石灰岩のいわゆる秋吉台などに代表されるカルスト台地での墓石っぽいものとはずいぶんと違う。ここでは表面を苔で覆われた緑鮮やかな小さなカレンフェルトで、どちらかというと大台ヶ原や北八ヶ岳などの苔むした岩に近い印象を受ける。岩の迷路を縫うように進むと一際緑鮮やかな岩が密集した場所が現れる。予想外の風景にみんなの足が止まる。
お昼にはちょっと早いがここでランチタイムはどうですか、とのyamanekoさんのご提案にもちろん反対する人はいない。
きょうもまたyamanekoさんyamaizuさんにごちそうになる。「マイタケとしらすのリゾット、フキノトウみそ添え」と「塩こうじの鶏肉ときのこ、野菜のみそ鍋」を振る舞ってくださった。毎度のことながらその手際のよい調理には驚かされる。
さすがに標高が上がって気温も低くなってきている中での温かい料理は、ほおが落ちそうになるほど美味で体も暖まる。食後にはサクラ紅茶、草餅、イチゴと贅沢なランチタイムでした。ごちそうさまでした。
さてさて、お腹も心も満足。午後の部がスタートです。カレンフェルトと倒木を避けながら広い尾根をしばらく行くと、突然植林地を抜け出し草原に出る。
その中央にある横に枝を伸ばしたサクラの木の根元には小さな祠があり、お地蔵さんが鎮座されている。いわゆる峠のお地蔵さんで、昔から集落の方が山を越え他の集落や町に荷を運んだり出かけたりする際には、ここでお地蔵さんに峠越えの無事を願ったり、行商の成果お礼として手を合わせていたであろうことは容易に想像できる。その日本昔話のような風景を想像すると当時にタイムトリップしたような感覚になる。ただ真上に送電線が通り、ジリジリと言う音(コロナ騒音というらしい)を立てているのには興ざめするが。この峠にはカルスト台地特有の凹地ドリーネも見られる。
お地蔵さんより少し西に進んで峠から西側の眺望を楽しむが、徐々に天候は悪化してきているようで遠くは霞んできた。雲も厚くなってきたように思う。
ここからは明瞭な道があり、それをたどって再び植林帯に入るが、先ほどまでのような苔やカレンフェルトはない。その先は倒木帯となり何カ所か迂回を強いられる。倒木地帯を過ぎると大きな車止めと思われるコンクリート片があり林道に飛び出す。植林されていてよく分からないが、この周辺は地形図で見る限り凹地や平坦地が多く、ドリーネが点在しているものと思われる。
林道はぬかるんでいて歩きにくい。いくつかの分岐を見ながらちょっと退屈な林道歩きをすると高室山登山口の標識が見えてくる。ずいぶんと標高が高く既に8合目か9合目あたりだと思うのだが、登山口という表現にはちょっと違和感を覚える。しかし少し先には車が一台止まっており、ちょうど数名のグループが山頂方面から車をめざして下ってこられた。確かに登山口である。車移動で鍋尻山とのハシゴでもされているのだろうか。
この登山口で空から白いものが舞ってきた。この先は陣尾山への登り以来の自然林となり、道も登山道っぽくなる。高室山まではそう遠くはない。再び小さなカレンフェルトが現れると広い山頂に着く。展望は360度、鈴鹿の山々が見渡せ、足下には採石場が見下ろせる。展望の影響だろうか実際の標高よりも高く感じる。ただ残念ながらやはり天候は下り気味で、近江盆地や琵琶湖とその対岸の山々は徐々に見えなくなってきており、霊仙山の横に見えるはずの伊吹山も雲の中で全く見えない。
高室山は、昔このあたりに室三郎という豪族があり、その名からきた山名ではないだろうかと「鈴鹿の山と谷」では言っている。また別に倉保根十内(鞍骨重内)という武士も室ヶ谷(陣尾山と高室山との間にある谷)付近に館をもって暗躍していたとあり、これが倉骨山として高室山の東のピークの名称となっているのだろうか。そんな倉骨山はchurabanaさんのおすすめポイントであるらしい。ではでは行ってみることに。
