二口山塊 小松原沢
- GPS
- --:--
- 距離
- 17.2km
- 登り
- 1,432m
- 下り
- 1,425m
コースタイム
- 山行
- 4:20
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 4:20
- 山行
- 5:30
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 6:40
天候 | 7日:晴れ時々曇り 8日:曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ゲート前に4台位は駐車可。 林道は凹凸が激しく、車高が低い車は擦るかも。 尖がった岩も転がっていたのでパンクに注意。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
二口林道宮城側ゲートから出発し、橋を渡り少し歩いた先の、 林道が大きく右に曲がる箇所から入渓する。 沢に向かって踏み跡があるので楽に入渓出来る。 全行程の半分以上がナメ歩きで、適度な感覚で滝が現れる。 難しい滝はあまり無いが、初見だと手こずりそうな滝が幾つかある。 注意すべき点としては、以下3つ。 1.くの字型15m滝の高巻き 登れない滝なので巻く。 右岸に明瞭な踏み跡があるのでそれを辿って巻くが、 踏み跡をずっと辿ると銚子大滝も巻く事になるのでかなりの大高巻きになる。 途中で踏み跡を無視して15m滝の落口めざしてトラバースするのがポイント。 2.銚子大滝50m 直登の記録もあるが、一般的には左岸巻き。 15m滝の落口近くの左岸に明瞭な踏み跡があるのでそこを登り、 登り切った後はトラバースして落ち口を目指す。 昔はこの高巻きが小松原沢の一番の難所だったそうだが、 現在では踏み跡がしっかりしているので難しくはない。 だが、絶対に落ちてはいけない場所なので足を踏み外さぬよう注意。 道は悪くないが高度感あり。 3.ゴルジュ帯 銚子大滝を通過した後は短いゴルジュとなる。 ゴルジュには4つの滝があり、いずれも釜が深く、へつりが難しい。 暑い時期であれば泳いで突破するのが良いが、寒い時期だと苦労しそうな箇所。 2つ目の滝は左岸から巻く事も出来るので、水に落ちたく無ければ巻くのも手。 傾斜の厳しい巻きで、一旦巻くとしばらく沢床には降りられず、 残り2つの滝もまとめて巻く事になるが、ゴルジュ終点辺りで傾斜が緩むので、 そこから下れば懸垂下降無しで4つ目の滝の落口に降りられる。 他にも幾つか抑えておきたいポイントはあるが、沢経験者ならたぶん大丈夫だろう。 ゴルジュを過ぎた後は難所は無く、ゴーロとナメ歩きのみ。 後は熊と遭遇でもしないかぎり、危なげなく遡行を終えられる。 尚、ゴルジュを通過し、その後の枝沢を越えた先には野営適地がある。 標高1050m付近の高台で、増水にも充分耐えられそう。 周囲はブナ林で囲まれており、とても雰囲気が良い。 近くには泳ぐのに良さそうな小滝もあり、プールも完備。 素晴らしい野営地だと思うので、小松原沢は日帰りでも遡行できる沢だが、 私としては1泊2日の遡行をオススメしたい。 |
写真
装備
個人装備 |
地図(地形図)
GPS
ツェルト
ナイフ
ロープ
ハーネス
ヘルメット
確保機
ロックカラビナ
カラビナ
スリング
ロープスリング
セルフビレイランヤード
ナッツキー
ハンマーバイル
アングルハーケン
渓流シューズ
トポ
ルート図
|
---|---|
備考 | 沢靴はラバーソールを使用。 写真24の階段状5m滝では滑るが、そこ以外では概ね良好。 沢全体を通して効きは良かった。 |
感想
朝6時、テントを打つ雨音で眼が覚めた。
テントの外は肌寒く、雨が降っているためか、二口キャンプ場には人の姿は見られない。
昨夜は賑やかであった広場にも人はおらず、皆バンガローの中に留まっているようである。
この日は小松原沢を遡行する予定だが、どうしよう。
今日の沢は中止するか・・・それとも雨でも行けるような別の沢にするか?
