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Yamareco

記録ID: 3206832
全員に公開
沢登り
京都・北摂

【京都北山】洞谷川・吉谷(聖ヶ谷)と洞峠の古道巡り

2021年05月23日(日) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
9.0km
登り
864m
下り
862m

コースタイム

日帰り
山行
8:30
休憩
0:00
合計
8:30
7:00
20
駐車地
7:20
7:20
270
吉谷(聖ヶ谷)に入渓
11:50
11:50
60
12:50
12:50
100
吉谷(聖ヶ谷)の一本西側の谷の滝
14:30
14:30
60
15:30
ゴール地点
天候 くもりのち晴れ
過去天気図(気象庁) 2021年05月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
洞谷川沿いの林道を800mほど入ったところの車止めの少し前の路肩に駐車(この箇所には1台分しか停める余地がない)。このほか,林道に入る手前に洞峠の案内板が立っているところがあり,そこに2台分のスペースあり。
コース状況/
危険箇所等
【洞谷川・吉谷(聖ヶ谷)】
※沢登りのガイドブック等では「吉谷」と記載されているが,現地の看板には「聖ヶ谷」とあり,地元では「聖ヶ谷」と呼ばれている模様。さらに不思議なことに,北山クラブの「北山百山」には「クマゴヤ谷」とも…。この諸説乱立ぶりはどうしたことだろう。
・地形図で見ると小さい谷に過ぎないが,両岸が険しく切り立った中に滝が数多く掛かり,意外に手ごたえのある面白い谷。特に,一の滝(公称41m)と,源流で地形が緩くなる手前の50m?滝の高巻きは大高巻きになるうえ,スリップの許されない急斜面が続きなかなかしんどい。「関西起点沢登りルート100」に「結構楽しめる沢で初級向き」とさらっと書いてあったので,半分散歩のような気分で入ってびっくりしました…。

【吉谷(聖ヶ谷)の一本西側の谷】
・結構奥まで林道が入っているので何の変哲もなさそうな谷だが,奥の等高線が詰まった箇所に40mクラスの綺麗な斜滝があります。ロープ要らずで谷沿いに下れるので,吉谷の遡行後に滝見物してみては(そのまま谷沿いに林道に下って下山することも可能)。