高室山から少し下り平坦な尾根を行くと、その先に石灰岩のがれきが重なり合った小山が見えてくる。それが絶景ポイントの倉骨山だった。高室山からよりも御池岳方面がより近くどっしり見える。石灰岩の隙間にネコノメソウが花を咲かせている。
高室山に戻り、ルートを外れ尾根を下る。先ほどの登山口に下りるがここからが本当の下山。yamanekoさん先導の元ショートカットをくり返し本当の下山道に出る。本当でないことばかりしている。激下りのち小ピーク越えで麓の佐目集落に下りる。
大杉に抱かれた十二相神社をお参りし、明智光秀公口伝の地「十兵衛屋敷跡」を見学して駐車場に戻る。
その後、守山のオリーブキッチンで反省会をしてuriuriさんに堅田駅まで送っていただく。
今回も楽しくご一緒させていただきました。みなさんありがとうございました。またどこかに登りましょう。
昨年の春、ミツマタを見に行こうとして、南鈴鹿の野登山の他に、多賀の奥にもミツマタの群落があることを知ったのだが、その日は鈴鹿北部は天気があまりよくない予報だったので野登山に出かけることにしたのだった。今年はこの時期、ミツマタの花を見に行くなら高畑山に行きたいと思っていた。この週末の前後は本来、長期出張が予定されていたのだが、コロナウイルスの影響で当然のごとくその出張はキャンセルとなる。お陰でミツマタを見に行く機会が転がり込んできた。
前日までの天気予報では曇りのち雨の予報ではあったが、前日の山行では夕方に下山すると空には雲ひとつない夕空が広がっている。果たして当日の朝も京都市内では限りない蒼穹が広がっており、多賀のあたりの天気予報も午前中は晴れの予報である。大津でuriuriさんと待ち合わせて、名神を東に向かうと、琵琶湖の対岸には比良や野坂の山々がすっきりと見えているのだが、残念ながら鈴鹿の山の上だけは雲がかかっている。
目指すは高畑山、ヤマレコではまだ地点登録されていない山であ理、勝手ながら地点を登録させて頂く。車を佐目の十二相神社の裏手にある駐車場に停めて、車道を歩き出す。西側には青空が広がっているが、東の空の雲が陽光を遮る。丁度、このあたりの上空で雲と青空が境界されているようだ。
歩いておられる地元の住民の方が多い。どうやらこの日は多賀の選挙の日らしく、皆さんは選挙に行かれた帰りのようだ。「もう山から降りて来られたんか?」と2回ほど聞かれる。「こんな時間に下山するものか」とも思うが、この高室山は360度の好展望が広がる山であり、ご来光登山にも格好の山なのだろう。
林道を歩き始めると、林道から見下ろす谷沿いには早速にもミツマタの群生が現れる。林の奥で谷が大きく広がり始めると谷の一面をミツマタが覆うようになる。しかし、それはまだ序の口であった。ミツマタの花に誘われて林道をさらに奥に進むと、右岸の植林地の中の広々した斜面一面に黄色い絨毯のようなミツマタの大群落が広がっているのであった。
植林の伐採後にミツマタを植えたのだろうか。日当たりのよい斜面ではミツマタの花が丁度、最盛期のように思われる。特筆すべきはこの群生地ではミツマタが密生していることだ。ミツマタの間は到底歩くことができないのだが、ミツマタの間を登ってゆく林道の支線が目に入る。
それまですっかり雲の陰に隠れていた太陽が、林道を登っていく間にミツマタの斜面に当たり始める。ミツマタのカーペットは光が当たっ瞬間に薄黄色から金色に輝き始め、斜面に広がる巨大なミツマタのキャンパスの中に金色のまだら模様が出現する。その模様はあたかも巨大な動物の毛並みを思わせるかの如く、光の移動とともにざわめくように波打つのだった。
