ヤマレコなら、もっと自由に冒険できる

Yamareco

記録ID: 4750293
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

常念岳〜燕岳☆テン泊で色づく縦走路に

2022年10月01日(土) 〜 2022年10月02日(日)
 - 拍手
体力度
6
1〜2泊以上が適当
GPS
11:42
距離
22.9km
登り
2,505m
下り
2,350m
歩くペース
速い
0.70.8
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
4:32
休憩
0:36
合計
5:08
10:32
9
10:41
10:41
40
11:21
11:31
20
11:51
11:52
23
12:15
12:15
47
13:02
13:14
39
13:53
14:00
51
14:51
14:51
12
15:03
15:08
5
15:13
15:14
26
15:40
2日目
山行
7:20
休憩
0:27
合計
7:47
4:24
166
7:10
7:22
8
7:30
7:31
13
7:47
7:48
58
8:46
8:48
17
9:05
9:05
36
9:41
9:43
4
9:47
9:47
7
9:54
9:54
4
9:58
10:00
3
10:03
10:03
5
10:08
10:08
7
10:15
10:18
27
10:45
10:45
5
10:50
10:51
31
11:22
11:22
7
11:29
11:29
17
11:46
11:46
25
天候 二日間とも晴れ
過去天気図(気象庁) 2022年10月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス タクシー
穂高駅よりタクシーで一ノ沢登山口へ
中房温泉温泉からはバスで穂高駅へ
コース状況/
危険箇所等
全般的に良好に整備された一般登山道
大天井岳の北稜は登山道のないバリエーション・ルート
短い区間ではあるが山頂直下に岩場の危険箇所あり、下降はおすすめ出来ない
その他周辺情報 中房温泉は¥850 JAF会員証で¥650
安曇野から見上げる常念岳
2022年10月01日 10:07撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
5
10/1 10:07
安曇野から見上げる常念岳
山の神
ホオノキの巨樹のようだ
2022年10月01日 10:43撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
3
10/1 10:43
山の神
ホオノキの巨樹のようだ
一ノ沢のほとりで休憩
2022年10月01日 11:24撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
3
10/1 11:24
一ノ沢のほとりで休憩
谷から左手に常念岳が見えてくる
2022年10月01日 11:46撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
1
10/1 11:46
谷から左手に常念岳が見えてくる
白樺を見上げて
2022年10月01日 12:10撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
1
10/1 12:10
白樺を見上げて
常念岳の山肌は色づいているようだ
2022年10月01日 12:15撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
2
10/1 12:15
常念岳の山肌は色づいているようだ
登山道脇の葉陰には赤紫色の花
ヒロハツリバナかな?
2022年10月01日 12:29撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
4
10/1 12:29
登山道脇の葉陰には赤紫色の花
ヒロハツリバナかな?
谷の上流に
2022年10月01日 12:41撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
2
10/1 12:41
谷の上流に
一ノ沢の谷を見下ろして
2022年10月01日 12:47撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
2
10/1 12:47
一ノ沢の谷を見下ろして
楓の紅葉
2022年10月01日 13:25撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
8
10/1 13:25
楓の紅葉
乗越が近づくと目の前に大きく常念岳
2022年10月01日 13:47撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
5
10/1 13:47
乗越が近づくと目の前に大きく常念岳
ハゼの紅葉と常念岳
2022年10月01日 13:50撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
9
10/1 13:50
ハゼの紅葉と常念岳
乗越より北に横通岳
2022年10月01日 13:51撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
3
10/1 13:51
乗越より北に横通岳
槍ヶ岳から穂高岳へと続く稜線
2022年10月01日 14:00撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
3
10/1 14:00
槍ヶ岳から穂高岳へと続く稜線
常念岳への登りより
2022年10月01日 14:03撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
11
10/1 14:03
常念岳への登りより
右手彼方に白っぽく燕岳
左手の大天井岳には雲がかかり始める
2022年10月01日 14:53撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
3
10/1 14:53
右手彼方に白っぽく燕岳
左手の大天井岳には雲がかかり始める
常念岳山頂より南に蝶ヶ岳(中央)を望んで
2022年10月01日 15:01撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
5
10/1 15:01
常念岳山頂より南に蝶ヶ岳(中央)を望んで
前常念と松本盆地
2022年10月01日 15:03撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
8
10/1 15:03
前常念と松本盆地
2022年10月01日 15:03撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
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10/1 15:03
常念岳山頂
2022年10月01日 15:04撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
5
10/1 15:04
常念岳山頂
岩桔梗が咲いていた
2022年10月01日 15:07撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
5
