戸隠山（戸隠神社奥社〜戸隠牧場）〜鎖とナイフブリッヂの練習場〜
長野県
megurokotaro
体力度について
- GPS
- 08:42
- 距離
- 13.0km
- 登り
- 1,032m
- 下り
- 1,021m
アクセスを調べる
標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 6:10
- 休憩
- 2:25
- 合計
- 8:35
| 過去天気図（気象庁） | 2021年07月の天気図 |
|---|---|
| アクセス |
写真
拍手
感想
今回は、友人と戸隠山へ行ってきました。
最初は高妻山だけを目指すつもりでしたが、私の予定（高妻山・戸隠山縦走）を見てくれていた同行の友人が戸隠山も行ってくれるということで、戸隠→高妻縦走を目指すことに。
ところが、ウォーミングアップくらいのつもりで登った戸隠山が意外に難敵で、そこから見える高妻山が立派に遥か高くそびえ立ちすぎていて、何より戸隠蕎麦を確実に食べたいと焦る気持ちがルート変更を余儀なくし、高妻山は見るだけで「またね！」とすることになりました。
天気のよいなか、立派な高妻山は十分に目に焼き付けたので、是非とも登りたい山がまたできました。（山頂の景色もめちゃいいみたい！）
■間もなくこの山（戸隠山）に行かれる方へ
鎖場を苦手とする方は、命に関わりますので、熟練した方と一緒に行かれることを強くお勧めします。
実際に鎖場で手を滑らせて肩から滑落し、たまたま下にいた方の支えがなければそのまま崖下に落ちただろうという方を見ました。
＜ルート選択＞
大きく分けて、時計回りと反時計回りがあると思いますが、7月の天気の良い日曜日に誰ともすれ違わなかった（追い抜かれはしましたが）ので、今回の私たちと同様に戸隠神社奥社から登る時計回りの方がほとんどだと思います。
周回方法は好みでどちら周りでもいいと思いますが、戸隠神社奥社から八方睨みまでは、直線距離約1Kmで標高差560mを上げる急坂で、時計回りの方は数えきれないほどの鎖場（10ヶ所以上だったかな）を登り、反時計回りの方は降りることになります。
なお、私たちが下りに使った大淵沢のコース（一不動避難小屋→戸隠牧場）も2箇所ほど鎖場があり、こちらは沢で鎖や足場が濡れていて、しかも下は滝のため、慎重さが求められます。
（コースとしては、この他に西岳から戸隠山に縦走するルートもありますが、バリエーションルートなので一般的ではないと思います）
今回、私たちは行きませんでしたが、高妻山に行かれる方は、戸隠牧場と五地蔵山を結ぶ弥勒新道が最も安全に歩けるようです。
＜危険個所＞
�仝猶�神社奥社から八方睨みまでの多数の鎖場
ルート選択のところに書きましたが、戸隠神社奥社から八方睨みまでは、数えきれないほどの鎖場があります。また、ルートから外れますが、展望のよい岩へよじ登るための鎖がつけられているところもあります。
鎖から手を離したら、もしくは岩上でバランスを崩したら命に関わるところが多数あります。そこそこ鎖場慣れ、高所慣れしている方を想定した鎖の付け方だと思いますので、心して登った方がいいと思います。
��蟻の塔渡・剣の刃渡（ナイフブリッジ）
八方睨み直前に「蟻の塔渡」、「剣の刃渡」というナイフブリッジがあります。
1つ目の「蟻の塔渡」は右下に巻くエスケープルートがあるのですが、2つ目の「剣の刃渡」はそのエスケープルートが崩落したらしく、数メートルのナイフブリッジを渡るしか通行する術がなさそうです。（後に、地元の方から、右側の崩落跡を通れるという話も聞きましたが、斜度がきつく、崩落跡だけに余計危険な気もします）。
