チングルマの秋田駒ヶ岳からムシトリスミレの湯森山そして乳頭山とトキソウの田代平(国見温泉〜乳頭温泉)


- GPS
- 50:15
- 距離
- 33.1km
- 登り
- 2,087m
- 下り
- 2,622m
コースタイム
- 山行
- 3:55
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 3:55
- 山行
- 6:50
- 休憩
- 1:25
- 合計
- 8:15
天候 | 1日目:小雨 2日目:曇のち晴 3日目:小雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
東京06:00(秋田新幹線こまち49号) 田沢湖08:55 田沢湖駅前10:05(羽後交通)¥1050 駒ヶ岳八合目11:04 国見温泉・森山荘泊 2日目:乳頭温泉・大釜温泉泊 復路(3日目): 乳頭温泉15:30(羽後交通)¥840 田沢湖駅前16:18 田沢湖17:12(秋田新幹線こまち38号) 大宮19:39 |
写真
感想
21年前に初めて登った秋田駒ヶ岳。
20年以上経っても一番好きな山で、毎年登ってもいいなんて思っているのに、結局この前登ってから9年も経ってしまった。↓
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-473443.html
前回は日帰りでちょっと心残りだったので今回は国見温泉と乳頭温泉と2泊取った。
これなら天気が良ければ秋田駒ヶ岳だけではなく北側の乳頭山まで縦走できるし、もし天気が悪い日があっても秋田駒ヶ岳だけは満喫できるはずだ。
1日目は秋田駒ヶ岳南麓の国見温泉へ。
田沢湖駅から駒ヶ岳八合目までバスで行き、秋田駒ヶ岳を越えて国見温泉まで下る予定だが、雨の場合は田沢湖駅からタクシー代7000円をかけて行くのも仕方がないかなと思っていた。
新幹線が岩手県に入ると栗駒山と焼石岳は見えてきて天気は良さそうだったが、岩手山は雲の中で天気は微妙な感じだ。
トクだ値が取れたので田沢湖駅に8:55に到着する臨時の秋田新幹線こまち49号で行ったのだが、駒ヶ岳八合目行きのバス停は次のこまち1号が9:21に到着すると長蛇の列となった。
この時季の秋田駒ヶ岳の人気はすごく、少し朝は早くなったがこまち1号の前の臨時列車で行って良かったと思う。
こんなに皆が秋田駒ヶ岳に向かうのだから、ここからタクシーで国見温泉に向かう必要はないだろう。
バスの車窓から、車道沿いにところどころ「ババヘラ」を見かける。
21年前に初めて見かけた時、秋田出身の先輩から夏になるとおばさんが沿道でアイスをヘラで盛り付けて売ってくれるから「ババヘラ」というと教えてもらったが、正式名称なのだろうか?
今回もどこかで食べたかったのだが、バスで寄れる場所にはいなかった。
田沢湖駅前とか乳頭温泉郷とかにいればいいのに。
途中駐車場のあるアルパこまくさからはバスにさらに人が乗り込み、補助席を使っても立ちの人が数人出るほどになった。
到着した駒ヶ岳八合目は霧の中だったが、雨が降っていないだけましだと歩き出す。
それにしてもこの天気でこれだけの人が来ているということがすごい。
今はミヤマダイコンソウとハクサンチドリ、そしてオノエランがよく目に付く。
阿弥陀池に着いても雲の中なので周囲はほとんど見えないが、それでも気持ちのいい場所だ。
友人がムシトリスミレを発見したが、雨に濡れて花は下を向いてしまっていた。
阿弥陀池避難小屋まで行ったが雲が晴れないので今日は最高峰男女岳には行かず、ムーミン谷(馬場の小路)を通り国見温泉へ向かうことにした。
ムーミン谷への下りはツアー登山の人たちが何組もいる。
皆ここの花が目的なので、我々もゆっくりと下っていく。
ミヤマダイコンソウを始めミヤマキンバイ、ミヤマキンポウゲと黄色の花が盛り沢山だ。
9年前に来た時はここでシラネアオイの大株を沢山見られたので楽しみにしていたのだが、今回は3株ほどしか見つからなかった。
散った花弁も見つけたので、今年はもう花が終わってしまったのかもしれない。