【洞峠】
・京都と舞鶴を結ぶ最短の街道として長い歴史を持つ峠で,古くは明智光秀などの歴史上の著名人も多くこの峠を越えたらしい。美山町側に少し下ったところ(ちょうど地図上で谷が急に険しくなる箇所)にあるお地蔵さんと,その前後の峠道の造形が渓谷美と相まって素晴らしい。稜線上には藪もほとんどないので,吉谷の遡行後は,ぜひ洞峠も回ってみてほしい。
洞谷川沿いの林道の奥,田植えを終えた静かな田んぼが散らばる雰囲気の良い集落から歩き出す。地元では音谷の滝と聖ヶ谷一の滝を名所として売り出し中らしく,道中随所にこのような看板があり迷うことはない。
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洞谷川沿いの林道の奥,田植えを終えた静かな田んぼが散らばる雰囲気の良い集落から歩き出す。地元では音谷の滝と聖ヶ谷一の滝を名所として売り出し中らしく,道中随所にこのような看板があり迷うことはない。
聖ヶ谷一の滝(41m)に到着。この滝は本日入渓する吉谷(聖ヶ谷)のF1でもある。
やぶこぎネットの山日和さんの記録に「41mとは妙に細かいが,どうやって測ったのか」とあったが,確かにおっしゃる通り笑
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聖ヶ谷一の滝(41m)に到着。この滝は本日入渓する吉谷(聖ヶ谷)のF1でもある。
やぶこぎネットの山日和さんの記録に「41mとは妙に細かいが,どうやって測ったのか」とあったが,確かにおっしゃる通り笑
対岸に一の滝が遠望される。あの滝を越える必要があるわけだが…さあどう巻くか。
とりあえず入渓しないと始まらないので,目の前の斜面を適当に谷底に下りる(ロープは不要だが急傾斜なので注意)。
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対岸に一の滝が遠望される。あの滝を越える必要があるわけだが…さあどう巻くか。
とりあえず入渓しないと始まらないので,目の前の斜面を適当に谷底に下りる(ロープは不要だが急傾斜なので注意)。
吉谷(聖ヶ谷)に入渓すると,いきなり両岸が岨立ち,5m斜滝が現れる。その奥にはもうもうと水煙を上げる一の滝が控えている。小さな谷の割にはなかなか迫力のある幕開けで,期待が高まる。
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吉谷(聖ヶ谷)に入渓すると,いきなり両岸が岨立ち,5m斜滝が現れる。その奥にはもうもうと水煙を上げる一の滝が控えている。小さな谷の割にはなかなか迫力のある幕開けで,期待が高まる。
5m滝を左端から直登し,一の滝(公称41m)の滝つぼに立った。遠望していた時はあまりぱっとしない印象だったのだが,実際にその下に立ってみると,予想以上に立派な滝だ。
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5m滝を左端から直登し,一の滝(公称41m)の滝つぼに立った。遠望していた時はあまりぱっとしない印象だったのだが,実際にその下に立ってみると,予想以上に立派な滝だ。
滝の真下から。まだ5月なのでさすがに水が冷たい。
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滝の真下から。まだ5月なのでさすがに水が冷たい。
巻きは右岸から。岩が出ている箇所が多く壁が立っており,慎重に登っていく。
巻きは右岸から。岩が出ている箇所が多く壁が立っており,慎重に登っていく。
小尾根を少し登ってから左手の泥の詰まったルンゼに移ったが,これがやっかい。上部に行くほど傾斜が増すうえ,一昨日の大雨で足元がどろどろで,しかも手掛かりに乏しい。今にも切れそうな木の根をつまみながら,だましだまし登っていく。思った以上の大高巻きをさせられた。
小尾根を少し登ってから左手の泥の詰まったルンゼに移ったが,これがやっかい。上部に行くほど傾斜が増すうえ,一昨日の大雨で足元がどろどろで,しかも手掛かりに乏しい。今にも切れそうな木の根をつまみながら,だましだまし登っていく。思った以上の大高巻きをさせられた。
ルンゼから右手の岩尾根に乗り移り,すこし尾根沿いに登るとすぐに比較的安定した谷状地形が出てきて,そこから谷に下りていく。
ルンゼから右手の岩尾根に乗り移り,すこし尾根沿いに登るとすぐに比較的安定した谷状地形が出てきて,そこから谷に下りていく。
高巻きの途中で見かけた立派なトチノキ。この谷は植林が多いが,ところどころ自然林もあり,初夏の陽に透けるような緑が気持ちがいい。
高巻きの途中で見かけた立派なトチノキ。この谷は植林が多いが,ところどころ自然林もあり,初夏の陽に透けるような緑が気持ちがいい。
降り立ったところがちょうど一の滝の落ち口だった。あれだけ登らされたのに,水平方向ではほとんど進んでいないという…(沢登りあるある)
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降り立ったところがちょうど一の滝の落ち口だった。あれだけ登らされたのに,水平方向ではほとんど進んでいないという…(沢登りあるある)
一の滝の上もミニゴルジュの中に滝が連続する。
一の滝の上もミニゴルジュの中に滝が連続する。
左手をへつり抜けた後,ミニゴルジュ出口のこの5m滝は水を浴びながら滝身を直登できて楽しい。
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左手をへつり抜けた後,ミニゴルジュ出口のこの5m滝は水を浴びながら滝身を直登できて楽しい。
この谷は,京都北山(丹波高地)らしい,黒っぽい岩の美しいナメ滝が多い。
