「十年」と点名「坂ノ谷」周回
- GPS
- 05:58
- 距離
- 11.6km
- 登り
- 678m
- 下り
- 668m
コースタイム
天候 | 晴のち曇 |
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過去天気図(気象庁) | 2021年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
十年の先はルートファインディングの難しい箇所多数あり。 |
その他周辺情報 | 鹿伏の「みやなか」 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
靴
ザック
昼ご飯
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
GPS
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
カメラ
シュリンゲ
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感想
兵庫県最高峰の氷ノ山は、四方に長い裾を引くように尾根を伸ばし、周囲の山々につながっている。そのうち真南に伸びる尾根は鳥取・兵庫県境となり、南東へと延びる尾根は但馬・播磨の国境をなす。今日はこの国境尾根上の「十年」と、点名「坂ノ谷」を周回する。実は最大の目的は山菜取りなので、この季節、年に一度はこの辺りに来る決まりなのだ。
「十年」は宍粟50名山からは外れたものの別選5山の一つに選ばれていて、登山ルートが整備された。今日はこの別選5山ルートとなっている戸倉の大森神社から林道を入り、途中から支尾根につけられた道を国境尾根へと辿る。「十年」から先は、その規定ルートを外れて国境尾根をさらに北西に進み、坂の谷川の東の支尾根をヤマメ茶屋へと下る。
格式を感じさせる大森神社にお参りしてから、社殿裏に回って林道に上がる。林道とはいえ、路面には苔が生えて落ち着きがあり、気持ちよく登ってよく。右手の沢には20メートル近くの落差を持った滝が白いしぶきをあげて見ごたえがある。しばし林道を進んだ後、指導標に従って左手の尾根の鞍部に上がる。谷底と稜線との距離が50m満たないお得な取り付きである。ここはスギの枯れ枝などに覆われて不明瞭だが、すぐ目の上の最低鞍部を目指せば何ら問題なく尾根に乗ることができる。ここからは爽快な濶葉樹林帯となり、里ではとっくに過ぎ去った新緑真っ盛りの季節を再び味わう。いつ来てもすがすがしい尾根だ。登るほどに尾根は広々と幅を増してゆき、ブナの巨木が贅沢に間を置きながら天にそびえる。新緑の木々の間から、宍粟の山々が臨まれる。そして、国境尾根の996m地点に達すると、ますます伸びやかなブナの林に心安らぐひと時だ。尾根の左側にはカラマツが目立ち、青空にその新緑がまぶしい。ここは昨年、新戸倉スキー場跡から高圧線巡視路を辿り、点名「六郎谷」を経て登りついた地点でもある。巡視路が尾根を渡るところから十年まで、この見事なブナ林が途切れることなく続き、おそらく宍粟随一の景観を楽しむことができる貴重な場所と言える。さてここから左に、その素晴らしい景観の中、「十年」へと向かう。実際、十年までが今日のハイライトと言ってよかろう。十年の山頂は西側に眺望が開けている以外は木々に覆われて静寂を保っている。
「十年」から先は初めて足を踏み入れる場所だ。一歩進むと、その雰囲気はがらりと転換する。全山スギの植林帯となり、稜線の左右には味気のない仕事道が走るようになる。地形は複雑で要注意であるが、テープマーキングは数多く残されている。氷ノ山方向へこの尾根から向かう岳人もそれなりにいるのだろう。空模様も先ほどまでの晴基調から降雨の不安をかきたてる暗い雲の支配へと変わっている。そのため、植林帯はますます暗く、眺望も奪われてひたすら先を急ぐこととなる。主稜線はくねくねと曲がり、時にどこが稜線なのか曖昧ともなる。注意深くルートを確認して進むと、ようやく植林の切れ目から眺望が得られるところに出る。すると、雪のパッチをわずかに残す氷ノ山が、目前にひときわ大きく臨まれる。その左には、今年3月最後の雪を楽しんだ三ノ丸とその前山群(記録ID 3030944)が伸びやかな姿で横たわっている。
我々は国境尾根に別れを告げて、ヤマメ茶屋に向かって支尾根を辿るが、この尾根の派生する付近はとりとめのない広漠とした地形をなしており、ルートファインディングに神経を使う。数頭のシカを横目に見ながら、踏み跡を探す。ルートはおおむね、杉植林と自然林との境界線を辿ることになる。地籍調査の杭も打たれている。植林が一旦切れるとそこには戸倉反射板が立ち、東に宍粟の山並みのパノラマが広がっている。さらに下るにつれ尾根は痩せ、ルートはわかりやすくなるが、一方で急勾配の降りで慎重さを求められる。気が付けば尾根は新緑の濶葉樹林に覆われて美しさに溢れている。天気が良ければ爽快なことであろう。点名「坂ノ谷」の開けた山頂を越えてさらに下れば、やがて左右から沢音が聞こえるようになり、すぐに清流が目に入る地点に達する。左右の谷の合流点に降り立ってたやすい渡渉で対岸に上がれば、もうそこはヤマメ茶屋である。今日の第一の目的であった山菜の収穫を手に、一滴の雨にも悩まされることなく無事下山できたことに感謝するのだった。
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