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Yamareco

記録ID: 45889
全員に公開
沢登り
尾瀬・奥利根

水無川真沢から中ノ岳

2002年08月10日(土) 〜 2002年08月11日(日)
 - 拍手
GPS
32:00
距離
12.5km
登り
1,642m
下り
1,689m

コースタイム

8/10
dep(6:00)→オカメ沢出合(8:00)→御月山沢出合(10:00)→北沢出合(16:30)→幣ノ滝(17:00〜18:00)→C1(18:30)
8/11
dep(6:30)→白龍ノ滝(7:00〜7:30)→祓川大滝(8:00〜11:00)→夏道へ本流逸れる(12:00)→中ノ岳(13:00)→日向山を経て十字峡下山(16:30)
天候 all晴れ
過去天気図(気象庁) 2002年08月の天気図
アクセス

感想

 憧れの越後の沢、水無川を遡行する時が来た。沼田の清野さんとも思惑が一致した。真沢を登りその上部は祓川へ抜けるライン。祓川の大滝は清野さんが高校の時から登りたかった滝だそうだ。その大滝登攀をフィナーレに中ノ岳に立つ。
 林道終点はブナツルネ沢を過ぎたあたり。いまはやりのスリット式砂防ダムが建設されていた。しばらく右岸の踏み跡を辿りデトノアイソメ近くから入渓。デトノアイソメには雪渓の残骸。
 滝沢出合を越え少し行ったところに20m程の短いゴルジュ。右岸を簡単に捲けるが気合一発、中を行く。腰までしか濡れなかった。オカメ沢出合を過ぎ10mの函滝。その先にばーんと雪渓が見渡せた。沢身をやや戻り左岸の草付から高捲き開始。高捲きの途中、一度20mの懸垂で雪渓脇に降り立つが、その先の雪渓が不安定に見え、もう一度左岸の草付きを登り返し高捲きを続行するはめになる。御月山沢出合手前に至り再び雪渓脇へ懸垂下降を試みる。下降後は左岸の岩場を沢身沿いにウジウジとトラバース。御月山沢出合の10m滝の下に出た。
 今回は雪渓の状態が良くないようだ。その先の雪渓を偵察するが、沢身への降り口が見当たらない。またも左岸を高捲きに。ようやく不安定な雪渓群を抜けたと思って沢身に降り立つと、暫く行って再び西沢出合に雪渓が架かる。今度は安定していると見えたので雪渓の中をくぐって30m程通過。雪渓くぐりは初めての経験だった。自分の中でそれなりの自信がつくまで封印してきたワザのひとつだ。日高23南面の崩壊事故以来山岳部の先輩には雪渓には触るなくぐるな畏れよと教わってきたから。
 関門ノ滝は60mの直瀑。遠目には登攀不可能に見えるが、右岸のバンドから明瞭な縦クラックを伝ってザイル2p楽しんで登れた。関門ノ滝から上部はスラブ状となる。淵と2段20mの滝が続く。2段20mの滝は左岸を捲き気味に2p登りブッシュから斜め懸垂で滝中段の外傾テラスに降り立つ。右岸を行った方がルートとしてすっきりしていた。この滝を抜けるとさらに10m級の滝を2か所ザイルを出して越える。正面に幣ノ滝が迫力をもって見えだすと北沢出合はすぐだ。北沢のほうが真沢と比べ水量が多いので、水無川の本筋は北沢だと思う。
 出合に露出している片麻岩には不規則な形で石英脈が貫入している。越後ではこの石英脈中に金が封入されているそうだ。それを採るために打ち込まれた古い鉄杭が今も残る。その昔金脈を求めて越後の谷筋を縦横無尽に彷徨った山師のロマンを感じる。
 北沢出合では右岸中腹でビバークしていた茨城の単独行者と出会う。彼はここまでの雪渓で高捲き中に滑落し、眼鏡を失ったらしい。極度の近視だから周りがよく見えないらしい。いったい我々と出会わなかったらどうするつもりだったのだろう。予備の眼鏡を彼に貸した。夕闇が迫っていたが新たに彼を仲間に加え幣ノ滝200mに取り付く。幣ノ滝は左岸下部を暫くフリーで登り、傾斜がやや立ってくる中段付近からザイルを出し1p、さらに滝の流心を横切って1pトラバース気味に登り右岸の側壁に出る。このピッチは塊状の閃緑岩の部分だったので、ピトンの入るリスが見当たらない。多少ぬめっていることもあり緊張した。最後は側壁沿いに登って滝の落ち口に出る。少しゴーロ状を歩くと左岸側にこぢんまりとした天場を見つけた。満天の星の下、焚火で濡れた服を乾かしながら快適なビバーク。
 翌朝天場から少し行くと20mの滝。右岸をザイル1pで登る。それを過ぎ白龍ノ滝。左壁から取付くことを考えたが清野さんの判断で取りやめる。過去に何パーティもここで苦労しているらしい。祓川の大滝を登るのに専念する。やや下流側に戻り左岸スラブから高捲く。我ながら絶妙のルートファインディングで滝の落ち口へジャスト。あとは快適なナメ滝が続き右に祓川250m大滝を仰ぎ見る。一見立っているように見えるが実際取付いてみると傾斜は緩い。ほぼ水流通しに登れる。上部で4pザイルを出す。これまで出てきた滝と比べてホールドスタンス豊富でピトンの打てるリスも多い。高度感さえ克服できれば快適そのものだ。これぞスラブ登りの醍醐味といったところ。最後のピッチは無理やり滝の落ち口ジャストへシャワークライム、僕の趣味だ。
 祓川大滝を抜けると3mの函滝&釜滝を越える。草に覆われたゆるい傾斜のスラブに導かれてフィナーレとなる。花の最盛期にはさぞかし美しい場所であろう。登山道を経由して中ノ岳。下り十字峡までは夏道3.5hの苦行。

 今回の核心部は全てリードしスラブ登りに自信を持った。この前に行った小出俣川のマチホド本谷が良いトレーニングとなったみたいだが滝1つ1つの難易度はマチホド本谷のほうが上なのではないかと思った。スケールと高度感は別として。ともあれ真沢は沢の総合力が試される上級者向きの沢だ。次はオツルミズである。

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