雁坂峠〜破風山〜徳ちゃん新道
コースタイム
6:20道の駅みとみ-8:10沓切沢橋-12:50雁坂峠-13:50雁坂小屋
2月9日
4:20雁坂小屋-6:00雁坂峠-7:50雁坂嶺-10:50東破風山-12:30西破風山-13:30破風避難小屋-20:30戸渡尾根分岐-21:20Co1,869ピーク手前BP
2月10日
6:30BP-8:20西沢山荘-8:50道の駅みとみ
天候 | 2月8日:雪 2月9日:晴れのち曇り 2月10日:晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2014年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
<道の状況> ● 道の駅みとみ〜雁坂峠 沢沿いの夏道を行く。ピンクテープ多くルーファイは問題ない。トラバース道で一部悪いところがある点と、渡渉に注意を要する。 ● 雁坂峠〜雁坂小屋 北東斜面の広い尾根。夏道は見つけられず。峠に吹きこむ風のせいでかなりの吹きだまり。峠から水晶山方向に歩き、尾根を忠実に小屋に向かった。下りでも腰まで埋まる猛烈ラッセル。夏道10分の道のりに40分程度を要した。 ● 雁坂小屋 宿泊棟の一部が冬季開放されている。引き戸の脇の雪をどけて戸を開く。中にはうっすらと雪が吹きこんでいた(小屋の方と電話でお話ししたところ、本来は雨戸を閉めるとのこと)。中は土間と畳の小上がり、2Fもある。毛布が10枚ほど置いてある。小屋を出て右にある指導標付近でdocomoの電波入る。維持管理協力金1人2,000円は小屋の中の箱に入れるようになっている。我々は下山後、直接管理人に連絡し、オーナー様に現金書留にて送付した。甲武信小屋が冬季閉鎖となった経緯も踏まえ、綺麗に使用したい。 ● 雁坂峠〜破風山〜破風避難小屋 基本的に稜上を行くのでルーファイには苦しまない。ところどころ北側斜面を巻くが、ここではハイマツ等を踏みぬき辛い。破風避難小屋までの下りは北からの風を受ける。樹林は疎らだが、腰まで埋まり、下りなのに辛い。 ● 破風避難小屋〜戸渡尾根分岐 問題となる箇所はない。新雪ラッセルが苦しく、特に後半、登山道がかまぼこ(ハーフパイプ)状に抉れており、ここに新雪が大量に吹きだまっていた。空身&スコップラッセルで進んだ。 ● 戸渡尾根〜徳ちゃん新道〜西沢渓谷 快適な登山道だが、しゃくなげのトンネルが邪魔。数名のトレースがあり、本当に助かった。 ※ 全体を通して、つぼ足かわかんで歩行。 アイゼン、ピッケルは使用せず。 <宿泊> テン泊予定だったが、感想記載の通り雁坂小屋泊。雁坂小屋は一部を冬季開放しており使用可能。維持管理協力金として2,000円を支払う。我々はキリ良い紙幣なく、下山後、小屋の方と直接連絡を取り現金書留にて支払った。小屋の中にはテーブル、ベンチ、毛布がある。 |
写真
感想
【以下はカモの会在籍時の山行記録である。在会時に会長らに一方的に山行記録、感想を非公開設定されたため、会を退会したうえ、再度個人記録として再公開することとした。】
東京に20年ぶりの大雪が降ったこの週末、木曜日の時点で全員で天候分析を行い、八ヶ岳中止の判断。金曜日、あいりんが体調不良で不参加となり、レオ、山pの意向を確認しつつ、大雪による交通事情については、日曜日の夕方には回復するであろうと予想し、奥秩父への代替計画へ転進することで決定。
ルートについては、当初、徳ちゃん新道経由で(行ければ甲武信ヶ岳に寄って)雁坂峠へ向かう計画であったが、
・降雪後の沢沿いルートを避けたい
・2日目好天の下、甲武信ヶ岳PHのチャンス
等を踏まえ、逆ルートを取ることにした。
初日、小雪舞う中道の駅みとみから雁坂峠を目指す。道の駅の積雪は3cm程度。うっすら残るトレース、先行者がいるのだろうか。沢沿いのトラバース道は一部悪いが、久々の沢の音が和む。そろそろ沢シーズンの始まりだな(いや、まだ早いか?)と感じる。
雁坂峠まで、夏道上のトレースに載った新雪を踏み、時にトレースを外して太腿ラッセルを繰り返しながら、雁坂峠に到着。当初は破風山避難小屋、あるいは途中の尾根で泊まる予定だったが、予想以上に時間を要したこと、また全身雪まみれで、相当に濡れたこともあり、雁坂小屋泊とする。峠からの北東斜面の下りの猛烈ラッセルには閉口したが、冬季小屋として開放されおり助かった。(協力金@2,000円必要)
翌日の行動について打ち合わせ。そのまま下山する選択肢もあったが、縦走して戸渡尾根を目指すこととする。
2月9日(日)未明曇り、陽が昇ると晴れ、−12℃程度。
所々うっすら残る昨日のラッセル痕を辿り雁坂峠まで登り返す。雁坂峠以降、もちろんトレースなし。以前のトレースの上に30〜40cm程度(吹き溜まりはその倍弱)の新雪が積もり、当然ラッセルとなる。斜度がないところはそれほどでもないが、急斜面では、なかなか踏み固めることができず苦労する。予想以上の乾雪だった。雁坂嶺から破風山までは稜上で展望も良い。が、そこは奥秩父、樹林帯と露岩帯の組み合わせで、決して歩き心地は良くない。稜上が困難なところでは北斜面を巻くが、ここでは予想通りハイマツで踏み抜く。腰まではまり抜けるのに難儀する。この辺、私以外の2人は慣れておらず大分ストレスが溜まっている様子。