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この谷は,京都北山(丹波高地)らしい,黒っぽい岩の美しいナメ滝が多い。
黒い岩肌を滑るように流れる水を楽しみながら登っていく。
黒い岩肌を滑るように流れる水を楽しみながら登っていく。
岩盤をえぐるように形の良い小滝が連続して落ちる向こう側に,大きな滝が陽光に輝いているのが見える。
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岩盤をえぐるように形の良い小滝が連続して落ちる向こう側に,大きな滝が陽光に輝いているのが見える。
小滝を越えると,大きな釜の向こうに2段15mほどの立派な滝。この滝は確か左岸を巻いたはず。
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小滝を越えると,大きな釜の向こうに2段15mほどの立派な滝。この滝は確か左岸を巻いたはず。
2段15mの上もゴルジュ状の谷が続く。
2段15mの上もゴルジュ状の谷が続く。
この小滝を登ると…
この小滝を登ると…
美しい20mほどのナメ滝。どこでも登れる感じで,流れる水を眺めながらひたひた行く。
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美しい20mほどのナメ滝。どこでも登れる感じで,流れる水を眺めながらひたひた行く。
450m二俣に到着。写真は登路ではない左俣だが,美しいナメ滝が出合いから谷の奥までずっと続いていたので,何となく写真を撮ってしまった。
というか,まだ450m二俣なのか…。意外に両岸が険しく,滝も多いので予想以上に時間がかかる谷だ。
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450m二俣に到着。写真は登路ではない左俣だが,美しいナメ滝が出合いから谷の奥までずっと続いていたので,何となく写真を撮ってしまった。
というか,まだ450m二俣なのか…。意外に両岸が険しく,滝も多いので予想以上に時間がかかる谷だ。
ところどころで炭焼き窯跡を見かける。里人が良く入っていた谷だったようだ。こんな険しい谷でよく山仕事ができるなあ…。
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ところどころで炭焼き窯跡を見かける。里人が良く入っていた谷だったようだ。こんな険しい谷でよく山仕事ができるなあ…。
15mほどの滝。日差しと影のコントラストが強すぎてうまく撮れていないが…。この滝は右岸から巻いていく。
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15mほどの滝。日差しと影のコントラストが強すぎてうまく撮れていないが…。この滝は右岸から巻いていく。
お次は岩を鋭くえぐるように落ちる15mほどの滝。これも右岸から高巻き。小さい谷なのに,本当に滝が多いな…。
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お次は岩を鋭くえぐるように落ちる15mほどの滝。これも右岸から高巻き。小さい谷なのに,本当に滝が多いな…。
その上も,ひたすら極狭のゴルジュ状の谷が続く。
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その上も,ひたすら極狭のゴルジュ状の谷が続く。
と,ちょうど地図上で谷の傾斜が緩くなる直前の箇所で,谷が左に鋭く曲がったと思ったら,びっくりするくらいの大滝が! 写真では影になってしまってうまく写っていないが,この上にも滝が続いており,全段合わせれば多段50mくらい行っているのではないだろうか。少なくとも,一の滝よりは大きいと思う。
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と,ちょうど地図上で谷の傾斜が緩くなる直前の箇所で,谷が左に鋭く曲がったと思ったら,びっくりするくらいの大滝が! 写真では影になってしまってうまく写っていないが,この上にも滝が続いており,全段合わせれば多段50mくらい行っているのではないだろうか。少なくとも,一の滝よりは大きいと思う。
末広がりに流れる瀑水が美しい。
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末広がりに流れる瀑水が美しい。
しかし問題は,この滝の周囲はぐるりと傾斜の強い壁に取り囲まれてしまっていることだ。どこから高巻くかちょっと迷ったが,最終的に滝の左岸側の少しでも緩そうな斜面に取りついた。写真では傾斜が寝ているように見えるかもしれないが,実際は結構立っている。まあ,要所に木があるので何とかなるが…。
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しかし問題は,この滝の周囲はぐるりと傾斜の強い壁に取り囲まれてしまっていることだ。どこから高巻くかちょっと迷ったが,最終的に滝の左岸側の少しでも緩そうな斜面に取りついた。写真では傾斜が寝ているように見えるかもしれないが,実際は結構立っている。まあ,要所に木があるので何とかなるが…。
左手に大滝を眺めつつ,苔むした岩をつかんだり,横向きに生えた木の幹に乗っかったりしながら,急斜面を慎重に登っていく。
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左手に大滝を眺めつつ,苔むした岩をつかんだり,横向きに生えた木の幹に乗っかったりしながら,急斜面を慎重に登っていく。
