明神滝〜高庵山〜頭巾山〜洞峠☆新緑のトレイルと滝めぐり


- GPS
- 08:01
- 距離
- 16.9km
- 登り
- 1,249m
- 下り
- 1,244m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
丹波北部の地図を眺めると頭巾山から天狗畑、地蔵杉を経て長老ヶ岳へと延々と続いてゆく尾根が目に入る。冬の若丹国境のオバタケダンや白尾山からこの尾根を眺望し、縦走への意欲が掻き立てられることになる。一日の行程を考えると頭巾山から洞峠までが妥当なところと思われるが、問題は頭巾山へのアプローチである。
過去のレコではこのトレイルを歩かれておられる方々は洞の集落から高庵山を越えてアプローチしておられるが、美山の名瀑の一つという掛橋谷川の明神滝を拝みたかったこともあり、この明神滝から東に伸びる尾根からアプローチすることを考える。
府道34号線を北上すると、。洞の集落を過ぎると民家もなくなり、途端に山深くなる。明神滝の手前に左手に洞の大滝がある。道路からは新緑に囲まれて黒々とした絶壁が目に入る。その高さは70mもあるらしい。絶壁を流れ落ちる水の水量が極端に少ないのが残念なところだではあるが、滝下まで近づいてみると、新緑に包まれた滝の岩壁は十分に壮麗な雰囲気だった。
明神滝にたどり着いてみると、滝の案内標がある広地には車数台分の広さがある。この場所からは明神滝を上から眺めることになる。折しも滝の流心に朝陽が当たって、白く輝いている。滝の滝壺まで降りてみたいところではあるが、山行前に靴を濡らす危険があるので、ここはひとまず我慢する。
滝の落ち口は二俣の合流部となっているのだが、大きな岩盤の間を平流が流れており、岩盤からはいとも簡単に対岸に渡渉することが出来る。カジカガエルの鳴き声を聞きながら急峻な尾根に取付く。尾根の下部は等高線の間隔が狭く、苦労することが心配されたが、馬酔木の間を縫って進む微かな踏み跡があり、意外にも容易に高度を稼ぐことが出来る。
やがて尾根がなだらかになるにと踏み跡がはっきりとしてくる。自然林が続くが、通過に難儀するような藪もないようだ。細尾根には所々でワイヤーが散見するので、この踏み跡は森林作業のためのものなのだろう。
ca500mを過ぎると尾根は再び急登となるが、斜面をジグザグと登る踏み跡がついており、ここでもさほど苦労することなく急登を登りきることが出来る。標高点601mを越えると山毛欅の林となり、下生も少なくなる。
尾根がなだらかになると、新緑がなんとも美しい山毛欅の回廊が続き、新緑のシャワーを浴びながら尾根を歩む。新緑の山毛欅には時折の日差しが林床に柔らかい木洩れ陽を落としては消えてゆく。
高庵山からの尾根とのジャンクション・ピークとなるca730mに到着すると時間はまだ9時46分。この尾根の登りに時間を要することを心配していたが、ここまでは順調に思われるので高庵山まで往復することにする。
高庵山にかけての吊尾根に入ると足元には多くのイワカガミが見られる。尾根は歩きやすいのだが、このあたりはダニが多いようだ。足元を確認すると服には数匹のダニが張り付いている。
山頂の東側には大きく斜面が開けており、正面には鉢ヶ峰から白尾山へと続く尾根が見える。山頂は樹林に囲まれており、繁茂する草の中に埋もれるように三角点の柱石があった。
折り返すと復路はca750mを左に巻いてジャンクション・ピークに戻る。どこまでもこの快適な樹林が続いてくれるものかと期待したいところだが、次第に西側の掛橋谷から植林が上がってくる。p732が近づくと尾根には徐々にユズリハが増えてくる。ユズリハを避けるように踏み跡が続いているが、ピーク直下では完全に濃密なユズリハの藪となる。一瞬、思案したが、ここに至るまでのダニの多さを考えると、このユズリハの藪の中に突っ込むことは非常に危険な行為であろう。尾根を諦めて西側の檜の植林の斜面をトラバースすることにする。
