くもりの瑞牆、雨の金峰
- GPS
- 14:35
- 距離
- 14.7km
- 登り
- 2,019m
- 下り
- 1,158m
コースタイム
- 山行
- 4:50
- 休憩
- 2:18
- 合計
- 7:08
- 山行
- 7:20
- 休憩
- 0:54
- 合計
- 8:14
天候 | くもり、のち雨。下山後晴れ!(泣) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
|
コース状況/ 危険箇所等 |
よく整備されている。途中鎖場、梯子あり。鎖は全て新しかった。最近設置されたのか? 雨の中でも安心感を持って登ることができる。(晴れてるに越したことはないけど。) |
その他周辺情報 | 塩山駅から徒歩10分のところに温泉あり。 |
写真
感想
瑞牆・金峰は何度か計画はしたものの天候が思わしくなく断念していた。今回も2日目が雨の予報ではあったが、リーダーと休みを合わせるのも簡単ではないため、決行することにした。筆者は新宿からあずさ1号に乗車したのだが、数日前に切符を取ろうとしたら窓側席が1つしか空いていなかった。コロナの緊急事態宣言が解除されたことで皆さんそろそろお出掛けになっていると思われる。しかし、韮崎駅では先着しているはずのリーダーがいない。電話をしても出ない。困ったな、と思いつつバスに乗る前にトイレを済ませておかねば、と、大抵こういうタイミングで折り返しの電話が掛かってくる。まあ、結果、リーダーと落ち合うことが出来たのだが、リーダーは待合室で待っていたらしく、何で待合室をのぞかないのか、と不機嫌になっており、山行前から、いやバスにすら乗っていないのに人間関係の雲行きが怪しくなってきた。とまあ、そんなことでバスの列の最後尾に並び、なんとか満員のバスの最後に滑り込むことが出来た。バスの乗車時間は1時間強である。山行前に乗り物の中でずっと立っているのはしんどいと言えばしんどいが仕方あるまい。ほぼ予定通りの時間に登山口である瑞牆山荘に着いた。
少々おなかの調子がよくなかったので、周囲の迷惑とは思いつつ、瑞牆山荘横のトイレでじっくり課題に取り組み、一応満足いく結果が得られたのではあるが、我々が最初にバスを降りたにもかかわらず、同じバスで来た方々はとっくに出発しており、リーダーがイライラを隠しながら待っていてくれた。さらに筆者はもたもたと身支度を整え、予定より15分遅れて登山を開始した。30分ちょっと樹林帯を登っていくと急に展望が開け、瑞牆山の全容が視界に飛び込んでくる。かっけー(あー使ってしまったこの言葉・・・)。この晴天が午後まで続いてくれるといいのだが・・・。そして更に20分ほど登ると宿泊する富士見平小屋に到着した。
小屋ではすでに多くの人がテントを張り始めているようだった。我々は小屋泊なので、余分な荷物を預けて、改めて瑞牆山に向けて出発した。山腹を巻くように進み、小川山方面との分岐を過ぎると少し下りになり、小さな川を越えると桃太郎岩に到着である。以前に見たNHKの「日本百名山」ではこの先に鎖場とかが出てくるように記憶していたので、休憩して、ストックはしまって(これは正解であった)、腹ごしらえをして、桃太郎岩横の階段を登り始めた。
ここから結構急な登りが続く。ところどころ鎖場も出てきて(記憶は正しかった)、バテないようにゆっくり登る。大きく足を上げてグイっと登らなければならないところも多く、思わぬところが筋肉痛になりそうな嫌な予感がする。途中ところどころでシャクナゲの葉が目につく。シャクナゲ満開の時期を想像しつつ登っていく。だんだん雲が出てきて木々間から見える空が白くなってきた。残念、間に合わなかったかな。でもそんなこんなで山頂に着いた。陽の光は差し込むのだが、周囲は真っ白。一瞬霧が晴れて大ヤスリ岩を眼下に望むことができたのが救いである。それでも百名山の一つである瑞牆山に登頂できてよかった。山頂には結構な人が休憩していて、我々も少し行動食を取ったりしてから下山することにした。
下りではやたらと段差が大きいところに出くわしたりして、あれ?と思ったが、振り返ると微妙に道を間違えて本来の登山道でないちょっとした脇道を来てしまったようだ。注意深く鎖場を下り、桃太郎岩まで降りて来て一服したのだが、模擬日本刀?を持った若い人たちが我々を追い越していった。桃太郎岩は鬼滅の刃の「聖地」候補?になっているようで、結構ファンが訪れているのかもしれない。ただここの桃太郎岩はデカいので、日本刀とサイズが合わないかなという感じはした。このような興ざめのことを書くとファンの方からおしかりを受けそうなので、本件はこの辺で止めておく。
予定よりちょっと遅れて富士見平小屋に再到着。今回はちょっと奮発して個室を取った。二段ベッド式で広くはないがきれいで快適。扉はなく、大部屋とはカーテン仕切りなので話し声には注意が必要だが、折りたたみ椅子やハンガーも装備されている。特に電源コンセントが使えるのは有難い。筆者は予備バッテリーを忘れたので、早速携帯の充電をさせてもらった。個室の明かりは電灯だが、小屋内はランプの明かりが主である。筆者は飛べないが鳥目なので細かい作業をするには厳しい環境だが、なかなか雰囲気がいい。夕食もランプの下で名物のジビエソーセージをいただく。鹿肉ソーセージと猪肉ソーセージで、歯ごたえがあって美味しい。鹿肉ソーセージはお土産としても売っているようです。