10/1 15:07
岩桔梗が咲いていた
乗越の西側、一ノ俣谷右俣の源頭の紅葉を眺めながら下山
2022年10月01日 15:33撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
3
10/1 15:33
乗越の西側、一ノ俣谷右俣の源頭の紅葉を眺めながら下山
早速にもビールで乾杯
先週に引き続き、今週も前菜は鴨肉、マッシュルーム、トマトのサラダ
2022年10月01日 16:42撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
4
10/1 16:42
早速にもビールで乾杯
先週に引き続き、今週も前菜は鴨肉、マッシュルーム、トマトのサラダ
赤唐辛子、ソーセージ、舞茸のソテー
2022年10月01日 17:12撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
6
10/1 17:12
赤唐辛子、ソーセージ、舞茸のソテー
最後は牛ステーキと花びら茸で
2022年10月01日 17:29撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
8
10/1 17:29
最後は牛ステーキと花びら茸で
テントから出てみると
2022年10月01日 17:51撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
6
10/1 17:51
テントから出てみると
常念岳の右肩に三日月
2022年10月01日 17:52撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
5
10/1 17:52
常念岳の右肩に三日月
稜線を越えるガスと横通岳
2022年10月01日 17:53撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
6
10/1 17:53
稜線を越えるガスと横通岳
残照と槍ヶ岳
2022年10月01日 17:56撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
11
10/1 17:56
残照と槍ヶ岳
翌日、横通岳への登りより
東雲の空と松本の夜景
2022年10月02日 04:55撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
4
10/2 4:55
翌日、横通岳への登りより
東雲の空と松本の夜景
朝焼けの空に富士山のシルエット
左手は八ヶ岳
2022年10月02日 05:11撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
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10/2 5:11
朝焼けの空に富士山のシルエット
左手は八ヶ岳
常念岳を振り返る
2022年10月02日 05:22撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
5
10/2 5:22
常念岳を振り返る
槍〜穂高の稜線
2022年10月02日 05:27撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
6
10/2 5:27
槍〜穂高の稜線
もうすぐ日の出の時間
2022年10月02日 05:34撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
4
10/2 5:34
もうすぐ日の出の時間
太陽が出たようだ
朝陽を浴びる東大天井
2022年10月02日 05:43撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
5
10/2 5:43
太陽が出たようだ
朝陽を浴びる東大天井
モルゲン・ロートに染まる穂高岳
2022年10月02日 05:44撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
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10/2 5:44
モルゲン・ロートに染まる穂高岳
日の出
2022年10月02日 05:49撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
7
10/2 5:49
日の出
登山道には霜柱がちらほらと
2022年10月02日 06:01撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
4
10/2 6:01
登山道には霜柱がちらほらと
常念岳(中央)と横通岳(左)を振り返って
2022年10月02日 06:14撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
4
10/2 6:14
常念岳(中央)と横通岳(左)を振り返って
2022年10月02日 06:26撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
3
10/2 6:26
大天井岳へ
2022年10月02日 06:30撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
4
10/2 6:30
大天井岳へ
山頂かと思いきや
2022年10月02日 06:52撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
2
10/2 6:52
山頂かと思いきや
大天井の山頂はもう一つ向こう
2022年10月02日 07:08撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
4
10/2 7:08
大天井の山頂はもう一つ向こう
大天井岳より東鎌尾根と槍ヶ岳
2022年10月02日 07:28撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
6
10/2 7:28
大天井岳より東鎌尾根と槍ヶ岳
山頂にて
2022年10月02日 07:30撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
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10/2 7:30
山頂にて
槍の右手には双六(中央右)と三俣蓮華(右)
2022年10月02日 07:30撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
4
10/2 7:30
槍の右手には双六(中央右)と三俣蓮華(右)
彼方に立山、後立山連峰を見ながら
大天井北稜に
2022年10月02日 07:30撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
2
10/2 7:30
彼方に立山、後立山連峰を見ながら
大天井北稜に
ここはかなりの急斜度
登りもやばいが下降はもっとかも
2022年10月02日 07:39撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
2
10/2 7:39
ここはかなりの急斜度
登りもやばいが下降はもっとかも
燕岳への縦走路に
大天井からは意外と下降が続く
