富士山 山岳部員と雪上訓練+イグルー未遂+7合目(標高2870m)アタック


- GPS
- 30:00
- 距離
- 12.8km
- 登り
- 1,706m
- 下り
- 1,706m
コースタイム
甲府6:00→8:00馬返し(車)
馬返し8:30→五合目佐藤小屋11:00
五合目→6合目付近の訓練場所に移動してイグルー作り12:00〜15:00失敗。
幕営15:00
二日目
天場7:00→7合目付近まで登って引き返し9:30(鳥居荘付近まで)
6合目付近で滑落停止と脱出訓練(スタンディングアクスビレイ)10:00〜13:20
→馬返し14:30
天候 | 一日目ガス時々晴れ 二日目晴れ 風強い 日中氷点下15度 |
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過去天気図(気象庁) | 2014年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
中の茶屋から先、圧雪路面。多少腹摺り。軽自動車4輪駆動でかろうじて行けた。駐車場はがら空き。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
今年は雪少ないので、いつものところでピッケル制動できず。スタンディンアクスビレイも吹きだまりの一カ所でできるのみ。 7合目付近も昨年より、雪少なく、夏とあまり変わらず、氷の急斜面になっていなかった。でも、それも上まで続いているわけでもない。 |
予約できる山小屋 |
里見平★星観荘
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写真
装備
個人装備 |
アイゼン+ピッケル(1)
食器と箸や匙(1)
ハーネス+ヘルメット(1)
スリング
カラビナ(4ずつ)
ATCや8環(1)
地図と磁石(1)
非常用防寒具(1)
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共同装備 |
ツエルト(2)
ストーブ+燃料+板(1)
スコップ(3)
ノコ(3)
ローソク(1)
鍋大(1)
鍋小(茶用)(1)
スノウバー(2)
ザイル50m×9mm(1)
滑落用尻乗せそり(1)
テント6人用(1)
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感想
山梨大山岳部現役4人と、富士山で雪上訓練+イグルー泊+7合目アタック。
軽自動車(4輪駆動)二台で馬返しまで行けた。佐藤小屋の佐藤さんに聞いたところ今週末はたくさん首都圏方面から来るとのことだったので、満杯かと思っていたけど駐車場はガラガラだった。五合目までの道はよく踏まれていて夏道のようだ。数日前に、やっぱりたくさん歩いたとの事(佐藤小屋おかみさん談)。佐藤小屋すぐ下の車道横切るところで雪かきブルに先導された佐藤小屋軽トラと丁度会った。小屋はきょう人がたくさん来るとの事でテキパキ仕事を始めた。
小屋前でアイゼンを付けて、上の訓練場へ出発。小御岳神社と6合目集金所を結ぶ斜め道の途中にある、少し窪地になった地形の上の急斜面目指す。ここだけは吹きだまりになっていて、唯一、イグルーの可能性がある。
【イグルー】
昨年同時期に比べて、雪が少ない。吹きさらしは熔岩砂礫の上に雪うっすら。吹きだまりもせいぜい50センチで、圧雪もあまり進んでいない。普通ならイグルーは無理なのだが、学生にイグルー泊させたくて、まずは作り始めてみる。
縦の壁部分から早めに屋根に移行するが、ブロックに接着力が無いザラメ氷結タイプで、微妙な積みをすると何度も崩落する。極端な楕円形なので長径側の壁の強度も弱く、屋根が落ち易い。2時間粘って、3回大規模に落ちて落胆。そこで、ストックを梁にする事を思いつく。ストックを横に渡して屋根積みの補佐をさせると、簡単に屋根が塞げた。ブロックは接着力は無いが、クラスト面を活かしたガラス板のような広くて薄いのがたくさんとれたのも強い。
ほぼ完成、というところで、すぐ上でブロック手渡し係をしていた岩崎の足下が滑り、一挙崩落。掘り込んでいた部分を踏み抜いたのか、滑って倒れ込んだか。
これで諦めがついて、窪地の底に快適6人テントを張る。きょうはピッケル滑落制動くらいやりたかったが、滑る斜面はこの周囲に無かった。お茶飲んで、酒嘗めて、ツマミ摘んで、大鍋にすごくたくさんの鍋や肉いれて食べる。デカいザックだったもんね!梨大山岳部は、この数年部員がいるけどはOBは60歳代まで飛んでいて技術や記録の伝承や繋がりが途絶しているとのこと。山のブームが去ると、学生期間の4年なんてあっという間だ。せっかく何かを成し遂げても連続していくことは難しい。今年はたくさんいた一年生が皆ヤメてしまったそうだ。
【アタック】
