悪沢岳


- GPS
- 56:00
- 距離
- 14.1km
- 登り
- 1,900m
- 下り
- 1,902m
コースタイム
5月3日 テン場発 5:40 - 8:10 千枚小屋への分岐点 - 8:15 幕場 (千枚岳直下)10:00 - 10:25 千枚岳 - 12:30 悪沢岳12:35 - 13:00 丸山 - 14:00 千枚岳 - 14:20 幕場
5月4日 幕場発 5:45 - 10:45 二軒小屋ロッジ着(二軒小屋ロッジ泊の為、 出来るだけ時間をかけて 休憩を繰り返しながら下山)
天候 | 3日間とも晴れ。(2日目は 一時曇り) |
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過去天気図(気象庁) | 2014年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
畑薙ダム(左岸)より二軒小屋まで ロッジの送迎バス。 畑薙ダム(左岸)には トイレ有。 登山届も出せる。更に奥の沼平には登山指導所があり、一般車はここまで入れる。 |
写真
感想
もう かれこれ30年以上も前のGWに 転付峠越えで千枚・悪沢をソロで山行し 椹島へ下山。、その後 たしか1998年のGWにも山友3名と椹島から 悪沢を目指したが その時は前日に下界は雨、山は雪で難渋し、 結果 丸山までで悪沢には たどりつかなかった。
ソロで行った時は 悪沢に登頂出来たものの、 当時はカメラを持ち歩いておらず 何の記録の残さなかった。 記憶もほとんど薄れてしまって 晴天下に丸山の山頂で闊歩して景色に感動したことしか覚えていない。 ・・・と云う事で、 あの時の感動をもう一度・・・で 出かけた。
5月2日、 朝、 畑薙ダムに東海フォレストの送迎バスが到着。 私は前夜泊だったが 6時ごろ隣に到着した車、 車は関東県のナンバーで ソロの女性で 同じバスだ。 他に釣師が一人。 車のナンバーとソロの女性と云う事で ヒョットしてと思い 声を掛けてみると・・・ヤッパリ。 何と 私の笠松尾根から兎岳の山行の同じ尾根を1日前に歩いたebiさんだった。それから お正月には畑薙ダムの超ニアミスでお会いできなかったが、 期しくも笠松尾根から丁度1年目にばったりとお会いした。 イヤー こんなことが起こるんだと、 この感動的な出会いから 今回の山行は 幸先の良いスタート。
二軒小屋までの1.5時間の長いダートの道も ebiさんとの楽しい会話でアッと云う間に過ぎてしまった。 ebiさんとの記念のツーショットを二軒小屋ロッジのスタッフに撮っていただき、 ebiさんは徳右衛門へ、 私は悪沢へと分かれた。
二軒小屋からすぐに急登が 始まるが、 このルートは椹島からのルートに比べ 距離が短い分 ほとんど最後まで急登だ。(ちなみに 椹島ルートは現在登り始めが何箇所か崩落しており通行できない状態で、 もう少し上流側の林道から迂回するよりほかない。)
およそ標高1,900m辺りから雪がボツボツではじめ ここで急登もほんの少し緩くなり赤ペンキで”ロボット”と書かれた ビバークが出来そうな大岩が現れる。 最初のガレの縁を通り 再び急登が続いて 二つ目のおおきなガレの縁に出る。 いずれのガレの縁もあまり寄りすぎるとオーバーハングしている所もあり景色は良いが 近づかない方がベターだ。(・・・と云いつつ、 近づかないと前に行けない。)
気温が高く(夜ラジオで聞いたら 甲府では今年初の夏日を記録したとのこと)雪が腐りにくさって まるでシャーベットの上を歩いているようだった。時々又下まで雪を踏み抜きながら四苦八苦してマンノー沢頭に到着。 私は今年はどうもあまり雪の状態に恵まれていないようだ。 ここまでおよそ 6.5時間で、 夏ならばおよそ千枚の山頂まで行ける時間だが 年寄りにはここまでが精一杯で (当初からそのつもりであったが)ここを今日のネグラにすることにした。
途中、 ガレの縁から 向かう千枚岳や丸山が 望め、 笊ヶ岳や大無間が左手に、 背後には樹間に富士山が望めた。 時々右手方向にも 塩見岳、蝙蝠岳、 そしてebiさんの向かう徳右衛門岳が望めた。
5月3日 昨日よりも雪の状態は多少良いが 夜も暖かかったので相変わらず朝から腐り気味で 時々大きく踏み抜きがあり あまり締まっていない。 2,500mを過ぎた辺りの3つ目のガレはすさまじく、 特に難しくはないが 右側は急斜面の藪、 左はすっぱりと落ちるガレで注意して通過しないと奈落の底へ落ちることになる。 しかし眺めは抜群で、 富士山も圧巻だ。
ガレを過ぎ少し登るとダケのまばらに生える状態になり 森林限界が近いことが分かる。 背後には転付峠と別当代山がデーンと見え、 右手方向の展望も良くなってくる。 塩見岳右(東)には 間ノ岳や農鳥岳が見える。 ほどなく 千枚岳山頂と小屋への分岐に着く。