2022年10月02日 07:41撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
4
10/2 7:41
燕岳への縦走路に
大天井からは意外と下降が続く
2022年10月02日 07:47撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
2
10/2 7:47
梯子で登り返して
2022年10月02日 07:47撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
2
10/2 7:47
梯子で登り返して
大天井を振り返る
2022年10月02日 07:56撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
7
10/2 7:56
大天井を振り返る
登り返すと後はなだらかな尾根に
2022年10月02日 08:01撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
1
10/2 8:01
登り返すと後はなだらかな尾根に
左から水晶、野口五郎、三ツ岳かな
2022年10月02日 08:02撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
4
10/2 8:02
左から水晶、野口五郎、三ツ岳かな
穏やかな尾根
2022年10月02日 08:12撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
2
10/2 8:12
穏やかな尾根
稜線は紅葉の盛り
2022年10月02日 08:31撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
4
10/2 8:31
稜線は紅葉の盛り
2022年10月02日 08:33撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
9
10/2 8:33
紅葉の稜線と大天井を振り返って
2022年10月02日 08:35撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
5
10/2 8:35
紅葉の稜線と大天井を振り返って
槍の右手に笠ヶ岳が見え始める
2022年10月02日 08:43撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
2
10/2 8:43
槍の右手に笠ヶ岳が見え始める
大天井からの縦走路
2022年10月02日 08:49撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
2
10/2 8:49
大天井からの縦走路
右手に燕山荘、左に燕岳
2022年10月02日 08:56撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
2
10/2 8:56
右手に燕山荘、左に燕岳
2022年10月02日 09:21撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
3
10/2 9:21
燕岳が間近に
2022年10月02日 09:23撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
2
10/2 9:23
燕岳が間近に
稜線に
2022年10月02日 09:27撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
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10/2 9:27
稜線に
朝陽をみつめる雷鳥達
2022年10月02日 09:28撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
10
10/2 9:28
朝陽をみつめる雷鳥達
再び槍・穂高の稜線を
2022年10月02日 09:39撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
4
10/2 9:39
再び槍・穂高の稜線を
いざ燕岳へ
家内は一足先に下山
2022年10月02日 09:45撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
6
10/2 9:45
いざ燕岳へ
家内は一足先に下山
2022年10月02日 09:54撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
4
10/2 9:54
山頂から燕山荘を振り返って
2022年10月02日 09:59撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
4
10/2 9:59
山頂から燕山荘を振り返って
燕岳山頂
2022年10月02日 10:02撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
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10/2 10:02
燕岳山頂
餓鬼岳(右)とその左に唐沢岳
2022年10月02日 10:03撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
3
10/2 10:03
餓鬼岳(右)とその左に唐沢岳
北燕岳の稜線
2022年10月02日 10:04撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
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10/2 10:04
北燕岳の稜線
2022年10月02日 10:06撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
2
10/2 10:06
めがね岩
2022年10月02日 10:08撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
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10/2 10:08
めがね岩
黄葉に染まる下山路
2022年10月02日 10:30撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
1
10/2 10:30
黄葉に染まる下山路
色とりどりの紅葉
2022年10月02日 10:31撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
3
10/2 10:31
色とりどりの紅葉
大天井(中央右)と常念(左)を振り返って
後は急いで家内を追いかける
2022年10月02日 10:37撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
3
10/2 10:37
大天井(中央右)と常念(左)を振り返って
後は急いで家内を追いかける
最後は木洩れ日の落葉松の樹林を下って中房温泉に
2022年10月02日 11:59撮影 by  E-PL8 , OLYMPUS CORPORATION
2
10/2 11:59
最後は木洩れ日の落葉松の樹林を下って中房温泉に