悩みながらシェラフに包まり考えると、 いつの間にか2度寝していた。
次に起きたのは8時過ぎ。
その頃にはもう雨は止んでおり、空には薄らと晴れ間が見えていた。
そして9時を過ぎれば快晴の空となり、こうなればもう迷うことなく遡行決行。
二口キャンプ場を後にして、二口林道の奥へと車を走らせる。
二口林道のゲート前にはすでに2台の車が駐車してあった。
片方の車は札幌ナンバー。
遠路はるばるここまで訪れた目的は、たぶん小松原沢だろう。
二口の沢と言えば大行沢が全国的に有名だが、今日訪れる小松原沢はそれ以上の名渓
だと個人的には思っている。
北海道からわざわざ訪れる方がいるのも納得できる沢である。
同じく私もゲート前に駐車し、小松原沢へ出発。
歩き初めてすぐに橋があり、そこから沢を眺めると素晴らしいナメ景色が続いていた。
これからの沢歩きが期待できる光景であり、橋から少し歩いた先から沢に降りると、予想に違わぬナメの様相。
最初から気分が盛り上がり、意気揚々と遡行を開始した。
この沢の見所は、やはりナメ。
ナメが一旦終わったと思ったらまたすぐにナメが始まり、沢の全行程の半分以上は
ナメ歩きが占める。
それだけナメが多いと飽きそうなものだが、その途中には滝も多く、適度な感覚を置いて
次々と滝が現れるので、全く飽きてくる事が無い。
中には通過にコツを要する滝もあるが、過去に歩いた事はあるので通過法は知っている。
滝の通過はスムーズに進み、当初の予定よりも前倒しで小倉沢出合に到着した。
小倉沢出合を右に曲がり、小松原沢へ進むと、10人位のパーティに出合う。
たぶん、ゲート前に駐車してあった札幌ナンバーの方々だろう。
銚子大滝までのピストンで、これから沢を下って下山するところだそうだ。
パーティの方々からは口々に「一人で来たの?」と質問される。
この方々に限らず、沢でパーティに会うと、よくこの質問をされる。
「はい」と答えるしかないのだが、私にとっては少し回答に困る質問だ。
沢のグレードにもよるが、ソロでの沢登りは推奨されない。
基本的にはパーティで行うものであり、沢登りをする人の中にはソロでの遡行に否定的な考えを持つ方も多い。
沢で会った方に、咎められた事も過去に何度かある。
どういう対応をされるか少し心配になったが、幸いこのパーティの方々はソロに理解ある方のようだった。
一人で来た事を伝えると、「すごいね〜、気を付けて行ってね。」と温かい言葉を頂く。
気分良くパーティと別れ、更に先へ。
そして、小松原沢の難所の始まり、くの字型15m滝へと到着した。
くの字型15m滝は直登不可能。
見た目は険しく、遡行図では10mと表記されているが、私には15mはあるように見える。
実際、15mと記載している記録もあり、見た目の印象からここでは15m滝と呼ぶ事にしよう。
登れないので、この滝は右岸から巻く。
明瞭な踏み跡があるので巻き道を見つけるのは簡単だ。
だが、この巻き道には罠がある。
踏み跡をずっと辿ってはいけない。
巻き道はずっと上まで続いているが、15m滝の落口の高さまで辿ったら、あとは無視。
落口を目指してトラバースするのが正しい通過法だ。
恐らく、このトラバース点が判りにくいので、多くの人が間違ってしまうのだろう。
トラバース点を見過ごしてしまい、上まで行くが、行く手を阻まれ戻ってくる。
この繰り返しで道が出来てしまっているのだと思われる。
さて、罠には引っ掛からずトラバースを開始するが・・・
このトラバース、結構悪い。
急傾斜で足場が悪いので、立ち木を掴みながらトラバースしていくが、腕力頼みなので腕が疲れる。
両手を離せば真っ逆さまに落ちるので、腕力に自信が無い人は途中で休憩をとれる様、セルフビレイの準備もした上でトラバース開始した方が良いだろう。
初心者同行であれば、ロープも出した方が良いかもしれない。
15m滝を過ぎれば、この沢での最大の滝、50mの銚子大滝が現れる。
この滝は水流が細い為か、先の15mとは逆に遡行図記載の50mよりも若干低く見える。
40m位のように見えるが、それでも充分な高さ。
直登は難しいので、左岸から巻いた。
こちらの滝の巻きは、15m滝に比べれば幾分容易だ。
