神室山 秋色の稜線 小又山まで
toppe1969
体力度について
- GPS
- 09:12
- 距離
- 22.1km
- 登り
- 1,921m
- 下り
- 1,911m
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標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 8:17
- 休憩
- 0:55
- 合計
- 9:12
5:35 神室山西ノ又コース登山口
5:39 西ノ又川第1渡渉点
5:49 西ノ又川第2渡渉点
6:19 西ノ又川第3渡渉点
6:22 三十三尋の滝
6:32 神室山 不動明王
6:36 神室山 胸突八丁坂
7:14 神室山 御田の神
7:31 神室山前神室山分岐
7:46 神室山山頂
8:50 天狗森
9:37 小又山
11:55 神室山山頂
12:21 レリーフピーク
12:27 神室山 有屋口分岐
12:51 神室山 水晶森分岐
12:55 前神室山
13:14 第三ピーク
13:37 第二ピーク
13:45 神室山 パノラマコース第一ピーク
14:15 神室山 パノラマコースいっぷく平
| 天候 | 快晴 微風 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2014年10月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
1時間半もあれば到着できた。 |
| コース状況／ 危険箇所等 |
・西ノ沢沿いは崩落個所あり注意。渡河時は非常に滑りやすい岩がある。 ・稜線上は踏みぬきやすいところも多い。 ・小又山までのピストン、アップダウンが非常に多い。意識する以上に体力が奪われる。 |
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感想
皆既月食を終えた満月が雲のない空に本来の明るさを見せている時間、はやる気持ちを抑えつつも深夜か早朝かという時刻に出発する。明るくなったと同時に登り始めたい・・・。秋の日は短い、今日のコースは体力と時間を冷静に判断する必要があると感じていた。迷わず高速に乗る。途中の気温表示は6度から3度を指している。
愛車は14年前の軽バン、走行距離は13万キロに迫り修理していない箇所を探す方が大変なくらいだ。数日前にはゴムが劣化し抜けやすくなったプラグコードをネットで購入し交換した。交換前のものがよほど劣化していたのか、交換後は見違える走りで、アクセルも以前より心持ち踏み込みが少なくて済む。軽バンのスピードメーターは120km／hまで刻んであるが「そんなに出ないでしょ」と無駄な範囲があると感じていたが、高速ではふと気がつくと120km／hに迫ることしばしば。初めてのことに何度もアクセルを緩める。スピードに車体の他の部分が耐えられるかが不安になる。おかげで、高速を降り、例の鳥居をくぐって登山口に着いた時にはまだ真っ暗、もう1時間寝てても大丈夫だった。
5時過ぎにはうっすら周囲が確認できるようになり、準備が終わった頃には十分足下も見える明るさになった。風はないが薄手のフリースを着てもなお寒い。歩けば暖かくなると、すぐに出発する。平日単独ということもあり、熊よけの鈴を初めて使う。稜線あたりまで来たら磁石で鳴らないようにできるコールマンの優れもの。不要な時には鳴らさないほうが自然に溶け込みやすい。
西ノ又沿いに進み、何度か渡河する。同じ濡れた岩でも特に滑りやすいのがあり気を遣う。今日は8時間から9時間の山行になると予想、計画的な休憩でエネルギー・水分補給が重要、1時間1回は休憩をすることとしていた。そろそろ不動明王かと思ったが1時間を経過しても到着せず、区切りの悪さを感じつつも西ノ又沢と周囲の山肌が見えるところで休憩した。紅葉が美しい。ここでフリースを脱ぎ出発、すぐのコーナーを過ぎるとそこが不動明王だった。不動明王を過ぎると胸突き八丁にさしかかる。遠慮のない尾根の直登が続くが、まだ体力のある時間、順調に進む。
胸突き八丁を登り切りると視界が開ける。御田の神だ。快晴で微風、ぽかぽかと心地よい散歩コースだ。開けた草紅葉の平原はメルヘンチックでもあり、駒ヶ岳にムーミンがいるのなら、ここにもムーミンがいてもいいんじゃないかなと思ってしまう。ムーミンの世界と稜線を分ける窓をくぐると、いよいよ神室の山並みが見える。
そろそろ1時間経過しているので休憩を挟む。目指す小又山も山頂が確認できる。虎毛や高松、遠く焼石も見えるようだ。進み始めるとすぐに前神室山への分岐に着く。案内板があり「西ノ又沢コースの吊り橋が傾いて危険、通行止め」とある。登山口に立てて置いてもらえるとありがたい標識であるが、問題なく通過してきた。