その代わり今回はチングルマがすごい。
ムーミン谷がこんなにチングルマがすごいとは知らなかった。
最近はサンカヨウの花弁が濡れると半透明になると人気だが、チングルマもミヤマダイコンソウも花弁が濡れて半透明になっている。
大焼砂では雨でも形を変えないコマクサは楽しめたが、タカネスミレは雨に濡れそぼっていた。
歩きやすい横長根から国見温泉へ下る登山道も思っていたよりも歩きやすく、こちらへ下るツアーも多いようで駐車場には大型バスが停まっていた。
国見温泉の「含硫黄炭酸水素塩泉」は独特の緑色とにおいのする温泉だった。
人が入らないと白い湯の花がびっしりとお湯の表面を覆ってしまう。
面白かったのが何かの成分と反応すると足などが黒くなってしまうところ。
受付でそんなことを話していた人に友人が尋ねたら直前に他の温泉に入ってきたのが原因かもとのことだった。
そして温泉の中で足が黒くなっていた人に友人が尋ねると、その方は田圃仕事をした後だったそうだ。
宿の御主人の90歳になるお母様とお話したり、夕食時臨席になったご夫婦と登山談義ができたのも楽しかった。
2日目、この日は天気は好転するはずだったが、朝から小雨がぱらついている。
もしかしたら山の上はまた昨日のようにガスガスかと思いつつ横長根に向かっていくと、すれ違った方が上は晴れていますよ、とのこと。
その言葉に励まされてぐんぐん高度を稼いでいくと雲が切れ、尾根に出ると目の前に秋田駒ヶ岳主峰の稜線が姿を現した。
こんなにはっきりと秋田駒ヶ岳の全貌を見たのは21年前初めて来た時以来だ。
大焼砂のタカネスミレも今日はしっかりと花開いている。
今日は乳頭山まで縦走するつもりなのでまっすぐ横岳方面へ行こうとしていたが、この時季のこんな晴天にムーミン谷を歩かないのはもったいない。
そこで尾根を逸れてムーミン谷へ入っていくと、陽の光に照らされたチングルマが光り輝いている。
昨日の霧の中も幻想的だったが、やはり青空の下咲く白い花々が美しい。
予定を変更してムーミン谷をもう一度歩くことにして良かった。
チングルマとヒナザクラと白い花が青空に映えている。
昨日見たシラネアオイも、晴天の下だとまだまだ見頃。
一番好きな秋田駒ヶ岳で一番好きなシラネアオイを見る。
男岳鞍部を越えて阿弥陀池まで行くと晴天の日曜日なのですごい人出だ。
せっかく晴れているので最高峰男女岳に登ることにした。
男女岳はタカネスミレやミヤマダイコンソウ、ミヤマキンバイといった黄色い花が共演。
最高峰から阿弥陀池を見下ろしていると、なんとなく21年前の記憶が戻ってきた。
研究室のメンバー、他大学のメンバー、社会人ゼミのメンバーと一緒に来たため、それぞれ思い思いのコースを歩いて八合目で集合したのだった。
社会人ゼミのメンバーの中で大変お世話になった方も昨年亡くなってしまったことを思うと、山は変わらないのに人にとっては21年という時の長さを感じる。
その後横岳へ上がり、焼森を経て乳頭山を目指す。
焼森までは八合目に向かう人も多い。
焼森までの稜線から男女岳の姿を見て、21年前ここを歩いたことを思い出す。
そうか、他大学から来ていたKgさんと八合目まで一緒に下ったコースはここだったのか。
電波の入らない山では電源を切っておいた方がいいなんていう話をしていたことがありありと思い出される。
焼山から湯森山へ向かうと、とたんに人がまったくいなくなる。
ざらざらとした歩きにくいスコリアの斜面だ。
ふと横の崖を見るとムシトリスミレがびっしりと生えているではないか。
湿地に生えるものと思っていたが、ちょうど斜面から水が湧き出るこの環境が適しているのだろう。
今回初めて阿弥陀池でムシトリスミレを見たが、ここでこんなに沢山見られるとは思わなかった。
崖沿いにずっとムシトリスミレが続いて、ムシトリスミレロードとなっている。
登山道は通る人が少ないからか次第に周囲のササを中心としたヤブに覆われ始め、藪漕ぎに近い所も多い。
しかも登山道もかなりえぐれているので足がはまり込んだりする。
もしかしたら焼森から八合目へ下り、笹森山を経由して湯森山に登った方が良かったのかもしれない。
