記録ID: 24113
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積雪期ピークハント/縦走
関東
本社ヶ丸 好展望と、シリセードと、追われる猪
2000年02月12日(土) [日帰り]
tanigawa
その他3人
- GPS
- --:--
- 距離
- 16.9km
- 登り
- 1,306m
- 下り
- 1,302m
コースタイム
東京・西多摩の自宅(7時35分)車→大月(8時20分、朝食、9時15分発)→甲州街道・笹子の分岐(9時25分)→東京電力の変電所→奥野沢の橋(車デポ、9時55分発)→清八峠下の尾根テラス(朝食)→稜線の岩場のテラス(11時15分、昼食・撮影、12時20分発)→本社ヶ丸山頂(12時35分、12時45分発)→岩場テラス(13時02分)→奥野沢の橋(14時09分、14時30分発)車→自宅(15時45分着)
天候 | 快晴 |
---|---|
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
前日の朝までは、私と二男・峻ニ(中学2年)とで、湯の丸か根子岳の上信国境の山へスキーで登ろうと思っていた。しかし、前夜、帰宅したら妻(遥子)が、「全員で行くことにしたからね。もっと近くの、歩ける山へ行きたい」という。 ばたばたと行き先を検討したあげく、中央線沿線の山で、ぜひと思っていた高川山、杓子山、本社ヶ丸あたりを候補に選んだ。遥子は体調が回復したばかりだが、いずれの山も車を使えば行程は短い。 出発してから、名前のおもしろさと標高から予想される好展望を期待して、本社ヶ丸を目標に選んだ。 2月12日、朝はゆっくり7時30分すぎに家を発つ。八王子ICから中央高速に上がると、奥多摩の山々には薄くもやがかかっていたが、小仏トンネルを抜けて相模湖の手前へくると、真っ白に輝く富士山が目の前に現れた。丹沢もくっきり。今日は展望が期待できるかもしれない。遅く出てきたのを後悔した。 大月でゆっくり腹ごしらえをして、笹子から、甲州街道と分かれる。登山道コースから少し先の新しい車道の分岐で左折して、できたばかりのトンネルを抜け、東京電力の変電所への車道を上がる。 (トンネルの先で登山ルート・旧道が左から合流。最初は新道があるのに気づかず、旧道を上がって車は行き止まりになり、甲州街道へひき返した。) 変電所からは林道のように道が細くなった。護岸をコンクリートで固められた沢を橋で渡る。この沢は完全に氷結して、氷の大スロープになっている。林道が細い砂利道になって、凍った路面を上がっていくと、登山口らしい駐車エリアに出た。 身づくろいをして、出発(9時55分)。 7分ほど上がると、林道と分かれて、ようやく登山道が始まった。ここまで、ブリキの板に紅白のペンキで描いた道標が要所にあって、迷うことなく誘導された。 登り出すと、積雪は10センチくらい。足場は昨日の登山者がよく踏み固めてくれていて、スパッツはいらない。 事前の情報では、この尾根道は北側だけに、暗く、寒いと予想してきた。ところが、尾根は終始、カラ松(落葉松)の林が続き、冬は葉が完全に落ちて、陽射しがまぶしいくらい。2月半ばの太陽の位置、そして遅い出発、そのうえ尾根の緩やかな傾斜も、幸いしたのかもしれない。みんなシャツだけで、それでも温かい。 登りながら何度も振り返って、背後の山々を確認する。 奥秩父、そして茅ガ岳方面は早くから視界に入ってきた。そして、尾根道を中腹まで上がったところで、八ヶ岳の白い稜線が姿を現し始めた。 標高1400メートルほどで、右手(西側)の稜線ごしに甲斐駒ケ岳が黒ぐろとした岩山となって姿を現す。ついで1450メートルほどで北岳が白い稜線と黒いバットレスも鮮やかな姿を現した。突然、鞍部ごしに現れた北岳の大きさに驚く。 南アルプスは登るにつれて聖岳まで3000メートルの峰みねを連ねた全容が浮かび上がってきた。 