八ヶ岳冬期キレット越え〜成長するために。


- GPS
- 32:00
- 距離
- 20.0km
- 登り
- 2,093m
- 下り
- 1,772m
コースタイム
27日>7:00天女山-7:20天ノ河原-10:10前三ツ頭-11:20三ツ頭-12:40権現岳-15:30キレット小屋
28日>7:00キレット小屋-10:00赤岳-11:15行者小屋(休憩)-12:30赤岳鉱泉(休憩)-美濃戸山荘(休憩)-15:10八ヶ岳山荘
天候 | 27日快晴無風。 28日晴れ。稜線上は強風。 |
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過去天気図(気象庁) | 2014年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
復路:八ヶ岳山荘よりタクシーにて茅野駅まで。5120円でした。 八ヶ岳山荘より茅野駅へは平日特定日運行です。 http://www.alpico.co.jp/access/suwa/ |
コース状況/ 危険箇所等 |
天女山〜権現岳>トレース明瞭。樹林帯は場所によっては40センチ以上の積雪。平日でも良く登られているようです。 権現岳〜キレット小屋>ここからはノートレース。ワカンは持っていましたが、着脱を面倒がり、最後までツボ足で歩きました。。稜線では脛〜膝までの雪(ほとんど雪のないところもあります)。権現小屋分岐からすぐにやや細い稜線があり、慎重に進みます。ほどなくするとあの断崖20mの源氏梯子へ。梯子自体は雪に埋もれることはないでしょう。ただもし凍結していたら絶対降りたくありません。梯子を降りると短いトラバースがあります。核心はこちらの方。鎖は半分埋もれており、掘り出せませんでした。足元は絶壁。ピッケルをしっかりと雪面へ刺し、動かないことを確認してから前爪を蹴り込み、ステップを作りながら下降。絶対に慌てないこと。ここから先の稜線は雪は少なかったです。ただ、樹林帯に降りると膝〜腰までの場所もありました。ツボ(ワカンを履くべきでした)で辛抱強く進みました。キレット小屋が眼下に見えましたが、下降する場所が見つからず、樹林帯を強引に降りました。後で気が付いたことですが、小屋の裏から楽に降りる場所がありました。稜線上の樹林帯や小屋の上に風を防げるような幕営適地もありました。小屋のテン場はほとんど使われた形跡がなかったので、稜線上の適地に幕営される方が多いのでしょうか。 キレット小屋〜赤岳>風が無ければそれほど難しいところではないかもしれません。ただ、この日は吹き飛ばされそうな強風。苦労しました。稜線では這いつくばって進んだ場所も。核心部は幅広のルンゼ状の岩登り。雪はほとんどついていませんでした。風にたたき落とされないように慎重に丸印の示す通りに登りました。その上の鎖は全て出ていました。日当たりが良いので埋まることはないでしょう。竜頭峰は強風のため断念し、文三郎尾根上部までトラバースしました。(薄いトレースあり)ここから赤岳山頂はすぐです。 赤岳〜行者小屋>文三郎尾根。トレース明瞭。それでも急な場所もあり、注意して降りました。もう一般ルートだからちょろい。とは一切、思いませんでした。笑 当然ですが、天候が悪くなれば中止にしています。2日快晴の予報を見て決行しました。 |
写真
感想
自分にとって前から目標としている山行がいくつかある。
そのひとつが冬期キレット越えだった。
初めて冬の赤岳に登った3年前、冬のキレットばかりを何枚も写真に撮っている。
他の山よりもキレットが一番印象に残っている。
あれを冬に越えるなんて無茶だろう。でも、なんてきれいなんだろう。
それから数年経ち、一人で挑戦するなんて、そのときは思ってもみなかった。
その憧れのキレット越えは期待通り、いや期待以上の努力と困難を必要とした。
権現から先はトーレスは無く、細い稜線が鋭角に切れ落ち、その先に目指す主峰赤岳が見えている。
正面には阿弥陀。奥には横岳から硫黄岳の縦走路。その先へと続く北八ツ。蓼科山。
つまり八ヶ岳の全てが見える。
本当に素晴らしい縦走路。冬の危険と困難が付きまとわなければ。。
源氏梯子を降りると、崖のような斜面にトラバースがあり、鎖が半分出て来なかった。
アイゼンを雪面に蹴り込み、ステップを作っていく。ゆっくりとクライムダウンする。
その後は樹林帯のラッセルとルートファイディングに気を使った。
ワカンの装着を面倒がったのも経験不足が露呈した。ワカンに慣れていれば迷わず履いていた。
