会津駒ヶ岳・保太橋沢〜ミチギノ沢〜御神楽沢
- GPS
- 80:00
- 距離
- 21.2km
- 登り
- 2,127m
- 下り
- 1,964m
コースタイム
1335m二俣(泊)
10/10 7:20-9:50 御神楽沢出合 10:20-11:40 岩畳 12:00-15:00 1330mゴーロ地帯
(泊)
10/11 6:45-8:30 10m直瀑巻き終わり河原 8:55-9:55 1750m二俣 10:15-11:02 ヤブ
突入 12:05 稜線草原 12:15-12:30 会津駒ヶ岳 13:15-15:45 国道バス停
17:02-17:15 保太橋手前退避スペース
天候 | 10/9 晴れのち曇り /10 晴れ(雲中量) /11 晴れのち曇り、一時雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2012年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
IC(一般道)小豆温泉駐車場(泊) /9 駐車場から保太橋直近の退避スペースへ移動 (窓明の湯手前に駐車スペースがあるので、ここからスノーシェッド内を歩い て保太橋沢まで歩いてもよし) /11 駒ヶ岳登山口バス停からバスに乗車(自由乗降可) ※本数ないため、最終に乗り遅れないように! 17:02です |
コース状況/ 危険箇所等 |
保太橋沢入渓地点は、登山大系では2キロ先まで続く巻き道を利用して入渓しているが、大変申し訳ないと思いつつも、別荘敷地内から裏手に抜けて、橋から見えた滝の上に出て入渓する。(別荘には監視カメラが付いていました) 沢は花崗岩でステルスシューズがよく効く。狭いゴルジュも左岸をへつりで進める。夏なら浸かっていったと思いますが… 水量の関係か、ほぼ滝は直登可能、滝場が終わると長いゴーロ歩きとなり、沢が開ける。 例の豪雨により沢は荒れており、資料にあった滝がなくなっていたりする。最上部二股の右を選択したため、稜線上に出ても登山道が見つからず、稜の反対側へそのまま進むと登山道に出る。 ミチギノ沢への下りは、窓明山方面に進んだ湿原からヤブに突入。5分程度で沢形 に出るのでそれを下る。1330m周辺に幕営するが、1200m二俣にもっと良い幕営地あり。沢はゴルジュ状になってくるが、水線通しを下れるが、1100mくらいのゴルジュが核心。右岸を巻くと沢形のはっきりしたルンゼを下る。段差の大きい滝頭にある灌木の根元付近にトラロープあり。それをこなすと、すぐに御神楽沢に出合う。 写真でよく紹介される岩畳は中央流水溝に、流されてきた巨岩が4つも挟まっていた。この先からダイナミックな景色が続く。核心の10m滝は下部ゴルジュから見ると、すごい迫力であり、10mは嘘だろうと感じるほどの高さ。滝の落ち口右側ではなく手前右壁残置があり、空身で草付きに上がり灌木までトラバースする。 これを越えると八久和川の連瀑帯手前までのような感じの滑床を行く。ゴルジュ内大釜2段滝は左の泥ルンゼから巻き、さらに悪いルンゼを下る。 1300m付近で幕営地を探し、1330左岸に砂地の2・3人用テント1張り分のスペースがあり、ここで幕営。探せばBPはあると思われるが、水害で河原の様子がかなり変わってしまったのか、良好な場所は見当たらなかった。 1400mくらいに50m長ナメがドーンと聳えている。地図記号で右岸壁になっているあたりが3・3・10mと思われる。高巻を必要とする10m直瀑は、手前のゴルジュを腰までつかって通過し、正面に見えているルンゼを登り、適度なところで右にトラバースすると沢形がすぐに見つかり、これを下ると穏やかな流れの河原に出る。 