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記録ID: 392464
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ハイキング
丹沢

湯ノ沢「黒棚」〜弥七沢ノ頭〜K2〜馬草山

2014年01月07日(火) [日帰り]
 - 拍手
体力度
3
日帰りが可能
GPS
06:52
距離
8.7km
登り
1,018m
下り
1,019m
歩くペース
標準
1.11.2
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

8:10 駐車スペース
8:20 湯の沢橋
9:30 深田堰堤
9:50 黒棚
11:30 稜線
11:40 弥七沢ノ頭
12:40 小割沢ノ頭
13:00 大杉山
13:50 馬草山
14:30 魚山亭
14:50 駐車スペース
天候 曇り
過去天気図(気象庁) 2014年01月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
コース状況/
危険箇所等
このレポートでは、橅ノ平(956m)を弥七沢ノ頭として表記してあります。

ルート図上で、弥七沢ノ頭〜小割沢ノ頭間で一部トラックが尾根を外していますが、
実際には尾根上を歩いていますので、参考にされる方はご留意を。


西丹の人気温泉「ぶなの湯」のすぐ下流に架かる橋「湯の沢橋」を越えたところから今日の山遊びが始まる。
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西丹の人気温泉「ぶなの湯」のすぐ下流に架かる橋「湯の沢橋」を越えたところから今日の山遊びが始まる。
湯ノ沢のランドマーク深田堰堤に着いた。銘板には竣功昭和6年と謳ってある。
昭和43年発行の東京雲稜会編「丹沢の山と谷」・湯ノ沢トポ(ルート図)では、深田堰堤上流の湯ノ沢は湯ノ沢左俣、湯ノ沢中俣、湯ノ沢右俣の三グループに分けられており、現在のような簡易的に付けられた数字での呼び方はしていない。それだけ当時の湯ノ沢は詳しい情報が少なかったのであろう。実際、本書の湯ノ沢中俣の項では「二俣より右の沢には涸棚50mがあるらしいが筆者は知らない」といった半ば諦めの境地とも思える記述も見られる。
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湯ノ沢のランドマーク深田堰堤に着いた。銘板には竣功昭和6年と謳ってある。
昭和43年発行の東京雲稜会編「丹沢の山と谷」・湯ノ沢トポ(ルート図)では、深田堰堤上流の湯ノ沢は湯ノ沢左俣、湯ノ沢中俣、湯ノ沢右俣の三グループに分けられており、現在のような簡易的に付けられた数字での呼び方はしていない。それだけ当時の湯ノ沢は詳しい情報が少なかったのであろう。実際、本書の湯ノ沢中俣の項では「二俣より右の沢には涸棚50mがあるらしいが筆者は知らない」といった半ば諦めの境地とも思える記述も見られる。
堰堤上は明るいゴーロの河原が広がる。写真は悪沢(十ノ沢)だが、水流はほとんど見えなく、右側(左岸)からガレ状で流れ込む。
●尚「西丹沢頂稜河川土地名称図」によれば、湯ノ沢の一〜十二の沢のうちほとんどに立派な名前が付けられている。
堰堤上は明るいゴーロの河原が広がる。写真は悪沢(十ノ沢)だが、水流はほとんど見えなく、右側(左岸)からガレ状で流れ込む。
●尚「西丹沢頂稜河川土地名称図」によれば、湯ノ沢の一〜十二の沢のうちほとんどに立派な名前が付けられている。
湯ノ沢本流は右へ「Cの字」を描くように大きく曲がっていく。この左岸の尾根末端に見える淡い径路を突き詰めていくと、径路は消えてしまうものの、九ノ沢(大杉ノ沢)・十ノ沢(悪沢)中間尾根を経て大杉山の肩にたどり着くことができる。
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湯ノ沢本流は右へ「Cの字」を描くように大きく曲がっていく。この左岸の尾根末端に見える淡い径路を突き詰めていくと、径路は消えてしまうものの、九ノ沢(大杉ノ沢)・十ノ沢(悪沢)中間尾根を経て大杉山の肩にたどり着くことができる。
「Cの字」型を描く本流を抜けると、直に奥に二段の堰堤がみえる九ノ沢が右側(左岸)から合流してくる。
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「Cの字」型を描く本流を抜けると、直に奥に二段の堰堤がみえる九ノ沢が右側(左岸)から合流してくる。
四ノ沢(黒棚ノ沢)に入ると細い沢筋はV字谷の様相を呈してきた。まるで刃の刃先歩いているようだった。幸いだったのは、思ったほど気温が低くなく、濡れた石の表面もほとんど凍っていなかったことだ。
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四ノ沢(黒棚ノ沢)に入ると細い沢筋はV字谷の様相を呈してきた。まるで刃の刃先歩いているようだった。幸いだったのは、思ったほど気温が低くなく、濡れた石の表面もほとんど凍っていなかったことだ。
そして、僕にとって長い間の「幻の滝」だった黒棚が今、現実の滝となって僕の前にその姿を現した。水量は少ないものの、異様に黒光りする岩肌が、まるで大きな流れの代理人を務めているようなその姿に僕は圧倒されるばかりだった。深田堰堤からわずかの場所なのに、今まで何をためらっていたのだろう。もっと早く訪問するべきだった。
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そして、僕にとって長い間の「幻の滝」だった黒棚が今、現実の滝となって僕の前にその姿を現した。水量は少ないものの、異様に黒光りする岩肌が、まるで大きな流れの代理人を務めているようなその姿に僕は圧倒されるばかりだった。深田堰堤からわずかの場所なのに、今まで何をためらっていたのだろう。もっと早く訪問するべきだった。
