厳冬期の鎌ヶ岳(鎌尾根〜カズラ谷)


- GPS
- 09:20
- 距離
- 8.0km
- 登り
- 994m
- 下り
- 993m
コースタイム
天候 | 積雪量: 週始めの寒波のせいか、 全体的に予想以上に雪がめちゃ多かったです。 ラッセルは少なくても膝上、吹き溜まりでは胸辺りまで来てました。 天気: その日も気圧は冬型で、予報でも北日本は雪ともいってました。 曇り時々粉雪で、途中から青空も見え隠れして比較的穏やかでした。 18時から晴れとなっていたのがやや早まったとも取れます。 鈴鹿山系の中でも鎌ヶ岳の天気はやや太平洋側の影響を受けるようです。 雨乞岳・御在所岳はガスっていてもこちらはまだ持ちこたえていました。 標高も2つより幾分低いからマシなのかなと思います。 雪質: 水沢峠まではやや湿雪、稜線上は乾雪でした。 風:コルの吹き抜ける箇所は非常に強く、立っておられない時がありました。 でもコルから外れるとましになります。 いうても森林限界以下なので全然マシです。 気温: それほど低くなかったです。-5度くらいじゃないかと思います。 |
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過去天気図(気象庁) | 2013年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
トイレもキャンプ場内にあるがそこまでそこそこ距離があるので できればコンビニで済ましておいたほうが良いと思います。 登山ポストは見当たりませんでした。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
#ここでのPeak.NOは私が整理のために付けたものです。 #詳細は下のほうにある「ファイル」のjpg を参照してください。 #写真にもルート状況のコメントをつけています。 ■林道から水沢峠 林道からの入り口には、立派な標識がありました。 この登山道は地形が難しいので迷うかな?と思っていましたが 幸い今回はトレースがあり助けられました。 トレースがない場合、要所要所には赤テープありますが基本少な目で 必要最小限に感じました。見失ったら多少探す必要あると思います。 でも2万5千地形図の登山道は概ね正しく着いていました。 トレースの主は先行者の女性お一人だったようです。すごい! 鎌ヶ岳が好きでしょっちゅう登っておられるようです。 でも沢の詰め始め手前までいって雪が深かったので諦められたようです。 途中ですれ違いました。(途中まで楽をさせていただき感謝です。) 水沢峠手前の沢の詰めは雪が深くなります。 氷瀑を右に見て右岸の巻き道(夏道どおり)から詰めました。 ここのトラバースは夏道でもそうですが少し緊張感を求められます。 ただ今回は新雪だったので滑ることもなく一歩一歩新調に行けば大丈夫でした。 雪の高さは、だいたい腿辺り、峠手前では吹き溜まってガッツリ胸辺りまでありました。(~~; ■水沢峠から鎌尾根稜線上 水沢峠からPeak.9 水越山 までは馬ノ背のような箇所があり 人によると少し緊張するかもです。 水越山からのガレた急な下りは風の吹きさらしで雪は着いていませんでした。 でも砂も凍り付いていてアイゼンはあった方が安心です。 ○Peak.8(1028峰)辺りからPeak.7 稜線はなだらかでラッセルも深かったです。 途中、風の通り道の間だからか、吹き溜まりの山が出来ていました。 ○Peak.7は滋賀県側からの登山道の出合いとなるピーク 特にピークらしくなく、赤・黄テープがやたらと目立つのでそれと分かりました。 急な下りの道なき道を行く感じで一歩踏み出すまで勇気が必要でした。 この辺りからダブル ピッケル(アックスではない)使用して降りました。 Peak.7からPeak.6へのコルへの地形は稜線というより山腹の下りで、 視界が悪かったらコンパスで方角を確かめながら降りたほうが良いと思います。 私も降りてみると右手により大きな稜線が見えたのでルートをずらしました。 ○Peak.6(双耳峰)の手前の岩場は左手から巻いて稜線上へ上がります。 ここは雪量が相当多い急な傾斜でラッセルに苦労しました。 Peak.6 の西峰から東峰へは稜線上は傾斜が急で怖そうだったので、 北側をいったん降りてからトラバースしました。 Peak.6〜Peak.5の稜線上は雪庇が貼り出していて危険でした。 雪が高過ぎるせいで稜線上を歩こうにも覆いかぶさる樹林帯の枝が 低くなって雪庇側に迫り出して歩けないので、結局雪庇の上を歩いていました。 2本のピッケルを各々肩たすきのシュリンゲから何本かで長めに繋ぎ、 樹林帯との境にピッケルを差し込んでは移動しをを繰り返しました。 ひやひやものでした。 ○Peak.5は岩峰でした。岩場の稜線で怖そうですが、 稜線を避けてトラバース気味に行くと岩壁のような斜面が出てきて、 エライことになりそうなので頑張って忠実に稜線上を歩くほうがよかったです。 たしか、気づいたら主稜線から外れて降りていたので、途中からトラバースを 試みた結果が、先に述べた事態になり、まずかったことになったと思います。 