もっと登山道の様子を調べておけばよかった。
湯森山に着いた時はすっかりヤブに嫌気がさしていたし、乳頭山を縦走するにはコースタイムも長く乳頭温泉に下りるのが夕方になりそうだし、乳頭山方面は雲に覆われているし、乳頭山は明日登ろうということになった。
誰も来ないと思っていたら、焼森方面から後から1人来た方がいたので話をしたところ、これから笊森山を経て乳頭山まで縦走するとのこと。
ここから先はネットで調べたところ「ワーというようなきれいな風景」が広がるらしい。
ただ、ネットの場合「ワーというようなきれいな風景」のところしかアップしていない疑惑もあると思う。
ということで、乳頭山まで縦走するその方の健闘を祈り、我々はこの湯森山から笹森山を経て乳頭温泉に直接下ってしまうことにする。
笹森山はヒナザクラとイワイチョウがきれいだったが、その先の乳頭温泉までの下りもなかなかのヤブだった。
宿泊先の乳頭温泉郷の大釜温泉には15時過ぎくらいの良い時間に到着。
夕食までの時間ゆっくりと温泉を楽しめたので乳頭山は明日にしてよかったと思う。
最終日の3日目。
この日は3日間で一番天気がいいはずの日だったが朝から雨。
山の天気と言うのは難しいものだ。
出発した8時には雨も止んでいたが、歩いているうちに雨が降り出した。
まずは乳頭山に登ってしまおうと、孫六温泉、黒湯温泉を通る一本松コースへ。
途中今回一緒に来た友人とは別の友人から聞いていた一本松温泉の野湯を見たが、雨は降っているしこれから登るので入らず。
ただ下りだったとしても乳頭温泉のバス通りにはかなり距離があるので、ここで野湯に入る人はかなりの酔狂だと思う。
乳頭山への登りも途中からかなりのササヤブ。
この辺りの山はこの時季人があまり入らないところは皆こうなってしまうのだろう。
雨に濡れたササをかき分けて登るのでかなり濡れる。
しかも足もとはドロドロビシャビシャである。
ヨツバシオガマが登山道脇に増えてくると山頂はすぐそこだった。
ただ雨は降っているし風も強いので山頂は早々に辞すことにした。
田代平へ向かう分岐あたりからちらほらと湿原が現れる。
雨でもこんなに気持ちがいいのだから、晴れていれば「ワーというようなきれいな風景」なのだろう。
ドロドロビシャビシャツルツルの登山道を行き、雨も強くなりうんざりしかけたところでタイミングよく田代平山荘(避難小屋)に到着。
こんな雨の平日にここを歩く人なんていないのだろうと思っていたが、昼食を摂っていると2人の女性が小屋に現れた。
尋ねると同じコースを逆ルートで歩いているそうだ。
これから先、田代平方面はニッコウキスゲとワタスゲが見事とのことで嬉しくなる。
田代平ではニッコウキスゲとワタスゲはもちろん楽しめたし、一番嬉しかったのはトキソウの群落だ。
今まで他の湿原では1株2株程度しか見たことがなかったが、ここでは大群落になっていた。
シラネアオイもトキソウも子供の頃栽培したことがあるが、結局平地の夏を何度も越す内に弱って枯れてしまった。
高山植物は自生地で見るのが一番いい。
ドロドロビシャビシャのブナの森を乳頭温泉に向かって下っていくが、もう不快感はない。
見慣れたギンリョウソウもたくさんあったが、ショウキランを初めて見ることができた。
宿泊した大釜温泉に到着し、再度温泉を楽しむ。
脱衣所にザックを置いていたからか、露天風呂で話しかけられ登山談義に花が咲く。
この時季に秋田駒ヶ岳に登りに来ている人たちは皆高山植物が好きな人たちなのだ。
話に夢中になり、気付いた時にはバスの時間ぎりぎりになっていた。
バス停でバスを待っていると登山者が2人下りてきて、さっき田代平山荘で話した方たちだと友人がすぐに気が付く。
お世話になった大釜温泉に友人がその方たちを案内したところ、女将さんも喜んでくれたそうだ。
2日目は晴天のムーミン谷を楽しめたし、コミュニケーション能力の高い友人のお陰で、他の登山者や宿の方たちとの交流も楽しめ、また秋田駒ヶ岳が好きになった3日間だった。
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