感想

この週末は土日ともに広い範囲で快晴が見込まれる天気予報だ。久しぶりに家内も高山への山行に興味を示している。単独行であれば金曜日のうちに空席のある夜行バスを探すところではあるが、家内は夜行バスで前夜から出かけるのは嫌だというので、特急しなの号の始発でアプローチ出来る山を探すことになる。選択肢は非常に限られることになる。混雑が心配ではあるが、常念岳から燕岳への稜線の縦走を計画することにする。

この常念岳と燕岳の尾根を歩くのは私が10歳の時、当時8歳だった妹と共に家族で縦走した時、実に42年振りだ。当時は一泊目は燕山荘、二日目は大天井岳から常念岳を往復して槍ヶ岳の殺生ヒュッテまでとかなりの長距離コースだったこと、朝から夕方まで雲のない快晴に恵まれた山行であったことが遠い記憶に残っている。

京都駅からの新幹線のホームは早朝からかなり混雑している。旅行に出かけるひとも多いのだろうか。名古屋駅で乗り換えて特急しなの号のホームに上がると、こちらも自由席はかなり混んでいる。我々は指定席を押さえていたので無事に座ることが出来たが、社内では座ることの出来ない乗客が車掌に空席を尋ねていた。

大糸線が松本駅を出ると左手の車窓風景で否応なく目を惹くのは常念岳の鋭鋒、その左手でたおやかな稜線を見せているのは蝶ヶ岳だ。大糸線が北上するにつれ常念岳の右手には燕岳への稜線が見えてくる。

松本駅からの大糸線も車内はかなり混んでおり、登山客の姿が目立つ。立っている乗客も多いなかでリュックを隣の座席に座らせている登山者の存在が否応なく気になる。穂高駅に到着するとかなりの数の登山客が下車する。登山客のほとんどは駅前のマイクロバスに次々と乗り込んでゆく。どうやらクラブツーリズムのツアーらしい。

駅前には我々が予約していたタクシーが停まっているが、他にはタクシーは見当たらない。タクシーに乗り込もうとすると単独行の女性登山者に「どちらまで行かれますか?」と声をかけられる。「一の沢まで」とお答えすると女性はなんとも残念そうな顔をする、どうやら中房温泉まで行きたかったようだ。

中房温泉への次のバスは1時間20分後の筈でだ。タクシーに乗り込んでから運転者の方に聞くと中房温泉の登山口までは¥8500かかるらしい。単独行では躊躇する運賃だろう。

登山口には複数の駐車場があるが、いずれも満車で、さらに道路にも多くの車が路駐している。。道を歩き始めると既に下山される多くの登山者と対向する。

一ノ沢コースはしばらくは谷沿いのなだらかで歩きやすい道が続く。谷からは左手に常念岳を、稜線近くは斜面の樹々が色づいているのがはっきりと見てとれる。

右岸に渡渉すると樹林をぬけて、疎らに生える白樺とその間に色づきはじめた低木が目立つ。最後の谷を渡渉すると最終水場があり、滾々と流れる冷たい水を
紅葉の樹々が増える。

ここからは常念小屋までわずか1kmだ。尾根の急登ではあるが、九十九折りに登っていくので、それほど急登は苦にならない。30分ほど登ったところで樹林帯の上に抜け出し、常念岳が視界に大きく飛びんでくる。

常念乗越の稜線に上がると、雲の上に槍ヶ岳の鋭鋒が突き出ている。時間は13時45分。ここに13時半までに到着し、常念岳を15時までに戻ってくることが出来たら大天井岳にある大天荘まで進もうと考えていたのだったが、それは難しいかもしれない。リュックをデポして常念岳の山頂を目指す。

ここで常念岳への距離とコースタイムを冷静に計算すれば、大天井まで行くことを諦めて早々にテントを張るべきだったのだ。登るにつれて眼下に常念小屋のテント場が見えるようになるが、既に場所がかなり埋まっている。そして常念岳からは続々と登山者達が降りてこられるが、テン泊装備の方も多い。果たして我々が戻ってきた時にデントを張る余地が残っているか心配だ。

空身ではあるが、家内の足取りは遅く、常念岳への往復には意外と時間がかかりそうだ。東側の松本盆地方面はすっかり晴れているが、西側の槍ヶ岳から穂高岳への稜線は瞬く間に雲に呑み込まれてゆく。

常念の乗越から目の前に見えているピークは偽ピークであり、山頂はさらにその先にあることを降りてきた女性が教えて下さる。高度が上がるにつれて背後には横通岳の彼方に大天井岳、その彼方に燕岳が見え始める。以前の少年時代の山行の記憶では大天井岳からさほど遠くなかった覚えがあるのだが、ここから大天井岳への距離を見ただけでかなりの距離があることに今更ながらに驚く。