問題の「剣の刃渡り」は、左側に足場があるので、ナイフブリッジを腕で抱きかかえながら足場をカニ歩きするのが正解なようですが、、、私の技量が足りず非常に恐怖を覚えました（登山で初めて足がすくみ、他の方に頼って足場を教えていただいた。。。） とはいえ、他の方はナイフブリッジをそのままさくっと歩いていたりしましたので、私固有の問題だと思います。
�０貮堝鞍鯑饐�屋から戸隠牧場の間の鎖場
一不動避難小屋から戸隠牧場まではやはり急坂で、途中の水場から沢沿いを進みます。岩が滑りやすくなっているのは気を付ければいいのですが、2箇所ほどある鎖場が、足場も鎖も濡れていて、鎖場で鎖にがっつり体重を預けている方は足も手も滑らせて滑落する恐れがあります。正しい鎖の使い方（基本的に鎖に頼らず岩との摩擦にも頼らず、岩は重力で踏みつけて、鎖は滑落時の補助として触れておく程度にする）で降りた方がよいと思います。
＜駐車場＞
戸隠山に登られる方は時計回りもしくは反時計回りの周回コースをとられる方が多いと思いますが、それぞれの登山口に駐車場があります。
戸隠奥社側は有料のようです。戸隠キャンプ場側（正確には道路挟んで反対側で高妻山登山口駐車場と呼ばれているようです）は無料でした。
どちらにもトイレがありましたし、確認していないですが飲用水も手に入るようですので、先に道路（もしくは道路と並行した自然道）を歩くか後に歩くかの好みで決めればいいと思います。
＜小屋・テント場など＞
戸隠山と高妻山の間のコル状のところに、一不動避難小屋があります。
相当古く、壁に多少穴が開いていたり、床が傾いていたりしますが、清潔に保たれています。緊急時以外は宿泊禁止だそうです。
＜水場＞
自分では見ていないですが、戸隠奥社側、戸隠キャンプ場側とも駐車場近辺に水場があるようです。
山中は、一不動避難小屋から少し戸隠牧場方面に下ったあたりに氷清水という水場があります。当日は25度ほどあるカンカン照りの日でしたが、冷たい水が大量に出ていました。この水でコーヒーを飲むためだけのツアーがあるそうなので、おいしいとされている水だと思います。飲んでみましたが、冷えた水でした。
＜トイレ＞
各駐車場のトイレは水洗のようです。
戸隠神社奥社への参道途中に、最後のトイレがありますが、ここは山小屋式のようです。
また、山中では、一不動避難小屋の横に、新しくきれいな携帯トイレ用ブースがあります。中は穴の開いたおまるのようなものがぽつんとあり、棚の上にある携帯式トイレを1個200円で購入して用を済ませるタイプです。親切なことに、携帯式トイレを手に持つと危ないので持っておりないように、と廃棄場所も用意されています。
＜携帯電話電波（断りない限りdocomoです）＞
登山中は、だいたいどこも入ったと思います。
（少なくとも、駐車場と避難小屋は入っていました）
＜アイゼン・ピッケル等＞
アイゼン、ピッケルは不要です。
ヘルメットは持っている方の方が多く、着用されている方も多かったと思います。
＜服装＞
半袖で汗びっしょりでした。
早朝の駐車場は少しひんやりしていましたが、日中は日差しがきつく、休憩時には日陰を必死に探していました。山頂で25度くらいあったので、完全な夏山ですね。
■感想
＜高妻山登山者用駐車場〜戸隠神社奥社＞
高妻山登山者用駐車場に朝5時頃到着し、準備をします。この駐車場は停める場所によっては地面がドロドロですのでお気を付けください。友人はいきなり泥の洗礼を浴びたようです。。
最初に戸隠神社の参道入り口に向けて、草むらの中の遊歩道のようなところを歩きます。その後、右に90度折れて、戸隠神社の参道を1キロ弱くらい登っていくと、奥社につきます。