ルートは尾根通しを基本とし、樹林帯の巻き道などにはあまり入らなかった。
キレット小屋が眼下に見えると小さく小屋の案内板があるが、全く道が無い。
しかたなく、転がり落ちるように小屋まで降りた。
権現からここまで3年前歩いた無雪期の約3倍の時間を要した。
夜は音楽を聴きながら、キムチ鍋を食べて温まった。意外にも凍えるほど寒くはなかった。
携帯の電波が入っているのを知ると翌日北八ヶ岳にpasocomさんと入山するmmgさんとチームメンバーに連絡した。
2人とも無事ですと送るとあったりまえだろー!と返事が来たのが可笑しかった。
翌朝小屋の裏から前日つけておいたトレースを辿り稜線に出ると、穏やかな小屋とは別世界があった。
立って歩くことができないほどの西風が唸っている。
この先にある岩場で苦労すると思ったが、まずそこまでいくのも大変そうだと思った。
風は収まることなく身体に叩きつけてくる。途中で這いつくばって進んだ個所もあった。
30分も歩いていないうちに両足の指が氷のように冷たくなっているのを感じた。
痛みがひどい。こんなことは初めてだった。
昨年、siriusさんが八ヶ岳で凍傷の初期症状になったことや、
靴を買った時、店員さんが僕だったらもっと保温性が欲しいと言っていたことを思いだした。
急に怖くなって風の来ない樹林に入り、ゆっくりと靴を脱いでみた。
指を揉んでみると痛みが弱まり、感覚が戻り動くようになって少し安心した。
ルンゼ状の広い岩場がやはり今回の核心部だった。
強風はここまで吹きつけてきた。引き剥がされないように岩からなかなか手を離せなかった。
ピッケルを腰に回し、一瞬、弱まったときに急いで攀じる。
上部の鎖場に出ると、岩が壁になり風を防いでくれていた。ようやく一息付く。
竜頭峰はトラバースし、文三郎尾根から登り返した。
ここで約20時間ぶりに自分以外の登山者と出会い挨拶を交わした。
最後の梯子にさしかかると、快晴の深い青空に赤岳の山頂標識が見えた。
昨日から今までのことが急に思い出され、しばらく上がれなかった。
誰もいない貸切の山頂。
5度目の赤岳の見慣れた頂上はまるで初めて来たときのように喜びと達成感で満ちていた。
越えてきたキレットもあのとき見たときと少しも変わらなかった。
makasioさん おはようございます。
この時期に八ツのキレット越えですか、凄いですね。コース状況読んでる時からドキドキしてしまいました。写真からも緊張と達成した安堵が伝わってきました。そしていつものmakasioっ晴!
読後、爽やかなレコ、朝からいい気分です。昨日の閉じ込められた東上線電車で読みたかったなぁ(笑)。
コメントありがとうございます。夜勤でいつもすぐに返せなくてすみません。
この数年間、いろいろやってきましたが、(心配かけました)
今回の山は忘れることのできない素晴らしい経験となりました。
(毎回、言ってる?)
まずは天気です。2日間の快晴でなければできませんでした。
ほんとにお天気はいつも自分に味方してくれます。
ほんとに親父が天からみてるんじゃないかと思うくらい。親父は大の心配性で。
生きてたら、こんなこと絶対許してくはくれないでしょう。
山頂に辿りついた時、自分への達成感というより、
やっぱり山はすげえな!と思いました。
東上線、お疲れさまでした。笑
厳冬期のキレット越え、ご無事での踏破おめでとうございます。
mmg(TA100)とともに北八ツから赤岳を眺めていました。
「今頃はもう赤岳に着いている頃、いや美濃戸に向かって降り始めている頃か?」と3人で気をもんでいましたよ。
siriusさんのレコでもそうでしたが、この時期のキレット越えの核心部は源治梯子から旭岳越えあたりのようですね。
Shot31では遙か下にツルネが見下ろせる(^^)。このルート上でルーファイが必要だとは驚き。そしてその厳しさが窺えました。
竜頭峰を巻いたのは、あの絶壁トラバースのいやらしさでしょうか。稜線から一旦文三郎ルートに抜けるルートがあるのは知っていましたが、そういう活用を考えられるのが素晴らしい。
うららかだったらしい27日とは打って変わって28日は風が強かったですね。北横岳で強風に会いながらも「赤岳はもっとすごいんだろな、ここより500mも高いんだもの。」と話してました。お疲れ様でした。
ご無事での帰還、これがなによりですね。真澄がおいしかったことでしょう(^^)
偶然にも北八ツと南八ツの同時登山となりました。コラボとも言えるかな?