雪に隠れていて良く分かりませんでしたが、稜線は割と大きな岩で構成されているようでした。 岩の形や、岩の境目があるのでどこが安定して体重を預けられるかを見つけるのに、 一歩一歩慎重にピッケルで足場を探してました。一番神経を使った場所だと思います。 Peak.5〜Peak.4 特に問題なし。Peak.4手前の登りは雪も吹き飛んでいました。 確かPeak.4手前に小ピークがあり直降はできなかったので一度左手に進路をとって 急なザレを下ったように思います。その後、稜線上に戻れました。 この辺りも、雪がないにも関わらず夏道ルートがどうなっているのか? 良く分からなかったです。 まあ、無事降りれたのでよしでしょう。(^^; ○Peak.4からPeak.3は相変わらず雪庇が激しく、急な角度で突き上げていました。 ○Peak.3からの下りは、いきなり崖っぷちの行き止まりとなっていました。 焦りました。ここは特にロープあったほうが良かったと感じました。 しばらく回りを見回した結果、左の少し下から細いルンゼがあり、 そこを下ることに仮決定。15〜20m位の下りだったと思います。 その先のルートを探すと、岳峠に向かえそうなので、Peak.2はスキップすることにしました。 ルンゼ下りはあまりに傾斜が急で危険を感じましたが、 踏み入れてみると割と雪質は安定していたので何とか下れました。 アドレナリンでまくりでしたが、こんなときこそ落ち着いて、 ただただ一つ一つの動作を淡々とこなすよう心がけていたら、 あっちゅう間にそこそこ降りていました。 後から調べると、Peak.3からのルートはどうやらピークの右手から鎖かなんかで降りて、 カニの横ばいをするようです。 #当然、私が行ったときは雪庇側だったこともあり全く気づきませんでした。(^^; ○岳峠(Peak.1〜2のコル)から鎌ヶ岳(Peak.1)ルンゼ上の地形を登りますが、 そんなに危険は感じませんでした。雪もそこまで深くなくひざ下くらい。 Peak.1はすぐです。 雪も安定していて楽チンで登れました。 #それまでが大変だったからそう感じたのかもしれません。 ■鎌ヶ岳から帰り カズラ谷登山道へは岳峠へ行かず、いったん長石谷に下り、 ある程度下って谷に下りてから一つ目の支尾根を登り返しました。 岳峠からPeak.2への夏道はブッシュの中を行くのでイメージがよくなかったため あまり気が乗らなかったからです。 ちょうど、長石谷からの踏み跡があったため頂戴しました。 支尾根の登り返しは、雪こそ深かったもののそこまで危険もなく 時間をかければ問題ありませんでした。冬道ならではの良さを実感した次第です。(^^) ○雲母尾根へ出てからカズラ谷への登山道は、今回は踏み跡があり楽チンでしたが、 もしも踏み跡がない場合は難しいルート取りを要求されそうです。 結果オーライでしたが、迷うくらいなら雲母峰への尾根を行くか、 それとも鎌まで上り返して武平峠へ行くかを求められたと思います。 |
ファイル |
鎌尾根には地形図には出ていない隠れピークが多いので、整理のため解析して勝手に番号を付けてみました。
(更新時刻:2013/02/25 08:33) |
写真
ナゼって、積雪が高いので本物の稜線を歩こうとすると木の枝に絡まります。
でも雪庇の上は歩けません。
木の枝と向き合って頑張るか、風上側の樹林帯の中に降りて、合間を抜けるか(これまたしんどい)を絶えず見極めてました。
・・・覚悟を決めて仕方なく雪庇の上を歩きました。
まあ落ちても樹林帯の中なので死ぬことはないだろうけれど、稜線にあがってこられるか?
あと捻挫が怖い。
意味あるか分かりませんがピッケルを樹林帯側に差し込んでは移動し、差し込んでは移動し。
精神的にトホホでした。(;_;)
ここ辺りは実に怖かったです。
恐らく下は巨岩の稜線、一歩一歩をピッケルさしては慎重に。
たまにピッケルさしたら穴が見えたり(笑)
早く抜け出したい、一心でした。
次のピークはザレ場が見えて安心そう。
Peak.2(キララ峰の尾根との合流点)はスキップして樹林帯の中を岳峠の高度まで降り、トラバースすることに決定。
少々危険だが、覚悟を決めて一歩ずつアイゼン前爪・ピッケルを決める。
実は帰りは、先のトレースを追いかけてみると、
岳峠へも行かず長石谷に向かっていることが判明。
コレじゃあ宮妻峡には遠回りになる、と 薄々気づきつつも戻る気にもなれず、谷に下ってからキララ尾根(勝手に命名)に適当な箇所を見つけて登り返した。
感想
■行きたかった鎌尾根☆
これまでに鎌ヶ岳には何度か登っていたが、
この鎌尾根にはまだ足を踏み入れてなかった。
記録を調べると、以前行った雪の鎌ヶ岳は2年前の3/27。
季節は残雪期だったが、鎌ヶ岳の北斜面はカチコチにクラストしていて、
タガーポジションでピッケルを急斜面に突き刺して下降し、
初めてピッケルらしい使い方をしているな〜、と実感した記憶がある。
その山頂から眺めた南に伸びる鎌尾根。。。
「鎌尾根」という名称も含めて、あのギザギザの稜線をいつかは颯爽と歩きたい!
