白山・百四丈滝、青氷の滝壺に立つ
- GPS
- 15:00
- 距離
- 21.8km
- 登り
- 2,013m
- 下り
- 1,999m
コースタイム
- 山行
- 4:44
- 休憩
- 0:12
- 合計
- 4:56
- 山行
- 6:53
- 休憩
- 2:08
- 合計
- 9:01
天候 | 2日とも快晴 2日目は風がそれなりに吹いていた |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
ゲレンデトップ〜しかり場 特記事項なし。 しかり場〜奥長倉 雪庇により寄り過ぎると危ない。特にしかり場直後のやつがちょっときわどいような。 奥長倉〜美女坂の頭 2年前はアイゼンの刺さりにくい氷雪斜面で大変怖かったが今年は階段状のトレースになっており恐怖は感じなかった 美女平 景色と強風を堪能タイム 降下地点〜滝壺 こちらも階段状のトレースで怖くはなかったが、それなりの傾斜だしいかんせん休める平らなところがない。ザックを下ろしてカメラをごそごそしたりできるのは本当に滝壺直下だけ。携帯やグローブを落としたりしたら回収は困難だろう。 ※降下開始地点は三角点2047を少し過ぎたあたり、初めて滝が見えてくるあたりでP2138(天池)まで登ると行きすぎ。 |
その他周辺情報 | 一里野温泉、中宮温泉ともに導水管の破断で休業中らしい 最寄りは瀬女の「ヒメの湯」だと思われる |
写真
感想
2年前、6時間のドライブ後+睡眠時間ゼロ+真夜中2時半スタート+14時間行動でボロ雑巾のようになった百四丈滝だが、そのようなザマだったので結局滝壺への降下まではできていなかったのが心残りだった。結局のところ、あれは睡眠時間ゼロがよくなかったのはもちろんだが、日帰りなのか泊なのかも中途半端に挑んでいたのがよくなかったのではないか……という結論に達した。そこで今回は件の長野県民に声をかけて余裕を持った1泊2日プランで臨むことにした。
<2023/03/11>
大阪を出発するのがなんだかんだで日が変わるくらいになり、現地到着が4時半くらい。とりあえずゴンドラ開始まで3時間ほどの仮眠をとることに成功。目覚めると一里野は冬とは思えぬ陽気に包まれており、スキーヤーボーダーに混じって登山者らしき人もちらほら。
2年前は月明かりの下ヘッデンでとぼとぼと1時間かけて歩いて稼いだ500mを今回はゴンドラでひとっ飛び。ここで脚力を温存できるのはかなりありがたいことだと思われる。7人という大所帯のPTが2つ、相次いで出発していった後で我々もスタート。今回はメインディッシュが明日になるので序盤は飛ばしすぎず脚力の温存を図る。檜倉までは7人PTの後ろについて、檜倉からは先行したがあまり離れすぎないように気をつけつつ進んだ。なお暑さは体感6月のそれでありすぐに袖まくり半袖で登ることとなった(そのせいで下山後日焼けがすごく温泉でも悶絶することに……今も唇がカサカサでひび割れまくり)。
しかり場から先がいよいよ本番。といっても雪庇に寄りすぎなければ危険ということもないのだが、アップダウンが出てくるのでそういった意味でもややしんどくなってくる。ただし写真のキャプションでも述べたが1個目の雪庇がなかなかに怪しかったのでそこは要注意と思われる。部分的な急登と平坦な区間を何度か繰り返し、口長倉への登りを終える。進む先には青空の下、白山(四塚山)が圧倒的な白さをギラギラと見せつけている。今年は少雪だの、今週は気温が爆上がりで雪崩の危険がマッハだのといろいろな話があったが白山のコンディションはバッチリ整っているようである。
奥長倉の鞍部からもなんどか急登と平坦を繰り返し、だいぶ前から見えているものの一向に近づかない奥長倉避難小屋のとんがり三角頭に到達したのが13時半。ゲレンデトップから5時間、時間的には2年前と同じだが序盤のゲレンデ登りをしてないことを差し引けばややゆったりくらいか。しかし前回は奥長倉避難小屋到着時点でバテバテだったのが、今日は比較的余裕を残している感じである。
この日の宿泊者の中ではわれわれが一番乗りだったが、30分もするとぞくぞく後続も到着し小屋の2階はほぼ埋まった。しかしなんとか全員が横になれる程度のスペースは確保でき、とりあえず水を作ってから一眠り。17時くらいに起きると小屋の中は大食事会場になっていた。われわれもいつもの「野菜餃子麺鍋」をこしらえ、どう考えても余計な荷物のビールを流し込み地下労働施設のカイジの気分を味わい、夕日が沈むのを眺めておセンチになったりしながら眠りについたのだった。
<2023/03/12>
小屋の中では午前3時に皆が一斉に起きてごそごそし出した。このくらいの時期・標高だと小屋の中は極寒であることが多かろうもんだが、小屋にいる分には2枚で十分な程度だった。小屋の外に出てもガタガタ震えるような寒さではなく、やはりそういった点ではかなり恵まれた気象条件のようである。午前4時20分頃奥長倉避難小屋を一番乗りで出発。奥長倉を乗り越えるとそこには動画投稿者PTのテントが張られていた。月明かりの下妖しく横たわる美女の登りに取りかかる。
