復帰第1戦 笹山〜白根南陵〜大門沢
- GPS
- 32:00
- 距離
- 22.2km
- 登り
- 2,390m
- 下り
- 2,392m
コースタイム
- 山行
- 7:55
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 9:05
天候 | /17 雨のち晴れ /18 暴風快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
中部横断自動車道の下部温泉〜六郷間が無料区間となっていた。(R2.3.18現在) 六郷から身延線沿いに進み鰍沢で国道140号に出ました。手持ちの地図では道が新しくなりすぎて更新しなければと思う次第です。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【奈良田〜笹山】 約1850mアップ。下りあったかな?雪は1600水場分岐付近からつき始めた。目印多く、ルートの切り開きもわかりやすい。前日がかなり雪が降ったようで、氷の上に新雪が乗ってよく滑ること…こんなマイナーなところでありながら下山2名と遭遇。笹山南峰までトレースをつけてくれていた。本当にありがとうございました。南峰と北峰のコルが平坦のいい樹林で幕営適地。 【笹山〜広河内岳】 北峰は真正面に塩見が素晴らしい。360度の展望。夏道はたまにわかる程度、大籠岳先までだんびろの雪稜、ガスったらわかりにくいだろう。そもそも風が強いエリアなのか砂礫の稜線。大籠手前の甲斐側に風をしのげる唯一の安全地帯ある。広河内岳の登りから痩せてくるが問題なし。甲斐側は雪庇出ているので注意。大井川から風が集まってきており、ものすごい風だった。 【広河内岳〜大門沢小屋】 ナイフリッジはない。下降点までは少しだが、まっすぐには歩けず、今回で一番風が強かったエリア。視界良好だったので、鐘から沢の源頭を一段下の小広い部分まで真っすぐ下る。沢に向かって左よりを降りたほうが傾斜が緩い。小広いところから沢をまたぎ越して左岸の尾根状を進んだ。そこから樹林帯となってゆくが正直夏道はわからず、地形図とにらめっこしながら進むと、これまた下りトレースが出現。本当にありがとうございました。ま、ひたすら2200くらいまで真っすぐ下ってもよかった感じ。よく考えると雪崩が発生してもおかしくない雪の状態だったので、注意して下降すべきだった。 |
その他周辺情報 | 奈良田共同浴場は17:20受付終了(地元の方談) 下山が遅かったため、草塩温泉入浴。550円。シンプルな浴槽2つ、ちょうどよい温度、熱い方もそれほどでなく長湯してしまいそう。 ラストのお客だったので、夕飯にサービス品をつけていただいた。感謝です。 |
写真
感想
昨年10月、ひざの痛さが限界を迎え、中学生のころからお世話になっていた整骨院で少し治療に専念していた。正直、気持ちも『単独ももう飽きてきたな…』という方向に傾きかけてきていた。何か装備を買えば、いかなくてはならない気持ちになるだろうとアイゼンも新調したものの、なかなか本調子にもならず、嫁に『装備買ったって使わないなら無駄じゃないか、早く山に行け』的な言葉も浴びせられ、変なプレッシャーを感じていた。雪も少ない山に行っても…人のレコ見ると悔しい気分になってくるし…でも半年も何もしていない人が贅沢なんて言ってられるのか…そもそも歩けないんじゃないか…いろいろな思考が頭をよぎっていた。『やっぱり行動しなければ何も変わらないんじゃないか』と、基盤として備わっていた思考が顔を出してきたので、昨年登って敗退し、記録にも残さなかった白根南陵にチャレンジすることにした。半年ぶりの山行が雪山なのは無謀なんだろうか?