ハッキリした巻き道が出来ており、これを辿って行けば良い。
やがて長いトラバースに行き着くが、15m滝のトラバースよりも足場がしっかりしているので難しくはなく、体力的にも易しい。
高度感はあるが容易に通過し、最後の難所へ。
ゴルジュ帯へと進む。
最後の難所のゴルジュ帯。
ここが技術的には一番難しい箇所だ。
ゴルジュ間には4つの滝があり、滝自体は難しくない。
だが、釜が深いので滝に取り付くまでが難しい。
過去に遡行した時は泳いで突破したが、今回はへつりで突破してみたい。
ゴルジュ最初の滝のへつりを試みるが・・・
滝の手前であえなくドボン。
やっぱり今回もダメだったよ。。。
釜は深く、沢床には足が付かず。しばし釜に浮かびながら、落胆す。
もう一回挑戦するか、とも思ったが面倒になったので、そのまま泳いで突破。
へつりは次回、と割り切って次の滝へと進む。
ゴルジュ2つ目の滝は、1つ目の滝以上にへつりが難しい。
さっきのへつりで落ちてるようでは、ここもたぶん無理。
泳ぎですっかり体も冷えたので、もうドボンはしたくはない。
2つ目の滝は巻いて通過、そのまままとめて3つ4つ目の滝も通過。
結局、ゴルジュ終点まで全て巻きで通過、と少々不本意な形で難所の通過を終えた。
結果はどうあれ、ゴルジュを過ぎれば、もう後の行程はゴーロとナメばかり。
難所は終わったので気分も軽く、今日の野営地へと進んで行った。
小松原沢は、二口山塊の中でも最も好きな沢である。
その理由としては、素晴らしいナメもあるが、もう一つに、この野営地の存在がある。
増水に耐えられる高台に位置し、1段上がった所には焚き火場、
そしてもう一段上がった所には平坦な柔らかい土の寝床。
施設(?)は充実しており、野営地の周囲を取り囲むブナ林も見事。
沢特有の薄暗さは無く、開放的なブナ林はとても雰囲気が良く、ここで一夜を過ごせるのは
この上ない幸せのように感じられる。
その夜は遅くまで焚き火した。
前日の二口キャンプ場でもそうだったが、焚き火を前にすると酒がすすむ。
2日続けて遅くまで飲み明かす事となった。
最後は記憶が曖昧で、何時に寝たのか判らないが・・・
かすかな記憶を辿ると、最後に時計を見たのが23時だったので、
23時就寝、としておこう。
翌日の朝は曇り。
日差しは無く、朝の沢は寒かった。
昨夜の痛飲にもかかわらず早起き出来たが、寒いので沢を歩く気が起きず、
しばらく野営地でのんびりし、気温が上がってきてから出発した。
野営地以降の行程は殆どがナメ歩き。
難所は無く、最後に少し薮を漕げばダンゴ平らの登山道へ出られる。
何の問題も無く、遡行は終わるはずだった。
・・・しかし、
最後にトラブル発生。
源頭付近に差し掛かると、薮の奥の方でガサゴソと。
薮を漕いでる音がする。
“自分以外にも沢に入っている人が居るのだろうか?"
不審に思い、音のする薮の奥へと、よ〜く眼を凝らしてみると・・・
なんか、この人、黒っぽいぞ。。。
やばい熊さんだ@@
向こうは私に気が付いてない模様。
急いでその場を後にした。
その後の薮漕ぎはスリリング。
いつ熊が後ろから来るかヒヤヒヤしながら薮を掻き分け先へと進む。
なんとか薮を突破し、ダンゴ平手前の登山道へ出た時は心底ホッとした。
だが、一難去って、また一難。
この日の予定は南沢を下降する予定だったので仙台神室岳へと向かうが、そこで水が尽きる。
源頭で充分量の水を調達するつもりだったが、熊の出現でそれどころでは無かったので少しの水しか持ち合わせていなかったのだ。
とりあえず、南沢まで辿りつければ水が得られる。
仙台神室の山頂から薮漕ぎ開始し、南沢へと向かうが薮は手ごわく、大量の汗をかく。
この状態が続けば、南沢に辿りつく前に脱水症状になりそうな予感がする。
薮の中で不安になってきたので、南沢は中止。
登山道で下山する事にした。
薮漕ぎに比べれば、登山道歩きは運動量も少なく楽ではあるが、やはり水が無いのは辛い。
喉の渇きを堪えながらの苦しい下山。
なんとか下山し、二口ビジターセンターで飲んだコーラは格別の味であった。
コメント
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Luskeさん
