下ノ廊下 黒部ダム〜阿曽原温泉〜欅平 (日電歩道〜水平歩道、黒部峡谷)


- GPS
- 11:19
- 距離
- 29.9km
- 登り
- 3,787m
- 下り
- 4,562m
コースタイム
黒部ダム〜阿曽原温泉小屋:6時間50分
黒部ダム 7:50
ダム下の橋 8:05
内蔵助谷出合 8:45
別山谷出合 10:20
白竜峡 10:50
十字峡 11:45
作廊谷合流 12:20
半月峡 12:30
東谷吊橋 13:00
仙人谷ダム 13:20
関電人見寮 13:30〜13:50 (昼食、休憩)
権現峠トンネル 14:10
阿曽原温泉小屋 14:40
9月29日(日)
阿曽原温泉小屋〜欅平:4時間5分
阿曽原温泉小屋 6:30
折尾谷 7:50
大太鼓 8:25
志合谷トンネル 8:40
9:00〜9:10 (小休止)
蜆谷トンネル 9:25
欅平上部 9:50
欅平駅 10:35
両日とも20人くらい追い抜いているので、平均よりは速いペースと思います。
なお、両日とも2,3人に抜かれました。うち1人は走ってました。
所々に開けた場所、幅の広めの場所があるので、余程の混雑でもなければ場所を選んで追い越し、すれ違いは可能です。あくまでも譲り合いで。
天候 | 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2013年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
中央本線〜篠ノ井線〜大糸線 ムーンライト信州81号(全席指定) 乗車券+¥510(指定券) 新宿発 23:54、信濃大町着 5:11 9月28日(土) バス(アルピコ交通)¥1330 信濃大町発 6:15、扇沢着 6:55 関電トロリーバス ¥1500 扇沢発 7:30、黒部ダム着 7:46 9月29日(日) 黒部峡谷鉄道 ¥1660 欅平発 10:42、宇奈月着 12:04 富山地方鉄道 特急うなづき10号 ¥900+¥100(特急券) 宇奈月温泉発 13:52、新魚津着 14:20 北陸本線 550M 普通:金沢行 ¥450 魚津発 14:48、富山着 15:11 北陸本線〜信越線〜北越急行〜上越線 はくたか19号 北陸回数券 金沢-東京都区内 グリーン車用(金券ショップで11,000円) 富山発 15:49、越後湯沢着 17:52 上越新幹線 MAXとき 北陸回数券(グリーン車用) 越後湯沢発 18:04、上野着 19:14 |
コース状況/ 危険箇所等 |
●黒部ダム〜ダム下の橋 トロリーを降りたら改札口へ向かわず、直進して登山口と書かれた案内に従い進む。トイレ、水道あり。トイレは阿曽原までない。水は沢がいくつかある。 黒部川までつづら折りで200m近く下るが、足元は整っていて歩きやすい。下りきると川原に至り、橋を渡る。 ●ダム下〜内蔵助谷出合: しばらくは平坦で川とさほど変わらない高さの穏やかな道が続くが、次第に道は細く高くなってゆく。少し開けてくると内蔵助谷出合。水も汲めるし、休憩にも丁度よさそうだった。 ●内蔵助谷出合〜別山谷出合 川幅は次第に狭くなり、道もさらに細く高くなってゆく。左手には番線、桟道も増えてくる。別山出会では急斜面をロープで下って沢を渡ったら、再びロープで上る。沢は桟道や橋がないので、濡れないように渡るが、増水すると厳しいかもしれない。途中で岩がゴロゴロした道なき道を進むが、赤ペンキの矢印があるので安心。 ●別山谷出合〜白竜峡 ここから先は歩道の整備が遅れていて、針金が切れていたり、桟道が折れていたりする箇所が多かった。次第に川が狭まり、流れも急になる。歩道から土が消え、岩肌をくりぬいた道が続く。そして、視界に入るのは岩肌と白く飛沫をあげる川の水だけになれば白竜峡。 ●白竜峡〜十字峡 この区間は前半戦である日電歩道のハイライトと言える。道は平坦だが変化に富む。狭く切り立った断崖を行く白竜峡、川から距離を置いて低木に視界を遮られた穏やかな道もあり、そして一転して大崩落斜面、崩落斜面の桟道はしっかり整備されていたが、立ち止まらぬように注意書きあり。それを過ぎればほどなく十字峡に至る。 ●十字峡〜東谷吊橋 作廊谷合流、半月峡、S字峡のあたりで対岸の山中に関西電力の黒四発電所の送電口が見えてくる。