朝は寒いので、訓練より先に7合目アタックにする。始めはもちろん富士山頂に行きたいという相談だったけれど、豊富なセンパイに継続的にガッツリ仕込まれた経験のあるわけではない冬山2、3年の経験では冬の富士山は無理。ロープで助けながら経験の浅い人を連れて行けるルートではない、と話して、今回は7合目まで行く計画。下部ジグザグ道は雪が飛んで夏と同じ。花小屋〜鳥居荘までの区間は小屋東側面のルンゼ状を直登する。西側の吉田大沢側の夏道沿いは小屋直下の石段などが氷の滑り台になっている事があるから。
ルンゼもアイゼンが決まる硬さで、快適に登る。このあたり、まだブッシュがあるので安心感があるが、斜度は結構急になって来ている。東洋館のさきあたりまで、岩が露出していてまだ行けそうだったが、鳥居荘にて引き返す。山頂部は地吹雪で節煙が上がっていた。風が強く、氷点下15度。皆のアイゼン歩行は安定している。手袋をはずさないとか、目出帽を下げるとか、フードやアイゼン、スパッツの締め具を扱い易くしておくとか、凍傷にならないよう冷たいところですべき動作を、経験積んで工夫しておくしかない。2、3年経験積んだら、冬季富士山頂に行くといいよ。天候と状態と自分を駆け引きをして、10時間近く無防備な領域を往復して無事帰って来た満足感は、外では得難いものだと思う。経験を共にした時間のある信頼できる仲間とだけしか行けるところではない。僕も1986年、ハレー彗星の来る3月に、春山の3回戦で計画をしていたことを思い出した。センパイの都合があわず流れたけれど。
【スタンディングアクスビレイ】
テントに帰ると、10人パーティーが、窪地の急斜面で滑落停止訓練をやっていた。きのうのイグルー跡地だ。急で、ピッケルが縦に刺さるのはここだけなのだが、外をさがして上の方に行ってみる。急斜面はあるが。ピッケルは刺さらない。ピッケルを寝かして。雪で踏んで支店を作るやり方でやってみる。これでできる雪もあるのだが、ここの雪は全然駄目で、踏んでも固まらず、一緒に滑落してしまう。深さたったの20センチ足らずでふわふわ雪だ。こういう雪では効かないのだよという経験になる。格好と手順だけ練習する。そのうち、10人パーティーが降りて行ったので、イグルー跡の場所に戻って、ピッケルを縦に刺して練習。肩がらみ式と、上着がこすれて焼けない、タスキがけカラビナで制動する群馬岳連式で止め、プルージックで仮固定して落下者を助けるまで。
下山するときには、五合目以下に先の10人パーティーの外にも凄くたくさんの人が歩いた跡があり、すごく快適な道になっていた。弾力ある雪面なので、トレランみたいに走って降りてしまう。帰路、中の茶屋にマイクロバスがあり、大勢の人がいた。佐藤小屋に泊まって雪上訓練の団体かな。山中ではまったく会わなかったけど、ここから歩きだから早めに降りたのだな。どこか違う小御岳神社よりの雪面を使って訓練したのだろうか。
運動直後の牛乳が、筋肉に成りやすいゴールデンタイムとのことで、車に1リットル置いといたら、半分近く凍結していた。でもうまい。富士吉田の糸力に直行したけど営業時間外でしょんぼりして、吉田さんに電話。すぐ近くの「やぶ」って店を紹介されてそこでダブル定食。問えば響く応対上手な若い娘が何人も給仕していて、味以上に印象が良かった。
yoneyamaさん、こんばんは。
最初の写真でちょっと不安気な学生さんたちの表情が、最後のひとりひとりの写真ではいい笑顔です。
「クマ大先輩」の愛情こもった指導(シゴキ?)のおかげですね。
イグルーの説明部分、やはり富士山の雪では難しいこと、よくわかりました。
でも、切り出した雪の大きさが自分たちの時と全然違うので、なるほど、納得です。
「クマ大先輩」の若い人たちに優しく語りかける文体にホロリとしました。
彼らがこれからいっぱいお山での経験を積んで、いつの日かこの日の仲間で、冬富士の頂きに立つことを祈っています。
りかろさん。昨年同じ時期に比べ、6合目の窪地は寂しい限り。雪の無い冬山って、益々サムザムします。イグルーに泊まればあったかいのですが。学生のとき4年の山行修行は長く感じたけど、こちらにとっては4年はすぐです。漫然と登っていると、あっという間に老いぼれです。
yoneyamaさん、こんばんわ。
転勤で日本各地を回られていてもすぐに山仲間ができたり、
若者の指導とかされていますね。
普通のサラリーマンにはなかなかそこまで出来ないですが
やはり技術・経験豊富で人とのつながりを大切にする
yoneyamaさんならではですね!
うちの甥っ子君は部活と勉強が忙しいとのことで
お正月は来ませんでしたが
ママに聞いたらとんぼ高校のOBの記念講演会聴いたそうです。
考えてみると転勤で住む町は丁度四年だから、大学山岳部と同じですね。一年目は関係作りや周囲の山域研究でたのしくて、二年目には夢の計画がいくつも生まれ始め、3年目で調子に乗って、4年目は卒業制作で涙の惜別新たな出会いでしょうか。いつまでこんな調子でヒラヒラ行けるやら・・・。
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