上流部連瀑帯はどこが切れ目かわからず、退屈しない区間。 過去の記録を参考に枝沢を選択し、遡行図・高度計も確認しながら慎重に詰めを選んだつもりだったが、ヤブはなかなか終わらず、2100mまで登ってやっと稜線の反対側にある湿原に飛び出した。登山道に出ることはできず、結果頂上までヤブ漕ぎとなる。大戸沢岳がわに出てしまった… 入山側で登山ポストは見かけなかったような…温泉は燧の湯・駒の湯とも源泉かけ流し、営業時間も長いです。 |
写真
感想
10/9 小豆温泉駐車場を利用させてもらい、幕営。朝方の気温7℃。相棒はかなり 寒がっていた。車で保太橋近くの退避場所に駐車し出発。自分のバイブル「登山大系」とネット記事での入渓地点が異なり、監視カメラのある庭を横切って(気が重かった…)別荘の裏手から入渓。
今時期は減水により赤い苔が多いと考え、ステルスとフェルトの2足を持参。花崗岩質で流水溝のようなゴルジュも全く問題ない、というか実力ではなくほぼ靴の性能でこなす。後輩(沢は2回目)はフェルト、同じトレースを歩かされ迷惑していたようだ。
滝はすべて登ることができ、右壁を若干のシャワーを浴びながら登る滝を超えると、しばらく河原歩きとなり谷も開けて明るくなる。稜線が正面に見え、上部で紅葉もはじまっていた。
地形図上の三俣先でバイブルの3段17mと思われる滝が出てくる。左岸を巻くと滝上からはひたすらゴーロとなる。1291の二俣に土砂の押し出しがすごい。
かなり上まで水は枯れることなく、稜線直下二俣で水を汲み、右の開けた沢形に取付く。草原状斜面からヤブに突入、登山道が近いというだけで気分的に楽…??道に出ない。不安は増大したが、稜線反対側に設けられた登山道に20分程度で到着。
窓明山方面に進み、いろいろな人の記録に出ていた湿原で休憩、後輩の「またヤブなんですか?」という発言は無視し、『S君、人生自分で道は切り開くものだ!』と心でつぶやくと、再ヤブ突入する。そういえばこのようなヤブは彼にとって初だったのを忘れていた。
5分程度で沢形が出てきて、これをひたすら下る。悪場は特段なく、ステルスでも滑らない。1時間で400m下り、1255付近に砂地の河原を発見、ほかの物件を探しに行っていると、その進路に黒い大きな塊が近くのヤブの中に…向こうはどんどん斜面をあがってゆき、灌木が揺れているのでおよその位置がわかる。安全な距離はよくわからないが、ターザンばりに二人で叫ぶは叫ぶ!!
この夜は星もきれいで気温も下がり、シュラフカバーもないS君は凍えていたらしい。
10/10 寒い朝につけそばをかきこみ出パ、1200m二俣(巨大ブナの倒木が大量に累
積している)に最高の幕場があった。トラロープなどが残置しているが水量のせいか必要ない。初めのゴルジュは右岸の巻き道を利用、次のゴルジュはある意味核心だった。
巻き道は右岸をサックリと思っていたが、小さく巻くことを意識し、下れそうなところを空身で偵察すること4回、あきらめの境地に達したところでブナの大木に『大正二年』の切り付けを発見、「道は間違っていない」確信を得て気を取り直し、再び偵察活動に…S君「ここにトラロープが!」彼のファインプレーにより下りきれないと思っていたガレルンゼがルートと判明、河原に出る個所が若干きわいが、幕場から2h30minで御神楽沢出合着。
本流は水量もそれなり、かといって圧倒的な水圧という感じではない。自分の今回の目標として『足首以上は濡らさない』と決めてきたが、川幅いっぱいに流れる沢に『膝上許容』に目標変更!