そうですね、僕の名前を呼んでくれた時の時間を拝見したら。
ちょうど赤岳鉱泉に降りて、余韻に浸りながらのラーメンタイムでした。
最も安堵した時でした。そちらも風、凄かったですね。
蓼科山が見えると、皆さん、楽しんでいるかなと何度も思っていました。
トレースは消えていたので、慎重に進みました。
稜線通しなので難しくはありませんが、膝までの雪に難儀しました。
竜頭峰のトラバースは薄い踏み跡がありました。
ピークはなんの躊躇もなく無理と判断しました。ものすごい風でした。
パソコムさん、しかし、八ヶ岳は本当に素晴らしいですね。
改めて思いました。
真澄(あらばしり)、そりゃ、もう。笑
こちらはこの翌日赤〜横〜硫黄を楽しく周回してました
負けず劣らず雲一つない素晴らしい天気と強風でした
晴天続いたのと、風強いので岩に着いた薄い雪は融けたか飛んじゃってる感じでしたが、それでも厳冬の八ヶ岳、2月や3月程ではないけど樹林なんかは結構な雪ですよね。冬季のキレット越えだと朝日岳辺りが怖いなってのと、平日組はトレースはあまり頼れないので己の力量で何とかしないとっていう緊張感がありますよね。
無事下山お疲れ様でした
権現手前の樹林帯からかなりの雪でした。
前日、日曜日のレコを拝見したらやっぱり降雪があったようです。
我々、平日組はついてました。笑
素晴らしい快晴の2日間でした。まだ、余韻に浸れますよ。真澄無しでも!
自分にとって大きな挑戦でした。良い経験になったと思います。
あ、俺、水曜日は天気崩れたかと思っていました。
美濃戸への下山中、完全に天気は悪化していったんです。
すれ違う学生パーティーに(多分大学のワンゲル)ああ、ごめんと思っていましたが。
(たいてい自分が下山すると天気悪くなるんです)
そうですか、良かったです!あとでレコ、拝見しまーす。
お疲れ様。着々と目標をこなし、良いですね〜。人を頼れない単独ですから素晴らしい。
凍傷にならなくてよかったですね
単独での挑戦は怖くてたまりません。ホントは。でも、これが自分の目標とするもの。
そういや、子供のころから、本当に好きなことは最初から最後までひとりでやりたい。
と思っていたことを思い出しました。料理もそうだ。笑
足の指は本当にこれはやばいと思いました。そんなこと初めてです。
靴を脱いだ時、あ!指がちゃんとついてる。良かった。と思いました。
いやあ、冬山は本当にリスクが大きいですね。
でも、そのリスクゆえに感動が大きいのかもしれませんね。
師匠、冬山はやっぱりダメですか?スキーはやるのに?
ひじょうによろしい!!
だってもうカズの本気山はスゴイって思わないようにしてるから。
カズそのものだから
下山後の行者小屋、赤岳鉱泉、自宅での優しくなれる時間のほうに
しみじみしたよ。
TA100はほんの5分の風速15mの北横岳山頂でもあんなだった。
ただの雪原のノートレースでも緊張した。旗立ってるのに(笑)。
厳冬期のシビアさが少しはわかった。
想像を絶するけど。
難しさが段違いとはいえ、ワカン面倒で装着しなかったのはおん
なじ(笑)。
やっぱ兄弟だ。
中ア考えてみる。
夏だぜ。カズにとっては下見だね
夜、退屈(と不安で。)でメールして悪かったです。
まだ、帰宅中だったんですね。自分のことも当然ですが、
明日、そちらの北八ツ、楽しめるといいなと思っていました。
あの中でも蓼科山が見えると、そっちのこと考えていましたよ。
そのお陰で冷静になれたのかもしれませんね。感謝。
ワカンはね―。慣れてないからてのもあるけど、めんどい。。
でも、これ課題だな。スノーシューも良いけど、こっちにまず慣れたいです。
今回もいい経験になりました。
最近、自分のチャレンジを終えたとき、
山に対してすごく謙虚な気持ちになるようになるんですね。やっぱ凄いと。
ちょっと前は俺、すごいじゃん!と思っていたのが、笑えます。
中ア。よろしく―。へっへっ。引っ掛かったな。
素晴らしい、山行記録です。
もっとも困難なこの時期のこのルートの選択。
それをやり遂げるための、入念な計画。
見惚れる景観。
やりとげる強いメンタリティ。
すべてをあますことなく表現した文章。
ひとつの作品です。
照れます!!
ほんとにツキがあったからできたことです。ホントに山は凄いです。
冬期キレット超えはもう3年前から目標でした。
初めて冬の赤岳を登ってから3年かかりました。
絶対できるという自信がなければ、山はできません。
メンタルと体力のスポーツですね。でも俺、メンタル弱いけどな。。
作品って。ははっ。ありがとうございます。
jpさんに褒められると有頂天になりそうです!
makasioさん こんにちは
厳冬期キレット越え、大変お疲れさまでした。
弩Mチームとのコラボより随分とキャラが( ー`дー´)キリッっとしてますね!