東北らしい癒しの沢ですね(勝手なイメージですみません)
二口山塊は大ナメ沢だけでなくていいところがたくさんあるんですね。小松原沢はネットで検索した記憶があります。隠れ名渓なんですね。今回のレコを拝見してこれは足を運びたいと思いました。
Luskeさんクラスでへつれないとこって・・・かなり難しいんですようね。
ところで、焚火ってなんであんなにはまるんでしょうか。
焚火やると夜更かししちゃうのはみんな同じですね
来年はぜひ東北で 沢コラボお願いしたいです。
お、小松原沢を御存じでしたか。
二口山塊は大行沢が有名なので、小松原はややマイナーな沢の印象がありますが、昔は大行沢よりも人気があったそうです。
私にとっては、この小松原沢は、まさに理想的な沢であり、
ナメだけでなく、滝も手ごたえがあって登りがいがあります。
特にここのゴルジュは、上級者だったら楽しめるのではないでしょうか。
まだ私の実力ではまだ難しいですが、いつかはへつりで突破してみたいものです
焚き火は良いですね〜
私も、なんであんなにはまるのか不思議に思ってます。
眠くさえなければ、火を眺めて一晩過ごせそう。
metaさんが東北に来られた際は、ぜひ沢で焚き火を囲みたいものです。
小松原沢の野営地も良いですが、大行沢にも良い野営地ありますぜ^^b
Luskeさん、とっておきの沢を隠しもっておられたんですね
草付きのトラバースに、深い釜を持つゴルジュ滝
おまけに熊まで出てきて
昨年ブナの実が大豊作でしたから、今年はおそらく不稔でしょうね。
だから飢えた熊たちがうろついているのだと思います
やはり快適な野営地があると嬉しいですね。
今年はLuskeさんから沢の手ほどきを受けられなかったなぁと思っていたところでした
もう9月も後半になると寒いですよね。
10月の紅葉見ながら沢歩きというのも憧れますけどね
最後の熊さんは予想外でした^^;
向こうに敵意は無いとしても、山で会うと穏やかではいられませんね。
なるほど、今年は不稔になりそうですか・・・
熊さんにとっては受難の年になりそうですね。
そういえば、tooleさんのお友達は元気にされてるでしょうか?
今年の秋は苦労なされると思いますが、しっかり食べて健やかに冬眠されるよう、お伝えください。
・・・てか、あの方は冬眠するの?
いつの間にやら夏も過ぎ、だいぶ沢も寒く感じる季節になってきました。
今年はなかなか都合が合いませんでしたが、次回沢コラボ出来る日を楽しみにしてます。
東北の沢は旬の時期を過ぎた感はありますが、寒いけど紅葉の沢、行っちゃいます?
あまり濡れない沢に限られますが、紅葉の沢も綺麗ですよ!
すごいです(^-^)
稚拙な感想しか述べられずお恥ずかしい。
沢にはきっと一生入らないので、Luskeさんのレコで疑似体験です(^-^)
沢はちょっと敷居が高いので入るには勇気がいるかもしれません。
でも、場所を選べば危険のない、癒しの沢歩きが出来る場所も沢山あります。
今回の小松原沢で言えば、入渓点から2つめの滝(10mナメ滝)までは殆どがナメ歩きなので危険はあまり無く、安全な沢歩きが楽しめます。
傾斜も緩いので、その滝までの往復であれば誰もが沢歩きを楽しめるかと思いますよ。
もし、夏の暑い時期に二口を訪れる機会があれば、ぜひ小松原沢のナメを御覧頂きたいものです。
清涼感溢れるその景色には、きっと癒されるものがあると思います。
ただ、入渓点までの林道が悪いのが難点で・・・
ゲートまで車で行くのに苦労するかもしれません^^;
先日このレポを見て、小松原沢に行ってきました。とても参考になりました。
居心地のよいテン場、素敵なナメ、最高でした。
二俣から右に入って山形神室山、清水峠を経て、二口に戻りました。
ありがとうございました。
拙い記録ですが、参考して頂けたようで何よりです。
小松原沢はナメが素晴らしい沢ですよね。
楽しい遡行になったようで、嬉しく思います。
テン場ですが、焚き木が少なくはなかったですか?
小生が野営した際、盛大に焚火してしまったので、焚き木が不足してなかった少し心配です^^;
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