急斜面を登り切って尾根に出た後,感覚的には左方向に進まないと谷に戻れないように思っていたのだが,尾根の向こう側をのぞき込むとすぐ下に谷があってびっくりした。この箇所は谷が岩盤をえぐるようにしてかなり蛇行しているようで,面白い地形だ。
急斜面を登り切って尾根に出た後,感覚的には左方向に進まないと谷に戻れないように思っていたのだが,尾根の向こう側をのぞき込むとすぐ下に谷があってびっくりした。この箇所は谷が岩盤をえぐるようにしてかなり蛇行しているようで,面白い地形だ。
大滝を越えると,思った通り谷は穏やかに…
大滝を越えると,思った通り谷は穏やかに…
と思ったら,また滝! もう地図上では傾斜が緩んでいるはずなんだけど…。本当に滝が多い谷だ。
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と思ったら,また滝! もう地図上では傾斜が緩んでいるはずなんだけど…。本当に滝が多い谷だ。
また滝。
地層の褶曲。
やっと谷が穏やかに。ここまで来ると,周囲はブナやサワグルミの森に包まれ,本当に気持ちがいい。
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やっと谷が穏やかに。ここまで来ると,周囲はブナやサワグルミの森に包まれ,本当に気持ちがいい。
散歩道のような源頭の小川を行く。どこかでジュウイチの声がする。あんまり気持ちがいいので,倒木に腰を下ろして,20分くらい昼寝してしまった。
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散歩道のような源頭の小川を行く。どこかでジュウイチの声がする。あんまり気持ちがいいので,倒木に腰を下ろして,20分くらい昼寝してしまった。
ここにも炭焼き窯の跡が。
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ここにも炭焼き窯の跡が。
もうさすがに何も出てこないだろう,と思っていたら,まさかの滝が…。
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もうさすがに何も出てこないだろう,と思っていたら,まさかの滝が…。
また滝。さすがに水量は少なくなっているが,最後までなかなかの頑張りをみせてくれる谷だ。
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また滝。さすがに水量は少なくなっているが,最後までなかなかの頑張りをみせてくれる谷だ。
ついに水切れ。
ブナの木漏れ日が気持ちいい斜面を詰めていく。しかし,京都北山(丹波高地)は本当に藪がなくなったなぁ…。普段,北陸や奥美濃の濃い藪を見慣れていると,逆に森林としての健全性が心配になる。
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ブナの木漏れ日が気持ちいい斜面を詰めていく。しかし,京都北山(丹波高地)は本当に藪がなくなったなぁ…。普段,北陸や奥美濃の濃い藪を見慣れていると,逆に森林としての健全性が心配になる。
目指していた地蔵杉(898.9m三角点,三等・地蔵杉)にダイレクトに到着。ブナやミズナラに囲まれた,静かで感じの良いピークだ。 
※三角点の点の記には,「地蔵杉ト称スル大樹ヲ標トスヘシ」とある。恐らく,往時は実際に「地蔵杉」と呼ばれる大きな杉がこのピークに立っていたのだろう(現在はそれらしき大木は見当たらない)。
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目指していた地蔵杉(898.9m三角点,三等・地蔵杉)にダイレクトに到着。ブナやミズナラに囲まれた,静かで感じの良いピークだ。 
※三角点の点の記には,「地蔵杉ト称スル大樹ヲ標トスヘシ」とある。恐らく,往時は実際に「地蔵杉」と呼ばれる大きな杉がこのピークに立っていたのだろう(現在はそれらしき大木は見当たらない)。
地蔵杉のピークで1年ぶりに聞くカッコウの声に耳を澄ませながらしばし休憩したあと,稜線を北上して洞峠に向かう。稜線上には目立った踏み跡はないものの,写真のような古い道標やマーキングもある(ただ,紛らわしい支尾根が多いので,読図はしっかりしたほうがいい)。
地蔵杉のピークで1年ぶりに聞くカッコウの声に耳を澄ませながらしばし休憩したあと,稜線を北上して洞峠に向かう。稜線上には目立った踏み跡はないものの,写真のような古い道標やマーキングもある(ただ,紛らわしい支尾根が多いので,読図はしっかりしたほうがいい)。
大木こそないが,感じの良いブナやミズナラの森が続く。藪はほとんどなく,歩きやすい。
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大木こそないが,感じの良いブナやミズナラの森が続く。藪はほとんどなく,歩きやすい。
途中,775mの鞍部から東側の谷に少し下って寄り道してみた。地形図を眺めていて,この谷の等高線が混んだ箇所に滝が隠れているのではないかと考えていたからだ。傾斜は強いが,何とかロープは出さずに下っていける。
途中,775mの鞍部から東側の谷に少し下って寄り道してみた。地形図を眺めていて,この谷の等高線が混んだ箇所に滝が隠れているのではないかと考えていたからだ。傾斜は強いが,何とかロープは出さずに下っていける。
と,やはり思った通り,全長40m位の綺麗なナメ滝が現れた。濃い緑に包まれた中を滑り落ちる清冽な水が美しい。
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と,やはり思った通り,全長40m位の綺麗なナメ滝が現れた。濃い緑に包まれた中を滑り落ちる清冽な水が美しい。