さて神室山山頂を目指す。やせ尾根を過ぎ、ひと登りで山頂に到着する。秋色のすばらしい眺望がひらけている。前神室山もどっしりとかまえ、鳥海山、月山を見渡す。その間には雲海が広がり、ピラミダルな火打岳が見えると、目指す小又山が目に入る。まだまだ遙か遠く、アップダウンも多いようだ。虎毛山には山頂の山小屋らしきものも見える。高松岳の先には焼石岳も望める。すばらしい景色だ。天気に恵まれたことを感謝せずにはいられない。無事下山できることを山頂で祈り、根ノ��口分岐方面へ歩を進める。
やや急な斜面を下り、間もなく根ノ��口分岐に到着する。秋に彩られた山肌が美しく続く。天狗森から小又山への稜線を見つめる。美しいが遙か彼方だ。時間的には十分と思うが、戻りの時間も考慮し、体力と相談しながら行くことを改めて言い聞かせる。分岐からは急な下りが容赦なく続く。戻りで登り返す体力だけでなく、神室山から下りきる体力と時間を残しておかなければ行けない。しかし、東北のアルプスの稜線は秋の彩りの魅力を加えて小又山に誘う。
アップダウンは想像より急で多い、景色を眺めながら休み休み進む。山形県側には雲海が広がるが、秋田県側には雲海がない。神室山には過去に一度だけ登ったことがあり、その時も山形県側だけ雲海がかかっていた。真室川の影響だろうか。
鞍部から登り返し天狗森山頂に着く。標識はなく登山道からそれた踏み後を辿ると三角点があった。戻って遠景を楽しむ。ビュースポットよろしく小さな広場のようになっている。少し遠くに、紅葉の根ノ��口分岐までの斜面が鞍部を挟んでそびえ立っている。反対側には小又山への登りが鞍部を挟み同じくらいの傾斜を見せているが、近づいた。もう小又山に行かないという選択肢は無くなっていた。それにしても天気がいい、風も穏やかで心地よく、ここで上着を脱ぎシャツ一枚になる。今朝の寒さからは想像もしなかったので仕方ないが、短パンを持ってこなかったことを少し残念に思うほどである。小又山へ進むがここでもやはり一旦下りが必要になるが仕方がない。その後の登りをゆっくりと進む。振り返ると神室山が遠い。進んでは景色をみて、景色を見ては進む。そのうち上を見ると空が広くなってきた、山頂が近い。
山頂の標識が見えた、神室連峰最高峰、小又山に到着。標識に触れ感慨にふける。存分に遠景を楽しむ。神室山は遙か彼方だ。鳥海山も月山も見える。月山の隣は葉山だろうか。ピラミダルな火打岳も近い、神室山から小又山の距離感と同じように感じる。戻らなくて済むのであればそのまま進んでしまいたいが、そうもいかない。普段、自分の写真は撮らないのだが、今回はセルフタイマーで撮ってみた、何となくそんな気になった。座ってゆっくり景色を堪能する。秋色の景色がどこまでも続く。静かだ。日差しは柔らかな秋仕様で、風は本当の心地よさを知っている。久々に山頂でゆっくりと時間を過ごした。本当に来て良かったと感じる。
さて、そうは言っても戻らねばならない。そう、まだ全体の行程の半分に過ぎないのだ。しかも神室山までは、どうも下山のイメージが湧かない。覚悟を決めて神室山を目指す。ゆっくり休んだせいか足腰は意外と言うことを聞いてくれている。来る途中何度も振り返ってはいたが、進む方向が違うと景色も違って見え新鮮である。日差しも変わり稜線沿いのブナの黄葉の色も一段を美しく見える。登り返しではついつい足下を見てしまうが、一足早く落葉した足下の葉は、歩くたびにしゃわしゃわ、しゃくしゃくと乾いた音を聞かせる。景色を見て、足下の音を聞き、立ち止まってはまた進み、なんとか神室山まで戻ることができた。
神室山の山頂には今朝はいなかった数人の登山者がいる。金山町からこられたという男性としばし歓談する。その方の父親は熊打ちをしていたことがあり、冬季の神室山地を野宿して回ったこと、根ノ崎口より東の斜面は熊が多いこと、台山周辺はマイタケが豊富なこと、マイタケ採りする人は人に知られないように単独でしかも鳴り物を使わず分け入るので熊に遭遇しやすいこと等など・・・今日の良き日を分かち合い、ここでもまたゆっくりと腰を下ろして過ごすことになる。山形側にあった雲海はいつの間にか消えていた。
小又山まで往復してきたことを告げると目を丸くして驚かれている。そんなに歩けるなら、せっかくだからと下山ルートは前神室山経由を勧められる。悠然と構える前神室山の、なかなかの斜面が見て取れ、疲労感が即答を妨げる。少々の間を待たずに男性が、東北のアルプスの稜線歩きを更に堪能できるからと笑顔で勧める。ガイドブックに、どちらのコースも時間は変わらないとあったのを思い出し、挨拶をして前神室岳に向かう。
西ノ又沢の分岐を過ぎレリーフを写真に収める。なるほどこの稜線沿いからの景色も美しい。秋色の谷の先にムーミンの広場が見える。神室山も遠くなったが、山頂の人影はわかる。あの男性が他の登山者へも神室の魅力を拡散しているだろう。
鞍部に差し掛かる。水晶森への分岐を過ぎるあたりから前神室山への登りが続く。根ノ��口分岐の登り返しほどでは確かにないが、疲労が蓄積した足腰にはペースを落とすには十分な傾斜だ。それでも一歩でも足を出せば進む、空が開け間もなく山頂に辿り着く。雄勝の気色が広がる。稜線歩きと気色を存分に堪能した、心地よい疲労感と満足感に浸り、しばし風景を楽しむ。