p732で尾根は大きく北西方向に向きを変えることになる。尾根上にはしばらくユズリハの濃密な藪が続いているが、その尾根芯直下の斜面には鹿みちによると思われる斜面に刻まれたステップが続いており、意外にも楽にユズリハの藪を回避することが出来る。再び尾根がp835の登りにさしかかるところで尾根のユズリハはほぼ完全になくなり、再び快適な山毛欅の林が続くようになる。
p835にはPH氏のかなり真新しいプレートがある。頭巾山への鞍部に下ると、ここは一月ほど前、行谷林道から谷を登ってきたところだ。その時はまだ新緑は始まっていなかったので谷の上部から林道を見ることができたが、今やすっかり新緑の林が広がっており、全く見通しは利かなくなっている。鞍部からは満開のイワカガミを眺めながらわずかにひと登りで山頂に到達する。
前回は頭巾山山頂では多くの登山者を見かけたが、この日は流石に平日のせいもあってか山頂は誰もいない。遠くから正午を知らせるサイレンの音が聞こえてきた。山頂の祠の手前の岩は絶好の展望を見ながらランチ休憩をとるには格好の場所だ。
祠の正面の手水鉢には「銅禁山大権現 安永二年六月」とある。安永とは聞きなれない年号であるが、1772年から81年までのわずか10年間の短期間の年号だったようだ。すなわち安永二年は1773年にあたる。内田嘉弘氏はその著書『京都丹波の山』の中で、この山の名称は元来は銅禁山であったではないかと記しているが、この手水鉢をみると自ずとそう考えたくなる。そもそも頭巾山と書いて「どうきんさん」と読ませるのはなんとも不自然だ。
東側の樹間には若丹国境尾根を垣間見ながら再びp835に戻ると、ここからは大きく方向を転じ、洞峠を目指してトレイルを西に向かう。広くなだらか尾根は歩きやすく、快速に進むことが出来る。時折、古い美山トレイルのテープがあり、美山トレイルとして整備されようとした記憶を物語る。尾根の南側には午前中に登った高庵山のピークが姿を見せる。
P853に達すると北西に向きを転じ、草原が広がる斜面を下る。斜面からは見晴らしがよく、天狗畑のピークへと続いていく尾根が目に入る。天狗畑は新緑の山肌とその中に点在する針葉樹とが鮮やかなコントラストを見せている。
尾根にはしばしば大きな山毛欅の樹が現れる。南側には時折、植林が混じるが、快適なトレイルが続く。
P794からは植林地の中を緩やかに天狗畑のピークを目指して登ることになる。天狗畑のピークは樹林の中の小さな山頂広場であり、山名標の代わりに綾部市の古屋の地区が整備された看板が天狗畑の名称の由来となった伝説を紹介している。
天狗畑の山頂を少し西に尾根を進むと北側に大きく展望が開けており、伝説に出てくる天狗を懲らしめるために和尚がこの天狗畑まで飛んだという君尾山が見える。その彼方には日本海と丹後半島の山々が目に入る。右に視線を移すと青葉山の左手には養老岳と三国岳、その間には彼方で何本もの電波塔を山頂部に抱いているのは航空自衛隊のレーダー基地がある空山のようだ。
洞峠にかけて下る。途中、何度も古屋地区が整備された道標が大ブナと天狗畑までの距離を示す道標が現れる。大ブナまで0.8kmという標識の次にすぐに0.5kmという標識が現れたかと思うと、しばらく行ってからまたもや0.5kmという標識が現れる。プラスチックで作られた標識は風に弱いのか真新しい道標はすでにかなりのものが割れて地面に落下するか割れかけであった。
大ブナは樹高は湖北で見かける山毛欅の大樹に比べるとそれほどでもないように思われたが、いく筋もの深い切れ込みを有する樹幹は相当に太く、迫力のある容姿を見せてくれる。大ブナからはわずかな距離で洞峠にたどり着く。