他のメンバーを追って私も林道の支線に入るが、雲の間からこぼれ落ちた陽射しがミツマタの群落と戯れていたのは一瞬のことだったようだ。それでも四方をミツマタに囲まれて、密生した群落中を歩く贅沢は十分すぎるほどだ。ミツマタの群落を後にしようかという時になって、我々を揶揄うかのようにミツマタの上に木漏れ陽がこぼれ落ちる。照明器具のようにミツマタの花々を輝かせたかと思うと、一瞬の後には林床に吸い込まれるかのようにその輝きは過ぎ去っていった。
林道はミツマタの群落を抜けた先には杉の幼樹の植林地へと入ってゆくようだが、その周囲はネットで完全に覆われていて中に入れない。右手に分岐していく林道があるので、その林道の終点から尾根に登るが、やはり行く手をネットに阻まれる。ネットの周囲にはネットを張った人の踏み跡があるものだが、有るか無きかの極めて薄い踏み跡を辿ってネットに沿って斜面を下る。コルに出たところでネットで囲まれた幼樹の植林地の中から出てくる明瞭な踏み跡が現れる。巡視路と思われる明瞭な踏み跡を辿るとすぐにも送電線鉄塔に出る。
送電線鉄塔からは混合林の中を歩くと、早速にも林の中にはカレンフェルトの岩が散見する。踏み跡に沿って古い上部の欠けた石柱が現れる。石柱の裏側には「い」との文字が読めるだけだ。果たしてどのような文字が記されていたのか、想像を膨らませる他ない。あとはわずかな登りで高畑山の山頂にたどり着いた。
山頂の北側に出ると鞍部を挟んで陣尾山へと続く尾根の好展望が広がる。鞍部から先の次のピークに至る尾根には送電線が連なっているが、上部に行くにつれて急峻に思われる。折から空には青空が広がり、柔らかい陽射しが冬枯れの斜面を明るく照らしている。果たして午後に天気が下り坂になるという予報を疑いたくなるような空である。
送電線鉄塔の立ち並ぶ尾根は鉄塔広場にたどり着くたびに壮大な光景が広がる。南には調子ヶ口の彼方にイブネ、雨乞岳、綿向山のシルエットが見える。尾根の高度が上がるにつれ、西側には琵琶湖の湖面が視界に入ってくる。最後の送電線鉄塔から自然林の中の急登となる。いつしか尾根がなだらかになり植林地に入ったかと思うと三角点の柱石が目に入った瞬間、そこが陣尾山の山頂に到着したことを知る。
山頂標にはヒヨノという呼称も書かれている。三角点名は「四手村」ということをchurabanaさんが教えて下さる。ここからは景色は一転、杉の間伐材や倒木が散乱する広い山頂台地を歩く。明瞭な踏み跡はなく、当然ながら非常に歩きにくいが、鹿のものと思われるあるかなきかの微かな踏み跡が間伐された樹を効率的に越えていくルートを教えてくれるようだ。
林の中には多くのカレンフェルトの岩石が無造作に転がっているが、すべからく苔が覆い尽くしている。苔で覆われていないカレンフェルトの石をHBさんは「墓石のような」と表現されるが、確かに長い年月に及ぶ雨による侵食のせいで鋭角的な形状になったカレンフェルトは荒涼として無機的な印象を与える。それに対して苔で覆われ尽くしたその姿はあたかも地中から生えてきた有機体であるかのような錯覚を覚える。
緑のヴェルヴェットを纏ったカレンフェルトのに感嘆しながら植林地を進むと、植林地の中で開けた場所に出る。丁度、尾根上のピークca650mの山頂部である。展望こそないものの苔むしたカレンフェルトに取り囲まれて、深い緑の波間に抱かれるような安心感と非現実的な美しさを感じる場所であった。
ここは風はほとんどないが、急に空気が冷えてきたようだ。高室山の山頂で好展望を見ながらランチにしたいと思っていたが、おそらく高室山の山頂に到着する頃には冷たい風が晒されることになるだろう。昼前ではあるが、ここでランチにすることを提案する。
