ヤマレコなら、もっと自由に冒険できる

Yamareco

記録ID: 5120987
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
アフリカ

キリマンジャロ(マラングルート)登頂記

2022年12月30日(金) 〜 2023年01月04日(水)
 - 拍手
体力度
10
2〜3泊以上が適当
GPS
119:07
距離
75.9km
登り
4,237m
下り
4,255m
歩くペース
標準
1.01.1
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
3:29
休憩
0:00
合計
3:29
7:34
209
マラング・ゲート
2日目
山行
5:56
休憩
0:00
合計
5:56
2:31
356
マンダラ・ハット
3日目
山行
2:26
休憩
0:00
合計
2:26
5:52
ホロンボ・ハット
4日目
山行
4:25
休憩
0:00
合計
4:25
3:17
265
ホロンボ・ハット
5日目
山行
12:44
休憩
2:33
合計
15:17
18:09
384
0:33
0:34
61
1:35
1:51
26
2:17
2:17
144
4:41
6:57
149
9:26
ホロンボ・ハット
6日目
山行
4:45
休憩
0:15
合計
5:00
1:32
187
ホロンボ・ハット
4:39
4:54
98
6:32
マラング・ゲート
天候 概ね晴れ
過去天気図(気象庁) 2022年12月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車 飛行機
往路:【JAL】伊丹〜成田【QR】〜ドーハ〜ダルエルサラーム〜キリマンジャロ