食事のあと、コーヒーなどを注文してランプの下でまったりしたのだが、某著名ユーチューバーがお土産に買っていた(?)「バラのジャム」(付きクラッカー)が一緒に出てきたので、リーダーは興奮していた。ちょっと前からリーダーは登山系ユーチューブに凝っていて、今ではいろいろな人の動画をチェックしている。そのうち自分もやりたいと言い出すのではないかと密かに危惧している。日が暮れてから急に寒くなってきた。明日は雨だ。憂鬱だがこれも山行。これも人生。挫けず行こう。
で、奇跡は起きず、夜半からの雨は2日目の朝もしっかり降っており、雨具を着込んで出発した。小屋の朝食も食べたかったが、我々は歩くペースが遅いので小屋の食事の前に出発することにした。まだ薄暗い中登り始める。前述したが筆者は鳥目なので暗いところで動くのは嫌いである。われらがリーダーは目がいいので、こういう状況でも的確にルートを見つけて、すいすい(いや、すいすいは言いすぎか)登っていく。筆者はついて行くだけである。さて、この雨である。リーダーから「誰かとすれ違うと思う?」と聞かれたので「すれ違うさ」と答えた。それから間もなくして対向者がやってきたのでランチぐらい賭けておけばよかったと後悔した。その後もすれ違う人は沢山いて、皆さん強靭な体力と精神力を備えているようだった。
最初の通過ポイントである大日小屋に着いてみると、予定よりちょっと遅れ気味である。筆者はこの日もおなかの調子がイマイチである。大日小屋は申し込めば泊まれないことはないようだが、トイレは完全に破壊されていて使えなかった。ここで秘密兵器の簡易トイレを使う選択もあり、ちょっと迷ったが、おなかの不調を抱えたまま登山を続ける決断をし、次のポイントである大日岩に向けて出発した。ちょっとペースを速めて歩いていくと、突如として大日岩が現れる。登山道からは真上を見上げるような感じになる。大日岩を過ぎてもまだ樹林帯だが稜線を登るようになってきて、砂払の頭からは吹きさらしの岩稜帯になる。かなり寒い。天気予報でも土曜日と日曜日ではまるで季節が違うというようなことを言っていたが、まさに昨日とは打って変わって凍える天候である。雨もしっかり降り続いていて、手袋の中までぐっちょりである。結構いい手袋買ったのに。そしてこの手袋は小さすぎるのか、手が濡れるとすんなりとは再び装着できないことが発覚した。これはあとあと相当苦労する。
砂払の頭から先は山梨県側が時々雲間から見える。晴れていれば爽快な稜線歩きだろう。ただ大きな岩を注意深く渡っていかないといけない。風も出て来て、リーダーの不快感が伝わってくる。どーん。天気予報では雷の恐れはないようだったが、リーダーの雷ストレスエネルギーは溜まっているようだ。どーーん(ここでバックミュージックはもちろんオルフの「カルミナブラーナ」である)。時間も押しているので金峰山小屋には寄らず、山頂を目指すことにした。ふと振り返ると昨日登った瑞牆山が霧の中に一瞬浮かんで、消えた。
我々のように西からアプローチすると、五丈石の脇を通過して金峰山山頂に至ることになるのだが、回り込んで正面から見た五丈岩は人工造形物のようである。そこから山頂へはすぐ到着し、雨の中ではあるが少し休憩することにした。非常に寒い。筆者はちょっと着込むことにしたが、手がかじかんでいることもあって手袋をしたままだと上着の着脱が出来ない、結局手袋を外すことにしたのだが、今度は手袋が入らない。くそーイライラするなあ(ここのバックミュージックはチャイコフスキーの交響曲4番の3楽章ということにしよう)。着脱容易で水がしみ込んでこなくて、冷たくならない手袋がないものか。「ギア選びは失敗の連続である」とは名言である。
金峰山からは基本下りである。午後からは曇〜晴の予報だったが、まだ雨は止まない。金峰山の東の肩から右折して樹林帯に入っていく。ここもシャクナゲが多い。さらに下っていくと、わずかに日が差してきた。と思ったらまた雨が降り出し、目まぐるしい。しばらく行くと朝日岳への開けた登り返しになった。登り返しの途中でちょっと写真など撮りがてら休憩したのち、朝日岳通過。まだ手袋に親指が入りきらない。そして朝日峠も通過。まだ小指も入りきらない。朝日峠の先でちょっと休憩した際にもう右の手袋を外してしまうことにした。これまでの行程で確認した最低温度は2℃だったので、凍えてしまうかと思ったが、歩き始めたらそうでもなかった。そして樹林帯から突如として大弛峠の駐車場が現れた。到着!寒かったー。そして筆者のおなかの方も緊急事態にならずに済んだ(いつもながら尾籠な話が多くてすみません)。
結局、ゆっくりペースで組んだ予定通りの到着となったので、駐車場からちょっと登ったところにある大弛小屋で暖かいものを注文し、荷物の整理をし、一息ついた。それでもなかなか手足のかじかみが解消するのに時間が掛かり、リーダーも筆者も苦労しながらファスナーを開けたり食べ物の封を切ったりすることになった。大弛峠からは予約していたタクシーに乗り込んだが、乗客は我々だけだったので途中の乗り換えはなく、塩山駅まで直行してくれた。が、相当くねくね道だったのでリーダーは車酔いしたようだった。この日のリーダーは山行ペースも上がらなかったので、体調が万全でなかったようだ、しかし、筆者と別れて、その日の夕方には甲州名物「ほうとう」を食べていたので、相変わらずの回復力である。リーダーの体調が絶好調の時に当たるとかなりのスパルタ登山になることに恐怖を覚えつつ、次の山行に備えることにしたい。(完)
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