ランチの一品目は今回初めてのレシピであったが、舞茸とシラスのリゾットの上につい最近、部子山の下山路で手に入れた蕗を使った蕗味噌を合わせる。舞茸の食感、しらすの旨味、蕗味噌の香り、これらの素材は期待通り、あるいは期待以上の絶妙のハーモニーを見せてくれる。このレコを読んで興味を抱かれる方がいらしたら、是非、ご家庭でも試してみられることをお薦めしたい。
ランチの後半は鶏肉の塩麹漬けをメインにした味噌鍋を。今回はコンロを二つ持参したので、リゾットを食べ終わった頃に程よく鍋が出来上がってくれる。食後はHBさんの用意してくれた甘いイチゴを堪能し、churabanaさんの持参してくれた草餅は桜の紅茶によくあう筈だった・・・立ち上がった時によろめいて、折角の紅茶を飲む前に全てこぼしてしまうのであった。
Ca650mを後にすると植林地の中を歩くうちに林道に出る。佐目からの登山道と合流すると途端に多くの登山者とすれ違うようになる。最初にすれ違った家族連れの父親の方からは「雪が降ってきましたよ」と教えていただく。すれ違った直後に確かに空から白いものが落ちてくる。
杉の植林地を抜けるといよいよ高室山の山頂への最後の登りとなる。高室山の山頂は360度の好展望が広がるが、予想通り、冷たい風が吹き付ける。この風の中、山頂ではアンテナを立てて無線交信をされている男性がおられる。天気のせいだろうか、カレンフェルトの山頂は一層、荒涼としているようだ。
高室山からは自然林のアーケードが広がる吊尾根を辿って東の倉骨山に向かう。忽然と樹林が切れて、再び無造作にカレンフェルトを積み上げたような小さな隆起に飛び出すと、そこが倉骨山のピークであった。山頂の南に望む茶野、鈴ヶ岳、鈴北岳と御池岳へ連なるピークが白く霞んでいるのは雪が降っているのだろう。西側に望む琵琶湖の輪郭も不明瞭になっている。
高室山からは佐目の十二相神社まで一気呵成に下る。十二相神社には四本の巨杉が聳え立つ。上段のものは胸高周囲が6.5mと6.15m,、下段のものは4.9mと4.5mとあるが、これだけの杉の樹が立ち並ぶ様は壮観だ。神社のすぐ前にある明智光秀が住んだとされる十兵衛屋敷跡に立ち寄る。神社と屋敷跡を後にすると神社の参道には数多くのミヤマカタバミが咲いている。杉林の中にも吹き込み始めた冷たい風がにカタバミの花々も寒そうに顫えているのであった。
山行後はuriuriさんにご提案いただいて、守山のオリーブキッチンに向かう。西の空は晴れているようだったが、国道8号線を下るとすぐにも雨が降り出した。
山行を振り返ってみると、高畑山のミツマタが圧巻ではあったが、その壮観さ、密生もさることながら、この群生地のもう一つの魅力は静寂でもある。果たして鈴鹿の別の山のように観光地化してしまうことを懸念すると、このヤマレコで情報を発信してしまうことに一抹の躊躇がなくはないのだが、いつまでもこの群生地の静寂が保たれることを願うばかりだ。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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皆様、おはようございます。朝から天気良くて良かったなぁと自宅から比良眺めてました。お会いできる機会を逃してしまい凄く残念ですが、またいつかお会いできる日を楽しみにしております。
山猫さん、今回はお誘い頂いたのに参加できなくなり失礼しました。一面の黄色い絨毯が金色に輝いた一瞬、ランチにされた鮮やかな苔の岩々、私も見たかったです。今度こそはご一緒したく、よろしくお願いします。
また奥様とのフランス料理のようなランチメニュー、文字見ただけでも頬が落ちそうです!
uriさん、黄色いボンボリの夢の世界に、高室山の絶景、たっぷり堪能されたようですね。比叡山の夕景も綺麗ですね。花を愛する山男たちと花一輪、私も行きたかったです〜。次回はぜひ!