登る途中、今日はどこで寝るべきか考えていた。 千枚小屋も悪くないなと思っていたが、 この分岐から少し進んですぐに小屋があるのかと思ったら ずいぶん下に小屋が見えた。 また登り返して千枚・悪沢に行くのもシャクだなと思い また丁度その場所が平坦地で大きな岩が一つ飛び出ていて テントを張るのにちょうどよい感じだったので 即、 そこにテントを張ることに決定。 眺望も抜群だ。前方に赤石岳、左手に富士山、 塩見岳は見えないが 1分も歩けばそれも目に入る絶好の場所だ。 風もないので少し均しただけでテント設営。(これが後で アダになった。)
25分で千枚岳に上がり、 記念の写真だけ撮ってそのまま進み、 このルート一番の難所に差し掛かる。 記憶では丸山まで危険な岩場が1ヶ所と思っていたが全く違った。 丸山の少し手前まで急峻な岩のコブがいくつもあった。
しかし、 概ね雪が付いておらず ほぼ夏道通りで アイゼンを付けたまま岩場を通ること以外ほぼ問題は無かった。岩場を過ぎてからも 結構夏道がでており快適に歩けるが、 丸山直前で南側の山腹を巻く急斜面の所で道が雪におおわれるようになる。 先を見ると急斜面の表層のみが滑って落ちており、 ここをこのまま通過するのは危険すぎるので 道と雪の無い草付を登って上に出る。 取りあえず 丸山は御無礼してそのまま悪沢へ向かう。
後はズ―と快適な尾根歩きだ。 トレースは全くなかったので誰もいないとは思っていたが 12:00少し前の悪沢到着直前に この山行で唯一のソロハイカーに出会った。彼はヒョッコリ雪の陰から現れ、 プチナイフリッジの横を歩いていた私に止まれと合図を送ってきた。 何事かと思ったら 写真を撮ってくれた。 彼氏いわく ”トレースの無い所を歩いてくる写真がカッコいい”と云う事だった。 しばしソロハイカー氏と話をし、 その写真を私にメールで送ってくださいとお願いしお別れした。彼は 椹島から林道を使って千枚小屋へ入り 今日 中岳まで行ってきたとのことであった。
ソロハイカー氏と分かれ すぐに悪沢山頂に到着。 残念ながら この時点で周りはガスに包まれ 展望はほとんど効かなかった。 しかしソロハイカー氏に会うまではガスもほとんど無く 展望も十分に楽しんだので、 パノラマの写真が撮れなかったのはチョッと残念だったが十分満足した。
すぐに山頂を辞し 帰りには丸山の山頂も踏んできた。
14:10には幕場に帰ったが 少し風が出てきた。 テント場を 掘り下げておけばよかったが、もう後の祭りだ。 テントの周囲4-50Cmぐらいに簡単な雪の塀を造ったが スノーソーも持ってきておらず、急造の壁ではあまり役に立たず、深夜1時頃までテントのバタツキで寝られなかった。 手抜きをしたツケが来た。
それでも強烈な風ではなく テントも勿論無傷だし、 1時以降は風も治まって少しは眠れた。 夜間のテント内の気温は-10℃まで下がった。
夕刻にはガスもとれて 天気は上々だったが、富士山はさすがに見えず、 赤石もほんのり赤くなっただけで、 真っ赤に染まらなかった。
5月4日 今日は下るのみ。 抜群にいい天気だ。 途中まで下ってから、せっかくだから千枚にもう一度上がってくれば良かったと思ったが、 もうかなり下っていた。 今日は二軒小屋泊まりなので あまり早く帰ると時間を持て余すのでたっぷり時間を掛け 休憩もたっぷりとりながら下った。それでも5時間で着いてしまった。 芝生の上でテントや靴を乾かし、ゴロゴロして時間をつぶした。
夜は 二軒小屋ロッジのシェフの料理に舌鼓を打った。 メニューは・・・
食前酒、 前菜(3種類)、 スープ、 シチュウ、 燻製の岩魚、 山菜の釜めし そして デザートのシャーベット。
ドミトリー式の4人部屋を独り占めし、 お風呂も勿論、 そして上記の夕食と朝食、 畑薙ダム―二軒小屋間の送迎付きで ¥13,000.-は安い。
今回の山行は、 ネットのお友達??(ebiさんには迷惑かも・・・)のebiさんにもお会いでき、好天続きの3日間で 千枚、 丸山、 悪沢の頂きまで踏め素晴らしい思い出が出来た。 感謝、感謝 !!
なお、 二軒小屋ロッジの送迎バスのドライバーさんから、 今年からリニアカーのトンネル掘削工事が始まるとのことで 二軒小屋の更に奥に 2,000人近い工事関係者が入り 道路は舗装され、 道路の法面はモルタルの吹き付けなどの落石防止工事がなされ、 掘削した土砂の捨て場も川沿いに造られると聞いた。 また自然が破壊される、 特にこの南アルプスの秘境が破壊されるのかと思うと暗澹たる気持ちにならざるを得ない。 かけがえのない自然を破壊してそれ以上の物が得られるのだろうか・・・?