復路:【QR】キリマンジャロ〜ドーハ〜成田【JR】〜新宿【高速バス】〜大阪
コース状況/
危険箇所等
(以下情報等については2022年末時点)
◇Marangu routeについて
技術的に難しいところは無い。持ち物の多くはポーターが持ってくれる。
緩い斜度の整備されたトレイルを高度順応を兼ねてゆっくり登る。最終キャンプのKibo HutsからGilman's Pointは斜度が増すが手を使うようなところは無かった。
Uhuru Peakまでは緩いアップダウン(富士山のお鉢巡りのような感じ)
◇登頂確率は半々と言われるが要は高度順応次第かと思う。しっかり呼吸を意識、一日3リットル以上の水分、キャンプでは散策やお喋りをして身体を高度に早く慣らす。
◇Kibo Hutsから一気に寒くなる。山頂付近は極寒。持てる服は全て着込んだ。早く動けない為汗もかかない。
靴はMarangu gate〜Kibo Hutsがトレランシューズ(サロモン スピードクロス5)、Kibo Huts〜Uhuru Peak間がウィンターシューズ(モンベル ネージュウォーカー)
その他周辺情報 ◇今回お世話になった現地エージェント
「F&K CULTURAL TOURS AND SAFARIS」
http://jp.fk-safari.com
◇タンザニア滞在にはビザが必要。僕はWebで自己申請($50)
◇中東経由で入国の場合、各種予防接種は必要無し。疫病の予防薬も使わなかった。
◇各エアのチェックイン時にコロナワクチン接種証明を確認されるが、タンザニア入国には特に必要なかった。
◇ホテルやある程度のスーパー等ではクレカや$が使える。現地言語はスワヒリ語。英語もある程度通じる。ホテルやショップ、ガイドとの会話は英語。
ドーハ ハマド国際空港。夜中なのにチョー賑やか
2022年12月29日 05:39撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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12/29 5:39
ドーハ ハマド国際空港。夜中なのにチョー賑やか
はるばる来た
カオスだけどエネルギーが満ち溢れてる
2022年12月29日 18:14撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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12/29 18:14
カオスだけどエネルギーが満ち溢れてる
アリューシャは涼しく過ごしやすかった。富士山みたいなアフリカ五番目の高峰メルー山
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アリューシャは涼しく過ごしやすかった。富士山みたいなアフリカ五番目の高峰メルー山
デカい。ひたすらデカい
2022年12月30日 08:55撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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12/30 8:55
デカい。ひたすらデカい
手際よく準備するスタッフ
2022年12月30日 11:15撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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12/30 11:15
手際よく準備するスタッフ
心地よい風が吹くマラング
2022年12月30日 11:55撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
12/30 11:55
心地よい風が吹くマラング
いざ!
2022年12月30日 13:03撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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12/30 13:03
いざ!
のんびりトレイル
2022年12月30日 16:40撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
12/30 16:40
のんびりトレイル
ランチタイム
ここでしか見られない
2022年12月30日 16:40撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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12/30 16:40
ここでしか見られない
「ヒョウの足跡だ。俺たちに驚いて逃げたんだ」「え、ホント⁉︎」
2022年12月30日 17:01撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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12/30 17:01
「ヒョウの足跡だ。俺たちに驚いて逃げたんだ」「え、ホント⁉︎」
1日目のお宿マンダラハット
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1日目のお宿マンダラハット
毛ェフッサフサのサル
2022年12月30日 17:29撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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12/30 17:29
毛ェフッサフサのサル
雲海が広がる美しい夜明け。
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雲海が広がる美しい夜明け。
アフリカ固有種のプロテア?だったっけ
2022年12月31日 11:19撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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12/31 11:19
アフリカ固有種のプロテア?だったっけ
枯れ木の上にアリの巣。凶暴らしい
2022年12月31日 10:15撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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12/31 10:15
枯れ木の上にアリの巣。凶暴らしい
変わった鳥もいたよ
2022年12月31日 11:20撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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12/31 11:20
変わった鳥もいたよ
雪を被ったキボ峰とマウエンジ峰
2022年12月31日 11:31撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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12/31 11:31
雪を被ったキボ峰とマウエンジ峰
数年前の山火事で花や蕾のまま炭化。乾燥してるのでずっと残ってる
2022年12月31日 12:58撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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12/31 12:58
数年前の山火事で花や蕾のまま炭化。乾燥してるのでずっと残ってる
ホロンボハット着。元気!気温10℃前後。
2022年12月31日 14:32撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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12/31 14:32
ホロンボハット着。元気!気温10℃前後。
少し前の山火事で一部の小屋が燃えちゃったらしい
2022年12月31日 17:42撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
12/31 17:42
少し前の山火事で一部の小屋が燃えちゃったらしい
スマホでも撮れた!南十字星に興奮
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スマホでも撮れた!南十字星に興奮
2023年初ご来光
2023年01月01日 06:35撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/1 6:35
2023年初ご来光
モルゲンロート
2023年01月01日 06:09撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/1 6:09
モルゲンロート
一日3リットルは水分を摂るように言われてたのでお茶をガブガブ
2023年01月01日 08:10撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/1 8:10
一日3リットルは水分を摂るように言われてたのでお茶をガブガブ
高度順応日はシマウマ岩ピクニック
2023年01月01日 10:41撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/1 10:41
高度順応日はシマウマ岩ピクニック
キボ峰がドーン
2023年01月01日 11:01撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/1 11:01
キボ峰がドーン
カサカサしてる草。ペーパーフラワーとか言ってた
2023年01月01日 11:12撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/1 11:12
カサカサしてる草。ペーパーフラワーとか言ってた
ジャイアントセネシオ。成長ゆっくり長寿の木
2023年01月01日 11:36撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/1 11:36
ジャイアントセネシオ。成長ゆっくり長寿の木
美味しくてペロリ
2023年01月01日 13:14撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/1 13:14
美味しくてペロリ
おやつは毎日ポップコーン。さすがに飽きたw
2023年01月10日 22:41撮影
1/10 22:41
おやつは毎日ポップコーン。さすがに飽きたw
ひでぇ強風の朝
2023年01月02日 07:07撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/2 7:07
ひでぇ強風の朝
自然は自然。優雅に朝食
2023年01月02日 07:47撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/2 7:47
自然は自然。優雅に朝食
最終の水場だって
2023年01月02日 10:15撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/2 10:15
最終の水場だって
じっとしてたトカゲ。寒い?
2023年01月02日 10:54撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/2 10:54
じっとしてたトカゲ。寒い?
日差しは強いが風は強いしそこそこ寒い
2023年01月02日 11:26撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/2 11:26
日差しは強いが風は強いしそこそこ寒い
絵になるなあ
2023年01月02日 12:08撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/2 12:08
絵になるなあ
火星にいます
2023年01月02日 12:58撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/2 12:58
火星にいます
病人専用一輪車。下山一方通行。乗りたくない
2023年01月02日 13:34撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/2 13:34
病人専用一輪車。下山一方通行。乗りたくない
まだ元気
2023年01月02日 13:41撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/2 13:41
まだ元気
薄ら寂しいキボハット
2023年01月02日 16:58撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/2 16:58
薄ら寂しいキボハット
Thank you Adam!
2023年01月02日 17:42撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/2 17:42
Thank you Adam!
寒いより眠い人たち。起きろ〜
2023年01月03日 02:48撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
1/3 2:48
寒いより眠い人たち。起きろ〜
いきなりギルマンズポイント。風強っ
2023年01月03日 05:39撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/3 5:39
いきなりギルマンズポイント。風強っ
数日前にまとまった雪が降って素敵な銀世界
2023年01月03日 06:50撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/3 6:50
数日前にまとまった雪が降って素敵な銀世界
氷河というより氷山がドンて感じ
1
氷河というより氷山がドンて感じ
夢を叶えたよ
2023年01月03日 07:42撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/3 7:42
夢を叶えたよ
ガイドのGood luck(中)、チーフポーターのAdam(右)とパチリ
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ガイドのGood luck(中)、チーフポーターのAdam(右)とパチリ
頂上クレーター。阿蘇っぽい
2023年01月07日 08:42撮影
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1/7 8:42
頂上クレーター。阿蘇っぽい
心に刻む
ハンスメイヤー ケーブ
2023年01月03日 09:48撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/3 9:48
ハンスメイヤー ケーブ
さらばホロンボハット。スマホ…
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さらばホロンボハット。スマホ…
これはドラマチックだったな
2023年01月05日 02:31撮影
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1/5 2:31
これはドラマチックだったな
カメレオン発見!
1
カメレオン発見!
ファイヤーボールフラワー
2023年01月04日 11:37撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/4 11:37
ファイヤーボールフラワー
げざーん
2023年01月04日 12:33撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
1/4 12:33
げざーん
食べてばっか
2023年01月04日 13:04撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/4 13:04
食べてばっか
マイチーム♪
2023年01月04日 17:35撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/4 17:35
マイチーム♪
お疲れ、俺!
(おまけ)水浴びするゾウ
2023年01月05日 11:55撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/5 11:55
(おまけ)水浴びするゾウ
寝てばっかのライオン
2023年01月05日 16:48撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/5 16:48
寝てばっかのライオン
全身バネのようなチーター
2023年01月05日 17:32撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/5 17:32
全身バネのようなチーター
サファリロッジの朝
2023年01月06日 06:35撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/6 6:35
サファリロッジの朝
優雅なキリン
2023年01月06日 10:02撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/6 10:02
優雅なキリン
仔象可愛い
2023年01月06日 09:24撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/6 9:24
仔象可愛い
タンザニアさらばじゃ
2023年01月07日 17:31撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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1/7 17:31
タンザニアさらばじゃ