そして川面と一定の高度を保ってきた道はS字峡を過ぎると東吊橋、仙人谷ダムと一気に川の高さまで、70m程度下ってゆく。 ●東谷吊橋〜仙人谷ダム 東吊橋も1人ずつ渡るよう注意書きがある。橋の上から上流側を見ると黒四発電所が見える。橋を渡ると、コンクリートの階段を下りたり上ったりしてダムの保守施設のような場所を通り、川沿いの作業用車道を進む。洞門、トンネルを抜けしばらくすると仙人谷ダムが見えてくる。 ●仙人谷ダム〜関電人見平宿舎 ダムに至ると、登山者向けの案内があるので、案内に従ってダム施設に進む。ダム堤を渡り、扉を開いて施設内に入る。動物や虫が入るので、扉は必ず閉める。施設内の通路を進むと上部軌道と交差するので、トロッコに注意して渡る。硫黄のにおいや湯気が立ち込めている場所も身近にあり、高熱隧道を思い起こさせる。右手に格子状の扉を見たらそこが出口。出てすぐの平場の草むらに放置された線路や車止めがあった。開けた場所を道なりに進むと左手に関西電力の関電人見平宿舎が見えてくる。 ●関電人見平宿舎〜権現峠トンネル 宿舎を過ぎてほどなく、道は左に折れて100mの登りとなる。しばらく登ると水平になり、権現峠トンネルに至る。トンネルは短いので昼間は電灯は不要。 ●権現峠トンネル〜阿曽原温泉小屋 トンネルを過ぎてしばらく歩くと、阿曽原と書かれた標識があり、右に折れてすぐに急な下りになる(100m下る)。下りで足元に水が流れていたりするので、神経をつかう。早朝から20km、6〜7時間を歩いた足にはこの下りはちょっとキツい。やがて阿曽原温泉小屋の青いトタン屋根が眼下に見えてくる。 ●阿曽原温泉小屋〜折尾谷 テント場を抜け、沢を渡ると登りが始まる。150m程度登る。デカイ石がごろごろしてる場所もあり、スタスタとは登れない。ところどころハシゴもある。登るだけかと思えば、少し下ったりと、どこが水平なんだ?と思うが、しばらくは我慢。 やがて文字どおり水平になり、視界も開けてくる。高度感は日電歩道以上だが、概して道の整備状況が日電歩道よりも良く幅も広いので、それほどの緊張感を感じることは無い。昨日1日日電歩道を歩いて感覚が麻痺しているのかもしれない。 しかし、落ちれば即、死につながる状況は変わらない。油断せずに歩く。 ●折尾谷〜志合谷トンネル 折尾谷は堰堤内部の通路を通る。ヘッドライトはなくても通れるが足元が良くない。事前情報で志合谷トンネルは警戒していたが、足元は折尾谷の堤内の方が悪い。水をさけて盛り上がった部分を踏むとやわらかい泥なので、くるぶしまで一気に埋まるので注意。 大太鼓あたりで、ときおり欅平のアナウンスや汽笛が幽かに聞こえてくる。ケータイ(ドコモ)も圏内になっていた。高度感は日電歩道、水平歩道を通じてこのあたりが一番。天空の回廊の様相。 深い谷と雪渓が見えたら志合谷、ここは150mのU字型のトンネルなのでヘッドライト必須。足元に水は流れているが、排水はされているので、足元を選んで歩けば5cm程度の水深で済んだ。 ●志合谷トンネル〜欅平上部 蜆谷トンネルを抜けて徐々に欅平の喧騒が聞こえるようになり、水平道も起伏が出てきて、送電線鉄塔の袂に至れば欅平上部、この先から一気に下る。ここで下りに備えて休憩するべきだった。 ●欅平上部〜欅平駅 一気に300m下る。送電線鉄塔までは尾根下りで楽だが、その先は激下りになる。ハシゴ、階段、ロープ、デカイ岩、根っこなどで、きつい。足が痛み、疲れが溜まっての下りは厳しかった。この区間だけ標準タイムを大幅にオーバー、標準の2倍かかった。 欅平に着いて、緊張が解けたせいか、フツーの道を歩くだけでもしんどかった。そのくらい、この下りは厳しかった。 |
写真
第3のビール3本分くらいトクしたかな?
松戸ー新宿 ¥450(Suica、新宿で下車)
新宿ー八王子 ¥460
八王子ー塩山 ¥1110
塩山ー信濃大町¥2520
合計 ¥4540
(普通に買うと松戸ー信濃大町¥4940)
小屋のWEBではココの桟道は去年の架けたものが壊れかかってるってコトだったけど、ここ数日で整備されたみたいで、真新しいしっかりした桟道になっていました。
受付を済ませて部屋へ。どうも痛いと思ったら両足の親指が水膨れに。明日も歩くけど大丈夫かな?