この自然が破壊される前に ここを訪れることが出来たのが せめてもの慰めか・・・。
コメント
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天気・・好い時に行かれましたね・・・
真っ青な空に残雪が眩しいですね!
山頂直前でガスりだしたのは残念(僕なら焦る!?)だったけど、
朝・夕の赤石といい素晴らしい山行きが伝わってきました。
こちらは5/4〜のスタートでテント待機あったりの<雨の合地>でした。
関係ないけど、ijikemusiさん、以前より恰幅が良くなられました??
雪の3000mは私には難しそうです。
日帰り登山に慣れてしまって・・・・・
でもこうして人様の記録を見ると行きたくなります
貧乏暇ナシが恰幅が良くなるはずがありません。 ここ数年体重も変化なしです。
天気は悪沢の山頂を除いて とてもよく、 チョッと暑すぎました。 お陰で 雪が腐って歩きづらかったですが、 景色にはとても満足してます。
年から年中 伊那の山中を隅から隅まで歩きまわっているへ○○○のyama-takeさんに 不可能は無いでしょ。
笹山・入山とか 奥茶臼などもとても好きでイイですが、 やはりジャイアントの景色もイイですね。
悪沢あたりは 厳冬期は1級になると思いますが、 この時期は技術的に難しい所は無いですよ。(勿論 装備と注意は万全にしておかないと 南アでもこの時期 厳冬期に戻ることがありますけど・・・) 体力勝負の時期の山で 私は衰えた体力を補うため その前の1ヶ月は(レコをアップしていない山行もありまして)毎週 山に出かけていました
歳をとって ホントにつらくなってきましたが 出来るだけ歯を食いしばって
ijikemusiさん、再訪おめでとうございます。
腐れ雪の踏み抜き、嫌ですよね。ペース乱されちゃって
今年は雪が少ない(融けるのが速い?)みたいですが、
見事な絶景と偶然の出会いもあって、思い出深い山行になりましたね。
山頂のガスは残念でしたが、また行けますよ
BBCさん、 お久しぶりです。 有難うございます。 また行けると良いんですが、 最近はテン泊のザックを担ぐと ホントにダメなんです。
”ロボット・・・” 以前、 ロボット雨量計かなんか あったらしいです。
しかし、 最近は BBCさんもすごいことやってますね。
私達こそ、「悪沢岳行きた〜い」です
2度目の雪の悪沢岳登頂おめでとうございます!
数々のダイナミックな写真、堪能いたしました。いやぁ〜やっぱり南アルプスは山々がでっかいですね
我々も切磋琢磨していつかは訪れてみたいです。
下山後の二軒小屋でのお風呂にシェフのお料理そして個室と登頂素晴らしい登頂お祝いになりましたね
お疲れ様でした!
3日間、 ノンビリ登れてとても楽しめました。
↑にも書きましたが、 悪沢は 天気が良く 千枚〜丸山の稜線がほぼ夏道通りに歩けるなど条件が良ければ全然難しくないです。(勿論 ここに限らずどこでも同じですが 落っこちたら ハイサヨウナラ・・・ですので 細心の注意は必要ですけどね。) 二軒小屋辺りも リニアの工事でうるさくなるようですので 早く行かないと
ijikemusiさん、こんにちは!
やっとお会いできました。こんな偶然が本当にあるものなんですね
自分は徳右衛門岳までしか登れませんでした
ますます体力増進されて、いよいよ東日本の山へ進出されるころかもしれませんが、また南アでバッタリお会いできるのを楽しみにしております
>私の後ろにコンデンスエアーが有って レンズの役割をしてまして
圧倒的な質量が場を歪ませ重力レンズとなり、膨張しているように見えているのでは
コメ 有難うございます。 お会いした驚きは本文の通りです。 もう少し時間が有れば もっとお話が出来ましたのに残念でした。
私も 蝙蝠尾根の方を見ながらebiさんは どの辺かな― っと思いながら歩いてましたよ。二軒小屋へ戻ってから 受付の娘さんに ebiさんが”蝙蝠まで行かれて無事帰られた”と聞きしました。
レコは アップされないんですか ?
あの辺りが騒がしくなる前に もう少し歩いておきたいですね。 また どこかでお会いできると嬉しいです。
間ノ岳の右肩は農鳥岳だとおもいますよ!
KomugiPentaxさん、ご訪問と 御指摘有難うございます。
農鳥岳は 悪沢岳から見ますと 間ノ岳手前右に位置しておりますので 写真の(一番右の凸が広河内岳で、)右から二つ目の凸が農鳥岳かと思います。 ご指摘いただき カシミールのカシバードにて確認してみましたが 北岳は 間ノ岳の(悪沢から見て)右肩の奥から少しだけ頭を覗かせているようで、 写真(のほぼまんなか)にもそれが写っています。
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