装備

個人装備
30Lザック(個人用) ザックカバー 40L折りたたみスポーツバッグ(ポーター預け用) サブザック 下着 靴下 メリノアンダー(長)上下 Tシャツ(半 長) ズボン(半 ウィンドシェル ダウンジャケット ダウンパンツ 雨具上下 ハードシェル上下 ゲイター キャップ サングラス ビーニー バラクラバ グローブ三種 テルモス 行動食 時計(Garmin) サンダル ヘッドランプ 予備電池 ファーストエイドキット 日焼け止め ロールペーパー 携帯 タオル ストック ナイフ シェラフ

感想

(長文です)
☆アフリカ タンザニアの旅【2022年12月28日〜2023年1月8日】

アフリカ最高峰 キリマンジャロに登ってきた。
ヘミングウェイの豹の山。憧れの山。アフリカ大陸も未体験。
2022年夏頃から色々計画し、家族や仕事先の理解もあり(根回し大事)師走の日本を独り旅立った。チャンスは逃さない。人生は一度きりだから。

①プロローグ
12月28日、29日
昼前に家を出て電車とバスを乗り継いで大阪伊丹空港。JALの直行便で成田入り。
時間があるのでターミナル内をウロウロしたが、まだ多くの施設が閉鎖されてたり飲食店も早々に閉まったりの有様。寂しいな日本。

2155 カタール航空にてドーハへ
好みの機内後方、通路側の席を選んだが、隣のデカい黒人のお兄さんがはみ出してきてツラいw 機内食を食べたらすぐ熟睡。次に起きたらまた食事でドーハ目前だった。

0500 ドーハ着
サッカーワールドカップの余韻が色濃く残るめっちゃ広い空港。にぎやかで人の往来も多く人種のるつぼだ。さすが世界のハブ空港の一つ。お腹が空いてパンとコーヒーを食べて乗り継ぐターミナルへ。

0800 カタール航空にてキリマンジャロへ
アラビア半島の広大な砂漠地帯を見下ろしながら、機はアフリカ大陸へ。隣のタンザニア人のおねーさんからキリマンジャロ登山の激励。まかしとき!
タンザニア首都のダルエスサラームに一旦降りる。かなりの大都市だ。1時間半ほどで再び離陸。キリマンジャロ空港へ向かう。

1645 キリマンジャロ空港着
着いた。遠かったがそれも旅の途中。そんなに苦ではない。
連絡を取り合っていた現地旅行社のドライバーが迎えに来てくれていた。
今夜の宿があるアリューシャへ1時間半ほどのドライブ。景色も人も、見るもの全てが珍しい。ホテルでは旅行社の日本人社員Keikoさんと登山ガイドのGood luckが迎えてくれた。
挨拶のあと早速明日からの登山の打ち合わせと装備品のチェック。登山の服や装備は全て自前のものを日本から持って来た。
サクッと終わり、二人と別れホテル内の食堂で夕食。ずいぶん待たされて本格的なチキンカレーが出て来た。いやもっとローカルなものを想像してたんだがw
シャワーを浴びてすぐにベッドへ。
アリューシャはこの辺りではかなり大きな街みたいだ。標高は1,500mほどで、この時期朝晩はかなり涼しい。地元の人はニットキャップやダウンを羽織る人もいる。カラッとしているのでエアコン無しでちょうどいい。
機内でしょちゅう寝たのだが、やっぱりすぐに寝てしまった。


②登山開始からMandara Hutsまで
12月30日 曇りのち晴れ
0600 Arusha Venus premier hotel
起床。ホテルでビュッフェの朝食、そして荷作り。登山道具をチェックしながらザックに詰める。
30L程のザックに雨具や行動食など身近に使うものを入れる。これは自分が持つ。
40L大のスポーツバッグには寝袋や着替えや洗面具、また登頂時にしか使わないウェアやブーツを入れる。こちらはポーターに持ってもらう。

0800 今回一緒に登るガイドたちとロビーで合流。メンバーはガイドのGood luck、チーフポーターのAdam、主にこの2人と登ることになる。あとはポーター2人とシェフさん。
なんで5人もと思うがそれが規則。キリマンジャロは単独で登ることはできない。地元の雇用確保と山の事故を防ぐのが目的とのこと。
山小屋はあるが自炊が基本。僕だけではなくガイドたち自身の荷物や水食料、炊事道具や燃料も持って上がるから必然多くなる。ポーターも1人20kgまでの歩荷と決められているから複数必要だ。