と思っていた。そしてできるならば、厳冬期に。
硬く締まった雪をアイゼンを聞かせながら、青空をバックに白く染まった鎌尾根の
稜線越しに鎌ヶ岳のピラミッドを眺めたい!そんな理想のイメージを抱いていた。。
狙い目としては、雪がたっぷり積もってから最低でも一週間、できれば10日位は
経っている必要があるだろうと思う。
そして冬型気圧配置の強い風に上空に寒気が入って、ギンギンの冷え込んた後だ。
でも、ヤマレコで最新の状況を定期的にチェックするも、
なかなか雪もそんなに積もってなさそう。
そんな状況のまま、2月が終わろうとしていた。あぁ、冬が終わってしまう〜、
と思っていたら、水曜あたりにそこそこの雪が降った模様。
次の土曜ではまだ雪も安定してないだろうが、3月の前半は予定が積もっているので、
この機会を逸すると雪はなくなってしまい、来年にお預けだ。
よし行こう!と決めたのは、金曜の晩。(遅い)
そこから何やかんや用意してたら、時刻は深夜になってしまっていた。
案の定、朝寝坊。。。いか〜ん!と思いながら、まあ何とかなるだろうと思って出発。
■振り返ってみれば
他の人の記録を見て、軽く「いけるやろっ」、位に思っていたが、
振り返ってみると正直言って、鎌ヶ岳の厳冬期を舐めていた(^^;。というのが実感。
あんなに雪に積もった稜線を歩こうとは想像していなかった。
夏道も一度も踏んでいないこともそうだし、装備も不足だった。
今回の状況ではやはりロープは必要だったと思う。
山に入った時間も遅かった。
結果論として、天気がよかったから難なく帰ってこられたが、
もし天候が荒れていたら、遠目が利かず、もっとルーファイも時間がかかっただろうし、
風が強すぎて前進も後退も出来なくなっていたらビバーグするにも準備は万全ではなかった。。
ビバーグの準備はといえば、ツェルトと ダウンとフリースの少なめの防寒着のみ。
コンロすら持っていってなかった。
Peak.3の下降も、雪がまだ締まっていなかったため、
ルンゼ帯を下降できたが、あれがカチコチにクラストしていたら、やばかったと思う。
でも逆に、勝因は何かと考えるとやはり荷が軽かったからかもしれない。
時に胸までラッセルをしながら、体力が持ったのもいつもより荷物を図らずも減らしたからかもしれない。
なんで、結果論としてはOKだが、やはり冬山は絶えず状況が変わるので、
そのときの状況に装備をマッチさせる事が欠かせない、かつ難しい点だと思った。
わずかな標高の山でも、初心を忘れず山を舐めず、気を抜かずに山に入ることの
大切さを改めて考える結果となった。
■総括
今回の山行は、自分が期待してイメージしていた鎌尾根とはずいぶん違い、
ラッセル三昧とスリリングに富んだ結果となったが、
それはそれで非常に達成感と充実感とに満ちた、かつ、いい教訓となった山行となった。
また気持ちを新たに山への謙虚な気持ちを抱いて、また次を計画したいと思う。
お疲れのところ、山行計画をしている人のために状況写真だけでも提供されるというサービス精神は素晴らしいと思いました。
私は計画はしておりませんが他の人には状況が分かって役に立つことでしょうね。
reserveさん、今日は。
水沢峠までのラッセルの後、更に5時間掛け鎌尾根をラッセル。 体力、気力に脱帽です。
水沢峠下の氷瀑や、谷の様子は先週よりも雪が多そうに感じます。
鎌尾根に4時間をかけて計画していましたが、更に余裕を見込む必要がありそうですね。
厳冬期のコースタイム、尾根の様子。
貴重な情報を有難うございます。
yamaChoco2さん、
コメントありがとうございます。
いえいえ。私が山へ入るときにはいつも直前までヤマレコで皆さんの記録から状況をチェックさせていただいているので感謝をお返ししているだけです。
記録を書くのはいつも時間がかかるので。
今の雪も一週間後にはどうなっているやら。。。
onetotaniさん
祝福の言葉、痛く感謝です!
結果論、天気がよかったので気持ちが萎えなかっただけのような気がします。(我ながら単純
状況を参考にしていただけたらとても嬉しいです!
でもタイムの方は、参考になるかどうか(^^;
というのも私のタイムは、鎌尾根が(夏道も含めて)初めて
稜線上で迷いようないですが、岩稜帯の通過に加え、発達した雪庇と雪面側にせり出す樹林は本当に歩き難かったです。
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