落ち口での一条の水流は、滝壺に届く頃にはすでに形をなしていない。滝直下に近づいても濡れることはない。
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落ち口での一条の水流は、滝壺に届く頃にはすでに形をなしていない。滝直下に近づいても濡れることはない。
高巻きは、都合よくぶら下がった残置ロープの助けを借りて右側急斜面を登っていった。しかしこのロープを全面信用する訳にもいかず、グズグズの草つき面は気持ちのいいものではなかった。が…、今日一番の冒険心をくすぐる心地よい危険との対峙を感じさせてくれる一瞬でもあった。
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高巻きは、都合よくぶら下がった残置ロープの助けを借りて右側急斜面を登っていった。しかしこのロープを全面信用する訳にもいかず、グズグズの草つき面は気持ちのいいものではなかった。が…、今日一番の冒険心をくすぐる心地よい危険との対峙を感じさせてくれる一瞬でもあった。
何とか小尾根に乗り、慎重に上を目指すと、すぐに左へ向かう踏み跡が出てきた。方角的に滝の落ち口に向かっていることは容易に察知できた。踏み跡は落ち口よりやや上流に向かっていたが、沢には降りず落ち口の写真だけ撮ると再び上を目指した。
何とか小尾根に乗り、慎重に上を目指すと、すぐに左へ向かう踏み跡が出てきた。方角的に滝の落ち口に向かっていることは容易に察知できた。踏み跡は落ち口よりやや上流に向かっていたが、沢には降りず落ち口の写真だけ撮ると再び上を目指した。
弥七沢ノ頭と大杉山の稜線までは、ひたすら我慢の樹木につかまりながらの登高だった。西丹沢にありがちな石英閃緑岩のズルっと滑るザレ石に辟易しながらも慎重に登った。
弥七沢ノ頭と大杉山の稜線までは、ひたすら我慢の樹木につかまりながらの登高だった。西丹沢にありがちな石英閃緑岩のズルっと滑るザレ石に辟易しながらも慎重に登った。
途中振り返ると、予報に反して雲の広がる上空の下に、精一杯自己主張をする世附権現山を見ることができた。稜線からは一旦弥七沢ノ頭を往復して大杉山へ向かった。ここからは気持ちの良い稜線歩きである。
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途中振り返ると、予報に反して雲の広がる上空の下に、精一杯自己主張をする世附権現山を見ることができた。稜線からは一旦弥七沢ノ頭を往復して大杉山へ向かった。ここからは気持ちの良い稜線歩きである。
●「タンザワのK2」                  大杉山の山頂を示す標識は展望のない杉林の中にある。ほぼ埋もれてしまった三角点の傍らに、一本の朽ちかけた細い柱でかろうじて山頂だということが分かる。昔は手作りの山名板が打ち付けられていたが、今はない。             標高が861.1mの大杉山はヒマラヤの世界第二の高峰K2(8611m)に因んで、一部のマニアックな丹沢愛好家からは「タンザワのK2」と呼ばれ親しまれている。
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●「タンザワのK2」                  大杉山の山頂を示す標識は展望のない杉林の中にある。ほぼ埋もれてしまった三角点の傍らに、一本の朽ちかけた細い柱でかろうじて山頂だということが分かる。昔は手作りの山名板が打ち付けられていたが、今はない。             標高が861.1mの大杉山はヒマラヤの世界第二の高峰K2(8611m)に因んで、一部のマニアックな丹沢愛好家からは「タンザワのK2」と呼ばれ親しまれている。
馬草山で唯一の展望地からミツマタ越しに左から箒沢権現山、P762、弥七沢ノ頭。
以前は道迷いの遭難事件が頻繁に起きていた大杉山、馬草山周辺だが、現在はうんざりする位のテープで彩られ、Vファンを失望させている。
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馬草山で唯一の展望地からミツマタ越しに左から箒沢権現山、P762、弥七沢ノ頭。
以前は道迷いの遭難事件が頻繁に起きていた大杉山、馬草山周辺だが、現在はうんざりする位のテープで彩られ、Vファンを失望させている。
予定通り「魚山亭」の駐車場が見えてきたところで、今日の山遊びは終了した。
予定通り「魚山亭」の駐車場が見えてきたところで、今日の山遊びは終了した。
車までの帰り際、中川川の出合も近い湯ノ沢沿いで見たのものは、白い綿毛をまとい、まるで花のように咲いているボタンヅルの果実だった。
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車までの帰り際、中川川の出合も近い湯ノ沢沿いで見たのものは、白い綿毛をまとい、まるで花のように咲いているボタンヅルの果実だった。

感想

湯ノ沢・深田堰堤まで何度も行きながら、すぐ近くだからと見送ってきた黒棚。
そのうちに、そのうちにがもうすでに5年以上の歳月が流れてしまった。
黒棚の名前すら忘れかけていた今年の正月、何がキッカケだったかそれすらも思い出せないが、
何かの拍子に懐かしい記憶の一つとしてよみがえった。
少しでも動ける間にと重い腰をあげた。

黒棚からはピストンで帰るのも能がないので、弥七沢ノ頭、大杉山、今年の干支でもある
馬の一字が入った馬草山を経由して帰った。

黒棚の場所は複雑に入り組んだ秘境の呼び声も高い湯ノ沢流域にあり、
また水流の細さから迫力に欠ける滝との低評価もある中で、すべての人にはお薦めできないが、
機会があれば一度は目にして損はない滝だと今回の訪問で思った。

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