ここは2年前、かなりの傾斜の斜面が氷雪化しておりアイゼンをガンガン蹴り込んでも全然刺さらずかなーりこわい思いをしたところだったが、一番急傾斜のところにさしかかっても階段状のはっきりしたトレースが刻まれている。おそらく気温が高くて緩んだところにステップが蹴り込まれる→夜中に凍るを繰り返して明瞭な階段ができたんだろう。拍子抜けにも思いながら、しかしそれでも真横に雪庇のクラックが走っていてぎょっとしたりもしながら進んでいく。登りきるとそこには未だ眠っている美女平の台地が広がっていた。
台地を歩いていると徐々に夜も白んでくる。降下地点を勘違いしており天池へのピークを(無駄に)登り、四塚山へのラインがはっきり見えるころにはもうヘッデンもいらなくなっていた。さて、どうやら降下地点を行き過ぎていたことに気づいた天池先の2080m鞍部でちょうど雪庇が途切れていたし、雪面もしっかり締まっていそうなのでそこからトラバースしつつ修正する。しばらく片斜面をトラバースし(今から思えばそれなりに危険なことをしていた気がする)、小尾根を乗り越えると正規の地点から降りてくる山岳会PTが見えたので一安心。PTの方へ進んでいくとここで初めて百四丈滝が姿を現した。PTと合流し結構な傾斜の斜面を下っていくと徐々に滝が姿を現してくる。記憶の中にある2年前より大きいように思われる。確認したいところだが、いかんせんザックを下ろして休めるような平らなところがなく、万一手が滑って携帯を落とそうものならそのまま谷底までボッシュートされ尾添川の藻屑と消えるのは確実なので写真をおそるおそる撮影するだけにとどめて接近していく。最後に枝沢を慎重に横断し、わずかな区間だが完全に凍った斜面を通ると滝の直下にたどり着いた。台地から降下を初めてからというもの、直下まで来てようやくザックを下ろして撮影する余裕のある安寧の地が与えられる、スパルタな滝であった。間近に眺める氷柱は驚くほど青く、氷壺に登ってみると内部は底の見えぬ地獄の釜……冷凍庫であり、水流が風に吹かれてよろめくので雨が降っているようだった。2年前は疲労困憊で稜線から眺めて満足したことにしておいたこの滝だが、やはり直下まで降りてくると全然違うものだなぁ……としみじみしてしまった。
さて、ここで終わってどこでもドアで麓に出られたらいいのだが、残念ながら降りてきてしまったからには登り返さねばならない。標高にしたら300の登り返しだが、雪山での標高300upは1時間の法則である。しかも途中に休憩適地はなく、稜線までひたすら登り続けなければならない。幸い2本の足(+杖代わりのピッケル)で登れる傾斜なのでリズムを崩さぬよう無心で登り続ける。永遠に続くかに思われた登りは50分くらいで割と突然に台地へ届き、百四丈滝に別れを告げたのだった。
太陽も高く昇り、今や目に痛いほど白く輝く台地を強風に吹かれながら下り、2年前の記憶と比べたときの美女坂の怖くなさにやはり拍子抜けしつつも慎重に降り、奥長倉避難小屋に戻ってきた。山岳会PTと時間的に被ってしまい小屋はまた大盛況となった。われわれも荷物を再パッキングし一晩の快適な宿に別れを告げ、一躍帰路へついたのだった。
さてしかり場までの区間は行きも帰りもだれる区間である。口長倉さえなければもっと楽なのに……というのは2年前にもさんざ言っていた記憶があるが、すばらしい景色も天気ももう2日間十分見飽きるほど見たしとっくに満足しているのである。しかり場に着くや否やですぐにアイゼンを脱ぎ、あとはスノーシューで雪面を跳ね回る同行者とともに転がるように下山し、檜倉の登り返しもその勢いのまま通り過ぎ、林道交差点で小滑落もどきをかましつつ、ゲレンデトップに転がり出たのだった。
2年前は営業終了していたので上級者コースをピッケルで制動しながらシリセードでくだっていた記憶があるが、営業中のスキー場でそれをするのはいろんな意味で挑戦的なのでおとなしくゴンドラで下った。下のセンターで600円、ちゃんと払いましょうね。
☆百四丈滝は軽装日帰り強行軍にするか、泊まり前提で普通の装備をしていくかははっきりさせていった方がよいだろう。個人的には泊まりで大成功だった。
コンディション的にはこの土日が本当に文句の付け所がないレベルだっただろう。今シーズンはもう今後は下はベチョベチョ、上も緩んで雪崩リスクが高まってきそうに思われる。
リベンジに成功したので今のところ思い残すこともない。もう二度と行くことはない……と言おうとしたが、4.5年もすればまた見に行きたくなっていそうな気がする。
コメント
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お疲れ様でした。小屋ではお手伝い戴きありがとうございました。
やはり滝壺まで行くと迫力がありますね。
私も行きたかったのですが、体力の無さを痛感しました。
こちらこそお疲れさまでした。
>小屋ではお手伝いいただき……
袖すり合うもなんとやら、同じ地を目指す者同士ですので……あの空間はなんだか修学旅行のような楽しさがあったように思います。
>私も行きたかったのですが……
滝そのものは遠くからでも見えるのもあり、どこまで行くかは精神力との闘いかもしれませんね。
かくいう私も2年前はヘロヘロで稜線から見下ろしただけでした。
無事に戻れば次の挑戦がありますのでそれで良しですね。
また行かれたんですね!!!
羨ましい✨
来年行く時は誘ってください😆
お疲れ様でした♪
流石に来年行くかはわかりませんが、次行く気になったら声かけますね!笑
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