常念の山頂に到着したのは15時過ぎ、常念小屋から1時間以上を要した計算になる。常念岳の山頂からは蝶ヶ岳へと続く稜線が視界に入る。大糸線の車窓から見上げた時にはなだらかな稜線が続いているように見えたが、ここから眺めると意外とアップダウンがあるように見える。眺めているうちにも蝶ヶ岳への稜線に瞬く間にガスがかかり始めるが、少し遅れて家内が到着した時にはガスは再び晴れていた。

常念小屋に戻りテント場に空きスペースを探すも、見当たらない。ワンポール・テントは傾斜に弱いという欠点があるのだが、結局、テント場を囲む柵の脇の傾いた場所にテントを張る羽目になった。

テントを張った場所は稜線に近いので風の影響が大きいことが懸念されたが、有難いことに夜中も全くといっても良いほど風がない。夜中に起き出してみると、先週に引き続き今回も満点の星空が広がっている。

翌朝、3時半に起床、テントを畳み出発するのは4時半になった。4時頃から続々と出発してゆく登山者がいる。登山者のほとんどは常念岳に登っているようだ。常念岳の斜面に登山者達のライトが点々と続いている。一方、横通岳に登っている先行車はわずかに一名のみのようだ。

横通岳への登りは常念岳に比べるとかなり緩く感じられる。後ろから数名のパーティーが登って来られるが、ご来光目当てなのだろうか、横通岳の山頂に登っていかれる。

横通岳のトラバース道を進む。横通岳の北西の鞍部ではテントがひと張りあり、外国人のカップルがテントの前から朝焼けの景色を眺めていた。昨日、常念岳への登りですれ違った二人だ。確かにテントを張るには絶好の場所だ。しかし、北アルプスを含め、国立公園では指定場所以外ではテントを張るのは禁止されているということをご存じないのだろう。

東の空が茜色に染まる。八ヶ岳の右手には富士山のシルエットが明瞭に浮かび上がる。もうすぐご来光の時間だ。もう一つ、小さなピークを巻いたところでご来光が眺められるかと期待したが、すぐにも地平線から朝陽が昇ってきたようだ。

穂高岳が一瞬、紅く染まる。残念だったのは槍ヶ岳が丁度、東大天井への稜線の陰に隠れてしまったことだ。東大天井との鞍部に至ると既に浅間山の右手から朝陽が昇っていくところだった。長野盆地の方面は綺麗に雲海が広がっていいる。

東大天井の登りに差し掛かると途端に多くの登山者とすれ違う。丁度、大天荘を朝に出発した登山者達とすれ違うタイミングのようだ。

東大天井岳の肩を過ぎると再び槍ヶ岳が姿を見せる。今度は槍ヶ岳の右手に双六岳、三俣蓮華、水晶岳といった裏銀座の山々を俯瞰することが出来る。

大天井岳が近づいたと思いきや、大天井と思っていたピークはもう一つ先であった。常念小屋からは意外と長い時間を要した。大天荘からは家内はトラバース道を通って先に行ってもらい私は山頂を踏みに行く。山頂からは右手のトラバース道を歩いている家内がよく見える。

山頂から北稜の下降を試みるが予想以上に急下降だ。核心部は山頂直下の岩場だろう。左から巻いて岩場を通過する。マーキングの類は一切ないが、尾根芯に沿って微かな踏み跡が続いている。尾根のすぐ下には大きな猿がいた。あまり餌のなさそうなこんな稜線でも猿が棲息していることに驚く。

下から登って来られるカップルと遭遇する。男性はここを登られたご経験があるようだ。この降りを下降する気にはなれない」と仰るが確かに登りの方が安全だろう。しかし、後ろを振り返るとかなりの急斜面だった。

登山道と合流すると先を行く家内が鞍部の梯子を登り返しているのが見える。鞍部まではかなりの下降だ。少年時代の山行の記憶では燕岳から横通岳までなだらかな尾根が続いているように憶えていたが、当時の印象など全く頼りにならないものだ。それにしてトラバース道を通るのと大天井のピークから下降するのとではこの稜線の印象は大きく異なるのかもしれない。

燕岳への登山道を北上すると大天荘から出発された登山者達が数組歩いておられる。前からは30名ほどの大パーティーが稜線を辿って来られる。昨日穂高駅で見かけたクラブ・ツーリズムのパーティーだった。稜線では紅葉が綺麗だ。

燕山荘が近づく、前を行くカップルの方が雷鳥がいることを教えて下さる。尾根筋に登ってみると5羽の雷鳥の群れがいた。2羽は私の気配を察知して、近くのハイ松の中に逃げ込んでしまったが、2羽はすぐ近くまで近づいても警戒する素振りもない。雷鳥の天敵の一つに猿がいるが、果たして猿に襲われなければいいがと心配になる。