3/18 テンクラの予報は本日『A』、明日は『C』、普通の天気予報は両日晴れ…何を信じればいいのか?自分の予測も両日晴れ。もう行くしかないと自宅を3時半に出発。ところが大月くらいから雨模様、道の駅富士川でもやむ様子がなかったので仮眠することに…気づいた時には山沿い以外はド快晴!やばい今日も寝過ごしたと、速攻で奈良田へ。
奈良田ではかなり回復、吊り橋わたってからの林道も凍結しておらず、作業道のようなつづら折りの登山道を登る。去年はこの時点で膝が痛すぎたのだが、すこぶる順調だ。小一時間でダム施設の建屋に到着、初冬の山のような風景をひたすらに登る。P1344三角点のところから一面雪になる。まだ降ったばかりといった感じだ。ここから稜線が見えるがものすごい雪煙が上がっていた。『C』の理由はこれなのか?
昨年の寡雪と言われた状況で水場分岐で一面雪だったが、今年は部分的に根雪がある程度。水場にも行けるだろう。徐々に積雪も増えるがツボ足対応可能、根雪部分に足跡が残っているがいつのものだろう?と思っていると、1800m付近でなんとビックリ!二人組が下りてきていた。向こうもまさかこんなところで人に合うとはと驚いていた。聞けば上部の船窪地形のようなところに泊まり、笹山まで今日往復してきたそうだ。かなり降ったらしく、多いところで腰くらいだったらしい。トレースばっちりとのこと。誠にありがとうございました。このあたりから雪の下が凍っており、
かなりスリップしたので、わかん着用とする。一本尾根をとにかくひたすらに登る。考えてみれば奈良田から笹山までは約1900アップ、トレースがあるのでまるで昨年とピッチが違う。先人の幕営地を過ぎ、自分が思っていたよりも上部だった昨年の幕営地を過ぎ、周りの樹林が低くなってくるとだんびろの笹山南峰に到着。道標はないようだ。風はほとんどない。明日の天気を考えれば、できるだけ先に進んでおきたいと思っていたが、南北のコルがなかなかの物件だった。とりあえず荷物を背負ったまま北峰へ進む。夕暮れの荒川三山、正面にドンとそびえる塩見、なだらかに続く南陵…素晴らしい景色だ。樹林帯ラッセルが嫌になり敗退が多くなっていたが、頑張ればこういうご褒美があるんだなぁ。先の幕営地は白河内岳までの樹林帯になるかとは思うが、やはり『C』が気になっていたのでコルに戻って幕営した。甲府の夜景も見え、星も素晴らしく、どうやったら天気が悪くなるんだろうと思いながら床に就いた。
/19 少々風はあるものの、とてもいい天気。予報は変わらず朝の9時から『C』、余裕があるだろうというか自分が頑張ればいいだけだ。おニューのアイゼンを装着しまずは北峰へ。塩見から蝙蝠への斜面は滑ったら面白そうな純白大斜面だった。よくしまった雪面を樹林帯へ向かう。樹林帯内は膝上ラッセル、稜線南側には小さい雪庇が出ている。夏道のマークを拾えるところはそこを進む。ワカンに履き替え、樹林が切れるところで再びアイゼンに。そしてこのころから風がものすごくなってきていた。
白河内から広河内の登りはじめまでの登山道は、なだらかで緩い斜度のため、ガスるとわかりづらいだろう。大井川から吹き上げる風を避けるところが一つもなく、地吹雪状になった風の間隙を縫って歩を進めるような状況。休めるところが全くなく、ところどころ耐風姿勢をとりながら大籠岳付近にたどり着くと東側に窪地があり、ここが唯一風の影響がないところであった。2時間半歩き続けていた。
先を見れば広河内岳はとんでもなく大きく見え、その上、ものすごい雪煙が上がっている。今までのエリアと風の状況が違うとわかる材料として、稜線東側に飛ばされてきた雪が渦を巻いて舞っているが、西側は飛ばされているものがまるで見受けられない状況。完全に飛ばされるだけ飛ばされているということだろう。ここまで来たら帰るにも帰れない、片道切符山行だ!大門沢下降点につけば何とかなるはずと気合を入れて安全地帯から出発した。