一人ひとりと握手したが、ん、一人多い⁉︎…いつの間にか物売りが紛れ込んでいて、早速帽子を売り込んできた。油断も隙もないw
とにかく登山口に向けて出発だ。

1100 Marangu gate(1,880m)
途中、スーパーで食料品など買い出し。車はモシの街を過ぎキリマンジャロ登山口の一つ、Marangu gate着。
Good luckが登山許可の手続きを取りに行った。ポーターの荷物の計量などチェックが厳しいらしく2時間弱待つ。その間にも「これが無いと山に登れないぞ!」「これは絶対必要だ!」と手にブレスレットを巻いてきたり帽子を被らせようとする物売り。このハングリーさとガッツ見習いたい…

1330 登山開始
ゲートをくぐり最終チェックを受けていよいよ登山開始。Good luckとゆっくり歩き出す。
キリマンジャロは5つの植生が同時に存在する。先ずは麓の厚く乾燥したサバンナ、今はMarangu gateから2,800m位までの熱帯雨林だ。Good luckはアフリカ固有の珍しい花や大きなサル、ヒョウの足跡!など色々教えてくれる。
1時間半ほど歩いて沢沿いのトイレのあるポイントでお弁当を食べる。中身はハンバーガー、フライドチキン、スポンジケーキ、ゆで卵、チョコバー、フルーツジュース(登山中のお弁当はだいたい同じ中身)Good luckから食べられる時にしっかり食べるように言われる。

1700 Mandara Huts(2,720m)歩行距離約8km
緑鮮やかな中に可愛い小屋が立ち並ぶMandara Hutsに到着。
いつもの山行と比べるとかなりのスローペース。まだまだ標高を上げるのだからゆっくり過ぎるくらいが良いのだろう。約8km歩いて1,000m弱のアップだから勾配も緩やか。荷物の多くを持ってもらうし、最終キャンプまでは軽量のトレッキングシューズで充分と感じた。

あてがわれた部屋は貸切だし、トイレは水洗で快適。周りは色濃い森で鳥や動物の鳴き声が賑やかだ。毛並みの綺麗なサルが目の前を悠々と散歩している。
着いてしばらくすると、Adamが洗面器とお湯を持って来て顔と手を洗わせてくれる。ポップコーンとコーヒーでお茶してそのまま18:00から夕食。食堂棟でパンとスープ(毎度味が違い、少しスパイスが効いて美味い)、サラダとフルーツをいただく。日本から持って行った「ゆかり」が大正解。お粥とベストマッチで平らげてしまった。
食事後、Good luckにパルスオキシメーターで酸素飽和度と脈拍を計られ、飲んだ水分量や体調を訊かれる。スタッフ間や下界のKeikoさんとゲストの体調を共有し管理しているという。なんと至れり尽くせりなんだろう!結構自由に登らせてくれる反面、安全確実に登らせるサポート体制に好感が持てる。

星が綺麗な穏やかな夜は更けていく。


③Mandara HutsからHorombo Hutsへ。そして高度順応。
12月31日
0600 Mandara Huts
起床。快晴。明るくなるにつれ鳥たちが賑やか。すぐに日の出。眼下に雲海が広がる素晴らしい朝。身支度を終えた頃、Adamがお湯を持ってきてくれて洗顔。0800に朝食。パンケーキにジャムをつけてむしゃむしゃ食べる。一応、胃薬を毎食後飲むようにしているがそもそも食べ過ぎかな。
Good luckと食べながら今日の予定や世間話。時々、もっと英語が使えたらもっと理解し合えるのにともどかしくなる(勉強大事)。健康チェックの後「何分後に出ようか?」とGood luck。「20分後にしよう」。一人だとある程度融通が効くのがいい。

0830 出発
歩き始めてまもなく、高い木々が無くなり3つ目の植生帯「草原帯」になる。Maundi craterという小さな火口に寄り道。このトレイルで初めて、白い雪を被ったキリマンジャロ キボ峰が見えた(キリマンジャロは3つの火山峰からなる。西からシラ峰(3,962m)、キボ峰(5,895m) 、マウエンジ峰(5,149m)キボ峰が最も新しく高い)。
トレイルは草地が広がる中に低木が点在する広大で緩やかな斜面を横切るように続く。下界もよく見え、隣国ケニヤとの国境はあの辺りとGood luckが教えてくれた。

1300 Rest point
お弁当タイム。必ず入っているチキンは骨が多くて少し硬めだがしっかり噛んで食べるようにする。弁当を狙って大きなカラスが2、3羽辺りをうろつく。Good luck「取られるなよ(笑)」
また、この辺りはよく山火事が起きるらしく一面に焦げた草原や炭化した木、火の元注意の看板を見かけた。確かに乾燥してて一気に燃え広がりそうだ。

1430 Horombo Huts(3,720m)歩行距離約11km
到着。お世辞かもしれないが「You are strong!」とチームの皆んなが褒めてくれた。
Horombo Hutsは下山する人の大半も一泊するところなので小屋数も登山客も多く賑やか。比較的新しい部屋に案内された。またも貸切。昨日と同じく手と顔を洗って1630からお茶の時間。1800から夕食と健康チェック。未だ全く体調は問題無い。
夜は思わず息を呑むほどの満天の星空。幸せだ。