洞峠は歴史のある峠のようだが、地蔵や祠のものは見当たらない。美山の側からは古道が上がってきていたが、それとは別に明瞭な新しい道がつけられている。植林の中の歩きやすい道を辿って、音谷に入る林道に着地する。
林道をわずかに登ると早速にも最初のカーブに音谷の滝の案内標があり、65m3段と記されている。林道のカーブからは正面に音谷の滝をみることが出来る。音谷の滝は林道の上からしか眺めるしかないかと思っていたが、滝壺のあたりをみると歩道橋のようなものが整備されているのが視界に入る。林道を下るとすぐにも音谷の滝壺への案内標があり、谷へと下る遊歩道がある。整備された遊歩道を辿って滝壺まで楽に到達することが出来る。
さらに滝の左岸にも道が続いており、上段の滝の下まで近づくことが可能であった。あとで調べるとこの遊歩道は地元の洞地区の有志グループ、その名も「洞志会」の方々がつい最近に整備して下さったものらしい。
再び林道に出て洞の集落を目指すと、今後は左手に聖ヶ谷の滝が現れる。案内標によると41mの落差があるらしい。
洞の集落に出ると田植えがされたばかりの水田に丁度、水を引き入れているところだった。水を張ったばかりの水田に映る山影も瑞々しい緑色を呈するように思われる。
再び北上して明神滝へと戻ると、いよいよ明神滝の滝壺を来訪する。滝の下流で林道から川に下降して、左岸に渡渉する。滝の手前の大岩をよじ登ると滝壺の淵にたどり着くことが出来るのであった。案内標によるとその落差は8.5mとあり、落差こそ小さいのものの、二筋に別れて流れ落ちる直瀑は明神滝の名称に相応しい迫力がある。滝壺のすぐ手前は簡単に渡渉することが出来て、右岸の斜面を駐車場まで上がることが出来るのであった。こんなに容易に滝壺にたどり着けるのであれば・・・と思うところだが、それは結果論であり致し方ないことだ。
音谷の滝に関する京都新聞の記事
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/3722
コメント
この記録に関連する登山ルート
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良いところに行かれましたね。滝あり山毛欅の大樹あり、これは要チェックです。出ダニが気になりますが……
洞の大滝は水無の滝とも呼ばれているように、流水が見られるのは大雨時だけだとか。
音谷の滝はわたしは林道から眺めただけです。遊歩道で再訪しなくては……
聖谷は一の滝の上にも昔の遡行図を見てみると、20m以上の滝が4つ記されています。行きたいのですが、それなりの装備と技術が必要みたいなので、わたしの技量ではちょっと無理かな。
ダニに遭遇したのはほとんどが前半の高庵山のあたりでした。とはいえ、今年は暖冬で雪が極端に少なかってせいか、山に入る限り、どこの山でもダニには気をつけなければならないことと思います。これまでとはダニに遭遇する確率が全くといってもいいほど異なります。
聖ヶ谷は最初の一の滝を越えれば、どの滝にも高巻く踏み跡が付いている・・・という話です。
音谷の滝の遊歩道に関する京都新聞の記事のリンクを貼っておきました。直下で見ると実に迫力のある滝でした。
情報ありがとうございます。
今年はダニの当たり年?ですか、これは気を付けなければなりませんね。
聖ヶ谷、調べてみました。最初の滝を巻くのが大変そうですね。
高庵山のテープを取り付けたのは私です。2016/5/8の山行のときでした。このときは、福居から高庵に登り、頭巾山から堀越峠に縦走し、オバタケダンから下りました。結構ロングコースとなりました。
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