庚申山〜鋸山〜皇海山 束の間の梅雨の晴れ間に古道行


- GPS
- 18:50
- 距離
- 43.6km
- 登り
- 2,848m
- 下り
- 2,855m
コースタイム
- 山行
- 4:29
- 休憩
- 0:26
- 合計
- 4:55
- 山行
- 12:27
- 休憩
- 1:13
- 合計
- 13:40
天候 | 晴れのち曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年06月の天気図 |
アクセス |
写真
感想
皇海山のいわゆる‘クラシックルート’を踏破してきました。前回に引き続き「南総里見八犬伝」ゆかり山行(庚申山)でもあり、久しぶりの山荘ぼっち宿泊でした。
わたらせ渓谷鉄道の1両編成列車で通洞駅に到着。とりあえず足尾観光案内所で情報収集してから出発する。
鉱山関連の古い建物を横目で見やりながら、まずは磐裂神社へ。庚申山一丁目標がある。
庚申川沿いの車道を緩やかに上っていく。この道は庚申ダムといった現役の建造物もあるが、半世紀前に廃された鉱山施設や集落の跡(ひな壇状の石垣、橋梁、トンネル)が点在していてかつての繁栄を偲ばせる。写真を撮りながらぷらぷらと歩いて、出発から2時間ほどで銀山平に着く。
まずは猿田彦神社に安全登山の祈願に参拝。その後、国民宿舎かじか荘で庚申山荘宿泊の申込と登山届を提出する。山の細かい情報も教えてもらえる。
そこから長い林道歩きになる。一の鳥居に着いたのは1時間後。近くにある庚申七滝で昼食休憩をとる。
一の鳥居からは山道兼参道。所々に石段が施されている。しばらくすると雨が降り出す。一気に土砂降り。慌ててレインウェアを装着する。
ぬかるんだ道を1時間進むと、猿田彦神社跡の
平坦地に着く。かつての庚申山信仰の中心部で、参詣者は麓の一丁目標から此処を目指した。
庚申山荘はすぐそこ。濡れ鼠状態で飛び込む。むろん誰もいないが、デポしてある荷物がある。濡れたキットを干しながら空模様を窺うが、雨は止みそうにない。予定では身軽になって、‘八犬伝’で出てきた奇岩群のお山めぐりをするつもりだったが仕方なく諦める。
しばらく雨音を聞きながら、小屋にあった深田久弥の皇海山の記述のコピーや持参の本を読んだりして過ごし、日の入り前に夕食をとり始める。ちょうど食事時、デポの主の二人組が帰ってくる。雨の中を時間も時間なのでピックアップだけして慌ただしく下山して行く。
19時頃に辺りは真っ暗。2階の布団に潜り込み、ライトを頼りにまた本を読み、眠くなってきたら早々に消灯する。雨音は止まない。
二日目。すっかり空は晴れ上がっている。山荘裏の岩壁が朝日に照らされている。ほぼ日の出時刻に出発する。
庚申山への登山道でも奇岩群は多少楽しめる。石門を通り、大きくせり出した岩肌を沿い、ルンゼを梯子で上る。さすがに胎内くぐりはせず。徐々に明るさが増していく中、1時間ほどで到着する。
庚申山山頂は木々に囲まれているので、早々に先にある展望台へ。パッと目の前が開けて、皇海山が現れる。前日読んだ深田久弥の記述通り。立派な山容。登頂意欲を駆り立てられる。広がる雲海に浮かぶように日光連山や遠くに尾瀬の山々も望める。素晴らしい絶景ポイントである。後ろ髪引かれながらも10分の滞在で先を急ぐ。
これからは鋸山へ至る破線ルート。前半は緩やかにアップダウンの繰り返し。まだまだ余裕。問題は後半、アスレチックな仕掛が待ち受ける。鎖、ロープ、梯子をつたい、何度となく岩場のアップダウンを繰り返す。それ自体は楽しい部類で歓迎なのだが、いかんせん雨上がりで濡れていて滑り易く、どうしても手が泥だらけ。細々と気を遣いながらも2時間安全に完遂する。問題は雲が出始めた空模様。
そうしてたどり着いた鋸山山頂はガスって真っ白。展望は良さげなのに残念。感慨に耽ることもなく先に進む。
皇海山へは最初岩場をロープで下り、長いなだらかな鞍部を歩く。不動沢のコルを過ぎると登り返しが始まる。先程までの鋸山へのルートの感触が残っているので、もの凄くマイルドな印象を受ける登り。実際はそこそこの急坂だと思うのだが。シラビソの林が美しい。
皇海山山頂到着。木立に囲まれて展望は無いが、とても静かで何だか心地よい。若干青空ものぞき、のんびりと補給タイム。
来た道を戻る。何人かの登山者と行き交う。
鋸山から六林班峠経由で下山開始。このルートがやたら長かった。峠までは笹原を抜けていく尾根道。峠からがとにかく辛かった。基本的に巻道なのだが、入り組んだ沢を渡る為にひたすら曲がりくねる。足元は笹の根でかなり滑り易く、そちらも気が抜けないのにひたすら曲がりくねる。まさに‘The Long And Winding Road’ 後で聞いた話によると、元々材木などの物資運搬の為に拓かれた道、山道の楽しみなんて考慮されてる訳もない。2時間、体感としてその倍くらい、黙々と歩き続ける。
庚申山荘に戻る。ホッとするのも束の間、これからも長いので、トイレだけ済ませて先を急ぐ。昨日来た道を引き返す。
かじか荘に戻ったのは2時間後。受付で下山報告。スタッフの方々と少し話をするが、もちろん話題は六林班峠ルートのこと。
雨もポツポツと落ちる中、通洞駅まで2時間。夕暮れ時で鉱山関連の遺構が更に哀愁を増す。猿田彦神社と磐裂神社にも安全山行のお礼参りを忘れずに済ませる。
休みは決まっていたので、直前まで天気予報にやきもきしてましたが、珍しく(普段の行いが悪いので)梅雨の晴れ間に当たることができました。
クラシックルートは長くて厳しいという謳い文句でしたが、なにせ一番キツかったのは、古からの修験道の山道ではなく、近代に拓かれた作業道だったというオチでした。
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