2023年1月1日
0600 Horombo Huts
起床。快晴。0620穏やかな初日の出。家族や自身の安寧と健康を誓うがまずは無事登頂だ。そういえば夜中にポーター達が歌ったり騒いだりで新年を祝っていたのをボンヤリ聴いていた。
今日は高度順応日。近場にハイクをしたりして体を高所に慣らす。順応日を跳ばすことも考えられたが確実に登頂するのが大目的なので迷いはなかった。
のんびり0930ハイク開始。

1040 Zebra Rock
文字通り縞々模様の岩。雨水や地下水に溶け出したミネラルが岩に模様をつけたそうだ。他のチームもちらほら来ている。Zebra Rockの脇トレイルからさらに登る。登り切ると正面にキボ峰がドーン。振り返れば荒々しいマウエンジ峰が圧巻。火山では阿蘇や雌阿寒岳の風景もすごいがスケールが違いすぎる。岩に座ってしばし見とれる。

1150 Horombo Huts
戻って1300昼食。パニーニみたいなパンと豆のトマト煮込みが美味しい。昼寝したり、不安定に繋がるスマホでSNSなどしてダラダラ過ごす。実はキャンプ毎にWi-Fiがあるのだけれど、現地の人のは簡単に繋がり僕ら外国人のは(特にiPhone?)繋がらなかった。Adamもあれこれ設定してくれたがダメだった。こういうのに詳しい方、解決お願いします。

初日の出登頂を果たした人が続々と降りてきてキャンプはますます賑やか。
家族で登った現地駐在の日本人ご夫婦、ヨーロッパからのツアーやカップル。「山頂で書き初めをしようとしたけどみんな凍ってダメでした(笑)」と話してたソロの日本人女性は面白かったな。
僕の部屋にも3人の中国の若者がチェックイン。6人グループで登ったという。数日前に山頂付近で膝くらいまでの雪が降り今もところどころ吹き溜まっている、でもアイゼンは要らないと思う、など教えてもらった。
1800夕食&健康チェック。

食堂棟から部屋に戻る時、麓からの風が吹き始めていた。
この頃は気にも留めなかったが…


④Horombo HutsからKibo Hutsへ。
1月2日 晴れ
夜になり風はますます強くなった。小屋が揺さぶられる。ポーター達が騒いでる声がする。テントのグループは大変だろう。
夜中にトイレに行ったら煽られるは目は開けられないわ、とにかく酷い風。トイレのトタン屋根は吹き飛んでるし床は砂まみれ。ただ同じようなことは日本で経験している。耳栓をしてまた寝る。心配しても天気は変わらない。

0600 Mandara Huts
起床。風は相変わらず。部屋の中まで砂埃っぽい。同室の彼らは下りるために出て行った。洗面と身支度を終え0730 朝食。食堂棟のガラスが割れている。
今日も食欲体調とも問題なし。ついでにお通じも快調。Good luckから水分をたくさん摂れと言われていたので、こまめに一日2L以上飲むようにしているのが良いのかも。

0915 出発
「時々こんな風が吹く。けど今のはちょっと酷いね」とGood luck。皆んなバンダナで顔を覆っている。が、歩くのに支障はない。
Mandara Huts付近から木はほとんど無くなり、乾いた大地に草がまばらに生えるだけになっている。第4の植生帯、岩石砂漠帯。1015 Last Water Point、最後の水場でトイレ休憩。風が強く少し肌寒いので着増しする。

1130 Rest point
もう草も疎な荒涼とした大地の一本道。まるで火星のようだ(行ったことないけど)
ポツンと立てられた東屋でお弁当タイム。追いついてきたAdamはじめチームの皆んなと談笑。お湯をテルモスに足してもらいスポーツドリンクを作る。夏でも冷たいのが苦手なのでやはりこれが正解だった。

1345 Kibo Huts(4,720m)歩行距離約10km
着いた。単調な景色のせいか長く感じた。もう人生未知の高さだ。
少し頭が重い。呼吸に意識を向ける。行動はゆっくり。荷物の上げ下ろしだけで息が荒くなる。写真を撮るのに一瞬息を止めるとクラクラする。
部屋に入るとたまらず座り込んで深呼吸。Adamが洗面のお湯を持ってきてくれたが彼もなんだか元気がない。そういえば他のグループはどうしたのだろう。Horomboではもっといると思ったのだが (あとで知ったが強風で登るのを断念したグループも少なからずあったらしい。ガイドはじめ人それぞれの判断だからなんとも言えない)。
荒い息で荷を解き、おなじみポップコーンとミロ(向こうの発音は「マイロ」)でお茶。あまり美味しくない。なんだか眠くなって寝袋に潜り込んだ。1700夕食だから少し寝ておくか…とこれがよくなかった。