赤岳は個人的には南側からが一番カッコイイと思います。
それにしても素晴らしい展望ですね。北アがすぐ近くに見えますよ。
私はヘタレて旭岳で2回、源氏梯子の手前で1回引き返してるんです(;´д`)トホホ…
今年こそはキレット超えて赤岳まで。あっ もちろん無雪期ですが。。(^^;)
あのチームのマカシ―も。
こちらの単独のマカシオも同じ人物です。笑
でもね、気持ちは全然違いますよね。
本当にやりたかった挑戦でした。キリっ。苦労しましたが。。
一人でやりたいことをやり遂げたときの達成感と余韻の深さ。(ナルシオだから)
これは何事にも変えられません。
赤岳、俺もここからの眺めが大好きです。ルンゼのルートも。
赤岳のほんとう姿はこっちだと思います。
ほうらいさん、ほうらい子さんのキレット超え、楽しみにしてます!
お疲れさま
仕事場からヤツを見て、今頃あの辺かな〜と思ってました。
天気は良かったので風と雪のコンディションがどうかなと
心配だったけど、何事もなく下山できたのはskill有っての事
流石ですね!
赤岳鉱泉でラーメンと一緒にラインのメッセージが来たのが可笑しかった。
無事に今回も満足できる登山ができました。
ただ、スノーシューがあればもっと楽に行けたかもしれませんね。
これはMSR教会に入信しない罰ですか!?笑
でもねー、俺、わかんの使い方がまだわかんない〜。笑
もう少し、わかんの修行させてください。
ほとんど使っていないわかんがかわいそうで。。
もう少し使ってあげたいんです。
早速行ってきたね。
やはりもうトレースは期待できないね。
ラッセルは膝くらいまで?
最後までよくワカンなしで頑張ったね。
着脱を面倒がる気持ち、よくわかります。
凍傷にならなくてよかった。
良い経験が出来たね。
宣言通り、行ってきました。
一回のチャンスで二日間の晴天を頂けたことに感謝です。
権現前のルンゼルート、シリウスさん、あっちの方が怖いよ。笑
途中、足の痛みはひどかったです。
凍傷にならなくてホントに良かったです。
ただ素晴らしい経験と素晴らしい景色でした。
お互い、これからも、自分たちの登山、していきましょう。
気をつけて!
お疲れ様です
またまた弩ピーカンだったんだね〜!
ここまで来ると、晴れ男の重責がのしかかってくるね(笑)
それにしても、赤岳エエね
私もモリモリ修行して、近いうちに行ってみたい限りです!
今回は酒をシャラフに捧げなかったみたいでよかったね(笑)
ホント、無事でなによりです
前回、氷結飲もうと思ったら穴が開いていて空だったのは笑ったね。
今回は大丈夫だったよ。
ダウンパンツと銀マットの効果は凄かった。
冬山は根性で耐えると言ったけど、
道具って、やっぱり、使えるなぁー。笑
また、チーム弩変態で楽しんでやる山もやろう♪
まかしー!
まずは無事に帰ってきてくれてありがと!指も無事でよかった!
お疲れ様でした!
無風のまかしお晴れで美しいですな〜!
ワタシもいつかキレット・赤岳やりたいな〜
Mチームの企画もよろしくね〜!
次はどこ行こうか♪
くにさん、キレット越えたよー。
やったよー。
厳冬期にここを単独でやるのが、いままでの一つの目標だった。
トレースのついた厳冬期の西穂高よりも難しく勇気が必要だった。
自分しか頼れないってのはとても辛いよ。
でもねー、乗り越えたときの達成感は最高のものがあるよ。
くにさん、もう、赤岳できるよ。
なぬ?!
一度でえーからガスってみたい・・・だと?!
ヽ(#゚Д゚)ノ┌┛)`Д゚)・;' コラーッ!
次のM会山行でガスったら、タダじゃおかないぞψ(`∇´)ψ
なーんてね(笑)
ちゃんと下山したから、あのことはナイショにしといてあげるよ(^皿^)
mmgさんが私と同じこと言ってて笑ったわ〜♪
お疲れ様っ!
俺が登る前日までガス…だったらしい…。
失言でした。すみません。
たえさん、あの事…。意味深になりそうだから自分でばらすよ。
山頂直前でしばらく上がれなかったのは、ジーンと。
目に汗が溜まってきたから。
汗だよ。汗!
それでいいでしょうか。もう、堪忍して!
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