八ヶ岳 北から南へプチ縦走(縞枯山〜白駒池〜硫黄岳)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 26.2km
- 登り
- 1,423m
- 下り
- 2,166m
コースタイム
7:10青苔荘-8:30にゆう-9:40中山峠-11:20天狗岳-12:10夏沢峠-13:00硫黄岳-14:10赤岳鉱泉(テン泊)
7:30赤岳鉱泉-9:10美濃戸口-9:30バス乗車
天候 | 曇り〜雨〜晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
コース状況/ 危険箇所等 |
今回のルートはまったく危険な箇所はありませんでした。 雨に濡れると岩が滑りやすかったこと位でした。 にゅうの登りで僕の後ろで男性の方がひっくり返った時には驚きました。 |
写真
感想
最近、高い山ばかり目指していたような気がする。
この処の慌しい仕事の反動で、何かムキになっていないだろうか・・・・?
急速に秋が深まり、紅葉の噂もちらほら聞かれてきて、
そうだ、北八ヶ岳へ行こう。のんびりと紅葉と静かな池の湖畔をゆっくり
歩くのだ・・・・。
それに、今年こそは雪山にチャレンジするつもりだ。その下見も兼ねて・・・。
ピタラスロープウェイは今年から北八ヶ岳ロープウェイに改名された。
なんだか少し残念な気がするのは僕だけか?
しかし、少しづつ色付き始めた蓼科山や北横岳を車窓から眺めながら、思わず心が躍る。
多くのハイカーに混じって、山頂駅から出発する。
雨池峠から縞枯山へ。
笹本稜平の小説にも登場する雨池へも行ってみたかったが、時間の都合で今回はパス。今度は必ず・・。
世代交代の為に縞状に枯れるというシラビソの道を縞枯山に抜け、
茶臼山の手前の展望台(岩棚)でしばし景色を楽しむ。
秋の風が心地良い。
茶臼山を越えて大石峠を越えたら草麦峠へ。ここまで2時間位。
草麦峠で車が行き交う自動車道を横断する。
なんだか何時もと違う、場違いな光景に思わず苦笑いする。
草麦ヒュッテで今回の目的の一つである苔バッチを購入したら、苔の図鑑付きのパンフをご主人に頂いた。
これで苔の名前を覚えろってか?11月にイベントもあるらしい。
植生が丁重に保護された木道から白駒池を目指す。
深緑の苔むした道で、なんだか北欧あたりの童話に登場する森を歩いているような錯覚を覚える。
何種類かの苔の名前を同定しながら、この世界も中々奥が深いな、としみじみと思う。東京へ帰ったら苔の図鑑も買ってみよう。
白駒池は想像通りの場所だった。標高の高い池には穢れがなくて、凛とした静寂に包まれていた。
燃えるように紅葉するナナカマドやドウダンツツジの葉が、コメツガや常緑樹の深緑に対比してコントラストを強調している。
ただ、紅葉の名所だけあって、近くの駐車場からどしどし観光客がカメラ片手に押し寄せてくる。・・・・仕方がない。
今日の野営地である青苔荘でテントを張って湖畔の木道を1週する頃には、日が対岸へ沈みかけていた。
その頃には辺りもずいぶん静かになっていた。
暗くなる湖畔を眺めながらのビールは、なんだか何時もより苦かった。
夜半から雨がしとしとと降り始める。東京では土砂降りの豪雨だとラジオが伝えている。明日の天気がはっきりとしない。
バス停も近いので明日の朝このまま帰ろうか、なんて雨音で眠れないテントの中で考える。
朝、5時ごろに目が覚めて天気予報に耳を傾ける。
午前中は雨が残るが、長野県は全域午後から晴れるそうだ。
雨が小降りになった隙にテントを畳んで、続行することとする。
そもそも帰るつもりなんか無かったんだ。
ニユウへの道は「にゆうの森」という湿原を含む苔むしたガレ道を登る。
もののけ姫に登場した妖精達が頭をくるくる廻しながら、そっと、僕を木の上から覗いている。・・・そんな気がした。
何もかもが雨に濡れた道が涼しくて、とても気持ちが良かった。
滑りやすい岩場を登ると展望の良い山頂へ出た。
ニュウは以外にも普通の岩の頂だった。名前からもっと違う山容をイメージしていた。ただガスに霞んで何とか天狗岳が確認できる程度だった。
さあ、次はあそこを目指そうか。
今回の山行は何時もとちがってガチガチのスケジュールを組まずに来た。
八ヶ岳はバス停のある登山口も多く、宿泊する小屋も多く点在している。
だから、その日の体調でバリエーションを考えて、どれかで、という程度にだ。
のんびりと、・・・・気が向くままに。
中山峠を経て天狗岳を登る。東と西の二つの山頂を持つ。
東天狗の頂上直下で荷物をデポして西天狗を往復した。
東の山頂に戻ると、時間は11時を過ぎた頃。
さあ、どうする?