遠くから見ると小Pから下降点へショートカットできそうに見えていたが、登ってみればものすごい角度で大門沢に向かって切れ落ちており、まるで目の錯覚だった。広河内の登りはものすごい風の強さ、写真なんてとる余裕は一つもない。スキーで滑ったら快適斜度である池ノ沢を吹き上げてくる空気の塊が、きっと『飛ばしてやろう』と意図的に強いのではないかと考えてしまう。何とか広河内岳に到着するが、このピークは物凄い激風で耐風姿勢をとりながら証拠写真だけ撮影した。一番の核心はここから下降点までの稜線だった。もう風というより、空気の層が圧倒的な強さで押してくる感じ。あまり軽々しくは言えないが、ちょっと死んだと思った。翌日帰る予定だったので農鳥岳(こちらは稜線歩行中盤から雪煙が途切れなかった。)を往復する予定だったが、あちらへ行ったら間違いなく死んでいただろう。稜線から『あの鐘』が見えた時には正直助かったと思った。下降点はやや風の影響はあるものの、まるで天と地の差だ。大休止した。この時『C』は大風でもこういう判定なんだと悟った。この休憩時、ワカンがなくなっているのに気づく。スコップに引っ掛けていただけだったので、耐風姿勢の時に飛ばされてしまったようだ。ヤッケのフードをかぶっていると少しの音では気づかない。
大門沢の下り口は少し埋まったトレースがあったが、地形図上でも顕著な一段下の窪地へ直接下った。雪質から考えればトレース側を下るべきだったと後に反省した。もう風の影響は全くなく、ただの春山といった陽気だ。地形図に従って沢を渡り、沢の左岸小尾根状を下る。正直夏道はわかっていないが、とにかく下りやすいところを下る。股下の下りラッセル、気づけば歩いたところから雪がボールになって落ちてゆく。地形図を読みながら時折尻セードを混ぜて下る。この時期は山スキーの方が多いので尻セードはとても新鮮に感じ、なんだか楽しい!と、ちょっとした沢状を下っていると、左からナ、なんと下りトレースが出現した。下降点からのものだろうが、前日に下ったのであろう新しいものだった。
ワカンの下り幅にツボ足アイゼンではまるで幅が合わないものの、当然のように使用させてもらう。ワカン飛んで行ったのは痛手だった。沢の横断点に着き、沢の右岸を進むようになる。先人は夏道がよくわからないのにもかかわらず、いいところをトレースは進んでおり、相当このルートを歩きこんでいるのではないか?ヘロヘロになって13時前に大門沢小屋に到着。明日下山予定だったが雨雲は近づいている…はず。降れば絶対に雨の気温、濡れる前に下れるなら今日中に下ってしまった方が…でも、水場も出ており天気はすこぶる良好、快適な一夜が過ごせるのは間違いない。正面に富士山を望みながら考えること40分、下山することに決定。
ここから積雪は一気に減るが、なんせ雪の下が凍っているので、河原歩きでもアイゼンが外せないので疲れる。思い切って外して歩くと、沢の北斜面側に渡れば雪が解けておらず、その下は氷。トラバース道であるため何か所かで滑ってコースアウトする。気持ちが疲れてきたが惰性で乗り切るしかない。小尾根を巻くところに来るとルート上から雪が消えた。しかし長い下り…いい加減飽きたころ、重機の作業する建築中の大きな橋に到着。この先の下り林道は足のブレーキ制御もきかなくなってきた。半年も大したトレーニングをしていなかったつけが出た感じ。
早川に出合ってからがさらに長かった。集落近くで地元の方に会い、温泉の営業時間を聞くと『もうあと5分で受付終了だから早くいった方がいいです』と言われたものの、走る元気もまるでなし。やっとこさっとこ車に到着、帰ってこられた喜びをかみしめつつ、塩草温泉まで移動。ラストの客だったので、夕飯も少しサービスしていただいた。温泉食堂のおじさん、おばさんありがとうございました。
なんとかこなすことができたのは上り下りにトレースがあったからである。関係者の方々、本当に感謝しております。次回山行からはスキーになってゆくとは思うけれど、雪はもつのでしょうか?今シーズンは雪稜歩きの方がいいのだろうか?
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