温泉は15時から男性、16時から女性と1時間おきに男女交替。20時から混浴タイム。とりあえず温泉に入る。15時から1時間弱お湯に浸かったり出たり。ほんのり硫黄の匂いもして良い気分。
そして、風呂上りのビールがウマイ。500ml缶(700円)2本をほぼ一気飲みしてしまった。
今夜は定員50人ちょうどなので、夕飯はカレーライス。タマネギや野菜は小屋のご主人の実家で採れたもので、米は富山産のコシヒカリ。
一日中歩いたあとのカレーは格別。おかわり自由だったので2杯食べた。
この後、部屋に戻って爆睡して、21時頃に目が覚めたので2回目の温泉へ。そしてまたビール。
こうして阿曽原の夜は更けてゆく。
装備
個人装備 |
ヘッドランプ 1 CREE XM-L 18650Li-ion
予備電池 1 18650 Li-ion UltraFire
ガイド地図 1 山と高原地図35
コンパス 1 100円ショップ
笛 1 100円ショップ
筆記具 1 ボールペン
飲料 1 500c from AQUA
ティッシュ 2 駅前で配ってたやつ
バンドエイド 1 100円ショップ
タオル 1 100円ショップ
携帯電話 1 docomo フューチャーホン
雨具 1 100円ショップ
防寒着 1 1580円のジャケット
時計 1 CASIO ソーラー電波クロノグラフ
非常食 1 カロリーメイト
タブレット 1 Nexus7 山と高原地図アプリ
靴 1 ナイキ タカオMID
カメラ 1 オリンパス VH-510
酒 1 トリス
肴 適宜
予備LEDフラッシュライト 1 CREE MC-E Q5 AAAAx3
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感想
プロローグ
昨年、宇奈月温泉に泊まり、トロッコとアルペンルートを体験した。
そして、吉村昭の小説、高熱隧道を読み、ひょんなところで下ノ廊下の存在を知った。あの時代、工事技師の根津や藤平か通い、百人以上の工事人夫が転落した道が未だ残っており、歩けるという。
そしてホウ雪崩で吹き飛ばされた阿曽原工事宿舎の唯一残った基礎部分にプレハブの阿曽原温泉小屋が建っているという。しかも源泉はダイナマイトが自然発火した高熱隧道だ。
是非とも行ってみたい。
昨年晩秋に抱いたことを実施する時が来た。
問題は高尾山、日の出山くらいしか登ったことが無いということ。体力的には大丈夫な気がするが、噂に聞く水平歩道、日電歩道の高度感に果たして耐えられるか?
ヤマレコの下ノ廊下の山行記録を読んで、なんとかなるのではないかと思えてきた。
なるべく身軽に軽装にするため、テントではなく山小屋泊を選択。そして、背の高いリュックはくり抜いた歩道の岩にぶつけることもあるので、小型のリュックを選択。
山小屋も初めてなので、混雑を避け3連休は除外。紅葉時期も混むらしいので、10月も除外。そしてム―ライト信州が運転する金曜夜行で出発するということで、9月28日に決定。天候が土日両日とも良好でなければ中止にするつもりだった。
出発予定日の1週間前に下ノ廊下かとりあえず、開通。
金曜時点の天気予報では2日間とも晴れ、ベストコンディションで臨めそうだ。
エピローグ
無事に帰ってこられた。
山岳保険に加入し、万一にも備えた。黒部では怪我をしないとも言うが。
出発前は緊張しすぎるきらいがあった。高層ビルを見上げて、あの屋上の淵を歩くのかと想像しては縮み上がった。
しかし、実際に下ノ廊下を長く歩いていると、高度感に慣れてしまい緊張感がなくなっていることに気付くことがしばしばあった。その度に自分を戒めた。
天気にも恵まれ、さわやかな秋空の下を素晴らしい渓谷美を目にし、日常とかけ離れた尋常ではない不思議なその道を嫌と言うほど歩いた。
黒部の絶壁を穿って空中につくられた30kmあまりの日電歩道、水平歩道をはじめとして、この山深い仙境にはこの作業道の他にも、黒部ダム、黒四発電所、仙人谷ダム、高熱隋道など、数多くの人工物が築かれている。
黒部川下流には新黒三発電所、黒三発電所、小屋平ダム、黒二発電所、出し平ダム、柳河原発電所、宇奈月ダム、宇奈月発電所、音沢発電所、愛本発電所などを擁し大正時代から電源開発が行われてきた。
黒部ダムを発して、日電歩道、水平歩道を歩き、黒部峡谷鉄道で黒部川を下る旅は、その厳しくも豊かな自然を感じるものであった。それと同時に、多大な犠牲を払って作られた構造物と自然との対比を目にして、その時代時代において必要だったエネルギー確保に対する執念を感じた。
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