1630
目が覚めた。頭が痛い。起き上がったけど吐き気がする。寒気もしたのでもう一枚ウールのインナーを着増しする。着いてすぐ寝たのがいけなかった。少し散歩などして体を慣らすべきだった。
しばらくしてAdamが夕食を持ってきてくれたが全く食欲がない。無理してでも食べろと言うがダメだ。お粥に日本から持って行ったゆかり、インスタント味噌汁、そしてこういう時のためのエネルギーゼリーを時間をかけて無理に流し込む。
チームの皆んなが心配して部屋に来て励ましたり世話してくれた。シェフさんもジンジャーティーを作ってくれた。Good luckが今からでも遅くないからしっかり飲んで散歩してこいと言う。Adamが付き添ってくれてゆっくりゆっくりキャンプの周りを歩く。小一時間そうしているとだいぶ気分も体調もマシになった。ありがとう皆んな。

部屋に戻って荷物の整理。また戻ってくるので、水筒、行動食、カメラとスマホ、救急セット等、持ち物は最低限にしてあとは置いていく。持ってきた服は全部着込む。そして迷ったがダイアモックス(高山病治療薬)を服用。できれば使いたくなかったがこだわりは捨てよう。今服まなくていつ服むんだ。

1900
就寝。風もだいぶおさまったし気分も良くなってきた。数時間後に再び起きたら出発だ。もう登るしかない!頑張れ、オレ!


⑤Kibo Huts〜Uhuru Peak〜Horombo Huts
1月3日 曇りのち晴れ
0005 Kibo Huts
身支度して少しお粥を食べ出発!Good luckとAdamが付いてくれて頼もしい。今までよりは勾配がついた砂礫の道を一歩一歩踏みしめるように歩く。前に一組、振り返ると後方に三組。まとまった数個の灯りが見える。同じ高みを目指す仲間。月が雲から出たり隠れたり。上は風が強そうだ。皆んな口数は少ない。深い呼吸だけが聞こえる。
途中何度か休憩を取る。止まると途端に寒くなるので僕は立ったまま体を動かす。二人は座ってじっとしてるけど寒くないのか?(寒いより眠かったそうです)
ますます空気は薄くなっていく気がする。相変わらず頭も重くてしんどいが前に進むしかない。

ヘッドライトだけの視界。雪が出てきた。岩が凍りついてキラキラしてる。ジャケットも強張ってパリパリ。手がかじかんできてグーパーを繰り返す。
急斜面を何度ジグザグに登っただろう。下界ではなんてことない数十センチの段差にいちいち気合がいる。ゆっくり、でも力を振り絞って体を持ち上げる。2、3回大きく肩で息をする。そんな動作を何度も繰り返す。まだかよ!もう勘弁してくれ…

突然、頭上が開けた気配がした。風が吹き付けてきた。

0540 Gilman's Point(5,685m)
目の前に標識。火口縁に着いたのだ。Good luck、Adamが祝福してくれる。ここまでの苦しさを思うと涙が出そう。ここまでくれば登頂と認められるそうだがもちろん最高地点まで行く。空も明るくなってもうすぐ陽が昇る。進もう。

数日前に降った雪がところどころ吹き溜まっている。片方が切れ落ち滑ったら火口へ一直線、という際どいところもあったがGood luckのリードで難なく通過。少々のアップダウンも登ってきた苦しさに比べたらなんてことはない。ゆっくりだが着実に調子が上がり、途中何組かパスさせてもらう。

0630 Stella Point(5,756m)
日の出。凍りついた斜面が朝日に染まりオレンジ色の世界。ウーン素晴らしき世界。離れたところには氷河も見える。氷河というより氷山のようだ。マウエンジ峰(5,149m)がずっと下に見える。標識の周りに人が集まっている。マチャメルートとの合流地点Stella Pointだ。あともう少し。

0735 Uhuru Peak(5,895m)
緩やかな斜面を登っていくと広場のようなところに出た。もう高いところは無い。写真で見覚えのある標識が立っている。Good luckがさあ行けと道を譲ってくれた。よろよろと近づいてそれに抱きついた。「Uhuru Peak」
僕はキリマンジャロに立った。

Good luck、Adamとハグし記念撮影。景色もあちこち写真に収めた。一通り儀式が終わりホッとしたら涙が溢れてきた。また一つ夢を叶えた。幸せだ。手前味噌だが今まで色んな努力をしてきたつもりだ。それが形になるのは本当に幸せだ。皆んなみんなありがとう。
遥かな大陸の大きな山の頂。凍てついた白い大地と真っ青な空。僕はこの光景を一生忘れないだろう。0800下山開始。

0900 Gilman's Point
登ってきたのとは別のルートで下山。集中力を切らさないように慎重に岩場を下りる。途中から、富士山の「砂走り」のようになり、細かい砂礫の斜面を一気に駆け下りていく。調子に乗っていると息が上がるのでそこは休憩が必要。そういえば頭痛が治ってる。
途中、祠のような穴が開いている大きな岩を見る。西洋人としてキリマンジャロに初登頂したハンス・メイヤーが泊まった穴だそうでレリーフが埋め込まれている。
砂走りが終わってKibo Hutsが見えてきたあたりの岩陰で休憩。Good luckも追いついてきたけど今度はなかなか立ち上がらない。疲れているのか「もう先に行っていいよ」と言うので下りる。途中まで残りのスタッフが迎えにきてくれていた。口々に祝福してくれて彼らも嬉しそうだ。そのうちGood luckも追いついて皆で仲良く 1040 Kibo Hutsへ帰還。もう一度ハグや握手をして登頂を祝った。