ナメ滝は曲がりくねりながら結構長く続いており,美しい空間を作り出していた。
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ナメ滝は曲がりくねりながら結構長く続いており,美しい空間を作り出していた。
ナメ滝を眺めた後,再び稜線に登り返し,洞峠に向かう。カッコウやジュウイチ,オオルリやヒガラの声がしきりに響いている。やっぱり初夏の森はにぎやかで楽しい。
ナメ滝を眺めた後,再び稜線に登り返し,洞峠に向かう。カッコウやジュウイチ,オオルリやヒガラの声がしきりに響いている。やっぱり初夏の森はにぎやかで楽しい。
ギンリョウソウ。
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ギンリョウソウ。
洞峠に到着。古い峠道に特有の深い掘り込みが刻まれており,深い歴史を感じさせる。
洞峠に到着。古い峠道に特有の深い掘り込みが刻まれており,深い歴史を感じさせる。
こんな案内板もあって,今でも地元で大切にされている峠のようだ。
こんな案内板もあって,今でも地元で大切にされている峠のようだ。
これは西側の綾部市(古屋)側に少し下ったところにあるお地蔵さん。祠の石組に押しつぶされているように見えるほど小さなお地蔵さんだが,このお地蔵さんは一生に一度だけ必ず願いをかなえてくれるとのことで,昔は遠方からも参詣の人があったそうだ。まずこのお地蔵さんを見つけるのが大変そうだなぁ…。
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これは西側の綾部市(古屋)側に少し下ったところにあるお地蔵さん。祠の石組に押しつぶされているように見えるほど小さなお地蔵さんだが,このお地蔵さんは一生に一度だけ必ず願いをかなえてくれるとのことで,昔は遠方からも参詣の人があったそうだ。まずこのお地蔵さんを見つけるのが大変そうだなぁ…。
洞峠から東側(美山側)の洞谷川へと下っていく。周囲はよく手入れされた立派なスギ林に包まれている。
洞峠から東側(美山側)の洞谷川へと下っていく。周囲はよく手入れされた立派なスギ林に包まれている。
美しい峠道。
洞谷川源流の美しい流れに寄り添うように,峠道は続く。
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洞谷川源流の美しい流れに寄り添うように,峠道は続く。
そして,地図上で谷が険しくなる箇所で,この古い祠が現れる。
そして,地図上で谷が険しくなる箇所で,この古い祠が現れる。
祠の中に鎮座するお地蔵さんはアルカイックな心惹かれる表情で,頭上に高く掲げた持物の蓮華が印象的。
祠の中に鎮座するお地蔵さんはアルカイックな心惹かれる表情で,頭上に高く掲げた持物の蓮華が印象的。
祠のある箇所は,岩盤をえぐるような切通しとなっており,思わずほれぼれとするような造形の峠道だ。
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祠のある箇所は,岩盤をえぐるような切通しとなっており,思わずほれぼれとするような造形の峠道だ。
祠の周囲は岩盤が発達していて,驚くほど大きな壁が無数に屹立しており,ちょっとした霊場のよう。
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祠の周囲は岩盤が発達していて,驚くほど大きな壁が無数に屹立しており,ちょっとした霊場のよう。
祠の前の谷には,こんな連瀑も掛かっており,なかなかの渓流美。岩盤が浸食され切ってしまう前は,きっと今日遡行してきた吉谷(聖ヶ谷)にも勝るとも劣らない大滝が掛かっていたことだろう。
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祠の前の谷には,こんな連瀑も掛かっており,なかなかの渓流美。岩盤が浸食され切ってしまう前は,きっと今日遡行してきた吉谷(聖ヶ谷)にも勝るとも劣らない大滝が掛かっていたことだろう。
峠道が険しい谷をトラバースする箇所に整然と詰まれた古い石組に,何となく心を惹かれた。
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峠道が険しい谷をトラバースする箇所に整然と詰まれた古い石組に,何となく心を惹かれた。
せっかくなので,道から離れて谷中を下降してみた。なかなか楽しい小滝が続く。
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せっかくなので,道から離れて谷中を下降してみた。なかなか楽しい小滝が続く。
小滝と戯れながら谷を下り,洞谷川沿いの林道に降り立った。
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小滝と戯れながら谷を下り,洞谷川沿いの林道に降り立った。
【おまけ】洞谷川に掛かる音谷の滝(65m)。恥ずかしながら,この界隈にこれほどの大滝があるとは知らなかった(八ヶ峰の権現谷の女滝100mは別として…)。谷中に響き渡るような緑の中,しなやかに腰を折りながら流れ下る姿が本当に美しく,一見の価値はあると思う。この滝だけなら,林道から見ることができます。
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【おまけ】洞谷川に掛かる音谷の滝(65m)。恥ずかしながら,この界隈にこれほどの大滝があるとは知らなかった(八ヶ峰の権現谷の女滝100mは別として…)。谷中に響き渡るような緑の中,しなやかに腰を折りながら流れ下る姿が本当に美しく,一見の価値はあると思う。この滝だけなら,林道から見ることができます。

