北八/麦草峠〜蓼科山(大学夏合宿)
- GPS
- 248:00
- 距離
- 35.7km
- 登り
- 1,488m
- 下り
- 1,925m
アクセス |
---|
感想
蓼科山麓の夢の平キャンプ場に着いたときは雨だった。
北八ケ岳を重いキスリング背負って縦走した身体はくたくただった。
このテン場1泊目。
6テン(6人用テント)には4人で寝ていたはずなのだが
朝、一番出口側で寝ていた同期のSの顔はドロドロの水溜りに半分浸かるくらい
はみ出していた。
4人のはずが窮屈さで起き上がって眺め回すと6人いる。
リーダー、コースリーダーである先輩2名が間に紛れ込んでいたのだ。
「どうしたんですか先輩?」
「ゆうべな・・・ゆうべ出たんや・・・」
先輩たちの話によると
この悪天で明日以降の計画をどうするか
皆が寝静まった後、リーダーテントで夜遅くまで話し合っていたそうだ。
24:30。
遠くから遭難信号のような間隔で笛の音が聞こえてきた。
それは ゆったりと、まるで蛍が光源を放ちながら舞うように
二人のテントの入口まで迫ってきた。
そして、同時に、登山靴の足裏に埋め込まれたナーゲル(鋲)の
コツコツコツと、あるはずもないコンクリートを歩き回る音が
テントの周りを動いては止まり、止まっては動く。
その音が遠のいた一瞬、二人は自分たちのテントから着の身着のまま飛び出し
我々のテントに逃げ込んできたのだという。
(まぁた先輩たちの嫌がらせだろう)
と思い込んでの2泊目。
一番出口側に寝ていた僕の耳のその奥まで
「ピ〜・・・ピ〜〜・・・・ピー!!!」
と強烈な笛の音が飛び込んできた!
まるで漆黒の谷底に落ちていく夢から覚めるように
「うわぁー」と飛び起きる。
暗闇のテントの周りに確かにそれらは鳴り響いていた。
「ピー、ピー、ピー」
「コツ、コツ、コツ」
「O先輩、O先輩!おきてください!!」
隣で寝ているO先輩を揺り起こす。
「で、でました・・・」
その音たちは夜が白み始めるまでズ〜ッと続いていた。
僕はO先輩と身を寄せながら
彼らが遠くに去っていくのを震えながら待った。
ようやく森の中に陽の予兆が始まりだしたとき
意を決してテントを飛び出した。
彼らは蓼科山の山並みを静かにゆったりと
あがって消えた。
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