木曽駒ケ岳


- GPS
- 04:00
- 距離
- 3.6km
- 登り
- 382m
- 下り
- 405m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
前日は強風でロープウェイが運行せず、この日は天気も回復したことから大勢の登山者が菅の台バス停に行列をつくっていた。3台目の臨時バスのため、千畳敷からはすでにカールに登山者の列ができ「ありの行列」状態だった。稜線直下の斜面は雪の上に薄く氷が張りアイゼンの効きがイマイチだった。宝剣岳に向かうが、通常のルートは途中までで、山頂直下のトラバース地点から尾根沿いにトレースがついていた。トラバースはザイルなしではかなり不安があるため、山頂を断念し引き返した。木曽駒ケ岳へは風も強くなく快適な雪山登山ができた。乗越浄土からの下山は高度感はあるものの慎重に下れば問題ない。 |
写真
感想
この冬、日本の南岸を移動する低気圧は大雪や強風をもたらし、各地で記録的な降雪となった。この影響で、山へのアプローチも車両通行止めや麓からのラッセルなどで、例年のなく厳しい登山を強いられた。この状況が3月に入っても続き、高い山々はなかなか厳しい表情を崩さなかった。
そんな中、比較的簡単に山頂に立てる木曽駒ヶ岳を計画した。2年ぶりであるが、前回は乗越浄土からかなりの強風になり、かつメンバーのアイゼンが調子が悪かったため、木曽駒手前の中岳で撤退した。ロープウェイが2600mまで上がるので、稜線までは1時間ほどであるが、ここは風の通り道となって常に強風が吹きやすく、ブリザードやホワイトアウトになれば遭難の危険性が高くなる。また、宝剣岳は雪の付き方でコースが異なり、ザイルが必要な箇所も多くなると、難度の高い登攀となる。
私の今までの経験から、低気圧が通過した翌日は晴天であっても風が強く山は荒れ、その翌日は穏やかな好天になりやすい。今回もその経験を生かし決行したところ、案の定、前日は強風でロープウェイが運行しなかったようだ。そのため、快晴のこの日は駐車場が満杯で、バス乗り場は30分前から行列をつくっていた。やっと3台目の臨時バスに乗り、ロープウェイを乗り継ぎ千畳敷に着く。ここから見上げる宝剣岳と伊那谷を挟んで整然と連なる南アルプス連峰は圧巻で、千畳敷カールを登る登山者が「アリの行列」のよう見えた。早速一歩を踏み出すと、前日の雪が薄く凍り少し滑りやすいものの、正面に宝剣岳を見ながら真っ青な空に吸い込まれるような気持ち良い歩行となる。稜線直下にくるとかなりの急傾斜となるが、確実なピッケル・アイゼンワークで進む。乗越浄土に着くと、ほとんど風がなく、目の前に宝剣岳が聳え、その向こうに空木岳への中央アルプス連峰がきれいに見えていた。
冬の宝剣岳は何回か登っているが、いつも通常(夏)ルートの岩稜を登攀して頂に立った。しかし、この日は雪の付き具合から尾根を直登するようだ。不安を抱きながら、かすかなトレースを頼りに進む。山頂に近づくにつれて急傾斜の雪面が氷結し、滑落の危険性が高くなってきた。山頂に近い50mのトラバース地点までくると、ザイルを出して慎重に登っている先行者を見守るソロの登山者がいた。彼はザイルを持参していないので厳しいと判断し引き返すと言う。私は「慎重に行けば何とか」と思ったものの、「万が一、バランスでも崩したら奈落の底に墜落」と思うと、その時点ですでに「敗退」という結果は出ていた。後ろ髪を惹かれる思いで宝剣岳を後にし、木曽駒ヶ岳に向かう。多くのパーテーが登る木曽駒は宝剣から比べればハイキング気分で登れる。木曽駒山頂は360度の眺望が可能で、無風快晴の中、絶景を見ながら登山者が「最高だねー」と喜んでいた。山頂の駒ヶ岳神社は「エビの尻尾」で覆いつくされ、雪と強風の自然の厳しさを示していた。神社の横の窪地に腰を下ろし、絶景を見ながらカップラーメンとコーヒーを飲んでいると、人は多いものの「なかなか良い山だなあ」と思えた。40分ほど楽しんだ後下山にかかる。宝剣岳の近くまで来ると、山頂からザイルで下降する数名のパーテーが見えた。山頂から千畳敷に向かってスッパリ切れ落ちた尾根に取り付いている登山者は妙にカッコ良く、つい自分が登攀している姿と重ねてしまった。
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