明るく広い谷は河原、滑床を繰り返し、ときに10m程度の滝を織り交ぜ、東北の秀渓の貫録のようなものを感じる。
いよいよ岩畳となるが、唖然…中央流水溝状のところに、直径1m程度の岩が4個挟まっているではないか!?実はここを撮影するために、カメラもデジカメとフィルム一眼の2台をもってきたのに…とりあえず岩盤上に寝てやったよ、オイラは…
この先、沢はダイナミックな部分を連発させる。まさに御神楽のポテンシャルを見せつけられるのだった。沢幅が狭くなりゴルジュ状になるが頭上は開けて明るい。奥に例の核心10mが見える。この滝壺の広い空間は岩盤に囲まれて、すごい景色を醸し出している。まるで滝が門に見えた。滝中段を右岸へ渡れればと思っていたが、ステルスでは自殺行為の赤さ・水量(勢いがあるように見える)により諦め、右壁を探る。
落ち口脇ではなく、その手前の壁に残置とシュリンゲを発見、空身で岩が抜けてしまいそうな壁を越え、草付きを左上し灌木へ逃げる。S君もかなり緊張したようだったが、2回目の沢にしては上手だ。滝上からは滑床を愛でながら遡行する。ゴルジュ内大釜2段滝は左ルンゼから巻く。悪いルンゼを下ると再び河原状になり開けてくる。
1300くらいから幕場を探して歩き、1330左岸に砂地の幕営地を発見。先にもいいところがないか検索に行くも、水害で河原が荒れたのかあまりいいところがなく、ここに決定。
この周辺は魚影が濃く、魚は黒っぽく太い。夕方から風が強く、焚き火はあっという間に燃えてしまう。明日は天気が崩れるという予報だったが…
10/11 朝食は栗ごはんだったが、S君は真空パックの栗をパッキングで力をかけす
ぎて、栗ペーストにしてしまった。おかずがないのでこのペーストを米に入れて炊くことに決定。もはや水加減もよくわからない。ところがどっこい意外にもうまかった。
今日はフェルトに変更、上流のぬめった電光型に備える。1400くらいに50m長ナメ滝が出てくる。この滝も見事である。さらに先の10m直瀑はゴルジュの奥から右折して落ちてきている。入口に泥ルンゼがあり、初めはここから巻くと思っていたが、距離が遠い。上がってしまうが間違いと分かり下降。巻くより楽な方法は?『水に入って行こう』と意見が一致、股下を許容に変更!!ゴルジュ正面に見える泥ルンゼを登り、ヤブ内の沢形を発見して下降すると、平凡な河原に出る。
すぐにムジナクボを合わせる。ここから先、大岩の多い河原から小滝が連発する渓相になる。どんどん滝が出てきて、区切れがわからない。高巻をする2段5mまで続く。楽しいが、ステルスだったら?と思うと…1750m二俣から稜線を見ると青空に映えた薄い色の紅葉が映えている。今日、雨じゃなかったっけ??
1830二俣あたりから慎重に地形図・記録を読み、源頭部に突入してきたつもりだったが…ヤブの中に沢形は続いている。
初めのころの会話
S君『ヤブはどのくらい続くんですか?』
自分『いろんな記録見たけど、まぁ20分ってとこだろ!』
S君『あ、そうですか。じゃぁ、頑張ります』
自分『ラストは草原に木道らしいぞ。なんて劇的な終わり方なんだろう』
中盤過ぎの会話
自分『今更なんだけど、なんか状況がおかしいんだよ』
S君『そうなんですか??』
自分『しかもこのトゲトゲの木が、本当に腹立たしいんだよなぁ』
S君『この名前なんていうんですか?』
自分『わからない。でも握ったら確実に痛いぞ。それにしても、もうそろそろ踏み跡かなんかが出てきてもいいんだけどなぁ…』
後半の会話
自分『どぅおりゃー!』
S君『………、このヤブってひどい方なんですか?』
自分『5段階の3くらいかな?笹もそれほど太くないしねぇ…ゴールもわかってるし…』
S君『………………(ガサガサ)』
高度はすでに中門岳の草原あたりを越えている。もう、あきらめの境地で上を目指すしかない。やっと平らになってきたけど、笹がなくならないなぁと思っていると、目の前に草原の一部が見えた。『やったー!』と思いきや南斜面にこの草原がある。登山道もなく、イメージと全く違っている。一周見回すと小屋が見えるが…見えるはずの方角が明らかに違う。どうも駒ヶ岳山頂東側に出てしまったようだ。
草原の斜面にフェルトシューズが滑る滑る。ヤブと滑るのどっちがいいかをS君に選択させると『ヤブで』と答えた。人間の感覚なんて適当なものだ。再突入後15分程度で、ヤブの隙間からS君が人工物を発見、これによりヤブからの脱出が図られた。はじめの突入から、およそ1時間でした。
整備された登山道を2時間で国道着、バスを1時間40分待って車を回収に行きました。歩けば9キロでしたが、その方が早かったかな??
今シーズン最後の泊り沢山行でしたが、かなり充実したものになりました。
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