燕山荘に到着すると途端に多くの人で賑わっている。ここでバスの時間が気になるのであれば家内は燕岳は諦めてもいいというので、家内には中房温泉への下山路を先に降ってもらい、私は燕岳のピークを一人で踏みにいく。

先月に登った鳳凰三山もそうであったが、まさに白砂青松の山であり、オブジェのような花崗岩の大岩が独特の景観を呈するところだ。山頂からは北燕岳を経て餓鬼岳へと続く稜線が視界に飛び込む。この稜線は昔から縦走したいと思っていた計画を温めていたところであり、今回も真っ先に考えたところではあるが、上述の条件ではどうしても無理だ。

燕山荘に戻ると中房温泉への下山路を急ぐ。しばらくは色とりどりに色づいた低木の樹林の中を下降する。先をすすむ女子のパーティーが「綺麗!」と歓声を上げている。ご挨拶ついでに「紅葉が綺麗ですね」と言葉を交わすと「綺麗すぎてなかなか進めません」と返ってきた。

それにして驚くのは登ってくる登山客の多さだ。連綿と登山者が続いている。中には二組ほど20名くらいの大パーティーもおられる。多くの登山者は日帰りだろう。この時間からでも夕方までには下山出来るタイミングなのだろう。先週の槍ヶ岳でも多かったが、その比ではない。ただ、急登が続くせいだろか。前日に登った常念への一の沢ルートよりもこちらのルートの方が遥かにしんどそうである。

11時過ぎにca850mのあたりで家内に追いつくと、ようやくすれ違う登山者もまばらになる。最後は色づき始めた落葉松林の木漏れ日の中を下る。そういえば落葉松の林は他の針葉樹林と違って晴天の日は樹林が明るいのが特徴だ。

中房温泉に着くとバスの出発時間まで20分。温泉の受付の一人しかいない男性は下山したばかりの登山者達に生ビールやソフトクリームを提供するのに忙しく、我々が温泉に浸かる時間はますます短くなってゆく。まさに烏の行水で汗を流し、バス乗り場に向かうと発車時間ギリギリであった。

バスの登山者は有明神社と穂高公園で下車される人が多い。どうやら早朝のうちに中房温泉の駐車場が満車になってしまったので、有明神社や穂高公園の駐車場に車を停めてバスで登山口に向かうことを余儀なくされた方が多かったようだ。

松本駅に到着するとまずは信州の地酒を売っている酒屋に酒を買いに行く。街中は暑く感じられるが、それでも京都に比べると空気が清澄に感じられる。駅に戻ると驚いたことに駅の手打ちそば「樽木野」の店の前には登山者が行列していた。駅ビルの中の手打ちそばの店に入るが、十分に美味しく感じられた。

先週の山行後とは異なり、今週は全く筋肉痛を患うことはなかった。今週末からは急に気温が冷え込むようだ。夏山装備で登山が出来るのは今シーズン最後の機会だったのかもしれない。家内と次はもう少し静かな山にしようと心に決めるのだった。

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この記録に関連する登山ルート

無雪期ピークハント/縦走 槍・穂高・乗鞍 [日帰り]
常念岳(一ノ沢ピストン)
利用交通機関: 車・バイク
技術レベル
2/5
体力レベル
3/5
無雪期ピークハント/縦走 槍・穂高・乗鞍 [4日]
燕岳から蝶ケ岳
利用交通機関: 電車・バス
技術レベル
2/5
体力レベル
4/5
積雪期ピークハント/縦走 槍・穂高・乗鞍 [3日]
燕岳〜大天井岳〜常念岳〜蝶ヶ岳、常念山脈縦走
利用交通機関: 車・バイク、 電車・バス、 タクシー
技術レベル
3/5
体力レベル
4/5
無雪期ピークハント/縦走 槍・穂高・乗鞍 [2日]
燕岳ー常念岳 縦走
利用交通機関: 車・バイク
技術レベル
2/5
体力レベル
4/5
無雪期ピークハント/縦走 槍・穂高・乗鞍 [3日]
燕〜常念の縦走
利用交通機関: 車・バイク、 電車・バス、 タクシー
技術レベル
2/5
体力レベル
4/5

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