北西の送電鉄塔が立つ尾根の右手、はるか遠景には、薄く、白い山々も見える。穂高連峰と槍ヶ岳へ続く稜線だ。大キレットは、かすんでいても判別しやすい。 稜線の下で尾根はぐっと傾斜を増して、陽射しが当らなくなった。積雪が20センチほどになり、表面がクラストしたサラサラの雪質に変わる。樹林もブナとカンバになる。丹沢や道志、そして奥多摩の山々にも、いまもこうして美しいブナ(イヌブナ)の樹林が残されているのはうれしいことだ。 緩い傾斜のトラバースにかかって、休憩してのどを潤す。冬のブナの林は、とても明るくて、まぶしい。 清八峠付近の稜線に出た。 5,6分、稜線をたどると、展望のいい岩まじりの明るいテラスに出る。(11時15分) 富士山と南アルプスがすばらしい。「富士山て、あんなに傾斜があって、高い山なんだ」「お父さん、やっぱり、一度富士山に登ろうよ」と子どもたちから声が出る。 ここで、昼食と決め、カメラと双眼鏡をとりだして、撮影と展望にいそしむ。気になっている北アルプスは、少しもやが多くなってきたか。双眼鏡でしっかり確認する。槍ヶ岳はガスが少し出ているようで、瞬間的に確認できただけだった。その右に、常念岳と、そして大天井岳付近の大きな高い雪山も連なっていた。穂高の岩のかたまりも、はっきり見えた。 双眼鏡でやっとおぼろげに、という条件だから、撮影はむずかしい。空気が本当に澄んだ朝だったら、ここからすばらしい遠望写真が撮影できるにちがいない。 近くで鉄砲を撃つ音がし、周囲の山々に反響した。さきほど清八峠あたりですれちがった猟友会の人たちが撃ったのか。 この場所で一人で昼ご飯を食べていた登山者が、「さっき、目の前を何頭もイノシシが駆けていったよ」と話す。 昼食後、本社ヶ丸の山頂を往復する。山頂までは3度、4度と足場が悪いアップダウンがあって、ところどころ凍っているだけに、けっこう苦労させられた。 山頂からは、ほぼ360度の展望。とくに南アルプスは、山頂からの方が高度があって、全体が見渡せる。富士山は、前山の三ツ峠との位置からいって、先の岩場のテラスの方が、高度感がある。北アと八ヶ岳はもやがひどくなってきた。 帰りは、車まで、1時間少しと見積もって、歩き出した。 雪のスロープになったブナ林まできて、遥子がポリ袋と、ザックの背あて用のマットレスを出す。「すべろうよ、みんな」。そういえば、以前、奥多摩の笹尾根に、そりを持って上がって、大滑降をやったことがあったっけ。ここも、登山道だけよく雪が踏まれて、トイ状になっていて、うまくやれば、かなり下まで楽しめそうだ。 長男の岳彦(高2)がまず滑りだし、歓声を上げながら視界から消えていく。続いて、遥子。峻二は、ちょっとはにかむ年頃で、いったんは見合わせて、にやにやする。 追いかけ、追い付くと、遥子が「ポリ袋はよく滑るけれど、雪面のデコボコや木の根が直接、響いてきて、"自然とお尻で接している"という感じ」という。言うなり、また下へ滑り降りて、今度は勢い余ってコースを外れて、二本の幹のあいだに体が落ちて、動けなくなった。助け起こした峻二が、「今度はぼくにやらせてよ」という。 子どもたちは、ズボンもシャツも濡らして、尾根の傾斜が「もう、滑らない」というほど緩くなるまで、走っては滑り、下っては滑りを繰り返した。 途中、猟友会の人たちが犬が戻ってこないと、探していた。イノシシたちは、この登山道の尾根の東を稜線へと追い上げられ、今度は尾根の西側の谷を下っているという。冬を越すだけでもたいへんなのに、犬と銃に追われて、今日はイノシシたちにとって最悪の日になっているのではと思った。 14時すぎに登山道から林道に降り立つ。子どもたちは、沢筋で今度は太いツララを見つけ、騒ぎあって、雪が解け出した道を下った。「おもしろい山だったね。それにあったかくて、展望も素晴らしかった。」と遥子がいう。私も、写真のでき上がりが楽しみな、充実した山行きだった。 |
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