当初は黒百合ヒュッテにテン泊して渋の湯から下山することを考えていたが、
まだ時間も早い。
以前硫黄岳から見た草麦峠へ行ってみたくなり、このまま山頂から先へ進むことにする。
今日はオーレン小屋にでも泊って渋の湯へ引き返しても良い。
しかし、根石岳を越えて夏沢峠への登りは遠かった。
ヒュッテ夏沢へ到着すると、目の前に硫黄岳が急峻の崖を従えて聳えている。
見るからにきつそうなジグザグの登山道が山頂へ続いている。
ここまで来ると、ほんの数ヶ月前に泊った赤岳鉱泉が頭に浮かぶ。
綺麗な小屋の気持ちの良い屋外テーブルで、生ビールと名物のカレーライス。
ここから渋の湯方面へ下山するよりも、赤岳鉱泉から美濃戸口へ下山した方が
はるかに早い。それに、当初はまったく考えていなかった南北八ヶ岳縦走というのもおもしろかった。
「ええいっ、行っちまえ」何時もの悪い癖が出た。
途中何度か休みながら、急峻な道を登り、山頂へ付くとガスで何も見えなかった。
息を整え、前回縦走した横岳方面を見るがそこも何も見えない。
このまま赤岳まで縦走すると完全縦走だ。積雪期にやったら大変な事になる。
さあ、どうする、・・・・男なら!
・・・・でも、当初の目的の紅葉を見ながらのんびりと・・・をすっかりと忘れていた。
「下ろう。そして生ビールとカレーを食べるのだ」
朝からカロリーメイトの行動食しか口にしていないので、お腹も空いていた。
赤石の頭から赤岳鉱泉まで1時間位かけてゆっくりと下る。
小屋の喧騒が聞こえてきた頃には空はすっかりと晴れていた。
早々にテントを張って、小屋で手続きを行い、約束のカレーと生ビールを頂く。
小屋の向うに硫黄岳から赤岳がきれいに聳えていた。また今度行こう。
少し疲れたのでしばし昼寝をしてから、夕暮れに持参した食料を残らず平らげる。
日もすっかり暮れた頃、思わず空を見上げると満点の星が輝いていた。
しばらく眺めるといくつもの星が流れていった。
その内眠くなり、シェラフに潜り込むと朝までぐっすりと眠った。
翌朝、さわやかな秋晴れの中目覚めると、空気が凛として冷たかった。
小屋のデッキやテーブルには真っ白な霜が下りていた。
ラジオで涸沢に初雪が降ったそうだ。
山もすっかり秋を通り越して、冬の気配が漂っている。
ゆっくりとテントを片付けて、北沢のコメツガとダケカンバの通い慣れた道を
美濃戸口へ向かう。
途中何度も道草を喰いつつ、
ヘッドホンからの音楽に、陽気に歌をあわせながら、バス停までの長い道程をのんびりと一人下った。
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