churabanaさん、私も登山道歩きですが、今度ぜひ山歩きを教わりたいと思いました。その前に付いて行けるかが心配でが。滋賀の歴史、またご一緒して教わりたいです。
HB1214さん、初めまして。
書かれてる鈴鹿のカタカナ地名、不思議ですね。神道か渡来人など関係してるのでしょうか。コンデヘラで検索すると金堂平と書かれてる方がいたり、ダイジョウで検索すると伊勢神宮西の下久具地区の神事で雄の獅子頭と書かれてたり。山の地名と関係するのか分かりませんが興味深いです。また機会あればご一緒させて下さいませ。
https://www.kankomie.or.jp/sp/event/detail_5138.html
イブネとクラシの語源に触れてる方もおられました。
https://vrooom.blog.ss-blog.jp/2018-04-27
ペワさん 山行計画を用意して下さり、有難うございました。
ここはペワさんが調べて下さったように公共の交通機関の利用でも行ける場所ですので、ミツマタが咲いている期間にでも訪れることが出来るといいですね。
ランチは単に用意してきたものを鍋やフライパンに入れて温めるという簡単なものではあります。またご一緒させて頂く時には何かご用意させて頂ければと思います。
ペワさん、
今回はご一緒できなくて本当に残念でした。
黄金色の花の大群生。ペワさんならどのようなアングルで、どんな風に写真に収められ、そしてどんな粋な写真コメを入れられるだろうな、なんて、ずっと思っていましたよ。
新コロ騒ぎが収束しましたら、是非、春の花や新緑の森を観に、またご一緒しましょね!
pewa-lakeさん、はじめまして。
今回ご一緒できなかったのは残念です。機会あればこちらこそよろしくお願いします。
鈴鹿の不思議ちゃん名称、検索くださったのですね。ありがとうございます。興味深いものが多く、わたしもいろいろ掘り下げて調べてみたいと思いました。
pewa-lake さん おはようございます。
お花、三角点を探し求めたり、神様、仏様にお参りしたりと、その時々、気の向くままの山行です。
西尾さんの「鈴鹿の山と谷」など読みだしたら止まりませんね。鈴鹿のカタカナ地名山行ぜひ、ご一緒させてください。
uriuriさん、皆様、お疲れさまでした。
このルートを歩かれる情報は、前週リョウシから霊仙を周回したときに
語彙書させていただきましたuriuriさんよりお伺いしていまして、
“高畑のミツマタは坂本(野登山)以上の群生地”
とお伺いし、非常に興味を持っていたルートです。昨年、坂本で大感動
しましたが、ここのミツマタぜひ見たくなって、ウズウズしだしました
貴重な情報、ありがとうございました。
kameさん はじめまして
私も昨年の3/31日に野登山から仙ヶ岳を周回したのですが、偶然にもその同じ日にkameさんは大周回されておられますね。kameさんが行かれた時は坂本はまだ静かだったかもしれませんが、私の時にはほとんど観光地の様相でした。坂本も良かったのですが、両者の違いは是非、ご自分の目で確かめられるのがいいかと思います。
カメさん、コメントありがとうございます。
ミツマタの大群生を見て「野登山には悪いけど・・・」とヤマネコさんが思わず口にされた言葉が、この場所の凄さを物語っていると思います。ほんとに素晴らしいです。ぜひ訪れてみて下さい。
しかし、多くの方々にご覧いただきたいと思う一方で、野登山のようにたくさんの人や車でごった返して、踏み荒らされたり、静寂が失われたりするのではないかという心配をしながらのレコupになりました。
ご一緒したリョウシの黄色い花もしかり。美しい花は、ずっとそこで美しく咲いていて欲しいですね。
kameさん、はじめまして
いろいろなジャンルで山やマラソン楽しまれていますね。参考にしたいことも多いです。
今回はミツマタをちょっとなめておりましたが、実際に見てみると激しく感動しました。
ぜひ訪れてみてください。
みつまたの群生凄いですね。斜面の写真なんてホント凄いです。
レコタイトル見て「高畑山?」 鈴鹿峠の所かな?なんて思いましたが、佐目の所なんですね。
高室山の山頂は、藤原岳や霊仙みたいで良い感じですね。行ってみたくなりました。