さて、これからがようやく今日の山行の「下山」と言える部分になる。2時間まではかからないはずだ、夕方と呼ばれる時間の前には十分到着できるだろう。靴が足に合わないのか毎回爪が黒くなる。靴ひもを締め直して前神室山を後にする。
パノラマコースへ進むとすぐに下り始めるが、その先は尾根歩きがどこまでも続き、いつの間にか風景はブナの黄葉のトンネルを行くようになる。これもまた素敵だ。
そろそろピークに達している疲労感は、この長い尾根歩きの中で私に度々休憩を促した。なかなか高度が下がらないどころか時には登坂まで用意され、辿り着いた先は第3ピーク。この先まだピークを二つも用意してくれているようだ。少しでも進めばいずれ到着すると言い聞かせて歩を進める。期待を裏切らず第2と第1のピークが用意されているが、その先第0ピークと呼びたくなるところまである。そこを過ぎるとようやく高度を下げることが許され、ざんげ坂にさしかかる。
ざんげしなければいけないことは沢山あるが、今は下山が先だ。両足の大腿四頭筋の限界値を考えるようになるが、考えたところで仕方がない、下る。疲労感から判断が鈍る、相当下ったつもりで周囲を見ても、なお高度感たっぷりな風景は更に疲労感をあおり、登山口まで2.4kmの標識には目眩すら覚える。
直線的な下りはどこまでも続いている。何度も立ち止まり、木に片手をついてうつむき加減に休憩する。少し先にある木を目指し、その木に片手をついては休憩する。登山前、1時間ごとに休憩をはさむという計画は今、10mごとの休憩に変更されている。それでも標高が下がったのか、いつの間にか大きくなったブナに片手をついて休憩する私の姿はきっと反省ザルだ。残り1kmの標識を見る、100mを10回分と思えば少し前に進める。ここで残り250cc程の水を全て飲み干す。
どこまでも直線的な下りの景色がいつの間にか杉の植林地に変えていることを、反省ザルポーズで木に手をついたその感触で初めて気がつく始末だ。ようやく登山口が近いことを感じさせるがまだ見えない。何度も立ち止まり、何本もの杉の木に手を付き、何か所もの杉の根に腰を下ろしては立ち上がり、気が遠くなりそうになった時、直線的な下りは、ふと右に折れる。傾斜は緩くなり、斜面に沿う道を行くようになると、反省ザルのポーズは不要になった。間もなく白い軽バンが目に入り安堵感に包まれる。
山行の充実感に浸りながら汗をぬぐい、全ての衣類を交換して帰路の準備をする。忘れ物はないか周囲を見てるうちに、不意に悪寒が走り、頭痛がする。寝不足と疲労だろう、今日は少々無理をした、ゆっくり休もうと考えた時、ガタガタと体が震えるほどの悪寒と嘔気と便意に襲われる。寒いのに汗が流れる。自分に何が起きているのかわからないが疲れた頭で出した結論は「あべわりぃ（具合が悪い）・・・」。
カロリーは十分摂取したはずだ、塩分は水以外の口にしたものすべてに含まれている。水分・・・口渇感はないが、脱水症状だろうか。ゆっくり慎重に車を運転する。意外とすぐ近くに集落があり、なぜか農家の玄関先に自動販売機がポツンとあったことを思い出す、あった。コインを入れ迷わずスポーツ飲料のボタンを押す。取り出し口に手を入れると蜘蛛の巣がはっているが気にしていられない、ましてや賞味期限を確認する思考もなく、ふたを開けすぐ飲み干す。
5分ほどで体調の悪さは引き、帰路、もう1本スポーツ飲料を飲み干すと、ようやく今体調が回復したと実感する。
無事に帰ることができたが、ぎりぎりだったと思う。意識して水分摂取もしていたが、結果的には足りなかったということだ。脱水じゃなくても、血中濃度のバランスが悪い状態でも熱中症にはなる。
悪寒がして全身ガクガクするまで自覚もなかった。初めての経験に下界でも反省ザルになっている。
こっそり拍手
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iga_1966 さん
こんばんは
小又山まで往復されましたね。
そうなんですよね・・・・神室山〜小又山間は意外とアップダウンがあって体力を消耗しますよね。
写真で拝見すると私が歩いた2週間前よりだいぶ山々の色が濃くなってきたように感じますね。
お帰りは前神室山経由のパノラマコースでしたか。
ザンゲ坂からの下りは登りより疲れますよね(笑)
みちのくのアルプスのロングコース・・・・
ご苦労さまでした。
７５０ＲＳさん、こんにちは。
７５０ＲＳさんのレコを参考にさせていただきながら行ってきました
だいぶ色づいてきて秋らしい稜線歩きを堪能することができました。
同日お会いした方々も、皆さん非常に良い表情をされていました
アップダウンも多く本当に体力は消耗しましたね。
でも神室の魅力にまたとりつかれたような気がします
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