部屋に戻って一気に疲れが押し寄せた。達成感より疲労感が上回っている(笑)暖かい飲み物とエネルギーゼリーを摂り、15分くらい経って動けるようになった。軽く食事も摂って荷物を片付け1300出発。高所に長く留まらない方がいいのだろう。

下っていくにつれどんどん元気になっていく。空気が濃いって素晴らしい。けど同時に暑くもなってきて一枚一枚脱いでいく。日差しは相変わらず強烈だ。(結局日焼け止めを塗ったのにもかかわらず鼻が真っ赤になってしまった…)

1530 Horombo Huts
着いた。長い一日だった。マジでマジで疲れました。
食堂で、みんなから「登ったのかスゴいな!おめでとう!」と祝ってもらいいい気持ちになる。食欲はまだ戻らないけど一晩よく寝たら回復するだろう。濃く長い一日が終わった。1900就寝。一瞬で落ちた。


⑥Horombo Huts〜Marangu gate
1月4日 晴れ時々霧雨
0600 Horombo Huts
起床。キボ峰が朝日に染まる。昨日あそこに立っていたのか…夢のようだ。
0630 早めの朝食。体調も食欲も回復、モリモリ食べる。荷造りして0730出発。

雲が流れてきて霧雨が降ってくる。すぐ止むので構わない、スタスタ進む。
一時間余り進んだところで問題発生。写真を撮ろうとポケットに手を…スマホが無い⁈ アッと思った。ジャケットを着る時部屋の窓辺に一旦置いてそのままだ〜(涙)
Good luckとAdamに事情を説明。OK!と言うが早いかAdamが駆け足で戻って行った。「大丈夫、すぐ見つかるよ(笑)」とGood luck。ごめんAdam。
小一時間岩陰で待つ。Good luckが顔を上げた「ほら、戻ってきたぞ」。見るとAdamが駆けて来る。速!3,000mの高さなのに…これが彼らの底力か。少し息を弾ませて笑ってスマホを差し出した彼が頼もしい。ありがとうAdam!

1040 Mandara Huts
大休止。暑い。ウェアリングを夏仕様にする。
出発する時Good luckが「Masaki、スマホあるか〜?」とニヤニヤしながら聞いてくる。これには2つのネタがあってもちろん1つはさっきのミス。もう1つは登りのHorombo Hutsで持ちきりだった話題。それはその日、Rest pointでスペインの女の子がトイレにスマホを落っことしてしまい、しかも穴?の底から音楽が鳴り続けてた「Club Toilet」というシュールな笑い話だ。全てが楽しい思い出。

途中、Good luckがAdamに色々レクチャーしている。Adamもプロガイドを目指しているので色々教えてもらっているのだ。必ずや素晴らしいガイドになるだろう。

1230 Marangu gate
5日前通ったゲートが見えてきた。ゆっくりくぐってトレッキング終了。ああ終わってしまった…
緑が濃い。空気も濃い。子供たちが遊んでいる。当たり前の世界が少し違って見えた。

Good luckが下山届けを出して迎えの車を待つ間に昼食。片付けをしているスタッフたちを見ていると登頂の達成感と下山の安堵感そして寂しさが次々にこみ上げてくる。1330迎えの車に皆んなで乗り込む。車が動き出しMarangu gateが遠のいて行く。
僕のキリマンジャロは終わった。

Arushaのホテルに戻る。Keikoさんが出迎えてくれた。
いよいよ彼らとお別れ。ロビーで一人ひとり握手とハグをして感謝を伝えた。
身の回りのことを親身になって世話してくれたAdam、鶏料理が得意で「トリトリシェフ」としか呼ばれないので名前を覚えられなかった優しいシェフさん、ほとんど話せなかったけど黙々と荷物を運んでくれたポーターの若者二人、そして大きくて優しくて頼もしいGood luck。本当にお世話になりました。君たちのおかげで登ることができました。
最後は笑って別れようと決めていたがやはり少し泣いた。

皆んなの乗った車がゆっくりエントランスを出て雑踏に消えていった。僕は一人見送った。

不意に声をかけられて我に返る。
「ハイ!帽子要らないか⁈」
ギラギラとした世界に僕は帰る。


⑦エピローグ
1月5日 曇りのち晴れ
0700 Arusha Venus premier hotel
起床。サファリツアーへ行く。朝食後ドライバー兼ガイドのOlacx(オランって感じ)が迎えに来る。ドレッドヘアーのクールガイだ。昨日の帰り道も運転してくれていた。僕がコーラが好きだと言うのをちゃんと聞いていて車に用意してくれていた。
でっかいランクルに僕1人。なんだか申し訳ない。カオスなArushaを抜け、車はサバンナの一本道を西へ。