偶然なんですが、今朝「山の便利帳」を見てまして、まだ踏んでいない鈴鹿北部の三国岳と烏帽子岳へ上がるのに鞍掛峠に自転車をデポして、大君ケ畑からヨコネ、東ヨコネ、ダイラの頭経由で三国岳へ上がるのも面白そうって考えていたところでした。
高室山から繋ぐのはチョット無理そうですね。
ヨコネへのバリルートは、ちょっときつそうで情報も少ないので鳴川谷の林道からのアプローチになりそうですけど。
ウリウリさん、例の件お手数おかけしました。山猫さんからご丁寧なメッセージ頂きました。
ののさん コメント有難うございます。
>高室山の山頂は
藤原岳や霊仙と同じくカレンフェルトの光景が広がる好展望の山頂ではありますが、山頂がこじんまりしている点や周囲の植生の違いのせいで雰囲気はやはり異なります。もしも行かれるようであれば、今回churabanaさんにご案内頂いて訪れた倉骨山も魅力的なところで、是非。私もここは季節を変えて訪れたいところだと思いました。
>偶然なんですが、
実は私も土曜日、晴れていたら大君ヶ畑から鈴ヶ岳〜三国岳〜ヨコネという周回ルートを考えておりました。昼過ぎまで雨の予報となったので、この日は京都の向山〜貴船山〜判官坂という周回ルートになりましたが(写真を自宅においたまま今日は泊まりなのでレコはしばらく先になりそうです)。今週末は予定を入れてしまっているのですが、来週末まで鈴ヶ岳の福寿草が見られそうであればtryしてみたいと思っています。
ののさん、こんにちは。
ミツマタは圧巻です。機会あれば是非!
初訪問の高室山。霞んでいたものの噂どおりの展望が素晴らしい山でした。霊仙や御池の山容が、今まで見たことがない角度からで新鮮に思えました。
高室山から北側に伸びる尾根の先のザラノ、更に地蔵山という山から保月へ抜け、鍋尻山へと縦走する、なんてことを考えたこともあります。高畑山のミツマタを見てからこのルートを歩いたら、黄色い花づくし!になるかもですね^ ^タイミングが難しいかな。
no2さん、こんにちは
わたしも最初にyamanekoさんから、お誘いいただいた時には南の高畑山だと思っていました。鈴鹿にはまだまだ知らないいいところが多いです。
一度no2さんとも機会があればご一緒したいと思っております。
遅めコメントで失礼します💦
ヤマレコ京滋❓の常連最強メンバーが・・、一緒に登ってますやん🤩
メンバーが集結する事だけでも、ただただ凄いと思いましたね。ヤマレコの成果ですかね🎵
山を楽しむことがなりより羨ましいです。
山内容のコメントで無く、すいませんでした。
akinomさん、こんばんは
山登るにも人それぞれスタイルがあって、自分のスタイルに近い人というのは、なかなか見つかりませんが、ヤマレコではそれができます。うれしいですね。今回のこの山行でも、この花園をどう紹介するかについて話し合ったのですが、全員がほぼ同じ考えを持っていました。
akinomさんともぜひご一緒したいものです。そういえば、武奈でラーメンすすってるのを見られてましたね。
akinomさん、
いつも有難うございます。
▷メンバーが集結する事だけでも・・
仰るとおり、お忙しい方ばかり。よく集まれました。新コロ騒ぎのお陰もありますかね。私は、いつでも集まれますけど笑。
▷常連最強メンバーが・・
常連は当たってますが、私は、最強ではありません。ナンチャッテ体育会系でしたので。膝も痛いし泣。
▷ヤマレコ京滋・・
京滋ヤクルト、と読んでしまいました笑。
▷ヤマレコの成果ですかね・・
御意です!
▷山を楽しむことがなにより・・
御意!御意です!!
akinomさん コメント有難うございます。
うりさんからお名前を耳にしておりました。そういえばつい先日、釈迦岳に行かれた翌日にコースは違うものの私達も釈迦岳を辿っておりました。残念ながらバイカオウレンは見つけられませんでしたが。akinomさんの見られた景色と一日違いでの景色の差に驚いたものです。
私自身はヤマレコの常連最強メンバーの一人としては到底自認し難いのですが、皆さんは山に対して様々な蘊蓄や感性をお持ちなので、それを共有させて頂ける山行のありがたさを感じております。
またどこかでお目にかかる機会がありますことを願っております。今後ともどうぞよろしくお願い致します。
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