交替交替でラッセルしながら、休憩も大休止もせずに各自。それでもCTの3倍を要している。ようやく西破風山に到着したのが出発から8時間後の12:30。ここから戸渡尾根分岐まで4〜5時間程度と予定。ヘッデン下山を覚悟した。
が、まず破風山からの下りがヒドイ。たったかたーと下る予定だったが、イチイチ埋まる。ところどころ踏み抜く。前のめりに腰まで埋まる中、北風で身体も冷える。心がおれる。
破風山避難小屋に到着。後から考えればここでビバークの選択肢もあったが、まだ13:30、迷いなく登り返しを開始する。戸渡尾根分岐まで標高差340mほど。ここからが本当の地獄だった。新雪ラッセルは変わりなく、既に9時間ラッセルし、または踏み抜きにはまっており、ラッセル力が落ちてきた。そして、これが決定的だったが、登り返しの途中からかまぼこ状に抉れた夏道に新雪が吹き溜まり、ここを突破することに困難を極める。登山道脇の樹林帯を進もうにも石楠花を中心とした藪が通行を阻み、やはりこの夏道沿いを進まないとならない。
たまらず空身ラッセルを試みるが、そもそも体力的にもシンドク、また用意したお湯も少なくなり、飲む量を制限していたことから、行動食が喉を通らない。ラッセル用に有用として用意していたショッツやパワージェルも底を尽きた。山pはまだラッセル慣れしていないので、レオと交替交替で空身スコップラッセルするが、振り返ると、すぐそこに残置したザックが見え、かなり萎える。まるで流れるプールを逆走するかのような徒労。あっという間に30分、1時間と時だけが過ぎる。ビバークを視野に入れ始める。
この登り返し、ラッセルのプロフェッショナルならもっと軽々と越えて行けるのか。気力、体力を限界まで振り絞りながら進む本当に苦しい道程だった。レオと山pも本当に辛そうだ。随時皆の状態や意思を確かめながら進む。そんな、過酷な状況だったが、それでも精神的な焦りはない。これまでの様々なトレーニングや経験と十分な装備は、こういったシーンで冷静に対処できるためのものだと思える。尾根が南西に進路をとり、斜度も落ち、甲武信への巻き道との分岐に到達。ようやくゴール?が見えたが、最後までかまぼこ野郎の吹き溜まりは容赦ない。
そして、戸渡尾根の分岐に到着。
20時30分、出発から16時間、破風山避難小屋からの標高差340mの登り返しに7時間を要した。つまり、30分で標高差25m程度しか登れなかったわけだ。
この分岐付近でビバークしようかとも思ったが、幸いトレースがあり、メンバーも下山したいとの意思だったので、本日初の全員そろっての休憩を経て下山を開始。トレース上を歩く、下ることは、本当に快適だ。嘘のようにハイペースに下れる。夏道CT並だ。それでも近丸新道分岐Co1,869m分岐手前で、体力的限界との意見もあり、ビバークを決定。21時20分だった。幸い、携帯の電波が入ったので、各所へ連絡し、整地もしないでテントを立て、潜る。空腹が辛かったが、それより何より喉が渇いた。疲れていたが、水を作り、そのままお茶を飲む。早々に片づけてぼこぼこの地面に敷いたシュラフに潜った。
2月10日(月)
予定より1日伸びてしまったが、もはや会社には間に合わない。朝陽を浴びながら徳ちゃん新道を心地よく下山し、道の駅着。3人で抱擁し、健闘を称えあった。東京で風呂と飯を食べようとそのまま高速に乗ったら通行止めがこの日まで影響し、結局5時間ほど渋滞に捕まり、ここでも空腹と渇きに苦労したが、もはやご愛嬌。馬鹿話時々昼寝しながら、帰京した。
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今回の山行は予備日をとっておらず、その点で下山が1日延びてしまったことは失敗と言える。その原因は、直接的には予想以上の積雪、雪質、登山道の状態と、これに対する時間管理、判断の誤りにある。結果からみれば、遅くとも雁坂嶺の時点で引き返し雁坂峠から往路を下山すべきだった。この点は、大いに反省し、次回以降の山行計画、実施に役立てたい(岳人の最新号に今回ルートの逆ルートが紹介されていたが、時間無くチェックできていなかった。これを見ていれば…)。
また、ここのところラッセルの経験を積んでいたつもりだったが、雪質によりまだまだ対応力は未熟と自覚した。あのかまぼこの新雪吹き溜まりでどれだけの対処術があるか分からないが、更なる経験の向上が必要だ。
加えて、どれだけ行動食や非常食を持っていても、水分がないと喉を通らない。余裕をもった水分、またはゼリー状の喉を通しやすい行動食は必須だなと。また、いくら樹林帯中心と言っても、風も吹けば絶対的な気温低下により、低体温、凍傷のリスクはゼロでない。その意味で、標高2,000m程度の山であっても油断はできない。
一方、予定外のビバークは良い経験となった。これに際し、テントはもちろん、最低必要数+1個のガス缶、非常食等の装備により精神的な余裕を持つことができた。また、テント設営を含めた行動以外のスピードは悪くなく、メンバー間のコミュニケーションはとれており、この点、会での日々の関係構築や集会での遭難事例の研究は活きていると思った。
周囲の方には心配と迷惑をかけてしまったが、本当に充実の山行となった。
・・・・しかし、帰宅後、クラブで朝まで踊り明かす山pて本当に人間なんだろうか。。。
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