装備

備考 ・フェルトソール沢足袋使用。沢にぬめりがあるのでフェルトソールのほうがいいと思う。
・40mロープ携行(不使用)

感想

 緊急事態宣言が続く中,遠出は気が引けるので,ご近所の山で新緑を楽しむことにした。本当は記録を付けるつもりもなかったのですが,予想以上に楽しい谷だったのでアップさせていただきました。
 洞谷川の吉谷(聖ヶ谷)は,「関西起点沢登りルート100」の京都北山の項に「割と楽しめる谷で初級向け」とごく短い記述があり,シーズン初めに新緑の谷を楽しむにはちょうどいいかな,とほとんどピクニックのような気分で入渓。しかし,実際に出迎えてくれたのは,険しい側壁と滝が続く,小さいながらもなかなかの谷で,いくつかの滝場の通過では本気モードに持ち込まれてしまった。京都北山(丹波高地)は基本的に地形輪廻をひとめぐりしたような穏やかな山や谷が多く,それが独特の静かな魅力でもあるのだが,時々このような突発的な険谷が隠れているので面白い。この谷の周囲は植林が多いが,源頭部はブナとミズナラの美しい自然林に包まれ,それまでの険しい渓相とは打って変わって桃源郷のような緩やかな地形が広がり,とても気持ちよく稜線に詰め上がることができる。
 また,この谷の北側にある洞峠も,長い歴史を感じさせる感じの良い峠道だった。特に東側(美山側)に少し下ったところにある祠のお地蔵さんが何とも言えず良いたたずまいで,しばらく眺め入ってしまった。カッコウやジュウイチの初音も聞けて満足。滝と新緑,そして美しい峠道に彩られた,良い一日だった。

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