登山では最初の15分を息をきらさないように歩くと、体が温まって登山モードになり、その日1日の登山が楽になるとのこと。なかなか実践できないですが、この遊歩道と続く参道で嫌でも1時間近く歩かされるので、ちょうどよい準備体操になります。
いつも独りで歩くときは、次のチェックポイントまでの残り標高差をたまに見つつ、仕事や私生活のあれこれの段取りを考えていることが多く、歩いている時間の割に周囲の景色の印象があまりないことがあるのですが、同行者がいるとそんなことはなく、意外に山を堪能している自分に気付きます。
（話に夢中になって記憶が飛んでいるところがありますが笑）
奥社から山の上の方を見ると、目の前数百メートル（後で1Kmくらいなことが判明）に左右に渡る尾根筋が見えます。その尾根筋は、お前は妙義山か、というくらいウネウネしています。
まさかあれが戸隠山じゃないよね（あんな近くにないよね、あんなにギザギザの尾根を歩かされることはないよね、と祈るような気持ち）で話していましたが、まさかの戸隠山で、後々の尾根歩きもなかなか歯ごたえのあるものになるのでした。
＜戸隠神社奥社〜八方睨み＞
戸隠神社奥社までは、観光客の方もこれるような道ですが、戸隠神社奥社から先からいよいよ登山道が始まります。ここの緩急の切り替えがすごく、道の先を見るのに首が痛くなるような急登が始まります。約1Km先に行くのに550mほど標高をあげるのですから、尋常ではありません。（感覚的に、直線100mあたり標高差50mあると、多少びびるような急坂だと思います）
幸いにも友人の後ろ側を歩かせてもらっていますので、休憩したいときは「疲れたらどんどん休憩しましょうね」と言うだけでなぜか上から目線で休憩できます。本当は私の方が体力がないのですが(笑)
途中からは、岩場が増え、いよいよ鎖場が始まります。最初は、登山道の中に鎖場がたまにあるという感じでしたが、次第に遠慮がなくなり、鎖場と鎖場を短い登山道がつなぐような感じになっていきます。
先に鎖場を登った友人が上で「えー」と言ったときは、また次の鎖場があるよ、の合図。結局、10ヶ所くらいの鎖場を登ったと思います。とはいっても、鎖場は慣れてしまえば、高度感もなく（登っている時は目の前と上しか見えないので）、登り方も変わらないので、淡々とこなしていきます。
だがしかし、それまでの鎖場と同じように岩をよじ登ったところ、急に右も左も前も何も地面がない場所に行き当たります。そこは、蟻の塔渡りとかいうナイフブリッジでした。子供時代から高度恐怖症な私がなんで山登りなんてしているんだ、という話ではあるのですが、、、そこそこの高度の鎖場やロープ、岩登りなどは経験してきて、ここで足を滑らしたら死ぬなというところもそこそこ平気で通ってきたのですが、ナイフブリッジは、這いつくばって歩くので、嫌でも左下、右下の崖下が見えてしまうんですよね。。。
危険度としてはこれまでの鎖場などと変わらないかもしれないのですが、下が見えてしまうと高度恐怖症の血が騒ぐようです。。。
とはいえ、さすがに一般道を自力で行けないことはありません。まずは、その岩から後退して降りて、友人を先に行ってもらいます。その間に周囲を探索し、右下にトラバースするための鎖を発見。大人の判断として、リスクを軽減するのが当然ですから、安心のトラバース道を意気揚々と進みます。
が上から「こたろうさん、次のところは上通るしかないですよ。」との無慈悲な声。
さんざん左右を見渡してトラバース道を見つけるという見苦しいあがきをしたうえで、結局は諦めて次の「剣の刃渡」をハイハイで進みだします。
こういうところで左右にバランスを崩すと崖下に落ちるだけですから、自動二輪教習の一本橋で習得した要領で「遠くを見てバランスをとる」を実践します。が、崖下が目に入って体が硬直してしまって無理。仕方なく、視界を目の前50センチ四方くらいに狭めてハイハイします。まあ、それでも足がすくんでなかなか進まないのですが。。。