2時間ほど走ってTarangire National Park。公園の広さは神奈川県と同じくらい。ゾウが多く生息しているそうだ。イミグレーションで手続きをしていよいよ動物の保護区内に入る。
今、タンザニアは雨季が始まった時期。なので草木がちょうど芽吹いて、動物たちが活発になり始めた。乾季はカラッカラで緑が無いし動物も余裕が無い。雨季のピークは地面がドロドロで移動が大変そうだ。ちょうど良い季節に来たのかもしれない。
いきなり最初の水辺で象の群れがいた。仔ゾウがかわいい。これ「野良象」なのよね?
それからは一日中陽が傾くまで彼方此方にOlacxが連れて行ってくれた。
優雅に歩くのっぽのキリン。メスを取り合うインパラ。イボイノシシ、マングースにジャッカル。色んなサルやカラフルな鳥たち。そして厳ついライオンや全身バネのようなアスリート、チーター。何処までも拡がる平原とそこに棲む動物たちに大興奮。

晩は公園内のロッジ「Tarangire Safari Lodge」
部屋はグランピング仕様のしっかりしたテント。ポーターが「ゾウが来ることがありますがその時は絶対に部屋から出ないでください」と淡々と説明してくれたが内容はぶっ飛んでてヤバい(笑)部屋の周りを散歩したら確かにゾウの落とし物多数…
食事も美味くて動物や鳥の声を子守唄がわりに素晴らしい夜だった。

1月6日 晴れのち小雨
0600 Tarangire Safari Lodge
彼方の丘から陽が昇る。部屋の周りに鳥たちが遊びに来る。
Olacxには遅めの迎えをお願いしておいた。
のんびり朝食、そして部屋の前で寛ぐ。眼下には散歩するゾウの群れ。最高だ。
0900ロッジをチェックアウト。予約が取りにくいのも納得の素晴らしい宿だった。
昨日と同じくサファリを楽しんで、1300ArushaのCultural Heritage Centreで昼食。
1600頃ホテルに帰った。

1月7日 晴れ
0700 Arusha Venus premier hotel
帰国の日。一度は旅先でランニングをしようとロビーに下りたが、フロントに危ないから止めておけと言われた。治安ではなく車やバイクがヤバいとのこと。うん確かに。お気楽日本人は一撃で跳ね飛ばされそうだ。幸運にもホテルにジムがありトレッドミルでちょっとだけ走れた。

荷物を片付けていった。空いたスーツケースにほとんどの荷物を詰め込んだ。実はスーツケースの1/3は要らなくなった服。これはKeikoさんに渡す。現地で喜ばれると聞いていたのでGood luckたちでシェアしてもらう為にもってきたものだ。キリマンジャロで「〇〇マラソン」と書かれたTシャツを見かけたら、それは僕の置き土産かもしれない。

1100 ホテルをチェックアウト。Olacxが近所の綺麗なスーパーマーケットに連れて行ってくれる。お土産を買おうと思ったが日本で売ってるものとほぼ同じだったので買わず。ただ量り売りのドライフルーツが安かったので大量購入。それからコーヒープランテーション内にある「Arusha Coffee Lodge by Elewana」。とても綺麗な屋外レストランやカフェがあり、機織りやガラス吹き体験もできるお洒落スポット。海外からのVIPも滞在するらしい。そこでKeikoさんと合流して昼食。味もサービスもこの上無し。色々お話しして今回の旅のお礼を伝えた。

1400 Keikoさんに見送られ空港へ。2時間弱のドライブだ。不覚にもウトウト寝てしまい気がつくと空港間近。
空港のエントランス。Olacxが車から荷物を下ろしてくれる。彼にも世話になった。サファリを優しくユーモアを交えて案内してくれたこと。ド平原を一目眺めてチーターを見つけたその視力、5.0はあるに違いない。忘れないよ。彼とも握手とハグしてサヨナラだ。

1815 僕の乗った飛行機はゆっくり動き出した。
キリマンジャロはもう見えなかった。

終わり

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コメント

体験談というか日記でもなくレポでもなく、綺麗な小説を読んでいるようで感動しました。
その場所の景色、色、匂いまで感じそうな文章力、表現力にただただ感動のため息でした。
kibo Hutsに着いたあと体調悪化された時など少しドキドキしながら読みました!
しかし無事登頂された場面などこちらも嬉しくなりました!
もし自分ならとか置き換えて読んでました。
Gilman's Pointの標識に着いて登頂が認められるポイントに着いても最高地点まで進まれた所もカッコよかったです!
スマホの件もとても面白く読ませていただきました。
自分が1番好きなところは下山されて5日前に通ったゲートが見え、夢の冒険が終わりに近づき、「緑が濃い。空気も濃い。子供たちが遊んでいる。当たり前の世界が少し違って見えた。」のところ…もう最高です😭

すいません💦 勝手に読んで勝手に感動して勝手に長文の感想書いてしまいました💦
ファンの1人のような気持ちになり書いてしまっただけなので、お忙しいと思いますのでスルーされて全く構いませんので😅

楽しく感動のお話しありがとうございました♪
2023/3/12 8:40
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1
mamesiさん
コメントありがとうございます。

文章は概ね、帰りの機内で書きました。
非常に思い出深い旅でしたので、記憶の鮮明なうち興奮冷めやらぬうちに書いておいてよかったです。
かなり気持ちが入ってしまいましたが、偽りの無い、感じたままの自分がここにあります。

拙い文章ですが喜んでいただいて本当に光栄です!
2023/3/13 13:55
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