結局、友人とさらにはたまたま近くにいた方に、乗り越え方、足の配置をすべて指示してもらい、なんとか通過。
独りだったらどうしたんでしょうね。ナイフブリッジを自力で通れる気はしなかったのですが、ここから下山するのも面倒なので、必死にトラバース道を探したのかな。。。
＜八方睨み〜戸隠山〜一不動避難小屋＞
八方睨みから先は、20〜30m前後の緩やかな尾根沿いのアップダウンが続きます。
ここで、尾根道の左前に、尖った高妻山が立派に左前に見えてきます。皇海山をクラシックルートで行った時の鋸山をどでかくしたイメージです。
と同時に、鎖場の連続で普段使わない筋力を使ったからか、それともナイフブリッジで怖い思いをしたからか、本当に登り切れるのかなという思いも芽生えてきます。
決め手は、通りかかった方の「高妻山までは地味に辛いですよ。600mあがりますし。」というお言葉と戸隠蕎麦への熱い想い。
結局、一不動避難小屋の屋根が見えてきたときには、高妻山は見るだけにして、さっさと下界に降りることを決定していました。
＜一不動避難小屋→戸隠キャンプ場＞
小屋は昭和30年代のものらしく、それなりに年季はあり、敢えて泊まりたいかというと微妙ですが（そもそも緊急時以外は宿泊禁止ですが）、ありがたい日陰。
独りの時はガスさえ持っていきませんが、人と一緒のときにはいそいそと山調理道具を引っ張り出してきて、無理やり何か適当に作って無理やり食べさせます。今回は焼きそば。
そういえば、最初に登山中の調理を始めた頃は、日清のインスタントの袋焼きそばだったけど、今回は野菜と肉を持ち込んでいるので、少しは進歩。とはいえ、料理の技術はないので、水入れすぎてべちょべちょになった焼きそばが完成。悔しいので、予備の材料を使ってもう1杯作って無理やりシェアして食べてもらいます。
焼きそばを食べながら、これから下山して今度は焼かない蕎麦を食べに行くことを思い出します。
ご飯を食べてたっぷり休んだら、蕎麦めがけて下山です。
少し進むと氷清水という水場があり、これから下は登山道を沢が流れるようになり、靴はびしょびしょになっていきます。
蟹の横這い的な、崖上に横に張られた鎖が核心のように書かれているようですが、実際の核心は滝の横にある鎖場。そもそも登山道の先が見えず、そのまま滝とともに落ちるのではと思ったら、そこに鎖がとりつけてあるような感じですが、すでに靴底は濡れているうえに鎖も濡れていますので、手も足も滑ることを前提に鎖場を通過する必要があります。
長い下り坂にやや不平不満を言い合いながらも、順調に戸隠牧場、戸隠キャンプ場まで降りてきました。
戸隠キャンプ場は緑が美しく、よく整備されたところに、家族連れで賑わっていて、かなり険しい登山道を降りてきた我々は違和感を感じました。間違いなく浮いているのは、汗ダラダラでザックをしょっている我々ですけどね。。。
この後、地元の方にお勧めされた蕎麦屋さんで無事においしい蕎麦を堪能することができました。20年ぶりくらいに食べましたが、やはりおいしい。
こっそり拍手
コメント
この記録に関連する登山ルート
この記録で登った山／行った場所
関連する山の用語
山行記録を公開しました
X
Facebook
リンク取得
メール
ブログパーツ
情報提供のお願い
山行記録を投稿して、ヤマレコのコミュニティに参加しよう！
この山行記録の写真
戸隠山の最新記録
八方睨の最新記録
九頭龍山の最新記録
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する